5. 初恋
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みんな黙って考えた。これにはドラコも何が自分にとって一番怖いか考えを巡らせた。ドラコはいつも『何も恐れるものはない』といった様子で威勢を張っているが、本心では自分にも人並みに怖いものがあることくらいよく分かっていた。しかし今のドラコが怖いものを思い浮かべようとすればする程、それを邪魔するかのように、彼の脳内には無意識のうちに先程のフォーラとその横に並んだルーピンの二人の姿が強く浮かんでいた。
(バカ、怖いものだ。なのに何であの二人なんだ。何も怖くないじゃないか。何かあるだろう、もっと無難なものが……)
ドラコが考えあぐねている間に、フォーラは既にボガートと対峙していた。彼女の目の前に現れたボガートは、たちまち荷台に古い檻を載せた商用車と、それに乗る悪そうな顔の運転手に変身した。フォーラはそれを見て更に記憶を揺さぶられるような感覚に陥っていたが、意を決して「リディクラス!」と唱えた。
するとパチン!という音がして、車はあっという間にかぼちゃをくりぬいたような馬車と生きた馬に変身し、運転手も突然ハンドルから馬の手綱を握ることになって困惑している様子だった。
「パンジー、前へ!」ルーピンが次の生徒に声を掛けた。
ルーピンは、パンジーと場を入れ替わって戻ってきたフォーラに「いいぞ!」と声を掛け、彼女の頭をくしゃっと撫でた。そして彼女は背中を軽くポンと押され、列になっている生徒の一番後ろに促された。
(せ、先生に撫でられてしまったわ)
あっという間にフォーラの顔は赤く染まっていた。そしてその後彼女が俯いたまま顔を上げないものだから、ドラコは随分腹立たしい様子だった。
(フォーラのやつ、何がそんなに嬉しいっていうんだ)
ドラコは彼女に怒りをぶつけたくなる気持ちを抑えた。そうして暫くするとドラコの番が回ってきた。彼は未だに自分にとって何が一番怖いのか答えを出せていなかった。しかし順番が来たのなら仕方がない。彼はそのように諦めながら、前の生徒がビックリ箱に変身させたままのボガートの前に立った。するとボガートはパチンと音を起てて再び変身し始めた。
その変身後の姿に驚いたのはドラコだけではなく、その場にいた誰もが目を丸くした。何とボガートが変身したのはフォーラだったのだ。ドラコ自身その理由が分からない様子で随分狼狽えていた。
「な、なんでフォーラが!?」
目の前のフォーラは言葉さえ発しなかったが、ドラコをキッと睨みつけると怒ったように彼から顔をフイと背けた。一番近くにいたドラコがよく目を凝らして見ると、偽フォーラの後ろにもう一つ、誰かの影のようなものが寄り添っていた。
(ああ、やっぱり)
ドラコは胸を締め付けられそうになりながら、何とか「リディクラス」と唱えた。するとフォーラはたちまち幼い頃の姿に変身し、着ていた洋服がぶかぶかになってしまった。生徒たちがざわつく中、ドラコは周囲のそのような声を無視して列の一番後ろにスタスタと歩き去った。そしてルーピンの一声で、また次の生徒がボガートと対峙したのだった。
授業中のドラコは誰とも目を合わさなかった。何せ先程の事が頭から離れなかったのだ。偽フォーラは随分怒っていたし、彼女の後ろに立っていた影……あれは恐らくルーピンだったのかもしれない。
(あのフォーラはきっとルーピンの隣に立って、僕のことを嫌いだとでもいう態度を見せていたのかもしれない。……本当にそれが僕にとって今一番怖い事なのか?僕は一体どうしてしまったんだろう。確かにフォーラに嫌われるのは喜ばしいことではないにしても……)
そのような事があったものの授業は特段問題なく進行した。その間、クラスメイトたちは先程のドラコの件に関して誰も本人に掘り下げるような話題を振らなかった。みんなドラコはフォーラとの喧嘩を避けているのだろうとか、きっと怒ったフォーラは随分怖いのだろう程度に受け取ったからだ。二人が幼馴染なのは周知の事実だったし、同じ寮にいれば二人の仲が良いのも知っていて当然だった。
さて、ルーピンの授業が終わってスリザリン生らが談話室へ戻る際、フォーラはドラコに先程のわけを聞こうと彼を呼び止めた。しかし一方のドラコは、ボガートをフォーラに変えた申し訳なさや、何とも言えない気まずさのせいであまり彼女と面と向かって話したくなかった。しかしもう彼女が隣に来てしまったのだから仕方がなかった。
「何だ、どうかしたのか?」
「さっきドラコがボガートの前に立った時の事だけど、あれって私だったわよね……?どうしたのかと思って。私、怒るとそんなに怖いかしら……。」
俯き気味で自身なさげに話すフォーラに、ドラコは「そういうことじゃない」と否定した。
「思いつくものがなかったんだ。怖いものなんてほとんど見当たらなくてね。そうしたら何故かフォーラが出てきた。君とは長い付き合いだから、もしあんな状況になったら嫌だと想像してしまったのかもしれないな。きっとそれだけの理由なんだ。その、気に病ませて悪かったな」
「ううん、それならいいのだけど……。あっ、あとね?偽物の私の後ろに誰かの人影があったでしょう?あれも何だったのか気になって。」
ドラコは一瞬もの凄くドキリとした。あんな、あるようで無い靄のような影にフォーラが気付くとは思わなかったからだ。それに……。
(あれがルーピンだなんて、言えるわけがないだろう)
「……さあ、僕にも分からないな」ドラコはそのようにはぐらかすと足早にその場を去ってしまった。その間のドラコは相変わらず胸の辺りをズキズキと痛めていた。
(どうして最近の僕は、フォーラのことを少し考えただけでこんな風になってしまうんだろう。僕は何かおかしな病気にでもかかっているんじゃないのか?)
(バカ、怖いものだ。なのに何であの二人なんだ。何も怖くないじゃないか。何かあるだろう、もっと無難なものが……)
ドラコが考えあぐねている間に、フォーラは既にボガートと対峙していた。彼女の目の前に現れたボガートは、たちまち荷台に古い檻を載せた商用車と、それに乗る悪そうな顔の運転手に変身した。フォーラはそれを見て更に記憶を揺さぶられるような感覚に陥っていたが、意を決して「リディクラス!」と唱えた。
するとパチン!という音がして、車はあっという間にかぼちゃをくりぬいたような馬車と生きた馬に変身し、運転手も突然ハンドルから馬の手綱を握ることになって困惑している様子だった。
「パンジー、前へ!」ルーピンが次の生徒に声を掛けた。
ルーピンは、パンジーと場を入れ替わって戻ってきたフォーラに「いいぞ!」と声を掛け、彼女の頭をくしゃっと撫でた。そして彼女は背中を軽くポンと押され、列になっている生徒の一番後ろに促された。
(せ、先生に撫でられてしまったわ)
あっという間にフォーラの顔は赤く染まっていた。そしてその後彼女が俯いたまま顔を上げないものだから、ドラコは随分腹立たしい様子だった。
(フォーラのやつ、何がそんなに嬉しいっていうんだ)
ドラコは彼女に怒りをぶつけたくなる気持ちを抑えた。そうして暫くするとドラコの番が回ってきた。彼は未だに自分にとって何が一番怖いのか答えを出せていなかった。しかし順番が来たのなら仕方がない。彼はそのように諦めながら、前の生徒がビックリ箱に変身させたままのボガートの前に立った。するとボガートはパチンと音を起てて再び変身し始めた。
その変身後の姿に驚いたのはドラコだけではなく、その場にいた誰もが目を丸くした。何とボガートが変身したのはフォーラだったのだ。ドラコ自身その理由が分からない様子で随分狼狽えていた。
「な、なんでフォーラが!?」
目の前のフォーラは言葉さえ発しなかったが、ドラコをキッと睨みつけると怒ったように彼から顔をフイと背けた。一番近くにいたドラコがよく目を凝らして見ると、偽フォーラの後ろにもう一つ、誰かの影のようなものが寄り添っていた。
(ああ、やっぱり)
ドラコは胸を締め付けられそうになりながら、何とか「リディクラス」と唱えた。するとフォーラはたちまち幼い頃の姿に変身し、着ていた洋服がぶかぶかになってしまった。生徒たちがざわつく中、ドラコは周囲のそのような声を無視して列の一番後ろにスタスタと歩き去った。そしてルーピンの一声で、また次の生徒がボガートと対峙したのだった。
授業中のドラコは誰とも目を合わさなかった。何せ先程の事が頭から離れなかったのだ。偽フォーラは随分怒っていたし、彼女の後ろに立っていた影……あれは恐らくルーピンだったのかもしれない。
(あのフォーラはきっとルーピンの隣に立って、僕のことを嫌いだとでもいう態度を見せていたのかもしれない。……本当にそれが僕にとって今一番怖い事なのか?僕は一体どうしてしまったんだろう。確かにフォーラに嫌われるのは喜ばしいことではないにしても……)
そのような事があったものの授業は特段問題なく進行した。その間、クラスメイトたちは先程のドラコの件に関して誰も本人に掘り下げるような話題を振らなかった。みんなドラコはフォーラとの喧嘩を避けているのだろうとか、きっと怒ったフォーラは随分怖いのだろう程度に受け取ったからだ。二人が幼馴染なのは周知の事実だったし、同じ寮にいれば二人の仲が良いのも知っていて当然だった。
さて、ルーピンの授業が終わってスリザリン生らが談話室へ戻る際、フォーラはドラコに先程のわけを聞こうと彼を呼び止めた。しかし一方のドラコは、ボガートをフォーラに変えた申し訳なさや、何とも言えない気まずさのせいであまり彼女と面と向かって話したくなかった。しかしもう彼女が隣に来てしまったのだから仕方がなかった。
「何だ、どうかしたのか?」
「さっきドラコがボガートの前に立った時の事だけど、あれって私だったわよね……?どうしたのかと思って。私、怒るとそんなに怖いかしら……。」
俯き気味で自身なさげに話すフォーラに、ドラコは「そういうことじゃない」と否定した。
「思いつくものがなかったんだ。怖いものなんてほとんど見当たらなくてね。そうしたら何故かフォーラが出てきた。君とは長い付き合いだから、もしあんな状況になったら嫌だと想像してしまったのかもしれないな。きっとそれだけの理由なんだ。その、気に病ませて悪かったな」
「ううん、それならいいのだけど……。あっ、あとね?偽物の私の後ろに誰かの人影があったでしょう?あれも何だったのか気になって。」
ドラコは一瞬もの凄くドキリとした。あんな、あるようで無い靄のような影にフォーラが気付くとは思わなかったからだ。それに……。
(あれがルーピンだなんて、言えるわけがないだろう)
「……さあ、僕にも分からないな」ドラコはそのようにはぐらかすと足早にその場を去ってしまった。その間のドラコは相変わらず胸の辺りをズキズキと痛めていた。
(どうして最近の僕は、フォーラのことを少し考えただけでこんな風になってしまうんだろう。僕は何かおかしな病気にでもかかっているんじゃないのか?)