4. 胸の高鳴り
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フォーラはルーピンの後を付いていく形で大広間へ向かいながら、初対面の彼と一体何を話せばいいのかと少々困惑していた。しかしその心配はあまり必要ではなかった。ルーピンがフォーラに多くの話を振ってくれたのだ。
「フォーラは何の科目が得意なのかな?」
「ええと、変身術と魔法薬学です。」
「そうか、それなら寮官のスネイプ先生はさぞお喜びだろうね。私はあまり魔法薬学が得意でなくてね。それじゃあ苦手科目は?」
「や、闇の魔術に対する防衛術……。」ルーピンの担当科目であるが故、フォーラが申し訳なさそうに言うと彼はクスリと笑った。
「ああ、違うんだ。あまりにも申し訳なさそうに言うものだから、可愛らしくてついね。得意じゃないなら私も頑張って教えないと―――」
『可愛らしくてつい』。お世辞だと分かっていても、フォーラはその言葉にどういうわけだか頬を赤くしていた。
(先生にそんな風に言われたの、初めてだわ……。それに)
幾らか人見知りをし易いフォーラとしては、ルーピンはとても話しやすい人だと感じた。彼女は初対面の人に対していつもより落ち着いていられる自分に少々驚いていた。
二人が大広間に着くと、まだ人の数は多かった。ルーピンはフォーラに向き直った。
「今日はまだスリザリンの三年生は私の授業がないけど、授業で君に会えるのを楽しみにしているよ」
「は、はい。あの先生。ここまで連れてきてくださって、ありが」フォーラがお礼を言おうとした時、ルーピンは彼女の口元に人差し指を持ってきて言葉を中断させると、茶目っ気を含んだウインクをした。
「私たちは一緒にここまで来ただけだよ。それじゃあね」ルーピンはそう言って教職員テーブルへと向かっていった。そして本当にどういうわけかフォーラの顔は今日で一番赤くなっていたのだった。
(先生は私が迷っていたのを、なかったことにしてくださったんだわ)
フォーラはあんなにスマートでお茶目な部分も持ち合わせた人を今まで見たことがなかったように思った。彼女はルーピンが教職員テーブルに着くのを無意識に目で追った後、ようやくスリザリン寮のテーブルへと向かったのだった。
昼食の後、フォーラは魔法生物飼育学の最初の授業に参加するため、ドラコたちと共に城の外に出た。一行がハグリッドの小屋を目差しながら芝生の上を歩いていると、不意にドラコがフォーラに尋ねた。
「そういえば、さっきは昼食に来るのが随分遅かったじゃないか。あの新任教師と一緒にいたみたいだけど、どうしたんだ?」
「えっ」その質問を合図にフォーラはドラコの方を振り向いた。ドラコは彼女の顔が普段よりうっすらと血色良く感じた。
「あ……ええと。私、授業後の廊下で偶然先生にお会いしたの。だから一緒に昼食を摂りに戻ってきただけよ。その、ちょっとだけ道に迷っていたところを助けていただいたわ。」
「そうか。ちゃんと道は覚えたのか?」
その質問にフォーラはドキリとした。ルーピンとの会話に専念していたために、帰り道をあまり覚えていなかったのだ。
「ええ、多分大丈夫。」フォーラが内心自信なさげに返答した時、フォーラとその友人たちは丁度同じ授業を受ける生徒の集団に合流した。ドラコはまだ何かフォーラに尋ねたそうだったが、彼はパンジーに話し掛けられたこともあり、それ以上先程の話を質問するのはやめにしたのだった。
今日の授業内容はヒッポグリフという半鳥半馬の生物を観察することだった。ハグリッドは森から引き連れてきた十数頭を広い柵の中に入れると、ヒッポグリフの扱い方などを説明した。その後ハグリッドに促され、ハリーがバックビークという名の一頭の前でお辞儀をし、暫く待つとバックビークもお辞儀を返した。触ってもよいという返事らしい。
それからはみんな続々とハリーに続いて放牧場の柵を乗り越えた。気高いヒッポグリフという生き物は、相手によってお辞儀を返したり返さなかったり様々だった。
そしてフォーラの番がやってきた。彼女がハリーの試したヒッポグリフの前に立つと、柵の外側で順番待ちをしていたドラコが彼女の後ろから不安げに声を掛けた。
「フォーラ、危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ、いいな」
「ドラコったら、心配しすぎよ。大丈夫だったら。」
フォーラは正面に立つヒッポグリフの目を見て、瞬きも殆どせずに暫く視線を合わせた。そして深くお辞儀をすると、そっと顔だけを上げて再び視線を合わせた。ヒッポグリフは気位高くフォーラを見据えていた。何秒かの時が過ぎ、ヒッポグリフがお辞儀を返そうと動いた―――その時突然、彼女は視界の色彩感覚がおかしくなるのを感じた。何故だろう、目眩だろうか?いや違う。この感覚は以前にも体験したことがある―――。
その瞬間、ヒッポグリフのバックビークは猛々しい泣き声を上げ、フォーラに向かって鋼色の鉤爪を光らせた。
「あっ―――」ザシュッという音とビリッという二つの音が混じって聞こえた後で、フォーラは右腕に生暖かい何かドロリとしたものを感じ、次にその右腕が真っ赤に染まっているのを視認した。そして彼女はその状況にショックのあまり意識を手放し、その場に倒れ込んでしまったのだった。
「フォーラは何の科目が得意なのかな?」
「ええと、変身術と魔法薬学です。」
「そうか、それなら寮官のスネイプ先生はさぞお喜びだろうね。私はあまり魔法薬学が得意でなくてね。それじゃあ苦手科目は?」
「や、闇の魔術に対する防衛術……。」ルーピンの担当科目であるが故、フォーラが申し訳なさそうに言うと彼はクスリと笑った。
「ああ、違うんだ。あまりにも申し訳なさそうに言うものだから、可愛らしくてついね。得意じゃないなら私も頑張って教えないと―――」
『可愛らしくてつい』。お世辞だと分かっていても、フォーラはその言葉にどういうわけだか頬を赤くしていた。
(先生にそんな風に言われたの、初めてだわ……。それに)
幾らか人見知りをし易いフォーラとしては、ルーピンはとても話しやすい人だと感じた。彼女は初対面の人に対していつもより落ち着いていられる自分に少々驚いていた。
二人が大広間に着くと、まだ人の数は多かった。ルーピンはフォーラに向き直った。
「今日はまだスリザリンの三年生は私の授業がないけど、授業で君に会えるのを楽しみにしているよ」
「は、はい。あの先生。ここまで連れてきてくださって、ありが」フォーラがお礼を言おうとした時、ルーピンは彼女の口元に人差し指を持ってきて言葉を中断させると、茶目っ気を含んだウインクをした。
「私たちは一緒にここまで来ただけだよ。それじゃあね」ルーピンはそう言って教職員テーブルへと向かっていった。そして本当にどういうわけかフォーラの顔は今日で一番赤くなっていたのだった。
(先生は私が迷っていたのを、なかったことにしてくださったんだわ)
フォーラはあんなにスマートでお茶目な部分も持ち合わせた人を今まで見たことがなかったように思った。彼女はルーピンが教職員テーブルに着くのを無意識に目で追った後、ようやくスリザリン寮のテーブルへと向かったのだった。
昼食の後、フォーラは魔法生物飼育学の最初の授業に参加するため、ドラコたちと共に城の外に出た。一行がハグリッドの小屋を目差しながら芝生の上を歩いていると、不意にドラコがフォーラに尋ねた。
「そういえば、さっきは昼食に来るのが随分遅かったじゃないか。あの新任教師と一緒にいたみたいだけど、どうしたんだ?」
「えっ」その質問を合図にフォーラはドラコの方を振り向いた。ドラコは彼女の顔が普段よりうっすらと血色良く感じた。
「あ……ええと。私、授業後の廊下で偶然先生にお会いしたの。だから一緒に昼食を摂りに戻ってきただけよ。その、ちょっとだけ道に迷っていたところを助けていただいたわ。」
「そうか。ちゃんと道は覚えたのか?」
その質問にフォーラはドキリとした。ルーピンとの会話に専念していたために、帰り道をあまり覚えていなかったのだ。
「ええ、多分大丈夫。」フォーラが内心自信なさげに返答した時、フォーラとその友人たちは丁度同じ授業を受ける生徒の集団に合流した。ドラコはまだ何かフォーラに尋ねたそうだったが、彼はパンジーに話し掛けられたこともあり、それ以上先程の話を質問するのはやめにしたのだった。
今日の授業内容はヒッポグリフという半鳥半馬の生物を観察することだった。ハグリッドは森から引き連れてきた十数頭を広い柵の中に入れると、ヒッポグリフの扱い方などを説明した。その後ハグリッドに促され、ハリーがバックビークという名の一頭の前でお辞儀をし、暫く待つとバックビークもお辞儀を返した。触ってもよいという返事らしい。
それからはみんな続々とハリーに続いて放牧場の柵を乗り越えた。気高いヒッポグリフという生き物は、相手によってお辞儀を返したり返さなかったり様々だった。
そしてフォーラの番がやってきた。彼女がハリーの試したヒッポグリフの前に立つと、柵の外側で順番待ちをしていたドラコが彼女の後ろから不安げに声を掛けた。
「フォーラ、危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ、いいな」
「ドラコったら、心配しすぎよ。大丈夫だったら。」
フォーラは正面に立つヒッポグリフの目を見て、瞬きも殆どせずに暫く視線を合わせた。そして深くお辞儀をすると、そっと顔だけを上げて再び視線を合わせた。ヒッポグリフは気位高くフォーラを見据えていた。何秒かの時が過ぎ、ヒッポグリフがお辞儀を返そうと動いた―――その時突然、彼女は視界の色彩感覚がおかしくなるのを感じた。何故だろう、目眩だろうか?いや違う。この感覚は以前にも体験したことがある―――。
その瞬間、ヒッポグリフのバックビークは猛々しい泣き声を上げ、フォーラに向かって鋼色の鉤爪を光らせた。
「あっ―――」ザシュッという音とビリッという二つの音が混じって聞こえた後で、フォーラは右腕に生暖かい何かドロリとしたものを感じ、次にその右腕が真っ赤に染まっているのを視認した。そして彼女はその状況にショックのあまり意識を手放し、その場に倒れ込んでしまったのだった。