3. 二人きりのコンパートメント
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「その子……初めて見るお顔だわ。」
「私の子なの。昨日から飼い始めたわ」ハーマイオニーがそのように説明したが、フォーラの耳にはどうしてだか彼女の言葉があまり入ってこなかった。
(猫……そういえば去年のクリスマスは、まるで猫になったみたいに不思議な感覚があったわ。一瞬すぎて、気のせいだったかもしれないけれど。でも、最近もそんな事があった気がする。……駄目だわ、全然思い出せない。頭がズキズキする……)
すると突然、フォーラがその場にふらりと倒れそうになったものだから、ドラコが咄嗟に彼女を支えて立たせた。彼女の足元はどうにもおぼつかなかった。
「フォーラ、大丈夫か!?」
「う……、ええ、多分。少し列車の揺れで、気分が悪くなってしまったみたい。ごめんなさい。」
フォーラが力無く笑ってみせたその時、奥で寝ていた男が一ついびきをかいた。
「そいつは誰だ?」その男を見つけた途端、ドラコはフォーラを支えたまま無意識に一歩引いた。
「新しい先生だ」ハリーが答えると、ドラコは目を細めて妙なものでも見るかのようにその男に視線を向けていた。そして程なくして、彼はそんなことよりも早くフォーラを安静にさせなくてはと思い直し、彼女に付き添いながらコンパートメントを後にしたのだった。
そんな二人の姿が見えなくなると、ハリーたちはフォーラの容態を心配した。その際、ハーマイオニーが意味ありげに言葉を発した。
「それにしても、本当にマルフォイったらフォーラには優しいわね」
それを聞いたロンは胸の辺りがソワソワするような、何とも不安な気持ちに駆られたのだった。
それからのフォーラは暫く廊下をドラコに支えられながら歩いていたのだが、途中からようやく一人でしっかり立って歩けるようになった。
「ごめんなさい、まだ学校にも着いていないのに迷惑をかけてしまって……。」
「いや、いいんだ。そんなことより早く戻って休んだ方がいい」
結局二人はパンジーたちに逢えないまま自分たちのコンパートメントに戻ってきた。フォーラの頭はまだ少し痛みを帯びていた。
(何か忘れている気がするわ)
しかしフォーラは自分が何を忘れているのか全く思い出せなかった。彼女が着席する際にはドラコが念のためにと身体を支えてくれたため、その流れで二人は隣り合ってソファ席に腰を落ち着けた。そして彼女は頭痛が幾らかましになることを期待して、彼と反対側の車窓側に頭をもたせ掛けると、浅い眠りについたのだった。
さて、それから少し経った頃、手持ち無沙汰となったドラコは先程から隣で眠るフォーラの容態を心配してチラチラと横目で確認していた。そしてフォーラの呼吸の様子から彼女が完全に眠りについたことを何となく察すると、彼は確認のために恐る恐るその寝顔を覗き込んだのだった。
(よかった。表情からして、もうつらくはなさそうだ。だけどいきなり電車酔いするなんて珍しいな。……それにしても、こうしてフォーラの寝顔をちゃんと見たのはいつぶりだろう。なんだか前見たときよりも随分……)
ドラコは昨年にスリザリン寮の談話室のソファで、フォーラと並んで眠りに落ちた時のことを思い出した。あの時と今は少々状況が似ているが、ドラコは何だか今は胸の辺りがソワソワさせられると思った。そして彼は目の前のフォーラが寝ているのをいいことに、まじまじと彼女を見つめていた。
長い睫毛に透き通った肌、そして艶やかな唇。ドラコは無意識のうちにもっとフォーラをよく見ようとゆっくり顔を近付けていた。
「!?」ドラコがふと我に返った時、彼はあまりにも自分たちの顔が近いことを理解した。そして直ぐさま彼女から離れた。
(ぼ、僕は何をしているんだまったく!幾らフォーラの体調が心配だからって)
ドラコは万が一にも今の状況をフォーラに見られてはいないかと思い、彼女の方をちらと盗み見た。すると彼女はまだそのままの姿で眠り続けていたものだから、ドラコは安堵のため息を零した―――するとその時、列車がガクンと揺れた。その拍子にフォーラの頭がもたれていた壁から離れたではないか。
ドラコはフォーラの不安定になった頭をなんとか支えようと手を伸ばしたのだが、次の瞬間に彼女の頭は自然とドラコの肩に乗っかっていた。
「!?」ドラコにはたった今起こった状況を理解するのに一瞬だけ時間が必要だった。そして彼はフォーラが今のことで目を覚まさなかったかと心配し、すぐさま彼女の顔を確認した。すると彼女は相変わらず安らかな表情で眠っていたものだから、ドラコは再び安堵した。
しかしそれも束の間、ドラコは先程と違ってフォーラから離れようにも離れられない状況であることや、彼女と密着する程の至近距離にいることに何故だか落ち着かなくなっていった。とはいえ身動きが取れないのに慌ててしまっては彼女を起こしてしまう事態になりかねない。そう思うとドラコは自然と冷静さを取り戻していったのだった。
汽車がさらに北へ進むと雨も激しさを増した。窓の外は墨色に変わり、やがて通路と荷物棚にポッとランプが点った。汽車はガタゴト揺れ、雨は激しく窓を打ち、風が唸りをあげたところでようやくフォーラは目覚めた。
「フォーラ、大丈夫か?気分はどうだ?」
隣から掛けられた声に、フォーラはあまりはっきりしない頭で頷いた。それから彼女が窓の外を見ると辺りはすっかり暗くなっていて、自分が夕方中眠っていたのだとようやく気付いたのだった。
「ドラコ、ずっと肩を貸してくれていたのね。疲れたでしょう?本当にありがとう……。」
「まあ、別に大したことはないさ。君が元気になったのならそれでいい」ドラコは少々肩が凝っているのを隠して返答した。
「私が寝ている間に、誰か来たりした?」フォーラの質問にドラコは首を横に振った。
「私の子なの。昨日から飼い始めたわ」ハーマイオニーがそのように説明したが、フォーラの耳にはどうしてだか彼女の言葉があまり入ってこなかった。
(猫……そういえば去年のクリスマスは、まるで猫になったみたいに不思議な感覚があったわ。一瞬すぎて、気のせいだったかもしれないけれど。でも、最近もそんな事があった気がする。……駄目だわ、全然思い出せない。頭がズキズキする……)
すると突然、フォーラがその場にふらりと倒れそうになったものだから、ドラコが咄嗟に彼女を支えて立たせた。彼女の足元はどうにもおぼつかなかった。
「フォーラ、大丈夫か!?」
「う……、ええ、多分。少し列車の揺れで、気分が悪くなってしまったみたい。ごめんなさい。」
フォーラが力無く笑ってみせたその時、奥で寝ていた男が一ついびきをかいた。
「そいつは誰だ?」その男を見つけた途端、ドラコはフォーラを支えたまま無意識に一歩引いた。
「新しい先生だ」ハリーが答えると、ドラコは目を細めて妙なものでも見るかのようにその男に視線を向けていた。そして程なくして、彼はそんなことよりも早くフォーラを安静にさせなくてはと思い直し、彼女に付き添いながらコンパートメントを後にしたのだった。
そんな二人の姿が見えなくなると、ハリーたちはフォーラの容態を心配した。その際、ハーマイオニーが意味ありげに言葉を発した。
「それにしても、本当にマルフォイったらフォーラには優しいわね」
それを聞いたロンは胸の辺りがソワソワするような、何とも不安な気持ちに駆られたのだった。
それからのフォーラは暫く廊下をドラコに支えられながら歩いていたのだが、途中からようやく一人でしっかり立って歩けるようになった。
「ごめんなさい、まだ学校にも着いていないのに迷惑をかけてしまって……。」
「いや、いいんだ。そんなことより早く戻って休んだ方がいい」
結局二人はパンジーたちに逢えないまま自分たちのコンパートメントに戻ってきた。フォーラの頭はまだ少し痛みを帯びていた。
(何か忘れている気がするわ)
しかしフォーラは自分が何を忘れているのか全く思い出せなかった。彼女が着席する際にはドラコが念のためにと身体を支えてくれたため、その流れで二人は隣り合ってソファ席に腰を落ち着けた。そして彼女は頭痛が幾らかましになることを期待して、彼と反対側の車窓側に頭をもたせ掛けると、浅い眠りについたのだった。
さて、それから少し経った頃、手持ち無沙汰となったドラコは先程から隣で眠るフォーラの容態を心配してチラチラと横目で確認していた。そしてフォーラの呼吸の様子から彼女が完全に眠りについたことを何となく察すると、彼は確認のために恐る恐るその寝顔を覗き込んだのだった。
(よかった。表情からして、もうつらくはなさそうだ。だけどいきなり電車酔いするなんて珍しいな。……それにしても、こうしてフォーラの寝顔をちゃんと見たのはいつぶりだろう。なんだか前見たときよりも随分……)
ドラコは昨年にスリザリン寮の談話室のソファで、フォーラと並んで眠りに落ちた時のことを思い出した。あの時と今は少々状況が似ているが、ドラコは何だか今は胸の辺りがソワソワさせられると思った。そして彼は目の前のフォーラが寝ているのをいいことに、まじまじと彼女を見つめていた。
長い睫毛に透き通った肌、そして艶やかな唇。ドラコは無意識のうちにもっとフォーラをよく見ようとゆっくり顔を近付けていた。
「!?」ドラコがふと我に返った時、彼はあまりにも自分たちの顔が近いことを理解した。そして直ぐさま彼女から離れた。
(ぼ、僕は何をしているんだまったく!幾らフォーラの体調が心配だからって)
ドラコは万が一にも今の状況をフォーラに見られてはいないかと思い、彼女の方をちらと盗み見た。すると彼女はまだそのままの姿で眠り続けていたものだから、ドラコは安堵のため息を零した―――するとその時、列車がガクンと揺れた。その拍子にフォーラの頭がもたれていた壁から離れたではないか。
ドラコはフォーラの不安定になった頭をなんとか支えようと手を伸ばしたのだが、次の瞬間に彼女の頭は自然とドラコの肩に乗っかっていた。
「!?」ドラコにはたった今起こった状況を理解するのに一瞬だけ時間が必要だった。そして彼はフォーラが今のことで目を覚まさなかったかと心配し、すぐさま彼女の顔を確認した。すると彼女は相変わらず安らかな表情で眠っていたものだから、ドラコは再び安堵した。
しかしそれも束の間、ドラコは先程と違ってフォーラから離れようにも離れられない状況であることや、彼女と密着する程の至近距離にいることに何故だか落ち着かなくなっていった。とはいえ身動きが取れないのに慌ててしまっては彼女を起こしてしまう事態になりかねない。そう思うとドラコは自然と冷静さを取り戻していったのだった。
汽車がさらに北へ進むと雨も激しさを増した。窓の外は墨色に変わり、やがて通路と荷物棚にポッとランプが点った。汽車はガタゴト揺れ、雨は激しく窓を打ち、風が唸りをあげたところでようやくフォーラは目覚めた。
「フォーラ、大丈夫か?気分はどうだ?」
隣から掛けられた声に、フォーラはあまりはっきりしない頭で頷いた。それから彼女が窓の外を見ると辺りはすっかり暗くなっていて、自分が夕方中眠っていたのだとようやく気付いたのだった。
「ドラコ、ずっと肩を貸してくれていたのね。疲れたでしょう?本当にありがとう……。」
「まあ、別に大したことはないさ。君が元気になったのならそれでいい」ドラコは少々肩が凝っているのを隠して返答した。
「私が寝ている間に、誰か来たりした?」フォーラの質問にドラコは首を横に振った。