2. ベラトリックスの教え
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ベラトリックスは一呼吸置くとドラコから両手を離した。そして彼女は何処とも言えぬ宙を睨んだ。
「セブルス・スネイプ、あの男……。今やあいつは、私やルシウスが獲得していた『ご主人様の側近』という立ち位置を完全に奪い去ろうとしている。きっとあの狡賢い男は、元から私たちの地位を狙っていたに違いない……」
ドラコとしては、まさかスネイプがルシウスを蹴落とす筈がないという気持ちが勝っていた。何せあの二人は互いに親交が深い上に、父はスネイプのことをいつも高く評価していた。そのためドラコは父の影響もあって一年生の時からスネイプをずっと信頼してきたのだ。
しかし確かにベラトリックスの言うとおり、先程までここにいた闇の帝王はスネイプのことを大層褒めていた。それに彼女の口ぶりからして、死喰い人たちが二週間前に魔法省へ潜入するまでは、闇の帝王から特別贔屓 にされていたのは父や彼女だったのだろう。
「ご主人様はあのコウモリ男にすっかり騙 されていらっしゃる。そうでなけりゃ、あの男をあんなに褒めそやす筈がない。あいつは昔からダンブルドアとご主人様の間でのらりくらりとしてきた、その時々で都合のいい側 に付いているだけの奴なのに!」
「だけど、スネイプは闇の帝王のためにダンブルドアを騙して、スパイとして動いているんだろう?」ドラコが困惑した様子で尋ねた。するとベラトリックスは冷めた表情をドラコに向けた。そんな彼女の瞳の奥には、その冷酷さと相反したメラメラと燃えるような嫉妬の色が宿っていた。
「さあ……本当にそうであることを祈るまでだね。私は、あいつが闇の陣営の誰にでも『閉心術』を使うような奴だと知っている。あの術は奴の十八番 さ……私たちを信用しちゃいないからこそ、心を閉ざして本心を覗かれないようにしてるんだ。ご主人様が特段そのことに不満をおっしゃらないのは、奴曰 くご主人様にだけは心を開いているからだと言うが……きっと違う。熟練の類まれなる才能の閉心術師は、開心術師に嘘の心を見せることもできると聞く。だからこそ私はご主人様に奴を警戒なさるようお伝えし続けてきた。だが、残念ながらそれについては今のところ全く聞き入れてくださらない」
ベラトリックスの話を聞いて、ドラコはスネイプがそれ程優秀な閉心術師だからこそ、これまでずっと闇の帝王にその能力を信頼され、スパイ活動を任されてきたのだろうと思った。しかしその一方でドラコの心の中では、叔母の話によってスネイプを疑う気持ちが芽生え始めたのも事実だった。ドラコはこれまで尊敬してきた恩師を、今はどういう風に見ればよいのか判断に迷った。
「いいかいドラコ。兎に角、スネイプが今以上にご主人様に気に入られるため、ご機嫌を取る機会を伺っているのは間違いない。幸いにもご主人様はお前に下した命令をこの場のメンバーだけの秘密だとおっしゃった。だがご主人様が気を良くした拍子に、ここで起こった事の一部分でもスネイプに話さないとも限らない。もしくはご主人様が奴に何もお話にならなくても、奴に学校でお前の何らかの行動を察知されれば、何が目的かを知ろうとしてくる可能性がある。あの男は残念なことに開心術にも長けているんだ」
「つまり……スネイプが、僕の手柄を横取りしようとするって?」ドラコが不安な表情を向けた。
「ああ、そういうことさ。もし奴が今回の件を知って、お前より先にダンブルドアを殺すようなことがあれば、今度こそ私やお前の一家はご主人様からの寵愛を失うことになる。お前が助けたいと思っている父親も、シシーも、お前も、勿論私も、今後ずっと肩身の狭い状態で過ごすことになるだろうよ……。今、スネイプが明らかに闇の帝王のお気に入りとして王手をかけつつあることを思えば、奴は私たちを完全に蹴落とすために、躊躇いなく手柄を横取りしようとする筈だね」
ドラコはまだ幾らかスネイプを信じたい気持ちがあったし、隣に立つ母も姉の話を疑うように眉をひそめていた。しかしドラコが敬愛して止まない父を、スネイプが今以上に苦しめるかもしれないとなると……。
「私はあんな奴に自分の立場をこれ以上土足で踏み荒らさせやしない。ドラコ、お前はスネイプやその他の敵からお前の行動や考えを読み解かれないために、何としてでも閉心術を習得すべきだ。他にも、ダンブルドアを殺すのに必要な呪文や呪いが幾つもある……。お前が学校に行くまで時間がない。だから私がこの屋敷にいる日は必ず私と杖を交えるんだ。いいね」
その日から早速ドラコとベラトリックスは術の習得に励んだ。ドラコが初めに指導を受けたのは閉心術だった。この術は他の魔法と違って呪文を唱える必要も杖を振る必要もなく、単純に精神力がものを言う。開心術師に自分の思考や感情を支配されないためには、心を無にすることや、自分の感情をコントロールする必要があるのだ。
ドラコは屋敷の小ホールでベラトリックスを正面に立ち、彼女に真っすぐ杖を向けられていた。そしてナルシッサは二人から数歩下がった位置からドラコを心配そうに見つめていた。
「今から私がお前に開心術を掛ける。するとお前は記憶を探られている感じがする筈だ。そうしたら、落ち着いて、冷静に、確固たる意志を持って、私の存在を締め出してみろ」
ドラコは表情に少々不安の色を浮かべたが、一呼吸してから軽く頷くと、自身のアイスブルーの瞳でベラトリックスの姿を改めて視認した。それを合図に彼女はドラコに向かって呪文を唱えた。
「レジリメンス!」
途端にドラコは目の前がぐらぐらと回る感覚に襲われ、視界からベラトリックスや屋敷内の部屋が消えた。そして切れ切れの映画のように画面が次々に心を過 ったものだから、ドラコはその鮮明さに目が眩んだ。
「セブルス・スネイプ、あの男……。今やあいつは、私やルシウスが獲得していた『ご主人様の側近』という立ち位置を完全に奪い去ろうとしている。きっとあの狡賢い男は、元から私たちの地位を狙っていたに違いない……」
ドラコとしては、まさかスネイプがルシウスを蹴落とす筈がないという気持ちが勝っていた。何せあの二人は互いに親交が深い上に、父はスネイプのことをいつも高く評価していた。そのためドラコは父の影響もあって一年生の時からスネイプをずっと信頼してきたのだ。
しかし確かにベラトリックスの言うとおり、先程までここにいた闇の帝王はスネイプのことを大層褒めていた。それに彼女の口ぶりからして、死喰い人たちが二週間前に魔法省へ潜入するまでは、闇の帝王から特別
「ご主人様はあのコウモリ男にすっかり
「だけど、スネイプは闇の帝王のためにダンブルドアを騙して、スパイとして動いているんだろう?」ドラコが困惑した様子で尋ねた。するとベラトリックスは冷めた表情をドラコに向けた。そんな彼女の瞳の奥には、その冷酷さと相反したメラメラと燃えるような嫉妬の色が宿っていた。
「さあ……本当にそうであることを祈るまでだね。私は、あいつが闇の陣営の誰にでも『閉心術』を使うような奴だと知っている。あの術は奴の
ベラトリックスの話を聞いて、ドラコはスネイプがそれ程優秀な閉心術師だからこそ、これまでずっと闇の帝王にその能力を信頼され、スパイ活動を任されてきたのだろうと思った。しかしその一方でドラコの心の中では、叔母の話によってスネイプを疑う気持ちが芽生え始めたのも事実だった。ドラコはこれまで尊敬してきた恩師を、今はどういう風に見ればよいのか判断に迷った。
「いいかいドラコ。兎に角、スネイプが今以上にご主人様に気に入られるため、ご機嫌を取る機会を伺っているのは間違いない。幸いにもご主人様はお前に下した命令をこの場のメンバーだけの秘密だとおっしゃった。だがご主人様が気を良くした拍子に、ここで起こった事の一部分でもスネイプに話さないとも限らない。もしくはご主人様が奴に何もお話にならなくても、奴に学校でお前の何らかの行動を察知されれば、何が目的かを知ろうとしてくる可能性がある。あの男は残念なことに開心術にも長けているんだ」
「つまり……スネイプが、僕の手柄を横取りしようとするって?」ドラコが不安な表情を向けた。
「ああ、そういうことさ。もし奴が今回の件を知って、お前より先にダンブルドアを殺すようなことがあれば、今度こそ私やお前の一家はご主人様からの寵愛を失うことになる。お前が助けたいと思っている父親も、シシーも、お前も、勿論私も、今後ずっと肩身の狭い状態で過ごすことになるだろうよ……。今、スネイプが明らかに闇の帝王のお気に入りとして王手をかけつつあることを思えば、奴は私たちを完全に蹴落とすために、躊躇いなく手柄を横取りしようとする筈だね」
ドラコはまだ幾らかスネイプを信じたい気持ちがあったし、隣に立つ母も姉の話を疑うように眉をひそめていた。しかしドラコが敬愛して止まない父を、スネイプが今以上に苦しめるかもしれないとなると……。
「私はあんな奴に自分の立場をこれ以上土足で踏み荒らさせやしない。ドラコ、お前はスネイプやその他の敵からお前の行動や考えを読み解かれないために、何としてでも閉心術を習得すべきだ。他にも、ダンブルドアを殺すのに必要な呪文や呪いが幾つもある……。お前が学校に行くまで時間がない。だから私がこの屋敷にいる日は必ず私と杖を交えるんだ。いいね」
その日から早速ドラコとベラトリックスは術の習得に励んだ。ドラコが初めに指導を受けたのは閉心術だった。この術は他の魔法と違って呪文を唱える必要も杖を振る必要もなく、単純に精神力がものを言う。開心術師に自分の思考や感情を支配されないためには、心を無にすることや、自分の感情をコントロールする必要があるのだ。
ドラコは屋敷の小ホールでベラトリックスを正面に立ち、彼女に真っすぐ杖を向けられていた。そしてナルシッサは二人から数歩下がった位置からドラコを心配そうに見つめていた。
「今から私がお前に開心術を掛ける。するとお前は記憶を探られている感じがする筈だ。そうしたら、落ち着いて、冷静に、確固たる意志を持って、私の存在を締め出してみろ」
ドラコは表情に少々不安の色を浮かべたが、一呼吸してから軽く頷くと、自身のアイスブルーの瞳でベラトリックスの姿を改めて視認した。それを合図に彼女はドラコに向かって呪文を唱えた。
「レジリメンス!」
途端にドラコは目の前がぐらぐらと回る感覚に襲われ、視界からベラトリックスや屋敷内の部屋が消えた。そして切れ切れの映画のように画面が次々に心を