9. スネイプと二枚の羊皮紙
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そういうことだったのですね。私がすべきことは分かりました。ですが、必ずしもそういった話をドラコから聞けるとは思いません。何せ彼は私に多くの事を隠したがっていますから。セブルスさんから直接ドラコに話を聞くわけにはいかないのでしょうか?」
するとスネイプはため息交じりに返答した。
「今の我輩はドラコに警戒されている。奴は自分が受けた命令に対する手柄を我輩に横取りされるのではと疑っているのだ。誰がそれを吹き込んだのかは殆ど検討がついている。そ奴やドラコは、我輩が功績を残すことで闇陣営の中でも更に良い待遇を得ようとしていると思っているのだろう」
「そんな状態なら、ドラコはセブルスさんに尋ねられても反発して黙ってしまう可能性が高いですね……。」
「ああ。そういう状態ゆえ、ダンブルドアも我輩も少しでも頼れるものは頼りたいというわけだ。お前に多くを期待しているわけではないが、無理にドラコから聞き出そうとしたり尾行したりせずとも、何か小さな気付きがあれば知らせてほしい」
フォーラは本当に自分が彼らの力になれるか自信がなかったが、今は兎に角頷いた。そして彼の言葉を受けて、ふと思い至った。
「それなら一つ、ご提案があります。」
そう言っておもむろに杖を取り出して呪文と共に振ると、フォーラの手元には羊皮紙が二枚現れた。
「少し特殊な『双子の呪文』が掛けられたものです。普通はマスターの方しか複製物に変化を加えられませんが、これは二枚の間で相互に書いたり消したりした内容が模倣されるんです。私とセブルスさんの間で持っていれば、少しは連絡のお役に立てるかと思うのですが。」
スネイプは少々驚きながらも差し出された一枚を受け取ると、「分かった、恩に着る」と相槌を打った。
「セブルスさん、今日はスイッチさんに関する手短なお話だけだった筈なのに、追加で大事なお話を色々と聞かせてくださってありがとうございました。……聞いてしまった後で今更だとは思うのですが、セブルスさんの二重スパイの動機や、ドラコに関する事など、本当に私が知ってしまっても良かったのでしょうか。」
申し訳なさそうに問うフォーラに、スネイプは落ち着いた声色で返答した。
「確かに、今日お前に諸々の話をすることになったのは想定外だった。何せこの場でお前に話した内容は、今のところ我輩とダンブルドアの間でしか交わされていないのだから。つまりそれ程までに、先程までの話題はこちらにとって弱みや重要さの塊なのだ」
するとフォーラの表情が不安げなものになったが、スネイプはそんなことなど気にせず続けた。
「では、もし闇陣営がお前に開心術を使うことがあった場合、この場での記憶をこじ開けられてしまうかもしれないというのに、何故お前に話したか?それはお前がこの歳で既に閉心術を使いこなしているからだ」
「えっ?閉心術ですか?」
「ああ、そうだ。以前ダンブルドアがお前の住む屋敷を訪れた際、お前自身がダンブルドアに対して恐らく無自覚に使用したのだと、彼から伺った」
フォーラはそのような自覚がなかっただけに驚かずにはいられなかった。しかし思い返してみると確かにスネイプの言うとおりだった。しかも思い当たるのは二回だ。一回目は自宅でダンブルドアと話した際、ハリーたちへの恨みの感情を探られているような気がして、それを遮断したくなった。そして二回目はウィーズリー家にお邪魔した際、ハリー含むいつもの三人組と話す中で、冷静さを保つために心を冷たく閉ざさなければと思った。
「……確かにおっしゃるとおりだと思います。だけど、まさか訓練もなく使えるなんて。」
「閉心術には向き不向きがあり、心を閉ざして冷静に相手をはねつける強い意志を持つ者だけが習得できる。そこに訓練の有無はあまり関係ない。そして完璧な閉心術は開心術を常に上回る。お前がダンブルドアの使った開心術を制したことを思えば、それだけ洗礼されたものだったのだろう。恐らくこれまでお前が自身の生まれを含む多くの秘密を抱えてきたことが、功を奏する結果になったのかもしれん」
そのような話を経て、その後のフォーラはようやく防衛術の準備室から退出した。スネイプと話した時間はそう長くはなかったが多くの情報が得られた。それを受けて感じたのは、上手くいくか分からなくとも少しでもドラコを救う手助けをすることで、同時にスネイプの過去の悲しみに報いたいということだった。
それから数日後、ドラコはこの日の放課後も必要の部屋でキャビネットを修理していた。学期が始まった翌日から今日まで毎日この部屋を訪れていたが、部屋を出る時に見張りがいない状況をそろそろ本当に都合が悪いと感じていた。そんな中、まだ授業が始まってから一週間も経っていないこともあり、魔法薬学の教室には初回の授業で紹介された大鍋の一つにポリジュース薬が満たされたままだった。
できることならあの薬を可能な限り盗んで、クラッブやゴイルに使うことで他人として見張りに付けさせたい。そのためには姿を消して大鍋に近付くのが理想だった。ドラコは夏休みの間に三つの許されざる呪文以外にも、命令の遂行に役立ちそうな術を幾つか練習していたのだが、そのうちの一つである目くらまし術はまだ完全には習得できていなかった。
だがうかうかしていては、いつスラグホーンがあの薬を片付けてしまうかも分からない。そのためドラコはこの数日、何度か考えては迷ってを繰り返していた選択をとうとう選んだ。それは、完璧に目くらまし術を使えるフォーラを頼るということだった。そういうわけで、その日のうちに早速練習を見てもらえないか彼女に打診したところ、快く引き受けてくれたのだった。
正直ドラコとしてはこの隠密行動に特化した術の習得をフォーラに知られるのは、自分の遂行すべき事柄が隠さなければならない程の悪事に繋がっているのでは、という疑念を抱かれそうで避けたかった。しかし時間の猶予がないのだから背に腹は代えられない。
それに幸いと言うべきか、フォーラはドラコがその術を身につけたがっている理由を殆ど追求してこなかった。そういうわけで彼はその日から夕食後の一時間ほどを使い、彼女の時間を借りて空き教室で目くらまし術の練習に励んだのだ。
するとスネイプはため息交じりに返答した。
「今の我輩はドラコに警戒されている。奴は自分が受けた命令に対する手柄を我輩に横取りされるのではと疑っているのだ。誰がそれを吹き込んだのかは殆ど検討がついている。そ奴やドラコは、我輩が功績を残すことで闇陣営の中でも更に良い待遇を得ようとしていると思っているのだろう」
「そんな状態なら、ドラコはセブルスさんに尋ねられても反発して黙ってしまう可能性が高いですね……。」
「ああ。そういう状態ゆえ、ダンブルドアも我輩も少しでも頼れるものは頼りたいというわけだ。お前に多くを期待しているわけではないが、無理にドラコから聞き出そうとしたり尾行したりせずとも、何か小さな気付きがあれば知らせてほしい」
フォーラは本当に自分が彼らの力になれるか自信がなかったが、今は兎に角頷いた。そして彼の言葉を受けて、ふと思い至った。
「それなら一つ、ご提案があります。」
そう言っておもむろに杖を取り出して呪文と共に振ると、フォーラの手元には羊皮紙が二枚現れた。
「少し特殊な『双子の呪文』が掛けられたものです。普通はマスターの方しか複製物に変化を加えられませんが、これは二枚の間で相互に書いたり消したりした内容が模倣されるんです。私とセブルスさんの間で持っていれば、少しは連絡のお役に立てるかと思うのですが。」
スネイプは少々驚きながらも差し出された一枚を受け取ると、「分かった、恩に着る」と相槌を打った。
「セブルスさん、今日はスイッチさんに関する手短なお話だけだった筈なのに、追加で大事なお話を色々と聞かせてくださってありがとうございました。……聞いてしまった後で今更だとは思うのですが、セブルスさんの二重スパイの動機や、ドラコに関する事など、本当に私が知ってしまっても良かったのでしょうか。」
申し訳なさそうに問うフォーラに、スネイプは落ち着いた声色で返答した。
「確かに、今日お前に諸々の話をすることになったのは想定外だった。何せこの場でお前に話した内容は、今のところ我輩とダンブルドアの間でしか交わされていないのだから。つまりそれ程までに、先程までの話題はこちらにとって弱みや重要さの塊なのだ」
するとフォーラの表情が不安げなものになったが、スネイプはそんなことなど気にせず続けた。
「では、もし闇陣営がお前に開心術を使うことがあった場合、この場での記憶をこじ開けられてしまうかもしれないというのに、何故お前に話したか?それはお前がこの歳で既に閉心術を使いこなしているからだ」
「えっ?閉心術ですか?」
「ああ、そうだ。以前ダンブルドアがお前の住む屋敷を訪れた際、お前自身がダンブルドアに対して恐らく無自覚に使用したのだと、彼から伺った」
フォーラはそのような自覚がなかっただけに驚かずにはいられなかった。しかし思い返してみると確かにスネイプの言うとおりだった。しかも思い当たるのは二回だ。一回目は自宅でダンブルドアと話した際、ハリーたちへの恨みの感情を探られているような気がして、それを遮断したくなった。そして二回目はウィーズリー家にお邪魔した際、ハリー含むいつもの三人組と話す中で、冷静さを保つために心を冷たく閉ざさなければと思った。
「……確かにおっしゃるとおりだと思います。だけど、まさか訓練もなく使えるなんて。」
「閉心術には向き不向きがあり、心を閉ざして冷静に相手をはねつける強い意志を持つ者だけが習得できる。そこに訓練の有無はあまり関係ない。そして完璧な閉心術は開心術を常に上回る。お前がダンブルドアの使った開心術を制したことを思えば、それだけ洗礼されたものだったのだろう。恐らくこれまでお前が自身の生まれを含む多くの秘密を抱えてきたことが、功を奏する結果になったのかもしれん」
そのような話を経て、その後のフォーラはようやく防衛術の準備室から退出した。スネイプと話した時間はそう長くはなかったが多くの情報が得られた。それを受けて感じたのは、上手くいくか分からなくとも少しでもドラコを救う手助けをすることで、同時にスネイプの過去の悲しみに報いたいということだった。
それから数日後、ドラコはこの日の放課後も必要の部屋でキャビネットを修理していた。学期が始まった翌日から今日まで毎日この部屋を訪れていたが、部屋を出る時に見張りがいない状況をそろそろ本当に都合が悪いと感じていた。そんな中、まだ授業が始まってから一週間も経っていないこともあり、魔法薬学の教室には初回の授業で紹介された大鍋の一つにポリジュース薬が満たされたままだった。
できることならあの薬を可能な限り盗んで、クラッブやゴイルに使うことで他人として見張りに付けさせたい。そのためには姿を消して大鍋に近付くのが理想だった。ドラコは夏休みの間に三つの許されざる呪文以外にも、命令の遂行に役立ちそうな術を幾つか練習していたのだが、そのうちの一つである目くらまし術はまだ完全には習得できていなかった。
だがうかうかしていては、いつスラグホーンがあの薬を片付けてしまうかも分からない。そのためドラコはこの数日、何度か考えては迷ってを繰り返していた選択をとうとう選んだ。それは、完璧に目くらまし術を使えるフォーラを頼るということだった。そういうわけで、その日のうちに早速練習を見てもらえないか彼女に打診したところ、快く引き受けてくれたのだった。
正直ドラコとしてはこの隠密行動に特化した術の習得をフォーラに知られるのは、自分の遂行すべき事柄が隠さなければならない程の悪事に繋がっているのでは、という疑念を抱かれそうで避けたかった。しかし時間の猶予がないのだから背に腹は代えられない。
それに幸いと言うべきか、フォーラはドラコがその術を身につけたがっている理由を殆ど追求してこなかった。そういうわけで彼はその日から夕食後の一時間ほどを使い、彼女の時間を借りて空き教室で目くらまし術の練習に励んだのだ。