1. 印(しるし)
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ドラコはまだ困惑しつつもヴォルデモートの話にピクリと反応した。父は自分を褒めるようなことを闇の帝王に話していた?そして闇の帝王はその話を信じてくださっている?ヴォルデモートは口角を上げて優しい声色を発した。
「事が成功すれば、死喰い人は確実にお前たち一家を見直すだろう。そしてダンブルドア亡き後、俺様たちに敵はいない。その時こそ俺様が遂に魔法省を手中に収め、我々は純血優位の世界を取り戻すのだ。ダンブルドアをはじめとした我々の敵や魔法省は、これまで随分長い間、マグルという野蛮で秩序を乱す存在が魔法界を穢すのを許してきた。だが俺様は、そのようなことを黙って見過ごす愚かしいことはしない」
ドラコは目の前の闇の帝王と呼ばれる高みの存在が、誰もが恐れる存在が、父や自分の望む未来を先導して描いていることに視界がチカチカした。しかも目の前の彼は、重大なミスを犯した父親に対してだけでなく、こんな未成年魔法使いの自分にも多くの気遣いを向けてくれているではないか。ドラコはその寛大さに魅せられ、最初は闇の帝王に対して感じていた筈の恐れを次第に羨望の眼差しに変えていた。
「改めて言おう。ドラコ、俺様はお前に事を成し遂げる能力があると踏んでいる。お前はルシウスの自慢の一人息子であり、そして、誇るべき純血のマルフォイ家の末裔でもある。それに何より……ここでお前に出会った時からずっと、俺様はお前の心の中に強い野心を感じ続けている。お前は、自分こそが父親の敵を討つべきで、その父に代わって自らの手で大切な存在を守りたいと考えている」
ヴォルデモートは全てを見透かしたような、同情を混ぜた落ち着いた声色を響かせた。ドラコは自分の考えを寸分違わず言い当てられたことに驚きつつも、肯定するように静かに頷いた。
「では、お前の愛する者たちの輝かしい未来のために、そしてお前の父の名誉のために、ドラコ、お前がダンブルドアを殺すのだ」
ヴォルデモートの命令に、ベラトリックスはドラコを羨ましがる表情を見せ、そしてナルシッサはとうとうその場に泣き崩れた。ドラコは相変わらず対照的な二人の反応を見ることすらままならず、母が悲しんでいるのか嬉し泣きしているのかも判断できなかった。普段のドラコなら真っ先に母を心配して駆け寄るだろうが、今の彼はそのような気が一切回らない程に、目の前のヴォルデモートの姿や言葉に釘付けになっていた。そして、ドラコは自然にじわじわと湧き上がる自尊心と共に口角を上げていた。
「はい、貴方や父上のお役に立てるのなら、喜んで……!」
ドラコのやる気に満ちた返答を聞いてヴォルデモートは満足げに顎を軽く上げ、ベラトリックスは相変わらず彼の座るソファのそばに膝を付いて侍ったまま、その蛇のような彼の顔を物欲しそうに見上げた。するとヴォルデモートはそれを無視するようにソファから立ち上がり、ドラコの方にゆったりと近付いた。そしてナルシッサが相変わらず床にうずくまって泣いている姿を無視し、ドラコの真正面に立った。
「ドラコよ……。この事は、この場にいる四人以外の誰にも打ち明けてはならぬ。それに、ホグワーツ内で唯一我々の味方であるセブルスの助けも借りるな。これは、俺様がお前に課した試練だと思え。事を成せば、他の死喰い人たちはお前の一族を完全に見直し、その時初めてお前は父親の役に立てたと言えるだろう。誰にもこの企ての全容を知られさえしなければ、どんな方法を使っても構わぬ。お前がその手段を考え、自らの手であの老いぼれを仕留めるのだ」
「はい……おっしゃるとおりにします」その意気込むようなドラコの声に、ナルシッサは顔を上げて絶望の表情を息子に向けた。一方のヴォルデモートはドラコの瞳からその言葉に怯えがないことを悟ると、一層満足そうにした。
「期待しているぞ、ドラコ。とはいえお前ひとりで事を成せと言われても、未成年故に幾らか厳しい部分もあるだろう……。ベラトリックス、ドラコがホグワーツに行くまでの間に、必要な呪いをひとしきり教えてやるのだ」ヴォルデモートがドラコの方を見たまま言った。
「!」ベラトリックスは不意に名前を呼ばれてすぐさま立ち上がると、慌ててヴォルデモートの後ろ姿に掛け寄り、心から嬉しそうに返答した。
「はい、わが君!勿論でございます!」
「本来なら」するとヴォルデモートが相変わらずベラトリックスの方を見ずに、鼻で笑うように言った。
「ダンブルドアの懐にいるセブルスこそが、ドラコを手伝ってやるに相応しいのだが。しかし彼奴は優秀であるが故、今は大変忙しく、俺様としてもこれ以上負荷を掛けてやりたくはない。それに彼奴を頼ったが最後、他の死喰い人たちはダンブルドアの死をセブルスのおかげだと思うだろう。だからこそベラトリックス、セブルスの代わりにドラコを鍛えるのだ」
「!……はい……」ベラトリックスは途端に先程までの明るい表情を怒りに歪ませた。その怒りの矛先は確実に『セブルス』という人名に向けられていた。
「ではドラコ、最後に俺様からプレゼントだ」
ヴォルデモートは自身のローブから杖を取り出して振ると、手を触れずしてドラコの左腕を自身の方に差し出させ、その袖を肘の上まで捲った。白い上腕の内側が露わになると、ヴォルデモートは自身の空いているもう片方の手でドラコの手首をしっかりと掴み、杖先をドラコの腕に宛がって無言呪文を唱えた。その途端、ドラコの腕に激痛が走り、その白い肌に生々しく赤い刺青のような模様が徐々に刻まれていったではないか。
「うっ!うう……ああ……」
そうしてドラコが焼けるような痛みにもがき苦しんだ末、とうとうその肌に模様の全貌が完成した。髑髏の口から蛇が飛び出している真っ赤な『闇の印』が完成すると、ヴォルデモートはドラコを解放した。ナルシッサは息子を心配してよろよろと立ち上がり、急いで駆け寄ると疲弊した息子の身体に寄り添うようにして支えた。ヴォルデモートは目の前の親子を、その赤くも冷たい瞳で改めて見据えた。
「ドラコよ。今この時をもって、お前を俺様の忠実なしもべである『死喰い人』として迎え入れよう」
ドラコは先程まで苦痛を与えられていた筈だったが、その痛みの代償として遂に父と同じ『印』を与えられたことに、強い喜びを感じていたのだった。
「事が成功すれば、死喰い人は確実にお前たち一家を見直すだろう。そしてダンブルドア亡き後、俺様たちに敵はいない。その時こそ俺様が遂に魔法省を手中に収め、我々は純血優位の世界を取り戻すのだ。ダンブルドアをはじめとした我々の敵や魔法省は、これまで随分長い間、マグルという野蛮で秩序を乱す存在が魔法界を穢すのを許してきた。だが俺様は、そのようなことを黙って見過ごす愚かしいことはしない」
ドラコは目の前の闇の帝王と呼ばれる高みの存在が、誰もが恐れる存在が、父や自分の望む未来を先導して描いていることに視界がチカチカした。しかも目の前の彼は、重大なミスを犯した父親に対してだけでなく、こんな未成年魔法使いの自分にも多くの気遣いを向けてくれているではないか。ドラコはその寛大さに魅せられ、最初は闇の帝王に対して感じていた筈の恐れを次第に羨望の眼差しに変えていた。
「改めて言おう。ドラコ、俺様はお前に事を成し遂げる能力があると踏んでいる。お前はルシウスの自慢の一人息子であり、そして、誇るべき純血のマルフォイ家の末裔でもある。それに何より……ここでお前に出会った時からずっと、俺様はお前の心の中に強い野心を感じ続けている。お前は、自分こそが父親の敵を討つべきで、その父に代わって自らの手で大切な存在を守りたいと考えている」
ヴォルデモートは全てを見透かしたような、同情を混ぜた落ち着いた声色を響かせた。ドラコは自分の考えを寸分違わず言い当てられたことに驚きつつも、肯定するように静かに頷いた。
「では、お前の愛する者たちの輝かしい未来のために、そしてお前の父の名誉のために、ドラコ、お前がダンブルドアを殺すのだ」
ヴォルデモートの命令に、ベラトリックスはドラコを羨ましがる表情を見せ、そしてナルシッサはとうとうその場に泣き崩れた。ドラコは相変わらず対照的な二人の反応を見ることすらままならず、母が悲しんでいるのか嬉し泣きしているのかも判断できなかった。普段のドラコなら真っ先に母を心配して駆け寄るだろうが、今の彼はそのような気が一切回らない程に、目の前のヴォルデモートの姿や言葉に釘付けになっていた。そして、ドラコは自然にじわじわと湧き上がる自尊心と共に口角を上げていた。
「はい、貴方や父上のお役に立てるのなら、喜んで……!」
ドラコのやる気に満ちた返答を聞いてヴォルデモートは満足げに顎を軽く上げ、ベラトリックスは相変わらず彼の座るソファのそばに膝を付いて侍ったまま、その蛇のような彼の顔を物欲しそうに見上げた。するとヴォルデモートはそれを無視するようにソファから立ち上がり、ドラコの方にゆったりと近付いた。そしてナルシッサが相変わらず床にうずくまって泣いている姿を無視し、ドラコの真正面に立った。
「ドラコよ……。この事は、この場にいる四人以外の誰にも打ち明けてはならぬ。それに、ホグワーツ内で唯一我々の味方であるセブルスの助けも借りるな。これは、俺様がお前に課した試練だと思え。事を成せば、他の死喰い人たちはお前の一族を完全に見直し、その時初めてお前は父親の役に立てたと言えるだろう。誰にもこの企ての全容を知られさえしなければ、どんな方法を使っても構わぬ。お前がその手段を考え、自らの手であの老いぼれを仕留めるのだ」
「はい……おっしゃるとおりにします」その意気込むようなドラコの声に、ナルシッサは顔を上げて絶望の表情を息子に向けた。一方のヴォルデモートはドラコの瞳からその言葉に怯えがないことを悟ると、一層満足そうにした。
「期待しているぞ、ドラコ。とはいえお前ひとりで事を成せと言われても、未成年故に幾らか厳しい部分もあるだろう……。ベラトリックス、ドラコがホグワーツに行くまでの間に、必要な呪いをひとしきり教えてやるのだ」ヴォルデモートがドラコの方を見たまま言った。
「!」ベラトリックスは不意に名前を呼ばれてすぐさま立ち上がると、慌ててヴォルデモートの後ろ姿に掛け寄り、心から嬉しそうに返答した。
「はい、わが君!勿論でございます!」
「本来なら」するとヴォルデモートが相変わらずベラトリックスの方を見ずに、鼻で笑うように言った。
「ダンブルドアの懐にいるセブルスこそが、ドラコを手伝ってやるに相応しいのだが。しかし彼奴は優秀であるが故、今は大変忙しく、俺様としてもこれ以上負荷を掛けてやりたくはない。それに彼奴を頼ったが最後、他の死喰い人たちはダンブルドアの死をセブルスのおかげだと思うだろう。だからこそベラトリックス、セブルスの代わりにドラコを鍛えるのだ」
「!……はい……」ベラトリックスは途端に先程までの明るい表情を怒りに歪ませた。その怒りの矛先は確実に『セブルス』という人名に向けられていた。
「ではドラコ、最後に俺様からプレゼントだ」
ヴォルデモートは自身のローブから杖を取り出して振ると、手を触れずしてドラコの左腕を自身の方に差し出させ、その袖を肘の上まで捲った。白い上腕の内側が露わになると、ヴォルデモートは自身の空いているもう片方の手でドラコの手首をしっかりと掴み、杖先をドラコの腕に宛がって無言呪文を唱えた。その途端、ドラコの腕に激痛が走り、その白い肌に生々しく赤い刺青のような模様が徐々に刻まれていったではないか。
「うっ!うう……ああ……」
そうしてドラコが焼けるような痛みにもがき苦しんだ末、とうとうその肌に模様の全貌が完成した。髑髏の口から蛇が飛び出している真っ赤な『闇の印』が完成すると、ヴォルデモートはドラコを解放した。ナルシッサは息子を心配してよろよろと立ち上がり、急いで駆け寄ると疲弊した息子の身体に寄り添うようにして支えた。ヴォルデモートは目の前の親子を、その赤くも冷たい瞳で改めて見据えた。
「ドラコよ。今この時をもって、お前を俺様の忠実なしもべである『死喰い人』として迎え入れよう」
ドラコは先程まで苦痛を与えられていた筈だったが、その痛みの代償として遂に父と同じ『印』を与えられたことに、強い喜びを感じていたのだった。