7. 貴方の懐で愛を囁く理由
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「どうしたんだ?」ドラコが尋ねると、フォーラは杖を下ろして彼の方に振り返った。
「私にだけ聞いてほしい話があるって、そう言っていたでしょう?幾らこの場所に人気 がないといっても、いつ誰が訪れるか分からないから。こうすれば完全に二人っきりだし、貴方も安心して話せるかと思ったの。」
フォーラが落ち着いた笑みを向けて言った。一方のドラコはどこか意表を突かれたような顔をした後で、ニヤッと意地悪に口角を上げた。
「ふうん、本当にそれだけが理由かな?」
「えっ?」フォーラにはドラコが何を意図して尋ねたのかすぐにはピンとこなかったが、彼が座ったまま両腕を広げてきたことで、ようやくその意味を理解した。
「あ、えっと……私、別にそんなつもりで道を塞いだわけじゃ……」薄明りでも分かるくらいにフォーラの頬が赤く染まった。
「僕としては、散々君との時間にお預けを食らった分、おかげさまで存分に二人で過ごせそうで嬉しい限りだけれどね」
ドラコはそう言った後で、先程までの意地悪な笑みをすっかり愛しいものを見る表情に変えた。
「フォーラ」両腕を広げたまま落ち着いた声色でその名を呼ぶと、一方の彼女は窺うような表情でそっとドラコの方に近付いた。そして促されるまま隣に座ると、彼の両腕でしっかりと抱き留められたのだった。
「ずっと、こうしたかった。列車に乗った時から……いや、夏休みの間中もずっと」
ドラコは多幸感からくる気持ちの昂りによって腕の力を僅かに強め、自身の頬をフォーラの首筋に埋 めた。
「ザビニのやつよりも先に、君に抱き着きたかった」
ドラコが言っているのは、ホグワーツ特急内でバランスを崩したブレーズがフォーラの膝の上に倒れ込んだ時の出来事についてだった。フォーラはドラコの嫉妬の声が聞けて耳がくすぐったかったし、愛しさすらも感じた。
フォーラがドラコを安心させるようにぎゅっと抱擁を返すと、彼の方も更に密着するように抱き締め直してきた。彼女は久しぶりに感じられる彼の細くも男性らしい身体つきやその温もりに、緊張と安堵が同時に押し寄せてくるようだった。それらの感情に拍車をかけるようにして、風呂上りの良い香りが互いの鼻腔を抜けていった。
「私も、早くドラコを抱き締めたかったし、夏の間ずっと貴方を想っていたわ。心配で、それに寂しかった……。」
フォーラのか細い声は至近距離のドラコの耳に難なく届いた。彼女はドラコの頭に軽く頬をもたせ掛けると、片手でその髪に触れて何度か優しく撫でた。その手の動きが次第に緩むと、ドラコはのそのそと頭を上げて抱擁を僅かに弱め、彼女の顔を正面に捉えた。
「夏休み中に贈ってくれた花が、きっと君が僕を大事に思っていると伝えてくれていた気がした。ありがとう。随分綺麗だったから単に枯らすのが忍びなくて、栞にして大事に持っているんだ」
「まあ、そうだったのね。気に入ってもらえて本当に良かった……。」
「ああ。それに、君の梟は随分賢かった。屋敷に人気 が無い時に、僕の部屋に直接花を運んでくれたんだ。……君があの花を選んでくれたんだと思うと、随分励まされた。だけど、あれは実際どういう意味を持つものだったんだ?」
「それはね……ドラコが送ってくれた手紙に、『僕を想ってほしいし、君を想っている』ということを綴っていてくれたでしょう?あの花はブルースターというのだけど」フォーラは一旦そこで言葉を切り、花言葉を贈り主に面と向かって説明する気恥ずかしさに耐えながら続けた。「……貴方に想われて幸せだし、私も貴方を想っている、というような意味があって、お返事に丁度いいと思ったの。」
「ふうん、そうだったのか」ドラコが表情を綻ばせ、そっと額を寄せるようにしてフォーラに顔を近付けた。
「それじゃあ、あの花が薄水色をしていたのは……偶然?それとも僕の瞳に合わせてくれた?」
ドラコから機嫌の良さが感じられたし、あまりにも至近距離に彼の顔があるものだから、フォーラは何だか彼が答えを分かった上で尋ねてきているような気がして狼狽えた。
「それは勿論……貴方の瞳の色に似ていると思ったから選んだの。貴方の手紙を読んで、無理をしているのが目に見えて分かって心配だったから、私が貴方を想っていることが花の色味から少しでも伝わればと思っ……」
フォーラが気恥ずかしさに耐えるように瞳を伏せって最後まで言いかけた時、おもむろに唇が塞がれた。驚いて思わず瞳を開くと、先程の比でない程の至近距離にドラコの顔があった。彼は目を細め、緩めていた腕の力を再び強めて彼女の身体を抱き寄せていた。そして緩くついばむようにして彼女の柔らかな唇の形を確かめた。それは彼女に気遣われることを喜んでいるようでもあり、逆に彼女の話を遮ったようでもあった。
するとフォーラも次第に瞼 をとろんと落とし、ドラコの背に手を回し直して彼の唇の動きに呼応するように優しく食 んだ。随分久しぶりの感覚やキスの音を受け、二人とも密着している胸元からローブ越しでも互いの心臓の速さをしっかりと把握できた。
とはいえキスをしていたのはそう長くない時間だった。二人の唇が名残惜しそうに離れると、お互いの口元から吐息が漏れ出た。本当は物足りないくらいだったが、フォーラはドラコとのキスに溺れる前に、先程の話の流れから尋ねるべきことをこれ以上先延ばしにしてはいけないと思った。それにドラコの方も、手紙の話題が出たタイミングでキスをして無意識的に夏休み中の話を一旦避けた自覚があったが、ここに来る前に大広間で彼女に伝えていたとおり、本当はあの夏の孤独を少しでも知っていてほしかった。
「私にだけ聞いてほしい話があるって、そう言っていたでしょう?幾らこの場所に
フォーラが落ち着いた笑みを向けて言った。一方のドラコはどこか意表を突かれたような顔をした後で、ニヤッと意地悪に口角を上げた。
「ふうん、本当にそれだけが理由かな?」
「えっ?」フォーラにはドラコが何を意図して尋ねたのかすぐにはピンとこなかったが、彼が座ったまま両腕を広げてきたことで、ようやくその意味を理解した。
「あ、えっと……私、別にそんなつもりで道を塞いだわけじゃ……」薄明りでも分かるくらいにフォーラの頬が赤く染まった。
「僕としては、散々君との時間にお預けを食らった分、おかげさまで存分に二人で過ごせそうで嬉しい限りだけれどね」
ドラコはそう言った後で、先程までの意地悪な笑みをすっかり愛しいものを見る表情に変えた。
「フォーラ」両腕を広げたまま落ち着いた声色でその名を呼ぶと、一方の彼女は窺うような表情でそっとドラコの方に近付いた。そして促されるまま隣に座ると、彼の両腕でしっかりと抱き留められたのだった。
「ずっと、こうしたかった。列車に乗った時から……いや、夏休みの間中もずっと」
ドラコは多幸感からくる気持ちの昂りによって腕の力を僅かに強め、自身の頬をフォーラの首筋に
「ザビニのやつよりも先に、君に抱き着きたかった」
ドラコが言っているのは、ホグワーツ特急内でバランスを崩したブレーズがフォーラの膝の上に倒れ込んだ時の出来事についてだった。フォーラはドラコの嫉妬の声が聞けて耳がくすぐったかったし、愛しさすらも感じた。
フォーラがドラコを安心させるようにぎゅっと抱擁を返すと、彼の方も更に密着するように抱き締め直してきた。彼女は久しぶりに感じられる彼の細くも男性らしい身体つきやその温もりに、緊張と安堵が同時に押し寄せてくるようだった。それらの感情に拍車をかけるようにして、風呂上りの良い香りが互いの鼻腔を抜けていった。
「私も、早くドラコを抱き締めたかったし、夏の間ずっと貴方を想っていたわ。心配で、それに寂しかった……。」
フォーラのか細い声は至近距離のドラコの耳に難なく届いた。彼女はドラコの頭に軽く頬をもたせ掛けると、片手でその髪に触れて何度か優しく撫でた。その手の動きが次第に緩むと、ドラコはのそのそと頭を上げて抱擁を僅かに弱め、彼女の顔を正面に捉えた。
「夏休み中に贈ってくれた花が、きっと君が僕を大事に思っていると伝えてくれていた気がした。ありがとう。随分綺麗だったから単に枯らすのが忍びなくて、栞にして大事に持っているんだ」
「まあ、そうだったのね。気に入ってもらえて本当に良かった……。」
「ああ。それに、君の梟は随分賢かった。屋敷に
「それはね……ドラコが送ってくれた手紙に、『僕を想ってほしいし、君を想っている』ということを綴っていてくれたでしょう?あの花はブルースターというのだけど」フォーラは一旦そこで言葉を切り、花言葉を贈り主に面と向かって説明する気恥ずかしさに耐えながら続けた。「……貴方に想われて幸せだし、私も貴方を想っている、というような意味があって、お返事に丁度いいと思ったの。」
「ふうん、そうだったのか」ドラコが表情を綻ばせ、そっと額を寄せるようにしてフォーラに顔を近付けた。
「それじゃあ、あの花が薄水色をしていたのは……偶然?それとも僕の瞳に合わせてくれた?」
ドラコから機嫌の良さが感じられたし、あまりにも至近距離に彼の顔があるものだから、フォーラは何だか彼が答えを分かった上で尋ねてきているような気がして狼狽えた。
「それは勿論……貴方の瞳の色に似ていると思ったから選んだの。貴方の手紙を読んで、無理をしているのが目に見えて分かって心配だったから、私が貴方を想っていることが花の色味から少しでも伝わればと思っ……」
フォーラが気恥ずかしさに耐えるように瞳を伏せって最後まで言いかけた時、おもむろに唇が塞がれた。驚いて思わず瞳を開くと、先程の比でない程の至近距離にドラコの顔があった。彼は目を細め、緩めていた腕の力を再び強めて彼女の身体を抱き寄せていた。そして緩くついばむようにして彼女の柔らかな唇の形を確かめた。それは彼女に気遣われることを喜んでいるようでもあり、逆に彼女の話を遮ったようでもあった。
するとフォーラも次第に
とはいえキスをしていたのはそう長くない時間だった。二人の唇が名残惜しそうに離れると、お互いの口元から吐息が漏れ出た。本当は物足りないくらいだったが、フォーラはドラコとのキスに溺れる前に、先程の話の流れから尋ねるべきことをこれ以上先延ばしにしてはいけないと思った。それにドラコの方も、手紙の話題が出たタイミングでキスをして無意識的に夏休み中の話を一旦避けた自覚があったが、ここに来る前に大広間で彼女に伝えていたとおり、本当はあの夏の孤独を少しでも知っていてほしかった。