6. 冷徹なスリザリン生
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その時、ドラコは荷物棚の方に視線を向けた。見間違いだったかもしれないが、一瞬だけ白いスニーカーのような物が宙に見えた気がしたのだ。現にその白い物体はすっかり見えなくなったので彼は視線を外した。
「それで」ドラコが口を開いた。「スラグホーンは何が狙いだったんだ?」
「ああ、結局思ったとおり、いいコネを持っている連中に取り入ろうとしただけさ」ブレーズがまだゴイルを睨みつけながら言った。「大勢見つかったわけではないけどね」
ドラコはブレーズの回答がおもしろくない様子だった。他に誰がいたのか尋ねると、フォーラとブレーズがそれぞれ回答した。あの場にグリフィンドールのネビルやジニー、そしてハリーがいたことを伝えると、ドラコは一層不機嫌さをあらわにした。
「ロングボトムのどこに関心があるっていうんだ?」
ブレーズが『さあね』というように肩を竦めた。するとドラコが再び口を開いた。
「それにポッター。尊いポッターか。あの教師が『選ばれし者』を一目見てみたかったのは明らかだな」
ドラコは嘲笑を混ぜて続けた。「まあ、僕はスラグホーンの趣味を哀れむね。少しぼけてきたのかもしれないな、残念だ。父上は彼にちょっと気に入られていたんだ。スラグホーンは多分、僕がこの汽車に乗っていることを聞いていなかったんだろう。そうでなければ―――」
「僕が君の立場なら、招待されようだなんて期待は持たないだろうな」ブレーズが続けた。「僕らが到着した時に、スラグホーンにノットの父親のことを聞かれた。どうやら旧知の仲だったらしい。だけど彼が魔法省で逮捕されたと言ってやったら、スラグホーンはあまりいい顔をしなかった。ノットも招かれなかったからね。スラグホーンは死喰い人には関心がないのだろうと思うよ」
ドラコはその発言に腹を立てたが、無理にしらけた笑い方をした。
「まあ、何に関心があろうと知ったこっちゃない。結局のところ、あいつが何だって言うんだ?たかが間抜けな教師じゃないか」
「ドラコ……」フォーラが諭すように声を掛けたが、彼は応じなかった。
「つまり、来年、僕はホグワーツになんかいないかもしれないのに、老いぼれが僕を好きだろうと何だろうと、どうでもいいことだろう?」
「来年はいないかもしれないって、どういうこと?」パンジーが怪訝そうに尋ねた。フォーラはドラコを不安な面持ちで見つめた。
「まあ、先のことは分からないだろう?」ドラコがニヒルな笑みを浮かべた。「僕は―――あー、もっと次元の高い大きなことをしているかもしれない」
クラッブとゴイルはさっぱり見当がつかない様子でポカンとドラコを見つめていたし、パンジーとルニーは眉をひそめた。ブレーズでさえ、高慢な風貌が損なわれるほどあからさまな好奇心を覗かせていた。
そしてフォーラはというと、ドラコの言いたいことを何となく察していた。少なくとも、前学年の終わりから変わらず、彼はやはり死喰い人と関わることを望んでいるのだ。
「もしかして―――『あの人』のこと?」パンジーが恐る恐る尋ねると、ドラコは肩をすくめた。
「母上は僕が卒業することをお望みだが、このコンパートメントに来た時も話したとおり、僕としてはこの頃それがあまり重要だとは思えなくてね。つまり、考えてみると……闇の帝王が支配なさる時、ふくろう試験や、いもり試験で何科目優秀な成績を取れたかなんて、『あの人』が気になさるか?それよりも『あの人』のためにどのように奉仕し、どのように献身ぶりを示してきたかだけが重要だ」
「それで、君が『あの人』のために何かできると思っているのか?」ブレーズが容赦なく追及した。「十六歳で、しかもまだ完全な資格もないのに?」
「『あの人』は多分、僕に資格があるかどうかなんて気になさらない。僕にさせたい仕事は、多分資格なんて必要ないのかもしれない」ドラコが静かに言った。
その場にいたメンバーの半分はポカンと口を開け、もう半分はワクワクとした視線をドラコに向けた。何せこの場にいるのはほぼ全員、魔法族がマグルから身を隠して肩身の狭い思いをしていることに一定の不満感を持っているスリザリン生たちだ。そのため『あの人』や死喰い人の存在を恐れはしても、魔法族優位の世を作るという『あの人』の思想自体には賛成していた。
但しフォーラは当然ながら例外で、唯々不安げにドラコを見つめた。やはり母の推測どおり、ドラコは夏休みの間にベラトリックスと接触していたのだろうか。そして彼女に死喰い人としての何たるかを教わったりしたのだろうか。ルシウスの仇を打つために?
「ホグワーツが見える」ドラコは自身が作り出した雰囲気をじっくりと味わいながら、暗くなった車窓を指差した。「ローブを着た方がいい」
その声を合図に一同はゴソゴソと降車の準備に取り掛かり始めた。その時、ゴイルが荷物棚からトランクをグイと降ろす拍子に、ゴツンという音と「うっ」という音が微かにドラコの耳に届いた。ドラコは顔をしかめて荷物棚を暫く見上げていたが、フォーラが「ドラコ?」と声を掛けたのを機に、彼はようやく視線を外して自身の準備に戻った。
みんなが身支度をしてトランクに鍵を掛け終えた頃、汽車が速度を落として徐行を始めた。通路が人で混み合い、暫く経つと最後に列車は大きくガタンと揺れ、完全に停止した。ドラコ以外の男性陣が先にコンパートメントを出て、フォーラたち女性陣も後に続こうとした。しかしドラコが先程から外へ出ようとしないものだから、パンジーが気になって声を掛けると、彼は短く返答するだけだった。
「先に行け。ちょっと調べたいことがある」
コンパートメントから誰もいなくなり、廊下の生徒たちも列を成して暗いプラットホームに降りていった。するとドラコはコンパートメントの中から、引き戸の窓に据え付けられているブラインドを下ろして通路側から覗かれないようにした。それから自身のトランクの上に屈み、閉じていた蓋を再び開いた。そして少しの間だけその場にじっと動かずにいた次の瞬間、荷物棚に向かって呪文を唱えた。
「それで」ドラコが口を開いた。「スラグホーンは何が狙いだったんだ?」
「ああ、結局思ったとおり、いいコネを持っている連中に取り入ろうとしただけさ」ブレーズがまだゴイルを睨みつけながら言った。「大勢見つかったわけではないけどね」
ドラコはブレーズの回答がおもしろくない様子だった。他に誰がいたのか尋ねると、フォーラとブレーズがそれぞれ回答した。あの場にグリフィンドールのネビルやジニー、そしてハリーがいたことを伝えると、ドラコは一層不機嫌さをあらわにした。
「ロングボトムのどこに関心があるっていうんだ?」
ブレーズが『さあね』というように肩を竦めた。するとドラコが再び口を開いた。
「それにポッター。尊いポッターか。あの教師が『選ばれし者』を一目見てみたかったのは明らかだな」
ドラコは嘲笑を混ぜて続けた。「まあ、僕はスラグホーンの趣味を哀れむね。少しぼけてきたのかもしれないな、残念だ。父上は彼にちょっと気に入られていたんだ。スラグホーンは多分、僕がこの汽車に乗っていることを聞いていなかったんだろう。そうでなければ―――」
「僕が君の立場なら、招待されようだなんて期待は持たないだろうな」ブレーズが続けた。「僕らが到着した時に、スラグホーンにノットの父親のことを聞かれた。どうやら旧知の仲だったらしい。だけど彼が魔法省で逮捕されたと言ってやったら、スラグホーンはあまりいい顔をしなかった。ノットも招かれなかったからね。スラグホーンは死喰い人には関心がないのだろうと思うよ」
ドラコはその発言に腹を立てたが、無理にしらけた笑い方をした。
「まあ、何に関心があろうと知ったこっちゃない。結局のところ、あいつが何だって言うんだ?たかが間抜けな教師じゃないか」
「ドラコ……」フォーラが諭すように声を掛けたが、彼は応じなかった。
「つまり、来年、僕はホグワーツになんかいないかもしれないのに、老いぼれが僕を好きだろうと何だろうと、どうでもいいことだろう?」
「来年はいないかもしれないって、どういうこと?」パンジーが怪訝そうに尋ねた。フォーラはドラコを不安な面持ちで見つめた。
「まあ、先のことは分からないだろう?」ドラコがニヒルな笑みを浮かべた。「僕は―――あー、もっと次元の高い大きなことをしているかもしれない」
クラッブとゴイルはさっぱり見当がつかない様子でポカンとドラコを見つめていたし、パンジーとルニーは眉をひそめた。ブレーズでさえ、高慢な風貌が損なわれるほどあからさまな好奇心を覗かせていた。
そしてフォーラはというと、ドラコの言いたいことを何となく察していた。少なくとも、前学年の終わりから変わらず、彼はやはり死喰い人と関わることを望んでいるのだ。
「もしかして―――『あの人』のこと?」パンジーが恐る恐る尋ねると、ドラコは肩をすくめた。
「母上は僕が卒業することをお望みだが、このコンパートメントに来た時も話したとおり、僕としてはこの頃それがあまり重要だとは思えなくてね。つまり、考えてみると……闇の帝王が支配なさる時、ふくろう試験や、いもり試験で何科目優秀な成績を取れたかなんて、『あの人』が気になさるか?それよりも『あの人』のためにどのように奉仕し、どのように献身ぶりを示してきたかだけが重要だ」
「それで、君が『あの人』のために何かできると思っているのか?」ブレーズが容赦なく追及した。「十六歳で、しかもまだ完全な資格もないのに?」
「『あの人』は多分、僕に資格があるかどうかなんて気になさらない。僕にさせたい仕事は、多分資格なんて必要ないのかもしれない」ドラコが静かに言った。
その場にいたメンバーの半分はポカンと口を開け、もう半分はワクワクとした視線をドラコに向けた。何せこの場にいるのはほぼ全員、魔法族がマグルから身を隠して肩身の狭い思いをしていることに一定の不満感を持っているスリザリン生たちだ。そのため『あの人』や死喰い人の存在を恐れはしても、魔法族優位の世を作るという『あの人』の思想自体には賛成していた。
但しフォーラは当然ながら例外で、唯々不安げにドラコを見つめた。やはり母の推測どおり、ドラコは夏休みの間にベラトリックスと接触していたのだろうか。そして彼女に死喰い人としての何たるかを教わったりしたのだろうか。ルシウスの仇を打つために?
「ホグワーツが見える」ドラコは自身が作り出した雰囲気をじっくりと味わいながら、暗くなった車窓を指差した。「ローブを着た方がいい」
その声を合図に一同はゴソゴソと降車の準備に取り掛かり始めた。その時、ゴイルが荷物棚からトランクをグイと降ろす拍子に、ゴツンという音と「うっ」という音が微かにドラコの耳に届いた。ドラコは顔をしかめて荷物棚を暫く見上げていたが、フォーラが「ドラコ?」と声を掛けたのを機に、彼はようやく視線を外して自身の準備に戻った。
みんなが身支度をしてトランクに鍵を掛け終えた頃、汽車が速度を落として徐行を始めた。通路が人で混み合い、暫く経つと最後に列車は大きくガタンと揺れ、完全に停止した。ドラコ以外の男性陣が先にコンパートメントを出て、フォーラたち女性陣も後に続こうとした。しかしドラコが先程から外へ出ようとしないものだから、パンジーが気になって声を掛けると、彼は短く返答するだけだった。
「先に行け。ちょっと調べたいことがある」
コンパートメントから誰もいなくなり、廊下の生徒たちも列を成して暗いプラットホームに降りていった。するとドラコはコンパートメントの中から、引き戸の窓に据え付けられているブラインドを下ろして通路側から覗かれないようにした。それから自身のトランクの上に屈み、閉じていた蓋を再び開いた。そして少しの間だけその場にじっと動かずにいた次の瞬間、荷物棚に向かって呪文を唱えた。