5. 土日のダイアゴン横丁
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「そうなんだ。僕たちは店の外から覗いていたから、マルフォイの姿がキャビネットの陰に隠れていたし、声も十分には聞き取れなかったから詳しいことは分からないけど。少なくともマルフォイは何かを直したがっていた。その壊れた物と同じ物を店主のボージンが持っていて、マルフォイはその両方を欲しがっている、僕にはそう聞こえた」
ハリーは横丁での光景を見て以来、ロンたちにドラコの行動が何か闇の陣営に関わるものではないかと話題に出し続けていた。しかしそれを聞く側は、十六歳の青年にそんな重要そうなことが任される筈がないとして、ドラコの一連の行動にすっかり興味を失っていた。ハリーが熱心に再び口を開いた。
「それに、マルフォイはボージンを脅すために何かを見せている感じだった。そうしたら明らかにボージンの顔が恐れの表情に変わったんだ。その少し前に僕らが洋装店にいた時はマルフォイが服を仕立ててもらっていて、マダムがあいつの左腕に触れたら妙に嫌がっていた。全部を照らし合わせてみると、僕としてはあいつの左腕に闇の印が刻まれていて、それをボージンに見せて何かするよう従わせたんじゃないかと思うんだ」
フォーラは闇の印という言葉を聞いた時、驚きのあまり少々目を見開いた。ハーマイオニーはその表情を受けて、きっとフォーラが親しい人をそのように言われて気分を害したに違いないと感じた。
「ハリー、もうそれ以上は……マルフォイはまだ十六歳だし、あり得ないって前も話したじゃない」
しかしハリーはどうしても、ドラコと密接な関係にあるフォーラの考えを聞きたかった。
「マルフォイは父親がアズカバンに投獄された復讐として、父親に代わって死喰い人になった。僕はそう考えてる。フォーラ、君はどう思う?何かこれまでのマルフォイの言動から思い当たるところはない?」
正直言って、フォーラにはハリーの推測があり得ない話ではないと思えた。それは五年生の終わりにルシウスが捕まった後、ドラコ自身が死喰い人になることをフォーラに強く宣言していたからだ。
だが、今ここでその話をしてしまっていいのだろうか?この場にいるハリー以外は、誰もドラコが死喰い人になるなどあり得ないことだと思っていて、ハリーだけが妙な執着を見せている。まだドラコ本人に何も事実を確認できていない状況で首を縦に振ってしまえば、ドラコが無実だった場合に最初から彼の立場を悪くすることになりかねない。
そもそも、ハーマイオニーやロンだって闇の陣営を倒したいという気持ちは変わらないだろうに、何故ハリーだけがそこまでドラコの行動に粘着質になっているのだろう?ハリーが今までヴォルデモートと直接対峙してきた分、闇の陣営への警戒心が突出しているのは理解できる。しかしフォーラから見たドラコとハリーは、そもそも強烈に不仲なライバル関係にあった。それ故に、どうしても彼女にはハリーが『ドラコを貶めたい』という気持ちを薄っすら抱えているように見えてならなかった。
「君がマルフォイを闇の陣営から遠ざけたいと願ってるのは知ってるし、だからこそ恋人という近しいポジションにあえて納まってるのも、一応は理解してるつもりだ。そんな君だからこそ感じる部分があるなら何でもいいから教えてほしい。あいつが完全な黒になる前に、企てていることを阻止できるかもしれない」
その言葉を聞いた時、フォーラの脳裏には次のような言葉が浮かんだ。
(私がドラコの何かを知っていたとして、他に頼れる大人が何人もいるのに、何故貴方に一番最初に話さなくてはいけないの?まるで自分には闇の陣営のことを隅から隅まで知る権利があると思っているみたい。……傲慢だわ。貴方の行動のせいで、また魔法省の時のようにドラコが苦しい想いをすることに繋がるのなら、そんなのは絶対に嫌よ)
「ハリー、貴方が見聞きしたことを色々と教えてくれてありがとう。感謝しているわ。……だけど、残念ながら私はまだ彼の口から殆ど何も知らされていないの。それこそ貴方の言う『企て』があるのかどうかすら分からない。私が知っているのは、ドラコがルシウスさんの投獄を嘆いているということだけよ。」
ハリーはてっきりフォーラなら何か自分の知らない情報を持っていると踏んでいただけに、食い下がらずにはいられなかった。
「何か小さなことでもいいんだ。あいつの言動で気になったことは?それこそ夏休みの間に会ったりとか、手紙をやり取りした時に……」
「この夏はドラコと一度も会えていないし、手紙のやり取りすらもできていないの。学期末に魔法省による家宅捜索があったらしくて、そんな状況で夏の間に私と会ったり連絡し合ったりすることで、私の方に不必要な疑いの目を向けさせたくないと言っていたわ。だから私は彼の状況を何も知らないの。」
その回答にハリーは随分がっかりしたようだった。一方それ以外のメンバーは『それ見たことか』といった様子で、フォーラが何も知らない方に賭けていたようだった。
その後はハリーから『今後、何か知り得たら教えてほしい』と念押しされたが、フォーラは曖昧に返答するしかできなかった。ドラコが宣言していたとおり、本当に彼が死喰い人になっていたとして、そのことを自分が彼本人から教えてもらえるとも限らない。そうなればハリーに伝えられることは何もないだろう。
それに自分はドラコを闇の陣営から遠ざけたい一心で、その機会を窺 うべくそばにいることを選んだが、先程ハリーが大きく落胆した様子を見るに、やはりハリーは自分と違ってドラコの尻尾を掴むことにしか興味がないのだと感じられた。そこに『ドラコを救う』という概念が見出せない以上、フォーラは自分とハリーの考えが根本的な部分で相容れないのだと結論付ける他なかったし、仮に何か知り得たとしてもハリーに伝える事はどのみち何もないと感じたのだった。
それからあっという間に数日が経ち、とうとうロンドンのキングス・クロス駅からホグワーツ特急に乗車する日がやってきた。フォーラは駅のホームで両親と別れの挨拶をした後、トランクと梟のアイシーが入った鳥籠をそれぞれ両手に持ち、近くの列車の出入口から乗車した。そして友人らがいないかと車内を進んでいると、程なくして通路に見慣れたプラチナブロンドの髪を持つ男性の後ろ姿を捉えた。夏休みの間、一度も目にできなかったその愛しい人の姿を、フォーラは慈しみと心配の入り混じった声で呼んだのだった。
ハリーは横丁での光景を見て以来、ロンたちにドラコの行動が何か闇の陣営に関わるものではないかと話題に出し続けていた。しかしそれを聞く側は、十六歳の青年にそんな重要そうなことが任される筈がないとして、ドラコの一連の行動にすっかり興味を失っていた。ハリーが熱心に再び口を開いた。
「それに、マルフォイはボージンを脅すために何かを見せている感じだった。そうしたら明らかにボージンの顔が恐れの表情に変わったんだ。その少し前に僕らが洋装店にいた時はマルフォイが服を仕立ててもらっていて、マダムがあいつの左腕に触れたら妙に嫌がっていた。全部を照らし合わせてみると、僕としてはあいつの左腕に闇の印が刻まれていて、それをボージンに見せて何かするよう従わせたんじゃないかと思うんだ」
フォーラは闇の印という言葉を聞いた時、驚きのあまり少々目を見開いた。ハーマイオニーはその表情を受けて、きっとフォーラが親しい人をそのように言われて気分を害したに違いないと感じた。
「ハリー、もうそれ以上は……マルフォイはまだ十六歳だし、あり得ないって前も話したじゃない」
しかしハリーはどうしても、ドラコと密接な関係にあるフォーラの考えを聞きたかった。
「マルフォイは父親がアズカバンに投獄された復讐として、父親に代わって死喰い人になった。僕はそう考えてる。フォーラ、君はどう思う?何かこれまでのマルフォイの言動から思い当たるところはない?」
正直言って、フォーラにはハリーの推測があり得ない話ではないと思えた。それは五年生の終わりにルシウスが捕まった後、ドラコ自身が死喰い人になることをフォーラに強く宣言していたからだ。
だが、今ここでその話をしてしまっていいのだろうか?この場にいるハリー以外は、誰もドラコが死喰い人になるなどあり得ないことだと思っていて、ハリーだけが妙な執着を見せている。まだドラコ本人に何も事実を確認できていない状況で首を縦に振ってしまえば、ドラコが無実だった場合に最初から彼の立場を悪くすることになりかねない。
そもそも、ハーマイオニーやロンだって闇の陣営を倒したいという気持ちは変わらないだろうに、何故ハリーだけがそこまでドラコの行動に粘着質になっているのだろう?ハリーが今までヴォルデモートと直接対峙してきた分、闇の陣営への警戒心が突出しているのは理解できる。しかしフォーラから見たドラコとハリーは、そもそも強烈に不仲なライバル関係にあった。それ故に、どうしても彼女にはハリーが『ドラコを貶めたい』という気持ちを薄っすら抱えているように見えてならなかった。
「君がマルフォイを闇の陣営から遠ざけたいと願ってるのは知ってるし、だからこそ恋人という近しいポジションにあえて納まってるのも、一応は理解してるつもりだ。そんな君だからこそ感じる部分があるなら何でもいいから教えてほしい。あいつが完全な黒になる前に、企てていることを阻止できるかもしれない」
その言葉を聞いた時、フォーラの脳裏には次のような言葉が浮かんだ。
(私がドラコの何かを知っていたとして、他に頼れる大人が何人もいるのに、何故貴方に一番最初に話さなくてはいけないの?まるで自分には闇の陣営のことを隅から隅まで知る権利があると思っているみたい。……傲慢だわ。貴方の行動のせいで、また魔法省の時のようにドラコが苦しい想いをすることに繋がるのなら、そんなのは絶対に嫌よ)
「ハリー、貴方が見聞きしたことを色々と教えてくれてありがとう。感謝しているわ。……だけど、残念ながら私はまだ彼の口から殆ど何も知らされていないの。それこそ貴方の言う『企て』があるのかどうかすら分からない。私が知っているのは、ドラコがルシウスさんの投獄を嘆いているということだけよ。」
ハリーはてっきりフォーラなら何か自分の知らない情報を持っていると踏んでいただけに、食い下がらずにはいられなかった。
「何か小さなことでもいいんだ。あいつの言動で気になったことは?それこそ夏休みの間に会ったりとか、手紙をやり取りした時に……」
「この夏はドラコと一度も会えていないし、手紙のやり取りすらもできていないの。学期末に魔法省による家宅捜索があったらしくて、そんな状況で夏の間に私と会ったり連絡し合ったりすることで、私の方に不必要な疑いの目を向けさせたくないと言っていたわ。だから私は彼の状況を何も知らないの。」
その回答にハリーは随分がっかりしたようだった。一方それ以外のメンバーは『それ見たことか』といった様子で、フォーラが何も知らない方に賭けていたようだった。
その後はハリーから『今後、何か知り得たら教えてほしい』と念押しされたが、フォーラは曖昧に返答するしかできなかった。ドラコが宣言していたとおり、本当に彼が死喰い人になっていたとして、そのことを自分が彼本人から教えてもらえるとも限らない。そうなればハリーに伝えられることは何もないだろう。
それに自分はドラコを闇の陣営から遠ざけたい一心で、その機会を
それからあっという間に数日が経ち、とうとうロンドンのキングス・クロス駅からホグワーツ特急に乗車する日がやってきた。フォーラは駅のホームで両親と別れの挨拶をした後、トランクと梟のアイシーが入った鳥籠をそれぞれ両手に持ち、近くの列車の出入口から乗車した。そして友人らがいないかと車内を進んでいると、程なくして通路に見慣れたプラチナブロンドの髪を持つ男性の後ろ姿を捉えた。夏休みの間、一度も目にできなかったその愛しい人の姿を、フォーラは慈しみと心配の入り混じった声で呼んだのだった。
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