5. 土日のダイアゴン横丁
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして新学期が三日後に迫ったこの日の夜、フォーラは両親と共にとある家を訪れていた。それは現在、不死鳥の騎士団本部となっているウィーズリー家の『隠れ穴』だった。その家はかつてフォーラが三年生の時に道端で倒れているところを助けられた時と変わらず、上へ上へと部屋が積み上がったように曲がりくねっていびつな形をしていた。あの時と唯一違っているのは、この家の敷地に最上級の防衛呪文や呪詛が幾つも施されているということだった。
ファントム家がここを訪れたのは、紛れもなく両親が騎士団員と打ち合わせをするためだった。本来ならフォーラは自宅に留まっていればよかったのだが、新学期前にみんな揃って夕食でもどうかという誘いをウィーズリー家の母であるモリーからもらっていたこともあり、同行に至ったのだ。
フォーラは両親に伝えてこそいなかったが、本心はこの家を訪れたくなかった。何故って、ここにハリーが滞在しているということを聞かされていたからだ。それに加えてハーマイオニーもハリーと同じくここで寝泊まりしているようで、更には当然ながら家主の息子であるロンもいる。かつて三人にはフォーラがマグル生まれでありながら純血への執着を持つという、後ろめたい気持ちを理解してもらった経緯があるが、彼女としてはその温情を加味しても、どうしても五年生の終わりに身勝手にも魔法省へ出向いた彼ら―――特にその行動を主導したハリーに対してわだかまりを感じずにはいられなかった。
家の中に入ると一家はモリーの出迎えを受け、続いて夫のアーサーや、騎士団のメンバーであるルーピンにマッドアイとも挨拶をした。フォーラはルーピンと久しぶりの再会を喜んで握手をした際、特に彼とは幾らか言葉を交わした。
「フォーラ、魔法省の件の時のことをスネイプ先生から聞いたよ。君がいち早くマルフォイ家からクリーチャーの行動を聞き出して、しかもハリーたちの居場所を教えてくれたおかげで、その後の諸々の対処を早めることができたって。結果的に多くの死喰い人を捕まえることができたし、私含め騎士団員はみんな君に感謝しているんだよ。もう既に色んな人から散々お礼を言われているかもしれないけど、本当にありがとう。私からもこうして直接感謝の気持ちを伝えたかったんだ」
フォーラにはルーピンの気持ちが素直に嬉しかったが、それよりも当時のことを話す彼の表情に陰りが垣間見えたことの方が気に掛かった。それは恐らく、勘違いでなければ彼が旧友の死を想うが故のものだろうと感じられた。
「いいえそんな。私はできることをしたまでです。それに、本当は……」フォーラは声量を落としてルーピンにだけ聞こえるよう続けた。
「こんなことを言ったら否定されてしまうかもしれませんが、あの時の私はもっと要領良く動くべきでした。そうすればシリウスさんだってまだご存命だった筈で、リーマスさんがこうして傷つく必要もなかった筈なんですから。」
ルーピンにとって親友だったシリウスの死は耳の痛い話だった。そしてそれをまだ十六歳の女の子が自責の念に駆られつつもこちらを心配して話す姿に、申し訳なさと感謝の気持ちが押し寄せるのも感じていた。そして一方のフォーラは、自分にとって大切な存在であり、いつも毅然とした態度を取っているルーピンが、自分のような子供の前で僅かでも瞳を揺らし、弱い姿を見せたことに胸を痛めた。
フォーラは先程の発言のとおり、当時の自分が最適解の行動を選べなかったことを悔やんでいたが、それはハリーの魔法省行きを止められなかったことを暗に示していた。そして今ルーピンの物悲しい姿を見たことで、彼女は事の発端となったハリーやシリウスに対する苛立ちを余計に強く感じたのだった。
それから程なくすると、ファントム家の到着を聞きつけたロンやジニー、ハリーやハーマイオニーが一階に下りてきた。他にもウィーズリー家の長男であるビルや、その婚約者であるフラー・デラクール(彼女は三大魔法学校対抗試合の時のボーバトン校代表だった)の姿も見えた。
フォーラはハリーたち三人組と挨拶する際、普段どおりの穏やかな様子で対応し、自身が抱える心の仄暗い部分を見せることはなかった。この時の彼女は、以前ダンブルドアの前で無意識にしたように、今回も自身の心を完全に閉ざす『閉心術』をやはり無意識のうちに使っていた。それはハリーが魔法省に行ったこと自体が結果的に騎士団の指揮を上げることに繋がり、逆に自身の抱えるマルフォイ家に対する庇護欲が忌み嫌われるものであると、フォーラも表向きは分かっていたかららだった。
その後は大人たちが会合を行う間、フォーラは他の子供たちと共に最上階にあるロンの部屋にお邪魔した。ロンは最初、フォーラが初めて実家の自室に足を踏み入れている状況に幾らか狼狽えた。何せ彼はかつて彼女に特別な好意を持っていたことがあるし、彼女が学年でも指折りの美人だということも理由に挙げられた。
そんな美人に目がないロンの様子にハーマイオニーとジニーが目を見交わせて『またか』と盛大なため息を吐いた。というのも、先程一階で見かけたフラーがビルと婚約したことで、フラーがこの夏からウィーズリー家で過ごしているらしいのだ。そしてフラーがハリーに用があってこの部屋を訪れる度に、ロンは彼女に魅了されていたのだった。
ところで、その場での話題は互いに夏休みをどう過ごしていたかというところから始まったのだが、途中からハリーがどうしてもフォーラに尋ねたかったことを口にした。すると今度はハーマイオニーとジニーに加え、ロンまでもが『またか』という顔をした。
「実はこの間の土曜日、ダイアゴン横丁に行った時にマルフォイと母親を見かけたんだ。最初に洋装店で見た時は二人一緒だったけど、二回目に見かけた時はマルフォイ一人で、しかもノクターン横丁にあるボージンの店に入っていったんだ」
「えっ、ドラコ一人で?」フォーラは予想もしていなかった話題に動揺した。
ファントム家がここを訪れたのは、紛れもなく両親が騎士団員と打ち合わせをするためだった。本来ならフォーラは自宅に留まっていればよかったのだが、新学期前にみんな揃って夕食でもどうかという誘いをウィーズリー家の母であるモリーからもらっていたこともあり、同行に至ったのだ。
フォーラは両親に伝えてこそいなかったが、本心はこの家を訪れたくなかった。何故って、ここにハリーが滞在しているということを聞かされていたからだ。それに加えてハーマイオニーもハリーと同じくここで寝泊まりしているようで、更には当然ながら家主の息子であるロンもいる。かつて三人にはフォーラがマグル生まれでありながら純血への執着を持つという、後ろめたい気持ちを理解してもらった経緯があるが、彼女としてはその温情を加味しても、どうしても五年生の終わりに身勝手にも魔法省へ出向いた彼ら―――特にその行動を主導したハリーに対してわだかまりを感じずにはいられなかった。
家の中に入ると一家はモリーの出迎えを受け、続いて夫のアーサーや、騎士団のメンバーであるルーピンにマッドアイとも挨拶をした。フォーラはルーピンと久しぶりの再会を喜んで握手をした際、特に彼とは幾らか言葉を交わした。
「フォーラ、魔法省の件の時のことをスネイプ先生から聞いたよ。君がいち早くマルフォイ家からクリーチャーの行動を聞き出して、しかもハリーたちの居場所を教えてくれたおかげで、その後の諸々の対処を早めることができたって。結果的に多くの死喰い人を捕まえることができたし、私含め騎士団員はみんな君に感謝しているんだよ。もう既に色んな人から散々お礼を言われているかもしれないけど、本当にありがとう。私からもこうして直接感謝の気持ちを伝えたかったんだ」
フォーラにはルーピンの気持ちが素直に嬉しかったが、それよりも当時のことを話す彼の表情に陰りが垣間見えたことの方が気に掛かった。それは恐らく、勘違いでなければ彼が旧友の死を想うが故のものだろうと感じられた。
「いいえそんな。私はできることをしたまでです。それに、本当は……」フォーラは声量を落としてルーピンにだけ聞こえるよう続けた。
「こんなことを言ったら否定されてしまうかもしれませんが、あの時の私はもっと要領良く動くべきでした。そうすればシリウスさんだってまだご存命だった筈で、リーマスさんがこうして傷つく必要もなかった筈なんですから。」
ルーピンにとって親友だったシリウスの死は耳の痛い話だった。そしてそれをまだ十六歳の女の子が自責の念に駆られつつもこちらを心配して話す姿に、申し訳なさと感謝の気持ちが押し寄せるのも感じていた。そして一方のフォーラは、自分にとって大切な存在であり、いつも毅然とした態度を取っているルーピンが、自分のような子供の前で僅かでも瞳を揺らし、弱い姿を見せたことに胸を痛めた。
フォーラは先程の発言のとおり、当時の自分が最適解の行動を選べなかったことを悔やんでいたが、それはハリーの魔法省行きを止められなかったことを暗に示していた。そして今ルーピンの物悲しい姿を見たことで、彼女は事の発端となったハリーやシリウスに対する苛立ちを余計に強く感じたのだった。
それから程なくすると、ファントム家の到着を聞きつけたロンやジニー、ハリーやハーマイオニーが一階に下りてきた。他にもウィーズリー家の長男であるビルや、その婚約者であるフラー・デラクール(彼女は三大魔法学校対抗試合の時のボーバトン校代表だった)の姿も見えた。
フォーラはハリーたち三人組と挨拶する際、普段どおりの穏やかな様子で対応し、自身が抱える心の仄暗い部分を見せることはなかった。この時の彼女は、以前ダンブルドアの前で無意識にしたように、今回も自身の心を完全に閉ざす『閉心術』をやはり無意識のうちに使っていた。それはハリーが魔法省に行ったこと自体が結果的に騎士団の指揮を上げることに繋がり、逆に自身の抱えるマルフォイ家に対する庇護欲が忌み嫌われるものであると、フォーラも表向きは分かっていたかららだった。
その後は大人たちが会合を行う間、フォーラは他の子供たちと共に最上階にあるロンの部屋にお邪魔した。ロンは最初、フォーラが初めて実家の自室に足を踏み入れている状況に幾らか狼狽えた。何せ彼はかつて彼女に特別な好意を持っていたことがあるし、彼女が学年でも指折りの美人だということも理由に挙げられた。
そんな美人に目がないロンの様子にハーマイオニーとジニーが目を見交わせて『またか』と盛大なため息を吐いた。というのも、先程一階で見かけたフラーがビルと婚約したことで、フラーがこの夏からウィーズリー家で過ごしているらしいのだ。そしてフラーがハリーに用があってこの部屋を訪れる度に、ロンは彼女に魅了されていたのだった。
ところで、その場での話題は互いに夏休みをどう過ごしていたかというところから始まったのだが、途中からハリーがどうしてもフォーラに尋ねたかったことを口にした。すると今度はハーマイオニーとジニーに加え、ロンまでもが『またか』という顔をした。
「実はこの間の土曜日、ダイアゴン横丁に行った時にマルフォイと母親を見かけたんだ。最初に洋装店で見た時は二人一緒だったけど、二回目に見かけた時はマルフォイ一人で、しかもノクターン横丁にあるボージンの店に入っていったんだ」
「えっ、ドラコ一人で?」フォーラは予想もしていなかった話題に動揺した。