5. 土日のダイアゴン横丁
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さて、ドラコがダイアゴン横丁にいたその翌日、フォーラとその両親は彼女の学用品を揃えるために横丁を訪れていた。一同はドラコとナルシッサが通った道を同様に進んだのだが、その場所にはやはりベラトリックスの指名手配ポスターが貼られていた。その豊かな黒髪に厚ぼったい唇をした優雅な容姿は、ナルシッサやドラコといった色素の薄い二人とは全く似ていなかった。どちらかというと如何にもブラック家らしい見た目をしていて、彼女と親戚のシリウスの方が風貌が似ているように思えた。
「ねえ父様、母様、この人ってもしかしなくても、ドラコの叔母様なのよね?」フォーラがポスターの前で立ち止まって尋ねた。
「ええ、フォーラは顔を見るのが初めてだったかしら。彼女はナルシッサの四つ年上の姉なのよ」リプトニアが返答し、シェードが続けた。
「その昔、彼女は夫のロドルファス・レストレンジと共に逮捕され、終身刑を言い渡された。闇払いをしていたロングボトム夫妻を磔の呪文で拷問し、精神疾患に追い込んだのが投獄の理由だよ」
フォーラはそれを聞いて、四年生の時に同級生のネビル・ロングボトムが両親の疾患について話してくれた時のことを思い出した。彼の両親をそんな風にしたのはレストレンジ夫妻だったのだ。
「先日の魔法省での戦いで、夫のロドルファスは再び捕まったんだが、妻のベラトリックスは未だに捜索網をかいくぐっているようだね」シェードの苦い表情と言葉にリプトニアが頷いた。
「あの場では、彼女が自らの手で従弟 のシリウスの命を奪ったそうよ。彼女はロングボトム夫妻を苦しめて投獄されている間、一切の反省もなく『例のあの人』に忠誠を誓い続けていたとか。だから親戚であれ誰であれ、今もなお人を殺めたり傷つけることに何の躊躇もない人のままなのよ。思えば学生の頃から純血主義の思想を心から大事にしていて、それだけならまだ良かったけれど、誰よりも自分が優れているという傲慢な考えを持っている人だったわ」
フォーラはそれを聞いて、これまでシリウスに抱いていた恨みの感情が同情によってほんの少しだけ和らいだ気がした。とはいえ彼が親族に殺された件と、クリーチャーをないがしろにした結果ドラコを助けるチャンスを逃した件は、分けて考えるべきなのだと思い改めたのだった。
その後、一同は必要な買い物を順調に済ませていった。フォーラの身長が伸びたこともあってマダム・マルキンの洋装店では学校用ローブを注文したし、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店では学校指定の書籍を購入した。薬問屋では不足していた薬草を揃え、イーロップのふくろう百貨店では自宅で飼っている梟や、フォーラが面倒を見ているアイシーの梟フーズを買い込んだ。
そして一連の買物が全て済むと、一同は先日自宅にやってきたフレッドとジョージが経営する『いたずら専門店』を覗きに向かった。リプトニアは自宅の温室で育てている薬草の取引相手である双子への挨拶を兼ねていたし、フォーラも彼らから是非店に来てほしいと言われていたからだ。
店への道中は殆どが魔法省のくすんだ紫色のポスターで覆われていたが、双子の店は花火大会のように目を奪った。たまたま通りがかった人も振り返ってショーウィンドウを見ていたし、何人かは愕然とした顔で立ち止まり、その場に釘づけになっていた。左側のウィンドウには目の眩むような商品の数々が回ったり跳ねたり光ったり、弾んだり叫んだりしていて目がチカチカした。右側のウィンドウは巨大ポスターで覆われていて、色は魔法省のものと同じ紫色だったが、黄色の文字が鮮やかに点滅したりしていた。
「わあ……すっごく派手だわ!」フォーラが思わず感嘆の声を漏らした。「母様の作った薬草は、どれだけの商品に使われているのかしらね?」
店に足を踏み入れてみると中の様子が明らかになった。どこもかしこもお客で一杯で、商品棚に近付くこともできなさそうな程だった。周囲を見回すと天井まで箱が積み上げられている場所があり、その一つ一つに『ずる休みスナックボックス』と書かれていた。他にも『だまし杖』というアイテムや、自動でインクが補充されたり綴りをチェックする羽ペンもあった。『特許・白昼夢呪文』という箱には、簡単な呪文で現実味のある最高級の夢に三十分浸れるという説明が書かれていた。
「あそこのスナックボックスに入っている『気絶キャンディ』はね、去年の夏休みにブラック邸でフレッドとジョージのお手伝いをさせてもらった時に、母様の温室の植物が材料に適していると紹介させてもらった物なの。それから、あっちの『カナリアクリーム』の時は変身術を使ってはどうかと提案して、それを採用していただいたの!」
「そうだったのか、それは随分楽しそうじゃないか。いい仕事をしたようだね」シェードが笑みを覗かせ相槌を打つと、不意に一家のそばから誰かの声がした。
「お嬢さんは、それはもう良い発想の持ち主で。先日もお宅へ訪問した際に、卒業後は是非うちの店で働いてほしいとお願いさせていただいたところなんですよ」
一同が振り返ると、そこにはここの店主の双子がにこやかな表情で立っていた。纏っている赤紫色のローブは制服なのだろう、燃えるような赤毛と見事に反発し合っていた。二人はフォーラの両親に握手を求めて挨拶し、彼女には親しみを込めて肩をポンポンと軽く叩いた。
「ファントム家のみなさんにお越しいただけるとは、大変光栄です」フレッドが恭しく言った。
「もし宜しければ、マダム・ファントムの薬草を使っている商品を幾つかご説明いたしましょうか?」
ジョージの提案によって一家は双子と共に店の中を軽く見て回り、どの商品にどの薬草を混ぜ込んでいるかを掻い摘んで紹介してもらった。その途中で店の奥の方へ足を踏み入れる機会があり、フレッドがその一角のカーテンを引いた。そこは店内の他の場所よりも幾らか暗く、あまり込んでいない売り場だった。商品棚のパッケージも他と比べると地味で真面目な印象だ。
「ねえ父様、母様、この人ってもしかしなくても、ドラコの叔母様なのよね?」フォーラがポスターの前で立ち止まって尋ねた。
「ええ、フォーラは顔を見るのが初めてだったかしら。彼女はナルシッサの四つ年上の姉なのよ」リプトニアが返答し、シェードが続けた。
「その昔、彼女は夫のロドルファス・レストレンジと共に逮捕され、終身刑を言い渡された。闇払いをしていたロングボトム夫妻を磔の呪文で拷問し、精神疾患に追い込んだのが投獄の理由だよ」
フォーラはそれを聞いて、四年生の時に同級生のネビル・ロングボトムが両親の疾患について話してくれた時のことを思い出した。彼の両親をそんな風にしたのはレストレンジ夫妻だったのだ。
「先日の魔法省での戦いで、夫のロドルファスは再び捕まったんだが、妻のベラトリックスは未だに捜索網をかいくぐっているようだね」シェードの苦い表情と言葉にリプトニアが頷いた。
「あの場では、彼女が自らの手で
フォーラはそれを聞いて、これまでシリウスに抱いていた恨みの感情が同情によってほんの少しだけ和らいだ気がした。とはいえ彼が親族に殺された件と、クリーチャーをないがしろにした結果ドラコを助けるチャンスを逃した件は、分けて考えるべきなのだと思い改めたのだった。
その後、一同は必要な買い物を順調に済ませていった。フォーラの身長が伸びたこともあってマダム・マルキンの洋装店では学校用ローブを注文したし、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店では学校指定の書籍を購入した。薬問屋では不足していた薬草を揃え、イーロップのふくろう百貨店では自宅で飼っている梟や、フォーラが面倒を見ているアイシーの梟フーズを買い込んだ。
そして一連の買物が全て済むと、一同は先日自宅にやってきたフレッドとジョージが経営する『いたずら専門店』を覗きに向かった。リプトニアは自宅の温室で育てている薬草の取引相手である双子への挨拶を兼ねていたし、フォーラも彼らから是非店に来てほしいと言われていたからだ。
店への道中は殆どが魔法省のくすんだ紫色のポスターで覆われていたが、双子の店は花火大会のように目を奪った。たまたま通りがかった人も振り返ってショーウィンドウを見ていたし、何人かは愕然とした顔で立ち止まり、その場に釘づけになっていた。左側のウィンドウには目の眩むような商品の数々が回ったり跳ねたり光ったり、弾んだり叫んだりしていて目がチカチカした。右側のウィンドウは巨大ポスターで覆われていて、色は魔法省のものと同じ紫色だったが、黄色の文字が鮮やかに点滅したりしていた。
「わあ……すっごく派手だわ!」フォーラが思わず感嘆の声を漏らした。「母様の作った薬草は、どれだけの商品に使われているのかしらね?」
店に足を踏み入れてみると中の様子が明らかになった。どこもかしこもお客で一杯で、商品棚に近付くこともできなさそうな程だった。周囲を見回すと天井まで箱が積み上げられている場所があり、その一つ一つに『ずる休みスナックボックス』と書かれていた。他にも『だまし杖』というアイテムや、自動でインクが補充されたり綴りをチェックする羽ペンもあった。『特許・白昼夢呪文』という箱には、簡単な呪文で現実味のある最高級の夢に三十分浸れるという説明が書かれていた。
「あそこのスナックボックスに入っている『気絶キャンディ』はね、去年の夏休みにブラック邸でフレッドとジョージのお手伝いをさせてもらった時に、母様の温室の植物が材料に適していると紹介させてもらった物なの。それから、あっちの『カナリアクリーム』の時は変身術を使ってはどうかと提案して、それを採用していただいたの!」
「そうだったのか、それは随分楽しそうじゃないか。いい仕事をしたようだね」シェードが笑みを覗かせ相槌を打つと、不意に一家のそばから誰かの声がした。
「お嬢さんは、それはもう良い発想の持ち主で。先日もお宅へ訪問した際に、卒業後は是非うちの店で働いてほしいとお願いさせていただいたところなんですよ」
一同が振り返ると、そこにはここの店主の双子がにこやかな表情で立っていた。纏っている赤紫色のローブは制服なのだろう、燃えるような赤毛と見事に反発し合っていた。二人はフォーラの両親に握手を求めて挨拶し、彼女には親しみを込めて肩をポンポンと軽く叩いた。
「ファントム家のみなさんにお越しいただけるとは、大変光栄です」フレッドが恭しく言った。
「もし宜しければ、マダム・ファントムの薬草を使っている商品を幾つかご説明いたしましょうか?」
ジョージの提案によって一家は双子と共に店の中を軽く見て回り、どの商品にどの薬草を混ぜ込んでいるかを掻い摘んで紹介してもらった。その途中で店の奥の方へ足を踏み入れる機会があり、フレッドがその一角のカーテンを引いた。そこは店内の他の場所よりも幾らか暗く、あまり込んでいない売り場だった。商品棚のパッケージも他と比べると地味で真面目な印象だ。