5. 土日のダイアゴン横丁
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しかし店に行くにしても、未成年のドラコがダイアゴン横丁へ出向く際は必然的に親同伴となる。つまりナルシッサがボージンの店までついて来れば、ドラコが何を企んでいるかが彼女に知られてしまうことになるのだ。そうなれば息子の身を案じている彼女がその計画をスネイプに告げ口し、必ず成功するよう手助けさせるだろうことは目に見えていた。その結果、ドラコが成し遂げる筈の成果はスネイプに横取りされ、闇の帝王からの称賛を物にできなくなってしまう。これではドラコが父の虐げられた立場を回復することは叶わないのだ。
(買い物に行く日は、何としてでも母上の目を盗んで離れないと。今の母上は僕の身ばかり案じていて、父上の名誉回復には関心がないように見える。そんな人と一緒に店に行くなんて信用できない。……あとは、もしボージンの店のキャビネットが期待外れだった時のために、あの店の闇の品を幾つかチェックしておきたい。ダンブルドアを殺す手段は多いに越したことはないだろう)
それ以降のドラコは日々、他の書籍にも順に目を通しつつ、『姿をくらますキャビネット』を作るために必要な二つの呪文を練習した。何せどちらの呪文もまだ五年生を終えた時点では習っていなかったし、何なら空間を繋げる魔法については学ぶ機会があるかも怪しかった。そういうわけで、最初は彼の部屋にあった小さな蓋つきのブリキ缶をキャビネットに見立て、複製と空間の連結を試みるところから始めた。二つの呪文は幾らか難しく、術が初めて完璧に成功する頃には、かれこれ数日が経っていた。そして成功するたびに、少しずつ呪文を掛ける対象を大きな物に変えていったのだった。
その間、ドラコは何もそのキャビネットのための呪文だけを練習していたわけではなかった。当然ベラトリックスが現れた日は『許されざる呪文』を彼女と練習したし、事を成功させるヒントを得るために父の書斎の様々な本を読み漁り続けた。そして学校でどのような手を使って、何を用いて校長を殺害するかを日々練っていったのだ。
(学校が始まれば、いよいよ行動を起こさないといけなくなる。闇の帝王が僕を信じてくださっていることを思えば……新学期が始まるのなんて、ダンブルドアを殺すことなんて、何も怖くない。寧ろ誇らしく、早くその時が来ればいいとすら思う。そうすれば父上の虐げられた名誉はあっという間に回復する筈なんだ。それに学期が始まればフォーラにだって会える……。彼女を一目見れば、きっと僕は何だって成し遂げられる気がする)
さて、それから幾日かが経ち、ホグワーツに通う生徒たちの元にふくろう便が届いた。封筒には新学期に必要な学用品リストが入っていて、それはドラコのところにも例外なく通知された。そのため彼は母と共に、さる土曜日の午前中からダイアゴン横丁に向かったのだった。
ダイアゴン横丁に足を踏み入れると、そこは様変わりしていた。キラキラと色鮮やかに飾りつけられたショーウィンドウ内の本や魔法薬の材料、それに大鍋も、そのウィンドウガラスの上に張りつけられた魔法省の大ポスターに覆われて殆ど見えなかった。その魔法省のくすんだ紫色のポスターは、殆どが保安上の注意事項をびっしりと記していたが、中にはまだ捕まっていない死喰い人の動くモノクロ写真もあった。ドラコはその中にベラトリックスがニヤニヤと笑っているものを見つけて目を逸らした。
ドラコは学用品を順に揃えていく間、どのタイミングで母から離れ、ボージンの店に行くべきか神経を尖らせていた。しかし三件ほど店をまわってもまだ母から十分な距離を取るのは難しかった。
そして二人が次に訪れたのはマダム・マルキンの洋装店だった。ここでのドラコはあわよくば自分の一張羅を採寸してもらっている間に、母には別の店で何か見てきてもらえないかと思っていた。そうすれば採寸が終わってすぐ、母の居ぬ間にボージンの店へ行くことができる。しかし残念ながら事はそう上手くもいかなかった。
「母上、二人で手分けして買い物を済ませる方が効率的では?」ドラコが洋装店で深緑色の一揃いを纏 い、店主であるマダム・マルキンによって裾や袖口に何本ものピンを留められながら尋ねた。
「いいえドラコ。家でもお話したとおり、貴方の身に何かあってからでは遅いのよ。いつ何時 、誰に襲われるかも分からない状況なんですから」ナルシッサの返答に、ドラコは食い下がった。
「ですが、手分けすればその分この横丁から早く安全な家へ帰れます。それにお気づきでしょうが、母上、もう僕も子供じゃないんだ。僕はちゃんとひとりで買い物できます」
するとマダムがピンを打ちながらチッチと舌打ちした。
「あのね、お坊ちゃん。貴方のお母さまのおっしゃるとおりですよ。もう誰も一人でフラフラ歩いちゃいけないわ。子供かどうかとは関係なく―――」
「そのピン、ちゃんと見て打つんだ!」ドラコは母が自分から離れようとしない状況に苛立ちを強め、勢いのままマダムを叱咤した。
ドラコは深緑の衣服を纏ったまま衝立 の向こうにある鏡の前に歩み寄ると、自身の姿を確認した。するとその姿見越しにハリー、ロン、ハーマイオニーの三人が映っていることに気付いたものだから、彼は途端に自身のアイスブルーの瞳を細めた。
「母上、何が臭いのか訝 っておいででしたら、たった今『穢れた血』が入ってきましたよ」
「そんな言葉は使ってほしくありませんね!」マダムが衝立の向こうから急ぎ足でやって来て、ドラコの発言に釘を刺した。
「それに、私の店で杖を引っ張り出すのもお断りです!」今度はドアの方にいたハリーとロンが杖を構えてドラコを狙っている姿を見て、マダムが付け足した。
「やめて、ねえ、そんな価値ないわ……」ハーマイオニーが二人の少し後ろで囁いた。
(買い物に行く日は、何としてでも母上の目を盗んで離れないと。今の母上は僕の身ばかり案じていて、父上の名誉回復には関心がないように見える。そんな人と一緒に店に行くなんて信用できない。……あとは、もしボージンの店のキャビネットが期待外れだった時のために、あの店の闇の品を幾つかチェックしておきたい。ダンブルドアを殺す手段は多いに越したことはないだろう)
それ以降のドラコは日々、他の書籍にも順に目を通しつつ、『姿をくらますキャビネット』を作るために必要な二つの呪文を練習した。何せどちらの呪文もまだ五年生を終えた時点では習っていなかったし、何なら空間を繋げる魔法については学ぶ機会があるかも怪しかった。そういうわけで、最初は彼の部屋にあった小さな蓋つきのブリキ缶をキャビネットに見立て、複製と空間の連結を試みるところから始めた。二つの呪文は幾らか難しく、術が初めて完璧に成功する頃には、かれこれ数日が経っていた。そして成功するたびに、少しずつ呪文を掛ける対象を大きな物に変えていったのだった。
その間、ドラコは何もそのキャビネットのための呪文だけを練習していたわけではなかった。当然ベラトリックスが現れた日は『許されざる呪文』を彼女と練習したし、事を成功させるヒントを得るために父の書斎の様々な本を読み漁り続けた。そして学校でどのような手を使って、何を用いて校長を殺害するかを日々練っていったのだ。
(学校が始まれば、いよいよ行動を起こさないといけなくなる。闇の帝王が僕を信じてくださっていることを思えば……新学期が始まるのなんて、ダンブルドアを殺すことなんて、何も怖くない。寧ろ誇らしく、早くその時が来ればいいとすら思う。そうすれば父上の虐げられた名誉はあっという間に回復する筈なんだ。それに学期が始まればフォーラにだって会える……。彼女を一目見れば、きっと僕は何だって成し遂げられる気がする)
さて、それから幾日かが経ち、ホグワーツに通う生徒たちの元にふくろう便が届いた。封筒には新学期に必要な学用品リストが入っていて、それはドラコのところにも例外なく通知された。そのため彼は母と共に、さる土曜日の午前中からダイアゴン横丁に向かったのだった。
ダイアゴン横丁に足を踏み入れると、そこは様変わりしていた。キラキラと色鮮やかに飾りつけられたショーウィンドウ内の本や魔法薬の材料、それに大鍋も、そのウィンドウガラスの上に張りつけられた魔法省の大ポスターに覆われて殆ど見えなかった。その魔法省のくすんだ紫色のポスターは、殆どが保安上の注意事項をびっしりと記していたが、中にはまだ捕まっていない死喰い人の動くモノクロ写真もあった。ドラコはその中にベラトリックスがニヤニヤと笑っているものを見つけて目を逸らした。
ドラコは学用品を順に揃えていく間、どのタイミングで母から離れ、ボージンの店に行くべきか神経を尖らせていた。しかし三件ほど店をまわってもまだ母から十分な距離を取るのは難しかった。
そして二人が次に訪れたのはマダム・マルキンの洋装店だった。ここでのドラコはあわよくば自分の一張羅を採寸してもらっている間に、母には別の店で何か見てきてもらえないかと思っていた。そうすれば採寸が終わってすぐ、母の居ぬ間にボージンの店へ行くことができる。しかし残念ながら事はそう上手くもいかなかった。
「母上、二人で手分けして買い物を済ませる方が効率的では?」ドラコが洋装店で深緑色の一揃いを
「いいえドラコ。家でもお話したとおり、貴方の身に何かあってからでは遅いのよ。いつ
「ですが、手分けすればその分この横丁から早く安全な家へ帰れます。それにお気づきでしょうが、母上、もう僕も子供じゃないんだ。僕はちゃんとひとりで買い物できます」
するとマダムがピンを打ちながらチッチと舌打ちした。
「あのね、お坊ちゃん。貴方のお母さまのおっしゃるとおりですよ。もう誰も一人でフラフラ歩いちゃいけないわ。子供かどうかとは関係なく―――」
「そのピン、ちゃんと見て打つんだ!」ドラコは母が自分から離れようとしない状況に苛立ちを強め、勢いのままマダムを叱咤した。
ドラコは深緑の衣服を纏ったまま
「母上、何が臭いのか
「そんな言葉は使ってほしくありませんね!」マダムが衝立の向こうから急ぎ足でやって来て、ドラコの発言に釘を刺した。
「それに、私の店で杖を引っ張り出すのもお断りです!」今度はドアの方にいたハリーとロンが杖を構えてドラコを狙っている姿を見て、マダムが付け足した。
「やめて、ねえ、そんな価値ないわ……」ハーマイオニーが二人の少し後ろで囁いた。