4. 親愛なるフリージアの君
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フォーラがダンブルドアやスラグホーンと対面した翌日以降、彼女は自身がアニメーガスの力を本当に失っているのか、もしくは別の動物に変身できる状態なのかを確認すべく、自宅で守護霊の呪文の練習を始めた。守護霊が形作る動物が猫ならば自身がアニメーガスでなくなっている可能性が高いし、他の動物が現れたなら、もしかすると変身対象が変わっただけでまだ望みがあるかもしれない。
学校外で未成年が呪文を使用することは禁止されていたが、先日ダンブルドアが言っていたとおり、魔法族の親の監視下で使用することは暗黙の了解だった。フォーラはこれまで両親の言いつけどおり律儀に魔法禁止のルールを守ってきた分、いざそれを破るとなると何だか緊張して上手く杖が振れなかった。
とはいえ、やると決めたからにはきちんと取り組まなければ。フォーラは両親だけでなく、住み込みで働く三人の使用人の誰かにも代わるがわる手伝ってもらいながら、自宅で定期的に守護霊の呪文を練習した。その中で彼女は各人の守護霊を見る機会が度々あり、父はカラス、母は蝶を象った銀色の霞を出現させた。使用人三人もそれぞれ形が違っていたものだから、守護霊を見たことがなかった彼女としては驚きだった。
加えてフォーラがハッとさせられたこととして、彼女自身はこれまで地に足の着く動物変身でき、これまで出会ってきた他のアニメーガスも同様だったため、守護霊の対象に空を飛べる生物が含まれているのは盲点だった。因みに、この屋敷に住む彼女以外の五名中三名が、空を舞う守護霊を作り出せた。
(もし私が鳥類の守護霊を出せたら、アニメーガスとしても同じ姿になる筈。変身が成功すればその状態で空を飛べるようになるかもしれない、ということよね)
高所が苦手なフォーラとしては箒に乗るのすら未だに怖いというのに、鳥になろうものならその翼を一切使いこなせず、無用の長物になるのではと感じた。
とはいってもフォーラの術の進捗としては何度試しても守護霊が現れることはなく、上手くいっても銀色の霞が幾らか現れる程度だった。
「私も動物の形になるまでに、相当苦労しました」フォーラと一番歳の近い、裁縫好きのメイドであるマリアが言った。この日は彼女が練習に付き合ってくれていた。
「使用人の中では、ニコラスやアンナよりも随分後にやっとのことで成功したんです。まあ、あのお二人は私と違って随分長くこのお屋敷に務めていらっしゃる分、多くの呪文を完璧にこなしますから、比べるのもおこがましいことなんですが」マリアが幾らか情けなさそうに言った。
「そんな、マリアはきちんと可愛い小鳥の形を作りだせているんだから、とっても凄いことだわ。しかも尾がピンと長い鳥だって分かるくらい、はっきりしているんだもの。」
(後で調べたところ、その鳥がなんとクモの糸と葉っぱで裁縫をするようにして巣をつくる、サイホウチョウという鳥だった!正に彼女にピッタリだ)
フォーラが悩まし気に続けた。
「だけど私は、みんなに幾ら練習に付き合ってもらっても動物の形には一度もならなくって。ダンブルドア先生は、幸福な思い出や感情といったプラスのエネルギーを頭の中に思い浮かべるようにおっしゃっていたけど……。」
「大人の魔法使いや魔女でも、大半が霞の状態までしか出現させられないと聞きました。何か、一番幸せな記憶を一つだけでいいので強く念じればいいんですが、それが一番難しいんですよね」
フォーラはこれまで何度も自身の幸福な記憶を脳裏に浮かべてみては、守護霊の呪文を放ってを繰り返していた。時には選んだ記憶を入れ替えてみたりもしたのだが、それでもやっぱり駄目だった。彼女にとっての幸せな記憶とは、家族のことは勿論だがやはりドラコとの事が挙げられた。しかし彼とのそういった思い出を何か一つだけ強く浮かべても、結局は現状の彼が不幸せな道を辿ろうとしているのが気に掛かった。そして、その不幸に至った様々な原因が彼女の頭の中をかすめ、結局はどうあがいてもマイナスのエネルギーが少なからず混ざってしまっていた。
フォーラの家族は娘が随分行き詰まっているのを気に掛けていた。昨年までなら友人と遊んだりして過ごすことで気晴らしの時間を作れたが、今年は魔法界に厳戒態勢が敷かれていてそれが叶わない。加えてフォーラ自身が根(こん)を詰めすぎる性格をしていたため、あまり本人が守護霊の姿のことばかり考えすぎて悪循環になるのは避けたかった。そのためニコラスは彼女を庭園の植物の植え替えに誘ったり、父は仕事休みで家にいる日は共に魔法薬の調合を手伝わせたりした。それに母やメイドのアンナはケーキを焼くためにフォーラに声を掛けたし、仕舞いにはマリアがフォーラの普段着を作るべく採寸に付き合わせたりして過ごさせた。そうしてフォーラの方も家族のそういったバレバレの愛ある気遣いを強く察し、以前よりは守護霊の練習頻度を落としたのだった。
しかしやはりこういう時は、誰か家族以外の歳の近い人間に会うのが最も気分の入れ替えに繋がるだろう。そのように思ったリプトニアは、数日後にこの屋敷を訪れる自身の客人の正体を娘には言及せず、サプライズ的に会わせることにしたのだった。
学校外で未成年が呪文を使用することは禁止されていたが、先日ダンブルドアが言っていたとおり、魔法族の親の監視下で使用することは暗黙の了解だった。フォーラはこれまで両親の言いつけどおり律儀に魔法禁止のルールを守ってきた分、いざそれを破るとなると何だか緊張して上手く杖が振れなかった。
とはいえ、やると決めたからにはきちんと取り組まなければ。フォーラは両親だけでなく、住み込みで働く三人の使用人の誰かにも代わるがわる手伝ってもらいながら、自宅で定期的に守護霊の呪文を練習した。その中で彼女は各人の守護霊を見る機会が度々あり、父はカラス、母は蝶を象った銀色の霞を出現させた。使用人三人もそれぞれ形が違っていたものだから、守護霊を見たことがなかった彼女としては驚きだった。
加えてフォーラがハッとさせられたこととして、彼女自身はこれまで地に足の着く動物変身でき、これまで出会ってきた他のアニメーガスも同様だったため、守護霊の対象に空を飛べる生物が含まれているのは盲点だった。因みに、この屋敷に住む彼女以外の五名中三名が、空を舞う守護霊を作り出せた。
(もし私が鳥類の守護霊を出せたら、アニメーガスとしても同じ姿になる筈。変身が成功すればその状態で空を飛べるようになるかもしれない、ということよね)
高所が苦手なフォーラとしては箒に乗るのすら未だに怖いというのに、鳥になろうものならその翼を一切使いこなせず、無用の長物になるのではと感じた。
とはいってもフォーラの術の進捗としては何度試しても守護霊が現れることはなく、上手くいっても銀色の霞が幾らか現れる程度だった。
「私も動物の形になるまでに、相当苦労しました」フォーラと一番歳の近い、裁縫好きのメイドであるマリアが言った。この日は彼女が練習に付き合ってくれていた。
「使用人の中では、ニコラスやアンナよりも随分後にやっとのことで成功したんです。まあ、あのお二人は私と違って随分長くこのお屋敷に務めていらっしゃる分、多くの呪文を完璧にこなしますから、比べるのもおこがましいことなんですが」マリアが幾らか情けなさそうに言った。
「そんな、マリアはきちんと可愛い小鳥の形を作りだせているんだから、とっても凄いことだわ。しかも尾がピンと長い鳥だって分かるくらい、はっきりしているんだもの。」
(後で調べたところ、その鳥がなんとクモの糸と葉っぱで裁縫をするようにして巣をつくる、サイホウチョウという鳥だった!正に彼女にピッタリだ)
フォーラが悩まし気に続けた。
「だけど私は、みんなに幾ら練習に付き合ってもらっても動物の形には一度もならなくって。ダンブルドア先生は、幸福な思い出や感情といったプラスのエネルギーを頭の中に思い浮かべるようにおっしゃっていたけど……。」
「大人の魔法使いや魔女でも、大半が霞の状態までしか出現させられないと聞きました。何か、一番幸せな記憶を一つだけでいいので強く念じればいいんですが、それが一番難しいんですよね」
フォーラはこれまで何度も自身の幸福な記憶を脳裏に浮かべてみては、守護霊の呪文を放ってを繰り返していた。時には選んだ記憶を入れ替えてみたりもしたのだが、それでもやっぱり駄目だった。彼女にとっての幸せな記憶とは、家族のことは勿論だがやはりドラコとの事が挙げられた。しかし彼とのそういった思い出を何か一つだけ強く浮かべても、結局は現状の彼が不幸せな道を辿ろうとしているのが気に掛かった。そして、その不幸に至った様々な原因が彼女の頭の中をかすめ、結局はどうあがいてもマイナスのエネルギーが少なからず混ざってしまっていた。
フォーラの家族は娘が随分行き詰まっているのを気に掛けていた。昨年までなら友人と遊んだりして過ごすことで気晴らしの時間を作れたが、今年は魔法界に厳戒態勢が敷かれていてそれが叶わない。加えてフォーラ自身が根(こん)を詰めすぎる性格をしていたため、あまり本人が守護霊の姿のことばかり考えすぎて悪循環になるのは避けたかった。そのためニコラスは彼女を庭園の植物の植え替えに誘ったり、父は仕事休みで家にいる日は共に魔法薬の調合を手伝わせたりした。それに母やメイドのアンナはケーキを焼くためにフォーラに声を掛けたし、仕舞いにはマリアがフォーラの普段着を作るべく採寸に付き合わせたりして過ごさせた。そうしてフォーラの方も家族のそういったバレバレの愛ある気遣いを強く察し、以前よりは守護霊の練習頻度を落としたのだった。
しかしやはりこういう時は、誰か家族以外の歳の近い人間に会うのが最も気分の入れ替えに繋がるだろう。そのように思ったリプトニアは、数日後にこの屋敷を訪れる自身の客人の正体を娘には言及せず、サプライズ的に会わせることにしたのだった。