3. 幸福な愛、信じあう心
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フォーラはドラコからのふくろう便をファントム家の屋敷の庭園で受け取った。ファントム家はマグルの村の向こうにある丘の上に暮らしていた。敷地内には屋敷の他に温室があり、戸外の庭には傾斜に沿ってイギリスには珍しく茶畑も広がっていた。加えて今年からは敷地全体に外敵や危険物の侵入を拒む強力な保護呪文が施された。
フォーラは庭のガゼボの下でドラコの手紙を読み終えると、彼が幾らか安全に過ごしていると分かってホッとした。ただ、彼女はその手紙の文面がいつものドラコのものと雰囲気が違うのを察していた。当然、普段やり取りするよりも緊張感のある内容なのは間違いない。彼女が気になったのは、ドラコがあまりにもストレートに自身の想いを綴っている点だった。
何せこれまでのドラコの手紙は、そういった彼自身の弱音が書かれることが殆どなかった。だが今回こうして自分に甘えているのを目の当たりにすると、嬉しさよりも心配が募るのは幾らか避けられなかった。とはいえ数か月前に恋人同士となって以来、ドラコは以前よりもずっと気持ちを素直に出してくれるようになった。もしかすると、その影響が手紙に表れただけなのかもしれないが……。
二人が恋人関係になったことについて、フォーラはホグワーツから帰宅した翌日に家族に対して打ち明けていた。普通なら仲の良い家同士の子供たちが付き合うことは祝福されて然るべきだろう。しかしフォーラは自分とドラコの関係が後ろめたいものであると十分に理解していた。
フォーラには重大な秘密があった。それは彼女が赤ん坊の時に引き取られた養子で、育ての両親は純血だが、彼女自身はマグルから生まれた子ということだった。他にそれらの秘密を知っているのは、この屋敷で働く使用人の三名と、両親が所属している『不死鳥の騎士団』の中心人物たち、そして同じ学校で学んでいる騎士団関係者の子供たちがほんの数人だった。
そのような情報を一部の人たちに開示するのは、ファントム家が闇の勢力を抑圧するために騎士団に力を貸し、フォーラを護ってもらうために必要なことだった。加えてファントム家は騎士団に協力することで、これまで懇意にしてきた敵側のマルフォイ家が悪に手を染めるのを阻止し、純血だけの世の中を作ろうとすることがどれだけ愚かか、思い改めさせることを最終目標としていた。
フォーラは約一年前に自身の秘密を両親から打ち明けられた。そしてその時に言われたのは、マルフォイ家がこれから自分たちの敵となってしまうことや、ドラコに深入りしてはいけないということだった。それに、彼の幼馴染として育てておきながら養子の件を黙っていて酷なことをしたと謝罪もされた。そしてフォーラは紆余曲折あった後にとうとうその謝罪を受け入れ、家族の団結を強くしたのだった。
それから一年程が過ぎて現在に至るが、結果的にフォーラはドラコと恋人同士となり、両親の『ドラコに深入りしてはいけない』というお願いに背く形となった。だがそれはフォーラが単にドラコを好きで近くにいたいからというだけではなかった。ドラコがもし闇の陣営に傾倒した場合、恋人という近しい関係にあれば彼自身やその周辺に危険が潜んでいても、すぐに異変を察知して騎士団に通報できるかもしれない。彼女は自分のマグル生まれという秘密を隠してドラコを裏切ってまで、彼を一番近くで守ることを選んだのだ。
実際、二人が恋人関係になったからこそ得られたものもあった。というのも、クリーチャーという騎士団側の屋敷しもべ妖精が裏切りの末にマルフォイ邸を出入りしていたという情報を、ドラコからいち早く手に入れたのはフォーラだった。
フォーラは屋敷で両親にドラコとの関係や彼に対する考えを告げると、二人とも最初こそ驚いていたが、結局はいつかフォーラとドラコがそうなる未来を予想していたようだった。
「フォーラが秘密を隠し通すだけの強い意志を持っていることは、よく理解したよ」父のシェードが続けた。「だが、マルフォイ家のみんなを闇の陣営から完全に引き離せたとして、フォーラはドラコ君との未来をどう考えている?そのまま生まれのことを黙っているのも一つの選択肢だが……それだとフォーラは嘘を吐き続け、苦しみ続けることになるかもしれない……」
「正直、最終的にドラコに打ち明けるかどうかはとっても悩んでいるわ……。今はただ、ドラコに何か危険がないか見守ることに集中したいから。だけど本心は、いつか彼にありのままの自分を見てもらいたいの。もしその時彼に私の生まれを拒絶されてしまっても、きっと後悔しないと思う。だってその頃には今と違って、彼が安全に過ごせる環境が戻っている筈だから。」
フォーラはドラコとの関係についてはそのように両親に正直に話した。しかし彼女は全く別の件で一つ隠し事をしていた。彼女は去年ホグワーツの禁書の棚に導かれ、そこに何年も隠されていた本を見つけたのだ。それは白紙のページが続いているだけの代物だったが、知り得る限りではホグワーツでフォーラだけがその正体を暴くことができた。
フォーラが『レベリオ、現れよ』とその本に呪文を掛けると、白紙だったページには数百年前に作られた見たこともない変身術が数多く記されていたのだ。それらの術は画期的なものばかりだったが血を用いるものが多く、つまり闇の魔術書に殆ど近しいといっても過言ではなかった。
他の文献によると、どうやらその本の変身術は最終的に全く効果を発揮しない眉唾物と世間に判断されたようだった。加えて血を用いる危険さが合わさって絶版に追い込まれ、この世から殆ど消えていた。しかも本の著者はそのような本を世に出したことで咎められ、汚名を着せられていた。
本の多くは葬り去られたが、その残りのうちの一冊がホグワーツに隠されていて、先述のとおりフォーラはその力に導かれた。そして彼女はその本に載っていた術の一つを使うことに成功したのだ。
それは対象人物の血を一定量飲むと、数年間は魔法薬が無くともその人に際限なく変身できるというものだった。約二週間前にフォーラがクリーチャーの裏切りを知った際、彼女は本の存在を唯一話していたスネイプに血を提供してもらって飲んだ。そして彼女がスネイプに変身して身代わりとなっている間に、スネイプ本人は学校を離れて騎士団の元へ駆けつけたのだった。
フォーラは庭のガゼボの下でドラコの手紙を読み終えると、彼が幾らか安全に過ごしていると分かってホッとした。ただ、彼女はその手紙の文面がいつものドラコのものと雰囲気が違うのを察していた。当然、普段やり取りするよりも緊張感のある内容なのは間違いない。彼女が気になったのは、ドラコがあまりにもストレートに自身の想いを綴っている点だった。
何せこれまでのドラコの手紙は、そういった彼自身の弱音が書かれることが殆どなかった。だが今回こうして自分に甘えているのを目の当たりにすると、嬉しさよりも心配が募るのは幾らか避けられなかった。とはいえ数か月前に恋人同士となって以来、ドラコは以前よりもずっと気持ちを素直に出してくれるようになった。もしかすると、その影響が手紙に表れただけなのかもしれないが……。
二人が恋人関係になったことについて、フォーラはホグワーツから帰宅した翌日に家族に対して打ち明けていた。普通なら仲の良い家同士の子供たちが付き合うことは祝福されて然るべきだろう。しかしフォーラは自分とドラコの関係が後ろめたいものであると十分に理解していた。
フォーラには重大な秘密があった。それは彼女が赤ん坊の時に引き取られた養子で、育ての両親は純血だが、彼女自身はマグルから生まれた子ということだった。他にそれらの秘密を知っているのは、この屋敷で働く使用人の三名と、両親が所属している『不死鳥の騎士団』の中心人物たち、そして同じ学校で学んでいる騎士団関係者の子供たちがほんの数人だった。
そのような情報を一部の人たちに開示するのは、ファントム家が闇の勢力を抑圧するために騎士団に力を貸し、フォーラを護ってもらうために必要なことだった。加えてファントム家は騎士団に協力することで、これまで懇意にしてきた敵側のマルフォイ家が悪に手を染めるのを阻止し、純血だけの世の中を作ろうとすることがどれだけ愚かか、思い改めさせることを最終目標としていた。
フォーラは約一年前に自身の秘密を両親から打ち明けられた。そしてその時に言われたのは、マルフォイ家がこれから自分たちの敵となってしまうことや、ドラコに深入りしてはいけないということだった。それに、彼の幼馴染として育てておきながら養子の件を黙っていて酷なことをしたと謝罪もされた。そしてフォーラは紆余曲折あった後にとうとうその謝罪を受け入れ、家族の団結を強くしたのだった。
それから一年程が過ぎて現在に至るが、結果的にフォーラはドラコと恋人同士となり、両親の『ドラコに深入りしてはいけない』というお願いに背く形となった。だがそれはフォーラが単にドラコを好きで近くにいたいからというだけではなかった。ドラコがもし闇の陣営に傾倒した場合、恋人という近しい関係にあれば彼自身やその周辺に危険が潜んでいても、すぐに異変を察知して騎士団に通報できるかもしれない。彼女は自分のマグル生まれという秘密を隠してドラコを裏切ってまで、彼を一番近くで守ることを選んだのだ。
実際、二人が恋人関係になったからこそ得られたものもあった。というのも、クリーチャーという騎士団側の屋敷しもべ妖精が裏切りの末にマルフォイ邸を出入りしていたという情報を、ドラコからいち早く手に入れたのはフォーラだった。
フォーラは屋敷で両親にドラコとの関係や彼に対する考えを告げると、二人とも最初こそ驚いていたが、結局はいつかフォーラとドラコがそうなる未来を予想していたようだった。
「フォーラが秘密を隠し通すだけの強い意志を持っていることは、よく理解したよ」父のシェードが続けた。「だが、マルフォイ家のみんなを闇の陣営から完全に引き離せたとして、フォーラはドラコ君との未来をどう考えている?そのまま生まれのことを黙っているのも一つの選択肢だが……それだとフォーラは嘘を吐き続け、苦しみ続けることになるかもしれない……」
「正直、最終的にドラコに打ち明けるかどうかはとっても悩んでいるわ……。今はただ、ドラコに何か危険がないか見守ることに集中したいから。だけど本心は、いつか彼にありのままの自分を見てもらいたいの。もしその時彼に私の生まれを拒絶されてしまっても、きっと後悔しないと思う。だってその頃には今と違って、彼が安全に過ごせる環境が戻っている筈だから。」
フォーラはドラコとの関係についてはそのように両親に正直に話した。しかし彼女は全く別の件で一つ隠し事をしていた。彼女は去年ホグワーツの禁書の棚に導かれ、そこに何年も隠されていた本を見つけたのだ。それは白紙のページが続いているだけの代物だったが、知り得る限りではホグワーツでフォーラだけがその正体を暴くことができた。
フォーラが『レベリオ、現れよ』とその本に呪文を掛けると、白紙だったページには数百年前に作られた見たこともない変身術が数多く記されていたのだ。それらの術は画期的なものばかりだったが血を用いるものが多く、つまり闇の魔術書に殆ど近しいといっても過言ではなかった。
他の文献によると、どうやらその本の変身術は最終的に全く効果を発揮しない眉唾物と世間に判断されたようだった。加えて血を用いる危険さが合わさって絶版に追い込まれ、この世から殆ど消えていた。しかも本の著者はそのような本を世に出したことで咎められ、汚名を着せられていた。
本の多くは葬り去られたが、その残りのうちの一冊がホグワーツに隠されていて、先述のとおりフォーラはその力に導かれた。そして彼女はその本に載っていた術の一つを使うことに成功したのだ。
それは対象人物の血を一定量飲むと、数年間は魔法薬が無くともその人に際限なく変身できるというものだった。約二週間前にフォーラがクリーチャーの裏切りを知った際、彼女は本の存在を唯一話していたスネイプに血を提供してもらって飲んだ。そして彼女がスネイプに変身して身代わりとなっている間に、スネイプ本人は学校を離れて騎士団の元へ駆けつけたのだった。