3. 幸福な愛、信じあう心
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その翌日、ベラトリックスがマルフォイ邸を訪れた。例のごとくドラコと彼女が二人きりの小ホールで闇の魔術の練習を始めようとしたが、そのタイミングでドラコが尋ねた。
「あなたは先日、母とスネイプが破れぬ誓いを結ぶのに協力したとか。あれだけスネイプに警戒すべきだと言っておきながら、一体何故なんだ?」
ベラトリックスはドラコがナルシッサから聞いた一連の話を伝えられ、一昨日の状況を説明した。
「そもそも、シシーは私に黙ってスネイプの元へ向かったんだ。私はあの子を止めるためにその後を追いかけた。スネイプが計画を知っていたからまだ良かったものの。だからといってシシーは『誰にも話すな』と言われていたのにスネイプを頼るべきじゃなかった」ベラトリックスが続けた。「ドラコ、お母上は闇の帝王がお前に命じた責務を危険視して、お前にやらせるべきではないとスネイプの前で大層取り乱し、泣き腫らしていたよ。そしてスネイプにお前を守るよう懇願した。私はまさかあのコウモリ男が首を縦に振る筈がないと思った。しかし奴は最終的に折れてシシーの希望に従った。私があの場で仲介役を拒否したら、シシーから今後一生呪われる程の恨みを買うことになっただろうからね」
ドラコがまだ納得していなさそうなのを見かねて、ベラトリックスは更に付け加えた。
「だが奴とシシーが結んだ誓いは結局、お前を護ることについてのみだ。何もシシーの言うように、お前が考えている計画の全てをスネイプに打ち明ける必要はない。奴の存在は、もしお前が殺害に失敗した時の保険程度に思っていればいい」
ドラコは何か反論するために何度か口をはくはくと動かしたが、これ以上過ぎたことを問いただしても仕方がないと思い、一つ深いため息を吐いた。するとベラトリックスが言葉を発した。
「まあ私としては、シシーが頑なにお前の任務をセブルスに肩代わりさせたがっていたのは正直いただけなかったね。私に息子があれば喜んで闇の帝王のお役に立たせるために差し出しただろう。シシーは自分の息子が任務を仰せつかったことをもっと誇りに思うべきだ。それなのにあの子ときたら、最初からお前が任務に失敗すると考えていて、お前のことを信頼しきれていない。私からすれば、本当に信頼に足らないのはやはりスネイプの方だと思うけどね」
ドラコは昨日の自分が母に対して感じたことを、ベラトリックスが一言一句違わず発言していて驚いた。そのため彼は何だか目の前の叔母が自分を庇ってくれているようだと思ったし、自分の言ってほしい言葉をくれている気がした。
(そうだ。闇の帝王は、僕に事を成す力があると激励してくださった。それなのになぜ母上は僕を信じてくれないんだ……。僕はもう母上が思うほど子供じゃない。父上の名誉を挽回するという重要な命を受けて、闇の印まで授かるような存在になったんだ)
ドラコは行き場のない強い苛立ちを抱えた。
(母上はスネイプの前で隙を作るべきじゃなかった。ベラトリックスの言うとおりスネイプは最終的に作戦の手柄を自分のものにするために、母上の頼みを絶好の機会と捉えて、あえて破れぬ誓いを立てたに違いない)
その日の晩、ドラコは自室で文机に向かい、今後の作戦の構想を羊皮紙に書き綴っているところだった。様々な案を書いては消してと繰り返すうち、最近強く感じている苛立ちや憤りが頭の中を再び占領していった。そうして彼はとうとう深いため息を吐くとともに顔を上げた。意識を切り替えようとベッドに身を投げ出してみると、彼の脳裏には自然と日中に感じたのと同じく自身を鼓舞し肯定する事柄が浮かんだ。
(僕はもう今学年には成人する身だし、事を成すために頼られて然るべきなんだ。実際、闇の帝王は僕を信じてくださったし、ベラトリックスだってそうだった。……それにあの二人だけでなく、フォーラだって僕が父上の敵を討ちたいという想いを優先してくれている。母上とスネイプだけが僕を子ども扱いして、何もできない奴だと考えているんだ)
ドラコはそのように恨みがましいことを考える中で、愛しい幼馴染を思い出して自然と心を落ち着かせた。そもそも母やスネイプのことを恨む以前から、最近のドラコは慣れない呪文練習に日々を費やし、今後の計画を立てるために幾らか疲弊していた。それらの行動は父のためにやる気に満ちたものだったが、流石にこれだけ根を詰めていては疲れが溜まるのも致し方なかった。
(早くフォーラに会いたい。彼女には僕の企てを一切話せないにしても、僕が何かしら努力していることを褒めてほしい。一生懸命やっていると思っていてほしい)
そう思った途端、ドラコはベッドから起き上がって再び文机に向かった。しかし今度は先程の書きなぐりの多い羊皮紙と向き合うのではなく、真新しい綺麗なものを取り出し、その上に羽ペンを走らせたのだった。
『フォーラへ
この夏は問題なく無事に過ごせているだろうか。ご家族もお変わりないだろうか。
駅では君やご家族に僕ら一家のことを随分心配させてしまった。だが僕の方は大丈夫。父が家にいない分、僕が母上を支えられるよう務めているところだ。だけど父上を想うと、時にそれをつらく感じて疲れてしまうこともある。今の僕には、あまり心休まる時がないのも正直なところだ。
早く君に会いたい。君に会えば僕の疲れなんてきっとすぐに吹き飛んでしまうだろう。それに君が元気な姿を早くこの目で確かめて安心したい。
本当は君からの返事が欲しくてたまらないが、どうか書かないでほしい。屋敷を出入りしている親戚に君からの手紙が届くところを見つかれば、興味本位で読まれてしまうのが目に見えているから。
その代わり、どうか会えない間は僕のことを少しでも想っていてほしい。僕も、いつでも君を想っている。
ドラコ』
「あなたは先日、母とスネイプが破れぬ誓いを結ぶのに協力したとか。あれだけスネイプに警戒すべきだと言っておきながら、一体何故なんだ?」
ベラトリックスはドラコがナルシッサから聞いた一連の話を伝えられ、一昨日の状況を説明した。
「そもそも、シシーは私に黙ってスネイプの元へ向かったんだ。私はあの子を止めるためにその後を追いかけた。スネイプが計画を知っていたからまだ良かったものの。だからといってシシーは『誰にも話すな』と言われていたのにスネイプを頼るべきじゃなかった」ベラトリックスが続けた。「ドラコ、お母上は闇の帝王がお前に命じた責務を危険視して、お前にやらせるべきではないとスネイプの前で大層取り乱し、泣き腫らしていたよ。そしてスネイプにお前を守るよう懇願した。私はまさかあのコウモリ男が首を縦に振る筈がないと思った。しかし奴は最終的に折れてシシーの希望に従った。私があの場で仲介役を拒否したら、シシーから今後一生呪われる程の恨みを買うことになっただろうからね」
ドラコがまだ納得していなさそうなのを見かねて、ベラトリックスは更に付け加えた。
「だが奴とシシーが結んだ誓いは結局、お前を護ることについてのみだ。何もシシーの言うように、お前が考えている計画の全てをスネイプに打ち明ける必要はない。奴の存在は、もしお前が殺害に失敗した時の保険程度に思っていればいい」
ドラコは何か反論するために何度か口をはくはくと動かしたが、これ以上過ぎたことを問いただしても仕方がないと思い、一つ深いため息を吐いた。するとベラトリックスが言葉を発した。
「まあ私としては、シシーが頑なにお前の任務をセブルスに肩代わりさせたがっていたのは正直いただけなかったね。私に息子があれば喜んで闇の帝王のお役に立たせるために差し出しただろう。シシーは自分の息子が任務を仰せつかったことをもっと誇りに思うべきだ。それなのにあの子ときたら、最初からお前が任務に失敗すると考えていて、お前のことを信頼しきれていない。私からすれば、本当に信頼に足らないのはやはりスネイプの方だと思うけどね」
ドラコは昨日の自分が母に対して感じたことを、ベラトリックスが一言一句違わず発言していて驚いた。そのため彼は何だか目の前の叔母が自分を庇ってくれているようだと思ったし、自分の言ってほしい言葉をくれている気がした。
(そうだ。闇の帝王は、僕に事を成す力があると激励してくださった。それなのになぜ母上は僕を信じてくれないんだ……。僕はもう母上が思うほど子供じゃない。父上の名誉を挽回するという重要な命を受けて、闇の印まで授かるような存在になったんだ)
ドラコは行き場のない強い苛立ちを抱えた。
(母上はスネイプの前で隙を作るべきじゃなかった。ベラトリックスの言うとおりスネイプは最終的に作戦の手柄を自分のものにするために、母上の頼みを絶好の機会と捉えて、あえて破れぬ誓いを立てたに違いない)
その日の晩、ドラコは自室で文机に向かい、今後の作戦の構想を羊皮紙に書き綴っているところだった。様々な案を書いては消してと繰り返すうち、最近強く感じている苛立ちや憤りが頭の中を再び占領していった。そうして彼はとうとう深いため息を吐くとともに顔を上げた。意識を切り替えようとベッドに身を投げ出してみると、彼の脳裏には自然と日中に感じたのと同じく自身を鼓舞し肯定する事柄が浮かんだ。
(僕はもう今学年には成人する身だし、事を成すために頼られて然るべきなんだ。実際、闇の帝王は僕を信じてくださったし、ベラトリックスだってそうだった。……それにあの二人だけでなく、フォーラだって僕が父上の敵を討ちたいという想いを優先してくれている。母上とスネイプだけが僕を子ども扱いして、何もできない奴だと考えているんだ)
ドラコはそのように恨みがましいことを考える中で、愛しい幼馴染を思い出して自然と心を落ち着かせた。そもそも母やスネイプのことを恨む以前から、最近のドラコは慣れない呪文練習に日々を費やし、今後の計画を立てるために幾らか疲弊していた。それらの行動は父のためにやる気に満ちたものだったが、流石にこれだけ根を詰めていては疲れが溜まるのも致し方なかった。
(早くフォーラに会いたい。彼女には僕の企てを一切話せないにしても、僕が何かしら努力していることを褒めてほしい。一生懸命やっていると思っていてほしい)
そう思った途端、ドラコはベッドから起き上がって再び文机に向かった。しかし今度は先程の書きなぐりの多い羊皮紙と向き合うのではなく、真新しい綺麗なものを取り出し、その上に羽ペンを走らせたのだった。
『フォーラへ
この夏は問題なく無事に過ごせているだろうか。ご家族もお変わりないだろうか。
駅では君やご家族に僕ら一家のことを随分心配させてしまった。だが僕の方は大丈夫。父が家にいない分、僕が母上を支えられるよう務めているところだ。だけど父上を想うと、時にそれをつらく感じて疲れてしまうこともある。今の僕には、あまり心休まる時がないのも正直なところだ。
早く君に会いたい。君に会えば僕の疲れなんてきっとすぐに吹き飛んでしまうだろう。それに君が元気な姿を早くこの目で確かめて安心したい。
本当は君からの返事が欲しくてたまらないが、どうか書かないでほしい。屋敷を出入りしている親戚に君からの手紙が届くところを見つかれば、興味本位で読まれてしまうのが目に見えているから。
その代わり、どうか会えない間は僕のことを少しでも想っていてほしい。僕も、いつでも君を想っている。
ドラコ』