3. 幸福な愛、信じあう心
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「ドラコ、お話があります」
ナルシッサがマルフォイ邸を夜中に抜け出した翌日の昼頃、彼女はリビングルームに息子を呼び出した。二人はソファに向かい合って座っており、ベラトリックスは屋敷にいなかった。
「どうしたんです母上。随分顔色が優れませんが……」
「……昨晩私は、ベラトリックスと共にセブルスの家を訪ねたわ」
それを聞いたドラコは幾らか驚いた表情を見せたが、話の続きに耳を傾けた。するとナルシッサが続けた。
「貴方がこれから成すべきことを確実に達成できるよう、協力してもらえるよう頼んできたのよ」
「!」ドラコは嫌な予感が当たって狼狽えた。
「母上、闇の帝王にはダンブルドア殺害の話を誰にもしてはならないと、そう言われたではないですか!それにスネイプの助けも借りるなと命令されています。約束を破ったことがもし知られてしまったら……!」
「ええ、セブルスにもベラにも同じことを言われたわ。だけどねドラコ、やはりセブルスはあのお方の計画をご存知だったのよ」
それを聞いてドラコは安堵感から肩の力がドッと抜け落ちた。しかし別の緊張が再び彼を襲った。
「ですがスネイプがその話を知っているのは、父上や叔母上の失墜に乗じて彼が二人の地位を攫って、闇の帝王に最も近しいご意見番になったからでしょう?そんな薄情な人を頼るべきではないのでは?」
「ドラコ、貴方はベラから散々、セブルスが私たちの名誉を傷つける存在だと聞かされていることでしょう。けれど貴方は、本当は彼がそんな人ではないとよく知っている筈だわ」
その訴えにドラコは素直に頷けなかった。何せスネイプがこれまで自分に親切にしてくれたのは確かだったが、だからといって叔母の言い分を完全には否定できなかったのだ。
「それは……分かりません。確かに叔母上はスネイプを警戒するよう言っています。スネイプは騎士団のスパイを任されるくらいですから、二枚舌が相当上手いのでは?」
しかしナルシッサはその問いに間髪入れずに返答した。
「セブルスはドラコのために、私と『破れぬ誓い』を交わしたわ」
破れぬ誓いとは二者間で誓いを立てる契約魔法のことで、約束を破れば両者共に死んでしまう。契約をするには仲介者の杖から発される魔力が必要で、今回ベラトリックスがその役を担ったのだという。
「セブルスは、貴方の取り組みを見守り、貴方を力のかぎり護り、計画が完全に上手くいかないと分かった時には、貴方の代わりにダンブルドアを討つと誓ってくださったのよ。彼は私たちを脅かす存在ではないわ」
「母上、何故そんな誓いを立てたのです!?先程もいいましたが、闇の帝王からはスネイプを頼るなと言われているのに……!」
誓いを果たせなければ死ぬような契約を母が自ら結んだことに、ドラコは大層狼狽えた。しかしナルシッサは冷静だった。
「破れぬ誓いを結んだのは、私もセブルスも、貴方が失敗した時につらい目に遭ってほしくないと思っているからよ。もし、貴方の仕事が上手くいかないと闇の帝王に判断された時には」
ナルシッサは一度そこで言葉を切った。彼女はスネイプと話した際、予想どおり闇の帝王がマルフォイ家への報復としてドラコを殺そうと考えている旨を聞かされた。しかしナルシッサは息子に『試練が上手くいかなければ貴方は殺される』とまでは伝えられなかった。彼女が再び続けた。
「……試練が上手くいかないと判断された時には、貴方に何らかの罰を与え、最終的にセブルスの手でダンブルドアにとどめを刺すよう既に命令を受けているそうよ。セブルスは闇の帝王からそれだけ多くを知らされている、最も信頼されている人だわ。そんなセブルスが命を懸けてまでドラコのために破れぬ誓いを結んでくださったのは、貴方がたった一人で失敗するよりも、最初から少しでも貴方を援助して事を達成する方が、きっと闇の帝王のお怒りが少なく済むと判断したからよ」
ドラコはその話を聞いてショックを受けた。それは闇の帝王が自分を罰するつもりであることに対してではない。そちらについては命令を受けた時から既にある程度覚悟していたことだ(とはいえ当然彼は自分が失敗した場合に殺されるなどとは思ってもいないのだが)。
ドラコが何に愕然とし落胆したかといえば、母が息子である自分を一つも信じてくれていない状況に対してだった。闇の帝王はあれだけドラコを信頼し鼓舞してくれたというのに、母は息子の成功があり得ないという前提で勝手にスネイプと命を懸けるような約束を取り付けた。それがドラコにとってはハッキリ言って有難迷惑だと思ったし、何もできない子供だと釘を刺されているようで大変悔しかった。
「だからドラコ、どうかホグワーツではセブルスからの助言にはよく耳を傾けて。間接的にでも援助してもらえるよう、貴方がこれから立てる計略をしっかりお伝えするのよ。そうすれば確実に貴方は安全に事を達成できるわ……」
ナルシッサは久しぶりに安堵感から来る僅かな笑みを見せ、その瞳には涙が滲んでいた。しかし今のドラコには母がそれだけ自分を心配している状況が、一切身に沁みなかった。
(ダンブルドアを殺すことが相当難しいのは僕も理解している。だけどそれじゃあ僕が殆ど毎日、気の滅入るような呪文の練習をしているのは何のためだ?スネイプを頼らずに父上たちの栄光を取り戻そうとしているのに、これじゃあ僕のやろうとしていることは何の意味もないと言われているも同然じゃないか)
加えて最近のドラコは、ホグワーツでどのように動けば事が有利に働くか計画を練り始めたところだった。それを全てスネイプに明け渡すというのは、彼に疑念を抱いているドラコとしては避けたいことだった。
(大体、何故ベラトリックスは破れぬ誓いの立会人になった?何故スネイプに有利に働くよう協力した?)
ナルシッサがマルフォイ邸を夜中に抜け出した翌日の昼頃、彼女はリビングルームに息子を呼び出した。二人はソファに向かい合って座っており、ベラトリックスは屋敷にいなかった。
「どうしたんです母上。随分顔色が優れませんが……」
「……昨晩私は、ベラトリックスと共にセブルスの家を訪ねたわ」
それを聞いたドラコは幾らか驚いた表情を見せたが、話の続きに耳を傾けた。するとナルシッサが続けた。
「貴方がこれから成すべきことを確実に達成できるよう、協力してもらえるよう頼んできたのよ」
「!」ドラコは嫌な予感が当たって狼狽えた。
「母上、闇の帝王にはダンブルドア殺害の話を誰にもしてはならないと、そう言われたではないですか!それにスネイプの助けも借りるなと命令されています。約束を破ったことがもし知られてしまったら……!」
「ええ、セブルスにもベラにも同じことを言われたわ。だけどねドラコ、やはりセブルスはあのお方の計画をご存知だったのよ」
それを聞いてドラコは安堵感から肩の力がドッと抜け落ちた。しかし別の緊張が再び彼を襲った。
「ですがスネイプがその話を知っているのは、父上や叔母上の失墜に乗じて彼が二人の地位を攫って、闇の帝王に最も近しいご意見番になったからでしょう?そんな薄情な人を頼るべきではないのでは?」
「ドラコ、貴方はベラから散々、セブルスが私たちの名誉を傷つける存在だと聞かされていることでしょう。けれど貴方は、本当は彼がそんな人ではないとよく知っている筈だわ」
その訴えにドラコは素直に頷けなかった。何せスネイプがこれまで自分に親切にしてくれたのは確かだったが、だからといって叔母の言い分を完全には否定できなかったのだ。
「それは……分かりません。確かに叔母上はスネイプを警戒するよう言っています。スネイプは騎士団のスパイを任されるくらいですから、二枚舌が相当上手いのでは?」
しかしナルシッサはその問いに間髪入れずに返答した。
「セブルスはドラコのために、私と『破れぬ誓い』を交わしたわ」
破れぬ誓いとは二者間で誓いを立てる契約魔法のことで、約束を破れば両者共に死んでしまう。契約をするには仲介者の杖から発される魔力が必要で、今回ベラトリックスがその役を担ったのだという。
「セブルスは、貴方の取り組みを見守り、貴方を力のかぎり護り、計画が完全に上手くいかないと分かった時には、貴方の代わりにダンブルドアを討つと誓ってくださったのよ。彼は私たちを脅かす存在ではないわ」
「母上、何故そんな誓いを立てたのです!?先程もいいましたが、闇の帝王からはスネイプを頼るなと言われているのに……!」
誓いを果たせなければ死ぬような契約を母が自ら結んだことに、ドラコは大層狼狽えた。しかしナルシッサは冷静だった。
「破れぬ誓いを結んだのは、私もセブルスも、貴方が失敗した時につらい目に遭ってほしくないと思っているからよ。もし、貴方の仕事が上手くいかないと闇の帝王に判断された時には」
ナルシッサは一度そこで言葉を切った。彼女はスネイプと話した際、予想どおり闇の帝王がマルフォイ家への報復としてドラコを殺そうと考えている旨を聞かされた。しかしナルシッサは息子に『試練が上手くいかなければ貴方は殺される』とまでは伝えられなかった。彼女が再び続けた。
「……試練が上手くいかないと判断された時には、貴方に何らかの罰を与え、最終的にセブルスの手でダンブルドアにとどめを刺すよう既に命令を受けているそうよ。セブルスは闇の帝王からそれだけ多くを知らされている、最も信頼されている人だわ。そんなセブルスが命を懸けてまでドラコのために破れぬ誓いを結んでくださったのは、貴方がたった一人で失敗するよりも、最初から少しでも貴方を援助して事を達成する方が、きっと闇の帝王のお怒りが少なく済むと判断したからよ」
ドラコはその話を聞いてショックを受けた。それは闇の帝王が自分を罰するつもりであることに対してではない。そちらについては命令を受けた時から既にある程度覚悟していたことだ(とはいえ当然彼は自分が失敗した場合に殺されるなどとは思ってもいないのだが)。
ドラコが何に愕然とし落胆したかといえば、母が息子である自分を一つも信じてくれていない状況に対してだった。闇の帝王はあれだけドラコを信頼し鼓舞してくれたというのに、母は息子の成功があり得ないという前提で勝手にスネイプと命を懸けるような約束を取り付けた。それがドラコにとってはハッキリ言って有難迷惑だと思ったし、何もできない子供だと釘を刺されているようで大変悔しかった。
「だからドラコ、どうかホグワーツではセブルスからの助言にはよく耳を傾けて。間接的にでも援助してもらえるよう、貴方がこれから立てる計略をしっかりお伝えするのよ。そうすれば確実に貴方は安全に事を達成できるわ……」
ナルシッサは久しぶりに安堵感から来る僅かな笑みを見せ、その瞳には涙が滲んでいた。しかし今のドラコには母がそれだけ自分を心配している状況が、一切身に沁みなかった。
(ダンブルドアを殺すことが相当難しいのは僕も理解している。だけどそれじゃあ僕が殆ど毎日、気の滅入るような呪文の練習をしているのは何のためだ?スネイプを頼らずに父上たちの栄光を取り戻そうとしているのに、これじゃあ僕のやろうとしていることは何の意味もないと言われているも同然じゃないか)
加えて最近のドラコは、ホグワーツでどのように動けば事が有利に働くか計画を練り始めたところだった。それを全てスネイプに明け渡すというのは、彼に疑念を抱いているドラコとしては避けたいことだった。
(大体、何故ベラトリックスは破れぬ誓いの立会人になった?何故スネイプに有利に働くよう協力した?)