2. ベラトリックスの教え
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その後のベラトリックスの指導は生半可なものではなく、極めて過酷だった。ドラコは日々、何らかの生き物を前に許されざる呪文を行使しており、時には蜘蛛を自在に操り、時には爬虫類を苦しめ、時には小さい哺乳類を息絶えさせた。彼にはそれが精神的に本当に堪 えたのだが、その度にベラトリックスが鼓舞した。
「この程度で狼狽えるんじゃないよ!お前は最終的に、人間に手を掛けなくちゃならないんだ。慣れるには数をこなす以外に方法はない。お前が一体誰のためにこの術を学んでいるのか、もう一度よく思い返しな」
ドラコは先程自分が放った死の呪いによって息絶えたネズミを横目にチラと見て、普段から白い顔色を一層青白くしながらも思考を巡らせた。
(僕は、父上や母上のために、フォーラのために、闇の帝王のために……そして僕のために、今こうして許されざる呪文を教えてもらっている)
「ドラコ、お前が真面目に闇の魔術に取り組まなければ、あの勘のいいスネイプの奴がお前の得るべき手柄を横取りしてしまうかもしれないよ。それが何を意味するか言ってごらん!」
ドラコはベラトリックスの方に目を向けた。
「僕を頼ってくださった闇の帝王のお気持ちを裏切ることになってしまう……。そうなったら、マルフォイ家やあなたは純血でありながら、完全に周囲から虐げられる存在になってしまう……」
「ああそうさ。そしてあのコウモリ男が、ご主人様から最も良い待遇を受けることになる。お前や、お前の大事な存在を蹴散らしてまでね。私はお前が一人で策を考えられるように手助けする以外にも、あのコウモリ男に邪魔立てされずに済むように、こうしてわざわざ魔法省の目をかいくぐってまでこの屋敷を出入りしているんだからね。奴にお前の今後の計画を潰されでもしたら承知しないよ」
「ええ勿論……。スネイプには何の邪魔もさせるつもりはないし、だからこそ僕はあなたの指導に最後まで食らいついてみせるさ」
マルフォイ邸の小ホールでそのようなやり取りが響く中、その出入口の観音扉の向こう側の廊下では、ナルシッサが先程の二人の会話を耳に入れていた。彼女は近頃のドラコが、自分たちのために必死になって許されざる呪文を練習していることに心を痛めていた。そしてこの夏休みが終われば、当然息子はホグワーツでたった一人、ダンブルドア殺害の任務を開始することになる。それを思うと余計に彼女の胸は張り裂けそうだった。
そんなホグワーツという孤独の中で今のドラコを守れる人がいるとすれば、ナルシッサにとってはセブルス・スネイプその人しか思い浮かばなかった。何せスネイプは何年もの間ずっとドラコを気に掛けてくれている良き教師であり、ルシウスとも親しい関係を築いてきた人だ。ベラトリックスがどれだけスネイプのことを悪く言おうと、姉よりも長く彼と関わってきたナルシッサにとっては、自分の家族と接する時に彼が見せる面倒見の良さこそ、本来の姿だと思った。
(セブルスが私たち家族を蹴落とそうとする筈がない……。ベラは昔から彼とそりが合わないし、今は彼への嫉妬や激高の感情で一杯になっているから、余計に反発してしまっているのよ)
そしてその日の夜、ナルシッサは不安に駆られるあまり、『スネイプにドラコを守ってもらえるようお願いしたい』ということを、ベラトリックスと二人だけの時に零した。
「―――それにセブルスがあの方に信頼されているのなら、もしかすると既にドラコが取り組むべきことを知っている可能性もあるわ」
すると、それを聞いたベラトリックスは案の定不機嫌になって怒りをあらわにした。そのためナルシッサはこの件に関して姉とは完全に分かり合えないと判断した。
(それに最近はドラコすらもベラに触発されて、恩師への反発心を強めているようだわ……。この状況では、ドラコにこっそりホグワーツでセブルスを頼るように言っても、きっと頷かないのでしょうね……)
そもそもダンブルドア殺害の計画については、闇の帝王を含むこの場のメンバーだけの秘密だと言いつけられていた。もしその約束を破ってスネイプに話を漏らしたことが万が一にでも闇の帝王に知られれば、その時点で誰かしらが厳しい罰を受けるのは間違いなかった。
(それでも、少しでもドラコが生き残る可能性にかけるなら、私はどうしてもセブルスに会わなくては。彼なら闇の帝王のお考えを知っていても知らなくても、きっと私たちに力を貸してくださる筈……。どうかそうであって頂戴)
そしてその日の深夜頃、ドラコはすっかり自室で就寝し、ベラトリックスもとっくに別室に行ってしまった。ナルシッサはその隙をみて玄関先でマントのフードを深く被り、一人で屋敷の庭をサーッと静かに滑るようにして足早に門の方へ進んだ。するとその時、玄関扉がバンと音を立てて開くと同時にベラトリックスの声が後方から聞こえた。
「シシー!お待ち!こんな時間に一体何処へ行くっていうんだい!?」
ベラトリックスが後を追う中、ナルシッサは逃げるようにしながら反抗した。
「ほっといてちょうだい!直ぐ出掛けて、直ぐ戻るわ―――」
しかし、その声を遮るようにしてベラトリックスが叫んだ。
「まさか、あのコウモリ男の所へ行く気じゃないだろうね!?」
その図星の問いにナルシッサは足の速度を落とさないまま一度だけ姉の方を振り返ったが、直ぐに前に向き直ると何も返答せずに足の動きを一層速めた。
「シシー、そんなことをしたら許さないよ!」
姉の声を無視して屋敷の門の外に出たナルシッサは、途端に『姿くらまし』した。そして後から門の外に出たベラトリックスも、後を追うようにその場から姿を消したのだった。
「この程度で狼狽えるんじゃないよ!お前は最終的に、人間に手を掛けなくちゃならないんだ。慣れるには数をこなす以外に方法はない。お前が一体誰のためにこの術を学んでいるのか、もう一度よく思い返しな」
ドラコは先程自分が放った死の呪いによって息絶えたネズミを横目にチラと見て、普段から白い顔色を一層青白くしながらも思考を巡らせた。
(僕は、父上や母上のために、フォーラのために、闇の帝王のために……そして僕のために、今こうして許されざる呪文を教えてもらっている)
「ドラコ、お前が真面目に闇の魔術に取り組まなければ、あの勘のいいスネイプの奴がお前の得るべき手柄を横取りしてしまうかもしれないよ。それが何を意味するか言ってごらん!」
ドラコはベラトリックスの方に目を向けた。
「僕を頼ってくださった闇の帝王のお気持ちを裏切ることになってしまう……。そうなったら、マルフォイ家やあなたは純血でありながら、完全に周囲から虐げられる存在になってしまう……」
「ああそうさ。そしてあのコウモリ男が、ご主人様から最も良い待遇を受けることになる。お前や、お前の大事な存在を蹴散らしてまでね。私はお前が一人で策を考えられるように手助けする以外にも、あのコウモリ男に邪魔立てされずに済むように、こうしてわざわざ魔法省の目をかいくぐってまでこの屋敷を出入りしているんだからね。奴にお前の今後の計画を潰されでもしたら承知しないよ」
「ええ勿論……。スネイプには何の邪魔もさせるつもりはないし、だからこそ僕はあなたの指導に最後まで食らいついてみせるさ」
マルフォイ邸の小ホールでそのようなやり取りが響く中、その出入口の観音扉の向こう側の廊下では、ナルシッサが先程の二人の会話を耳に入れていた。彼女は近頃のドラコが、自分たちのために必死になって許されざる呪文を練習していることに心を痛めていた。そしてこの夏休みが終われば、当然息子はホグワーツでたった一人、ダンブルドア殺害の任務を開始することになる。それを思うと余計に彼女の胸は張り裂けそうだった。
そんなホグワーツという孤独の中で今のドラコを守れる人がいるとすれば、ナルシッサにとってはセブルス・スネイプその人しか思い浮かばなかった。何せスネイプは何年もの間ずっとドラコを気に掛けてくれている良き教師であり、ルシウスとも親しい関係を築いてきた人だ。ベラトリックスがどれだけスネイプのことを悪く言おうと、姉よりも長く彼と関わってきたナルシッサにとっては、自分の家族と接する時に彼が見せる面倒見の良さこそ、本来の姿だと思った。
(セブルスが私たち家族を蹴落とそうとする筈がない……。ベラは昔から彼とそりが合わないし、今は彼への嫉妬や激高の感情で一杯になっているから、余計に反発してしまっているのよ)
そしてその日の夜、ナルシッサは不安に駆られるあまり、『スネイプにドラコを守ってもらえるようお願いしたい』ということを、ベラトリックスと二人だけの時に零した。
「―――それにセブルスがあの方に信頼されているのなら、もしかすると既にドラコが取り組むべきことを知っている可能性もあるわ」
すると、それを聞いたベラトリックスは案の定不機嫌になって怒りをあらわにした。そのためナルシッサはこの件に関して姉とは完全に分かり合えないと判断した。
(それに最近はドラコすらもベラに触発されて、恩師への反発心を強めているようだわ……。この状況では、ドラコにこっそりホグワーツでセブルスを頼るように言っても、きっと頷かないのでしょうね……)
そもそもダンブルドア殺害の計画については、闇の帝王を含むこの場のメンバーだけの秘密だと言いつけられていた。もしその約束を破ってスネイプに話を漏らしたことが万が一にでも闇の帝王に知られれば、その時点で誰かしらが厳しい罰を受けるのは間違いなかった。
(それでも、少しでもドラコが生き残る可能性にかけるなら、私はどうしてもセブルスに会わなくては。彼なら闇の帝王のお考えを知っていても知らなくても、きっと私たちに力を貸してくださる筈……。どうかそうであって頂戴)
そしてその日の深夜頃、ドラコはすっかり自室で就寝し、ベラトリックスもとっくに別室に行ってしまった。ナルシッサはその隙をみて玄関先でマントのフードを深く被り、一人で屋敷の庭をサーッと静かに滑るようにして足早に門の方へ進んだ。するとその時、玄関扉がバンと音を立てて開くと同時にベラトリックスの声が後方から聞こえた。
「シシー!お待ち!こんな時間に一体何処へ行くっていうんだい!?」
ベラトリックスが後を追う中、ナルシッサは逃げるようにしながら反抗した。
「ほっといてちょうだい!直ぐ出掛けて、直ぐ戻るわ―――」
しかし、その声を遮るようにしてベラトリックスが叫んだ。
「まさか、あのコウモリ男の所へ行く気じゃないだろうね!?」
その図星の問いにナルシッサは足の速度を落とさないまま一度だけ姉の方を振り返ったが、直ぐに前に向き直ると何も返答せずに足の動きを一層速めた。
「シシー、そんなことをしたら許さないよ!」
姉の声を無視して屋敷の門の外に出たナルシッサは、途端に『姿くらまし』した。そして後から門の外に出たベラトリックスも、後を追うようにその場から姿を消したのだった。