2. ベラトリックスの教え
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「シシー、お前は分かっている筈だよ。私たち夫婦はご主人様の最も忠実なしもべとして、与えられた幾つもの極秘任務を完璧にこなす必要があったんだからね。例外というやつだったのさ……」
ベラトリックスはそのように話しながら、かつて闇の帝王が自分のことを最側近として最も信頼してくれていた時の、自分にとっての栄光の時代を思い出して少々落ち込んだ。そして何とか気を取り直すと続けた。
「ドラコ。お前のお母上は、今はまだお前に『結婚』という血筋の重荷を感じずに過ごしてほしいようだがね、お前ももうあとたった二年で卒業なんだ。しかも今学年中には成人もする。だからそのあたりのことは、今まで以上によく考えて過ごさなくてはならないよ。もしダンブルドアの件を早めに決着できたなら、残りの在学期間すら死喰い人のお前に限っては短縮される可能性もある。それこそ、純血優位の世を引っ張っていく崇高な存在となるためにね」
ドラコはそのように真剣に話す叔母の方をじっと見据えて頷いた。
(……フォーラは、僕が死喰い人になったとしても全てを受け入れると、そう言ってくれた。たとえ今は死喰い人が世間から冷遇されていても、彼女はずっと僕のそばにいたいと言ってくれた……。彼女は幼い頃から僕のことや、僕の血筋のことをよく理解してくれている。そして純血主義の考えを尊重してくれていて、彼女自身も紛れもない純血の生まれだ。つまり、フォーラは『マルフォイ家の息子』の結婚相手として母上や叔母上が望む条件に全く遜色ない人だと言い切れる)
ドラコはその愛しい人の微笑みや照れた様子など、これまでに見てきた様々な表情を自然と思い浮かべた。
(そもそも、純血同士の結婚だとかそんなことは関係なく、僕はもうとっくにフォーラに惹かれているんだ。ベラトリックスは恋愛感情よりも血を絶やさない方を最優先に考えろと言ったが……僕は幼馴染のフォーラを愛しているからこそ心から守りたいと思うし、彼女のためを思うからこそ、闇の帝王のご命令を絶対にやり遂げる気力が湧いてくるんだ)
さて、それから幾日の間、ドラコとベラトリックスは殆ど毎日と言っていいほどに杖を向け合い、ドラコがダンブルドアを殺すにあたって必要な呪文の鍛錬に時間を費やした。なお、その間のナルシッサは情緒を落ち着けるため、練習に顔を出さないようにと姉から言いつけられていた。
早々に閉心術を習得したドラコが次に覚えるべく叔母から提示されたのは、『許されざる呪文』と呼ばれる三つの闇の魔術だった。術を掛けた相手を術者の意のままに操る『服従の呪文』、耐えがたい苦痛をもたらし、その時間が長くなると生涯に渡って正気を失う『磔の呪い』、そして、直撃すると一切の傷を残すことなく相手の命を一瞬で奪う『死の呪い』だ。
ドラコは最初、その三つの闇の魔術を自分が使いこなせる姿が想像できず随分狼狽えた。しかし数々の戦闘を経験したベラトリックス曰く、この三つを覚えずして誰かを殺すことは困難を極めるそうだ。
「本来どの術も使っているところを誰かに見られれば、即アズカバンで終身刑レベルの代物だ。それ程に危険だからこそ、覚えておくに越したことはない。特に服従の呪文を使いこなせれば、ご命令の遂行は随分有利になる。誰かお前の身近な人間にこの術を掛けて物事を手伝わせるもよし、ダンブルドアと親しい者に術を掛けて従わせるもよし」
するとベラトリックスはおもむろに杖を振り、彼女自身とドラコの間に幾つかの物を出現させた。そこには背の高いテーブルが一つと、その上には檻とゴブレットが置かれていて、彼女はそのゴブレットを檻の中に入れるとたちまち子狐に変身させた。子狐はその場に四つ足で立って辺りをせわしなく見渡していたのだが、ベラトリックスが「インペリオ、服従せよ!」と唱えながら杖を振り、「礼儀正しくお座り」と命令すると、子狐はその卓上に足を揃えて座り、相変わらずキョロキョロと興味深そうに辺りを見渡した。
「この術に掛かった者は、術者のどんな命令にも躊躇なく従い、そうすることに喜びを感じる。そして日常で過ごす分には普段と何ら様子が変わらないのが特徴さ。但し、術者の意志が中途半端だと、この狐のようにはならないよ。力量不足の者が術を掛けると、その対象は常に恍惚とした表情になったり、逆に無表情になったりする」
ベラトリックスは服従の呪文を解除すると今度はドラコに杖を構えるよう促した。そしてドラコは杖の動きを教わると、その子狐に恐る恐る杖先を向けて服従の呪文を掛け直した。すると先程とは一変して子狐の表情がとろんと虚ろなものになったではないか。
「その場に伏せろ」ドラコが命令してみると子狐は言われたとおりにしたものの、先程のベラトリックスの時のような自然な反応はすっかり失われていて、虚ろな目で一点をぼうっと見つめていた。
「どの許されざる呪文であっても、最も気を付けるべきは『絶対にその術を目的のために成功させる』という強い意志を持つことだよ。さもないと、どの術も本来の効果を発揮しない。それからドラコ、お前は無言呪文を使ったことはあるのかい」
その質問を受けて、ドラコはこの間の春頃に初めて無言呪文を使った時のことを思い出した。ホグワーツの校内で、フォーラがポルターガイストのピーブズにバケツ一杯の水を浴びせかけられそうになっていた時に、ドラコが咄嗟に杖を振って発動させた保護呪文は口で詠唱していなかった筈だ。
「……一度だけある。だけどその時は必死だったから、今も同じようにできる自信は正直ない」
「経験しているんなら、まっさらな状態から学ぶよりは幾らかマシだろう。どの呪文でも、口で唱えるよりは頭の中で唱えた方が効果が劣る場合が多い。だが、相手の意表を突くには無言呪文は欠かせないよ。許されざる呪文の中では、服従の呪文は特に無言呪文と相性が良いからね」
ベラトリックスはそのように話しながら、かつて闇の帝王が自分のことを最側近として最も信頼してくれていた時の、自分にとっての栄光の時代を思い出して少々落ち込んだ。そして何とか気を取り直すと続けた。
「ドラコ。お前のお母上は、今はまだお前に『結婚』という血筋の重荷を感じずに過ごしてほしいようだがね、お前ももうあとたった二年で卒業なんだ。しかも今学年中には成人もする。だからそのあたりのことは、今まで以上によく考えて過ごさなくてはならないよ。もしダンブルドアの件を早めに決着できたなら、残りの在学期間すら死喰い人のお前に限っては短縮される可能性もある。それこそ、純血優位の世を引っ張っていく崇高な存在となるためにね」
ドラコはそのように真剣に話す叔母の方をじっと見据えて頷いた。
(……フォーラは、僕が死喰い人になったとしても全てを受け入れると、そう言ってくれた。たとえ今は死喰い人が世間から冷遇されていても、彼女はずっと僕のそばにいたいと言ってくれた……。彼女は幼い頃から僕のことや、僕の血筋のことをよく理解してくれている。そして純血主義の考えを尊重してくれていて、彼女自身も紛れもない純血の生まれだ。つまり、フォーラは『マルフォイ家の息子』の結婚相手として母上や叔母上が望む条件に全く遜色ない人だと言い切れる)
ドラコはその愛しい人の微笑みや照れた様子など、これまでに見てきた様々な表情を自然と思い浮かべた。
(そもそも、純血同士の結婚だとかそんなことは関係なく、僕はもうとっくにフォーラに惹かれているんだ。ベラトリックスは恋愛感情よりも血を絶やさない方を最優先に考えろと言ったが……僕は幼馴染のフォーラを愛しているからこそ心から守りたいと思うし、彼女のためを思うからこそ、闇の帝王のご命令を絶対にやり遂げる気力が湧いてくるんだ)
さて、それから幾日の間、ドラコとベラトリックスは殆ど毎日と言っていいほどに杖を向け合い、ドラコがダンブルドアを殺すにあたって必要な呪文の鍛錬に時間を費やした。なお、その間のナルシッサは情緒を落ち着けるため、練習に顔を出さないようにと姉から言いつけられていた。
早々に閉心術を習得したドラコが次に覚えるべく叔母から提示されたのは、『許されざる呪文』と呼ばれる三つの闇の魔術だった。術を掛けた相手を術者の意のままに操る『服従の呪文』、耐えがたい苦痛をもたらし、その時間が長くなると生涯に渡って正気を失う『磔の呪い』、そして、直撃すると一切の傷を残すことなく相手の命を一瞬で奪う『死の呪い』だ。
ドラコは最初、その三つの闇の魔術を自分が使いこなせる姿が想像できず随分狼狽えた。しかし数々の戦闘を経験したベラトリックス曰く、この三つを覚えずして誰かを殺すことは困難を極めるそうだ。
「本来どの術も使っているところを誰かに見られれば、即アズカバンで終身刑レベルの代物だ。それ程に危険だからこそ、覚えておくに越したことはない。特に服従の呪文を使いこなせれば、ご命令の遂行は随分有利になる。誰かお前の身近な人間にこの術を掛けて物事を手伝わせるもよし、ダンブルドアと親しい者に術を掛けて従わせるもよし」
するとベラトリックスはおもむろに杖を振り、彼女自身とドラコの間に幾つかの物を出現させた。そこには背の高いテーブルが一つと、その上には檻とゴブレットが置かれていて、彼女はそのゴブレットを檻の中に入れるとたちまち子狐に変身させた。子狐はその場に四つ足で立って辺りをせわしなく見渡していたのだが、ベラトリックスが「インペリオ、服従せよ!」と唱えながら杖を振り、「礼儀正しくお座り」と命令すると、子狐はその卓上に足を揃えて座り、相変わらずキョロキョロと興味深そうに辺りを見渡した。
「この術に掛かった者は、術者のどんな命令にも躊躇なく従い、そうすることに喜びを感じる。そして日常で過ごす分には普段と何ら様子が変わらないのが特徴さ。但し、術者の意志が中途半端だと、この狐のようにはならないよ。力量不足の者が術を掛けると、その対象は常に恍惚とした表情になったり、逆に無表情になったりする」
ベラトリックスは服従の呪文を解除すると今度はドラコに杖を構えるよう促した。そしてドラコは杖の動きを教わると、その子狐に恐る恐る杖先を向けて服従の呪文を掛け直した。すると先程とは一変して子狐の表情がとろんと虚ろなものになったではないか。
「その場に伏せろ」ドラコが命令してみると子狐は言われたとおりにしたものの、先程のベラトリックスの時のような自然な反応はすっかり失われていて、虚ろな目で一点をぼうっと見つめていた。
「どの許されざる呪文であっても、最も気を付けるべきは『絶対にその術を目的のために成功させる』という強い意志を持つことだよ。さもないと、どの術も本来の効果を発揮しない。それからドラコ、お前は無言呪文を使ったことはあるのかい」
その質問を受けて、ドラコはこの間の春頃に初めて無言呪文を使った時のことを思い出した。ホグワーツの校内で、フォーラがポルターガイストのピーブズにバケツ一杯の水を浴びせかけられそうになっていた時に、ドラコが咄嗟に杖を振って発動させた保護呪文は口で詠唱していなかった筈だ。
「……一度だけある。だけどその時は必死だったから、今も同じようにできる自信は正直ない」
「経験しているんなら、まっさらな状態から学ぶよりは幾らかマシだろう。どの呪文でも、口で唱えるよりは頭の中で唱えた方が効果が劣る場合が多い。だが、相手の意表を突くには無言呪文は欠かせないよ。許されざる呪文の中では、服従の呪文は特に無言呪文と相性が良いからね」