1. 印(しるし)
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去る一月に魔法界の監獄のアズカバンで集団脱獄があった。その脱獄犯たちはヴォルデモートという国家転覆を企む者の忠実な下僕であり、組織の中核を担う者たちでもあった。世間は彼らのことを『死喰い人』と呼び、その頭であるヴォルデモートのことを『例のあの人』だとか『名前を言ってはいけないあの人』と呼んだ。
元から世間に溶け込みながら日常を過ごしていた死喰い人に加え、この度脱獄した死喰い人たちは全員が密かに『例のあの人』の元に十数年振りに集結していた。そしてそのメンバーの一握りはこの六月、魔法界の政治の中枢である魔法省から、とある『予言』が納まったガラス玉を盗もうとした。
しかしその目論見は『不死鳥の騎士団』という敵対勢力や、ハリー・ポッターという十六歳目前の青年、その学友数名によって阻止された。予言の玉は争いの末に砕け散り、その場の誰もその内容を聞くことはなかったのだ。
戦いはそれだけに留まらず、その日のうちに『例のあの人』と、彼が最も恐れる魔法使いである老戦士のアルバス・ダンブルドア校長が魔法省のロビーで一騎打ちの決闘を繰り広げた。最終的には闇の陣営側が逃亡する形で戦いの幕は一時的に下りたが、その場にいた死喰い人たちの殆どは不死鳥の騎士団によって捕らえられた。
その一連の出来事を目撃した魔法省職員はいなかったが、『例のあの人』が立ち去るところを目撃した者は幾らかいた。それを皮切りに魔法界の『日刊預言者新聞』が『例のあの人』の復活を報じたスピードときたら、あっという間に魔法界全体に知れ渡る程の早さだった。
とはいえ十五年前に死んだとされていた『例のあの人』の復活は、既に一年前からダンブルドアやハリーが魔法省に伝えていた。しかし魔法省はそれをずっと無視するどころか二人を嘘つき呼ばわりし、事実から目を逸らし続けていた。それがこの度、まだ幾らか憶測を孕みながらも事実として明るみになったことで、魔法省はとうとうこれまで二人にとってきた傍若無人さを認め、魔法省に味方していた新聞社は手のひらを返したのだった。
さて、ヴォルデモートと死喰い人の存在が完全に白日の下に晒されると、魔法界に身を潜めていた死喰い人たちはこの二週間でマグル(魔力を持たない普通の人間)の住まう地域を中心に様々な騒動を起こした。西部地域ではハリケーンを巻き起こして屋根や街頭を吹っ飛ばしたし、とある街の橋梁は物理法則を無視したように真っ二つに折られた。そして仕舞いには見せしめとばかりに、幾人かのマグルや、魔法省に務める重役の魔法族を狂わせたり、惨殺したりした。
闇の陣営がそのような目立つ行為をしているわけは、ヴォルデモートに魔法省大臣の座を明け渡さなければ、マグルを大量虐殺すると魔法省に脅しをかけたからだった。そのようなわけで今やマグル界も魔法界もすっかり混乱状態に陥っていた。
更に悪いニュースとして、ここ最近の街は至る所で冷たい霧が立ち込めているのだが、それは『吸魂鬼』と呼ばれるおぞましい魔法生物が、魔法界の監獄『アズカバン』での看守の責務を放棄して闇の陣営側についたからだった。北海の真ん中にあるアズカバンを離れた吸魂鬼は日々数を増やしており、マグルの住まう地域に繰り出しては人々を襲った。魔法省はそれらの始末に追われる日々で、日刊預言者新聞が魔法省に多くの批判を投げるのも当然の流れだった。
ところで、魔法省で戦闘が繰り広げられたあの日の話題のうち、あの場にいた関係者は『予言』をめぐって戦闘が起きたことや、予言の内容に関する一切を秘密にしていた。しかし新聞社はそのどちらもの情報を何処からか得て報じたのだ。表向きは家屋侵入と窃盗の罪で捕らえられたとされている死喰い人が、予言のガラス玉を盗もうとして捕まったのでは?ということや、予言がハリー・ポッターに関するものであり、ハリーこそが『例のあの人』を排除できる唯一の人物だという内容が納められていたのでは、という記事が出たのだ。そして実際そのどちらもの話が事実だったし、最早あの日の出来事は世間に洪水状態だった。
世間に広まっている予言の内容自体は、不死鳥の騎士団も闇の陣営も十五年前から把握していた。だからこそヴォルデモートは過去、赤ん坊だった頃のハリーを殺そうとしたのだ。では何故今になって『例のあの人』が再びその予言の内容を求めたかといえば、予言にはまだ続きがあり、そこに打倒ハリー・ポッターに繋がる何かが隠されていると悟っていたからだった。
さて、あの日捕まった死喰い人―――つまり闇の陣営側の幹部にあたるが、そのうちの一人であるルシウス・マルフォイという男は、二週間前にアズカバンに投獄されたうちの一人だった。そして彼の住まう屋敷には魔法省から幾人もの職員が訪れて盛大な家宅捜索が行われた。闇の魔術の品は押収されたし、屋敷内に死喰い人が匿われていないかが徹底的に調査されたのだ。
屋敷に取り残されたルシウスの妻であるナルシッサは、彼の投獄を大層嘆いた。彼女はルシウスと違って死喰い人ではなかったが、闇の陣営側として夫の責務を最大限支援していた。しかしその助力虚しく、ルシウスはヴォルデモートの―――『闇の帝王』の側近として任された重大な仕事をしくじったのだ。
ルシウスにとって最悪だったのは、ヴォルデモートが求めた予言の続きを聞くことが叶わなかったのは勿論のこと、それによって闇の帝王から失望され、完全に彼の寵愛を失ってしまったことだった。
元から世間に溶け込みながら日常を過ごしていた死喰い人に加え、この度脱獄した死喰い人たちは全員が密かに『例のあの人』の元に十数年振りに集結していた。そしてそのメンバーの一握りはこの六月、魔法界の政治の中枢である魔法省から、とある『予言』が納まったガラス玉を盗もうとした。
しかしその目論見は『不死鳥の騎士団』という敵対勢力や、ハリー・ポッターという十六歳目前の青年、その学友数名によって阻止された。予言の玉は争いの末に砕け散り、その場の誰もその内容を聞くことはなかったのだ。
戦いはそれだけに留まらず、その日のうちに『例のあの人』と、彼が最も恐れる魔法使いである老戦士のアルバス・ダンブルドア校長が魔法省のロビーで一騎打ちの決闘を繰り広げた。最終的には闇の陣営側が逃亡する形で戦いの幕は一時的に下りたが、その場にいた死喰い人たちの殆どは不死鳥の騎士団によって捕らえられた。
その一連の出来事を目撃した魔法省職員はいなかったが、『例のあの人』が立ち去るところを目撃した者は幾らかいた。それを皮切りに魔法界の『日刊預言者新聞』が『例のあの人』の復活を報じたスピードときたら、あっという間に魔法界全体に知れ渡る程の早さだった。
とはいえ十五年前に死んだとされていた『例のあの人』の復活は、既に一年前からダンブルドアやハリーが魔法省に伝えていた。しかし魔法省はそれをずっと無視するどころか二人を嘘つき呼ばわりし、事実から目を逸らし続けていた。それがこの度、まだ幾らか憶測を孕みながらも事実として明るみになったことで、魔法省はとうとうこれまで二人にとってきた傍若無人さを認め、魔法省に味方していた新聞社は手のひらを返したのだった。
さて、ヴォルデモートと死喰い人の存在が完全に白日の下に晒されると、魔法界に身を潜めていた死喰い人たちはこの二週間でマグル(魔力を持たない普通の人間)の住まう地域を中心に様々な騒動を起こした。西部地域ではハリケーンを巻き起こして屋根や街頭を吹っ飛ばしたし、とある街の橋梁は物理法則を無視したように真っ二つに折られた。そして仕舞いには見せしめとばかりに、幾人かのマグルや、魔法省に務める重役の魔法族を狂わせたり、惨殺したりした。
闇の陣営がそのような目立つ行為をしているわけは、ヴォルデモートに魔法省大臣の座を明け渡さなければ、マグルを大量虐殺すると魔法省に脅しをかけたからだった。そのようなわけで今やマグル界も魔法界もすっかり混乱状態に陥っていた。
更に悪いニュースとして、ここ最近の街は至る所で冷たい霧が立ち込めているのだが、それは『吸魂鬼』と呼ばれるおぞましい魔法生物が、魔法界の監獄『アズカバン』での看守の責務を放棄して闇の陣営側についたからだった。北海の真ん中にあるアズカバンを離れた吸魂鬼は日々数を増やしており、マグルの住まう地域に繰り出しては人々を襲った。魔法省はそれらの始末に追われる日々で、日刊預言者新聞が魔法省に多くの批判を投げるのも当然の流れだった。
ところで、魔法省で戦闘が繰り広げられたあの日の話題のうち、あの場にいた関係者は『予言』をめぐって戦闘が起きたことや、予言の内容に関する一切を秘密にしていた。しかし新聞社はそのどちらもの情報を何処からか得て報じたのだ。表向きは家屋侵入と窃盗の罪で捕らえられたとされている死喰い人が、予言のガラス玉を盗もうとして捕まったのでは?ということや、予言がハリー・ポッターに関するものであり、ハリーこそが『例のあの人』を排除できる唯一の人物だという内容が納められていたのでは、という記事が出たのだ。そして実際そのどちらもの話が事実だったし、最早あの日の出来事は世間に洪水状態だった。
世間に広まっている予言の内容自体は、不死鳥の騎士団も闇の陣営も十五年前から把握していた。だからこそヴォルデモートは過去、赤ん坊だった頃のハリーを殺そうとしたのだ。では何故今になって『例のあの人』が再びその予言の内容を求めたかといえば、予言にはまだ続きがあり、そこに打倒ハリー・ポッターに繋がる何かが隠されていると悟っていたからだった。
さて、あの日捕まった死喰い人―――つまり闇の陣営側の幹部にあたるが、そのうちの一人であるルシウス・マルフォイという男は、二週間前にアズカバンに投獄されたうちの一人だった。そして彼の住まう屋敷には魔法省から幾人もの職員が訪れて盛大な家宅捜索が行われた。闇の魔術の品は押収されたし、屋敷内に死喰い人が匿われていないかが徹底的に調査されたのだ。
屋敷に取り残されたルシウスの妻であるナルシッサは、彼の投獄を大層嘆いた。彼女はルシウスと違って死喰い人ではなかったが、闇の陣営側として夫の責務を最大限支援していた。しかしその助力虚しく、ルシウスはヴォルデモートの―――『闇の帝王』の側近として任された重大な仕事をしくじったのだ。
ルシウスにとって最悪だったのは、ヴォルデモートが求めた予言の続きを聞くことが叶わなかったのは勿論のこと、それによって闇の帝王から失望され、完全に彼の寵愛を失ってしまったことだった。
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