3. リーマス
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その日の夕食前にルーピンは屋敷へ戻ってきた。彼はどこかで買い物でもして来たのか片手に茶色の薄い紙袋を抱えていた。夕食後、彼はフォーラの正面の席にやってくるとその紙袋の中身を取り出して彼女に渡した。
「今朝のお願いのことだけど、仕事の帰りに本屋に寄っていてね。どれをお願いしようか迷ったんだ」
そう言いながらルーピンは嬉しそうにケーキや焼き菓子のレシピののった料理本をパラパラとめくった。
フォーラは少しばかり驚いて尋ねた。
「先生、あれ、本気だったのですね。」
すると彼は至極真面目な顔で「もちろん!」と頷いた。
「僕としては、フォーラ、このチョコレートケーキとかが最高だな。あとはこっちのチョコレートサンドなんかもいいね。それからチョコレートプディングなんかも」
目を輝かせてページをめくる姿に気を取られていると、隣からジニーの手が伸びてきて、ルーピンの手の動きを止めた。
「ルーピンったらチョコレートばっかり。私、このアップルパイが気になるわ!」
すると今度はそれを聞きつけたウィーズリーの双子とロンがルーピンの後ろからぐいとこちらを覗き見た。
「フォーラ、お菓子を作るのか?」
「おいおい、そういう事は早く教えてくれなくっちゃ」
ジョージはフレッドと共にフォーラに自分達の好物を語った。皆がワイワイと話す中でフォーラは最初こそ戸惑っていたものの、次第に笑顔で言葉を返していた。
「フォーラ、これとかどう?」
「・・ええ!とっても美味しそう。作ってみたいわ!」
その日の夕食後のまどろみの時間、フォーラはルーピンの部屋のドアを叩いた。部屋から現れた彼は少し驚いた様子だったが、軽く挨拶して尋ねた。
「やあフォーラ。どうしたんだい?」
「あの、先生・・今お時間よろしいですか?
今朝のことで、少しお話があって。」
ルーピンはこんなに早く彼女が自らその話をしに来るとは思っていなかった。彼は静かに頷いた。
「そうか。丁度暇していたところだよ。中で話すかい?」
フォーラがこくりと頷いて中に入ったところでルーピンは狭い部屋に二人きりだと気付いたが、軽く咳払いをしてドアを閉めた。彼女を椅子に座らせるとルーピンはベッドに腰掛けて足を組んだ。
するとフォーラがおもむろに話した。
「私・・・今朝の、先生の提案通りにしてみようと思います。」
「!・・本当に、大丈夫かい?」
「大丈夫かは・・わかりません。私、今日先生と話してからたくさん考えて・・・、結局答が出ませんでした。」
彼女は一旦言葉を止めたが、少し間を置いてから続けた。
「でも、さっき先生や皆が楽しそうにしているのを見て、こんなに皆が明るくしてくれているのに、自分だけこのままじゃいけないって、
私も一緒に楽しく過ごせるようになりたいって、そう思ったんです。だから」
彼女の言葉を真剣に聞いたルーピンは、彼女が言い終えると浅く息を吐いた。そして笑顔で言った。
「フォーラ、信じてくれてありがとう。
きっと上手くいく。私や皆が付いている。きっと、純血とのしがらみを解決できる」
「・・・はい」
フォーラは心の片隅で、それでも結局今の複雑な感情が解消されなかったら?と自分に疑問を投げかけかけた。しかしルーピンとの約束を守るため、いや、無意識のうちに彼女は彼に向けられた笑顔で先程の疑問を何処かへやってしまった。
ルーピンは少し座り直すと、先程より柔らかい声でまっすぐ言葉を発した。
「フォーラ。
ご両親は君を純血が関わる中で過ごさせたことを本当に申し訳なく思っている様子だった。」
「!」
フォーラは何と言葉を返せばいいかわからなかった。そんな彼女を見てルーピンはベッドから立ち上がると椅子に座る彼女の前に屈んで、両手を取り微笑んだ。
「私は君の疎外感がどういうものか少なからずわかる。そしてそれは必ず時間が解決してくれる。それだけは確かだ。
ただ、私はフォーラには時間に任せず少しでも早く元気になって欲しいと思っている。
それは、フォーラのご両親だって同じだよ。」
フォーラは「両親だって同じ」と聞いた途端、心の中にもやりとした気持ちを抱えた。それが何なのか言い表すのは難しかったが、思わず彼女はルーピンから視線を下げてしまった。何となくだが、その言葉の後には自分の欲しくない言葉が続く気がした。
しかしルーピンにはその理由がわかった。
「フォーラ、大丈夫だよ。何も ご両親を責めるな とか、ご両親のためにも なんて言ってるわけじゃない。」
「えっ・・」
フォーラは一瞬困惑した。ルーピンはフォーラが心の奥に閉まって忘れかけていた部分を、まるでノックしたかのようだった。
「私、別に両親を責めてなんか・・」
そうは言ったものの、彼女の語尾は次第に霞になっていた。フォーラは夏休みの最初に屋敷に帰ってきた日、自室で涙を流しながら両親を疎んだ記憶をかき消した。
「君が一旦全てを忘れた気でみんなと過ごせば、きっと今まで気づかなかったことに気づける筈だ。
そして、ご両親とこれから何を話して、今のような気持ちも含めてどうしなければいけないかが分かるかもしれない。
私はそう信じている」
フォーラは視線を再度ルーピンに戻した。その瞳には不安と期待が伺えた。
ルーピンは優しく笑っていた。
「もしかしたら元と全く同じ関係に戻れないことだってあるかもしれない。
けれど、これまでと違っていても新しい関係になれれば、私はそれが君の出した答なんだと思うよ」
「今朝のお願いのことだけど、仕事の帰りに本屋に寄っていてね。どれをお願いしようか迷ったんだ」
そう言いながらルーピンは嬉しそうにケーキや焼き菓子のレシピののった料理本をパラパラとめくった。
フォーラは少しばかり驚いて尋ねた。
「先生、あれ、本気だったのですね。」
すると彼は至極真面目な顔で「もちろん!」と頷いた。
「僕としては、フォーラ、このチョコレートケーキとかが最高だな。あとはこっちのチョコレートサンドなんかもいいね。それからチョコレートプディングなんかも」
目を輝かせてページをめくる姿に気を取られていると、隣からジニーの手が伸びてきて、ルーピンの手の動きを止めた。
「ルーピンったらチョコレートばっかり。私、このアップルパイが気になるわ!」
すると今度はそれを聞きつけたウィーズリーの双子とロンがルーピンの後ろからぐいとこちらを覗き見た。
「フォーラ、お菓子を作るのか?」
「おいおい、そういう事は早く教えてくれなくっちゃ」
ジョージはフレッドと共にフォーラに自分達の好物を語った。皆がワイワイと話す中でフォーラは最初こそ戸惑っていたものの、次第に笑顔で言葉を返していた。
「フォーラ、これとかどう?」
「・・ええ!とっても美味しそう。作ってみたいわ!」
その日の夕食後のまどろみの時間、フォーラはルーピンの部屋のドアを叩いた。部屋から現れた彼は少し驚いた様子だったが、軽く挨拶して尋ねた。
「やあフォーラ。どうしたんだい?」
「あの、先生・・今お時間よろしいですか?
今朝のことで、少しお話があって。」
ルーピンはこんなに早く彼女が自らその話をしに来るとは思っていなかった。彼は静かに頷いた。
「そうか。丁度暇していたところだよ。中で話すかい?」
フォーラがこくりと頷いて中に入ったところでルーピンは狭い部屋に二人きりだと気付いたが、軽く咳払いをしてドアを閉めた。彼女を椅子に座らせるとルーピンはベッドに腰掛けて足を組んだ。
するとフォーラがおもむろに話した。
「私・・・今朝の、先生の提案通りにしてみようと思います。」
「!・・本当に、大丈夫かい?」
「大丈夫かは・・わかりません。私、今日先生と話してからたくさん考えて・・・、結局答が出ませんでした。」
彼女は一旦言葉を止めたが、少し間を置いてから続けた。
「でも、さっき先生や皆が楽しそうにしているのを見て、こんなに皆が明るくしてくれているのに、自分だけこのままじゃいけないって、
私も一緒に楽しく過ごせるようになりたいって、そう思ったんです。だから」
彼女の言葉を真剣に聞いたルーピンは、彼女が言い終えると浅く息を吐いた。そして笑顔で言った。
「フォーラ、信じてくれてありがとう。
きっと上手くいく。私や皆が付いている。きっと、純血とのしがらみを解決できる」
「・・・はい」
フォーラは心の片隅で、それでも結局今の複雑な感情が解消されなかったら?と自分に疑問を投げかけかけた。しかしルーピンとの約束を守るため、いや、無意識のうちに彼女は彼に向けられた笑顔で先程の疑問を何処かへやってしまった。
ルーピンは少し座り直すと、先程より柔らかい声でまっすぐ言葉を発した。
「フォーラ。
ご両親は君を純血が関わる中で過ごさせたことを本当に申し訳なく思っている様子だった。」
「!」
フォーラは何と言葉を返せばいいかわからなかった。そんな彼女を見てルーピンはベッドから立ち上がると椅子に座る彼女の前に屈んで、両手を取り微笑んだ。
「私は君の疎外感がどういうものか少なからずわかる。そしてそれは必ず時間が解決してくれる。それだけは確かだ。
ただ、私はフォーラには時間に任せず少しでも早く元気になって欲しいと思っている。
それは、フォーラのご両親だって同じだよ。」
フォーラは「両親だって同じ」と聞いた途端、心の中にもやりとした気持ちを抱えた。それが何なのか言い表すのは難しかったが、思わず彼女はルーピンから視線を下げてしまった。何となくだが、その言葉の後には自分の欲しくない言葉が続く気がした。
しかしルーピンにはその理由がわかった。
「フォーラ、大丈夫だよ。何も ご両親を責めるな とか、ご両親のためにも なんて言ってるわけじゃない。」
「えっ・・」
フォーラは一瞬困惑した。ルーピンはフォーラが心の奥に閉まって忘れかけていた部分を、まるでノックしたかのようだった。
「私、別に両親を責めてなんか・・」
そうは言ったものの、彼女の語尾は次第に霞になっていた。フォーラは夏休みの最初に屋敷に帰ってきた日、自室で涙を流しながら両親を疎んだ記憶をかき消した。
「君が一旦全てを忘れた気でみんなと過ごせば、きっと今まで気づかなかったことに気づける筈だ。
そして、ご両親とこれから何を話して、今のような気持ちも含めてどうしなければいけないかが分かるかもしれない。
私はそう信じている」
フォーラは視線を再度ルーピンに戻した。その瞳には不安と期待が伺えた。
ルーピンは優しく笑っていた。
「もしかしたら元と全く同じ関係に戻れないことだってあるかもしれない。
けれど、これまでと違っていても新しい関係になれれば、私はそれが君の出した答なんだと思うよ」