3. リーマス
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おや、そうだったのか。……ところで、私は甘いものに目がなくてね。是非ここにいる間に君のお手製のお菓子を食べてみたいと思うんだが、どうかな」
するとフォーラの隣に座っていたハーマイオニーが答えた。
「私、フォーラのシフォンケーキを食べたことがあるけれど、とっても美味しかったのよ!」
「ありがとうハーマイオニー。だけど、あの時は屋敷しもべ妖精にも手伝ってもらったから……。」
フォーラが少々赤くなって話す姿を見てルーピンが笑みを向け、彼はそばに置いていた鞄を手に取った。
「仕事から戻ったら是非何かリクエストさせてほしいな。勿論、無理にとは言わないけれど」
「え!」フォーラが気恥ずかしそうにルーピンを見上げた。「えっと、お台所を使っても構わなければ……。」
するとルーピンは直ぐにその旨をモリーに伝え、彼女からはオーケーの答えが返ってきた。
「ありがとう」ルーピンはモリーにお礼を伝え、フォーラの方に向き直ると「良かった!」と無邪気な笑顔を見せた。
その後、ルーピンはアーサーと共に「行ってきます」と挨拶をして仕事へ向かった。ところが彼らが食堂から出て扉を閉めた直ぐ後に、モリーがテーブルを見てアッと息を呑んだ。
「リーマスったら、お昼のサンドイッチをすっかり忘れているわ!」
テーブルを見ると、確かにアーサーとルーピンにそれぞれ渡された紙袋のうち、一つだけがルーピンの座っていた席に取り残されていた。
「私、渡してきます」紙袋の一番近くにいたフォーラは、それを手に取って急いで玄関へと向かった。そして彼女はアーサーとルーピンが丁度、館の玄関扉を開いたところに間に合った。
「ルーピン先生」彼女はシリウスの母親の肖像画を起こさないよう気をつけつつ、彼に声を掛けた。
「?フォーラ、どうしたんだい?」
「これを忘れていました。」昼食の入った紙袋を差し出せば、ルーピンは少々驚いた反応を見せた後で申し訳なさそうな笑みを覗かせた。
「いやあ、これはすまなかったね」
「いえ、間に合ってよかったです。」フォーラもつられて微笑んだ。
「本当に助かったよ、ありがとう。それじゃあまた今夜」ルーピンはそのようにお礼を伝え、玄関を出て直ぐの階段の所にいるアーサーを追いかけようと踵を返した。しかし彼はふとその足を止め、短い間に何かを思案した後でアーサーに声を掛けた。
「アーサー、すまないが先に行っていてくれないか。フォーラに用があるのを忘れていてね」
「ああ、分かった。それじゃあまた後で落ち合うことにしよう。私の事務所を訪ねてきてくれないか」
「そうするよ」
アーサーが階段の上で『姿くらまし』すると、ルーピンは玄関扉を静かに閉じた。そしてきょとんとした様子のフォーラの方に向き直った。
「急にすまない、少し気になったことがあって」
「何でしょう?」
ルーピンは少し間を置いてから、静かに話した。
「フォーラ、気のせいだったら申し訳ないんだが……。君は、ご両親や君自身の、特に血の繋がりのことで相当思い悩んでいるんじゃないかと思ったんだ」
「!」
ルーピンにとってこれはフォーラに鎌を掛けるような質問で、気のせいならそれで構わなかった。しかし一方の彼女は何と答えればいいか迷っている様子だった。しかもすっかり黙ってしまったものだから、ルーピンは彼女の無言を肯定と捉えて続けた。
「ここ数日の君を見て、そうじゃないかと感じていたんだ。どうしても気になってしまって」
フォーラはザワザワとした心持ちで無意識のうちにルーピンから視線を外し、その瞳を揺らしていた。彼女の口からは『そんなことありませんよ』というその一言が出てこなかった。朝食前に彼と会った時には上手くごまかせたと思っていたのだが。彼にはきっと全てお見通しだったのだろう。もしかすると、自分が純血主義の考えに対して猫を被っていることも……。
「わ、私……。」フォーラは少しの間だけ俯き、その視線をルーピンの方に戻すと小声ではっきりと言葉を伝えた。
「自分で何とかできます。みんなには大丈夫と伝えているんです。私が自分で何とかしなくちゃいけないことだから、だから」
ルーピンはつい先程までフォーラが見せていた優しい表情が、みるみるうちに迷いの色に崩れるのを見た。フォーラは自分の心の内をひた隠しにしていたつもりだったのに、ルーピンに気付かれたことが恥ずかしくて仕方がなかった。次第に彼女はルーピンの瞳を見ているのがつらくなり、再び俯いてしまった。そして彼女が次に口を開いた時には、ここに来た初日にジョージやみんなに話さなかったことを何故かルーピンには打ち明けていた。彼女は呟くように零した声を震わせていた。
「自分が純血じゃないことをこんなにも気にしているなんて、あんなに純血主義にも反純血主義にも寛容な風でいたくせに、こ、こんなにも自分が狡いなんて、先生にも、みんなにも知られたくない……。」
ルーピンはフォーラが相当思い悩んでいたと確信して心苦しさを感じたが、直ぐに優しく声を掛けた。
「フォーラ、脅かすようなことを言ってすまない。私はフォーラが狡いだなんて思わないよ。それに勿論、今聞いたことを誰にも話すつもりもない。私は君にお願いがあって声を掛けたんだ」
フォーラにはルーピンが何を言おうとしているのか全く予想できなかった。彼は少しだけ腰を曲げて彼女の目線まで屈むと尋ねた。
「フォーラ。ここにいる間だけ、ご両親や純血のことを忘れてみないか」
「え……?」フォーラの反応を見て、ルーピンは突然の提案に困惑して当然だと思った。彼が続けた。
「忘れると言うか、考えないようにすると言った方が正しいかもしれない。勿論難しいことだと思う。だけどもし君が今、自分で何をすればいいか判断がつかなくなっているのなら、だったら一度全て考えるのをやめてみてほしいと思ったんだ」
「で、でも、そんなこと」
「フォーラ、そうすれば気付けることだってある」ルーピンは彼女の言葉を遮った。
ルーピンは自分が随分厳しい話をうら若い存在に伝えているのは理解していたが、少しでもフォーラのつらい気持ちが和らげばと思ってそのようなことを提案していた。問題から逃げれば悩みの解決に繋がる、などという提案は当然ながら成功を断言できるものでもなかった。ただ、今の彼女がずっと同じように悩み続けるよりは、先ずは心の負担を軽くしてあげたかったのだ。
するとフォーラの隣に座っていたハーマイオニーが答えた。
「私、フォーラのシフォンケーキを食べたことがあるけれど、とっても美味しかったのよ!」
「ありがとうハーマイオニー。だけど、あの時は屋敷しもべ妖精にも手伝ってもらったから……。」
フォーラが少々赤くなって話す姿を見てルーピンが笑みを向け、彼はそばに置いていた鞄を手に取った。
「仕事から戻ったら是非何かリクエストさせてほしいな。勿論、無理にとは言わないけれど」
「え!」フォーラが気恥ずかしそうにルーピンを見上げた。「えっと、お台所を使っても構わなければ……。」
するとルーピンは直ぐにその旨をモリーに伝え、彼女からはオーケーの答えが返ってきた。
「ありがとう」ルーピンはモリーにお礼を伝え、フォーラの方に向き直ると「良かった!」と無邪気な笑顔を見せた。
その後、ルーピンはアーサーと共に「行ってきます」と挨拶をして仕事へ向かった。ところが彼らが食堂から出て扉を閉めた直ぐ後に、モリーがテーブルを見てアッと息を呑んだ。
「リーマスったら、お昼のサンドイッチをすっかり忘れているわ!」
テーブルを見ると、確かにアーサーとルーピンにそれぞれ渡された紙袋のうち、一つだけがルーピンの座っていた席に取り残されていた。
「私、渡してきます」紙袋の一番近くにいたフォーラは、それを手に取って急いで玄関へと向かった。そして彼女はアーサーとルーピンが丁度、館の玄関扉を開いたところに間に合った。
「ルーピン先生」彼女はシリウスの母親の肖像画を起こさないよう気をつけつつ、彼に声を掛けた。
「?フォーラ、どうしたんだい?」
「これを忘れていました。」昼食の入った紙袋を差し出せば、ルーピンは少々驚いた反応を見せた後で申し訳なさそうな笑みを覗かせた。
「いやあ、これはすまなかったね」
「いえ、間に合ってよかったです。」フォーラもつられて微笑んだ。
「本当に助かったよ、ありがとう。それじゃあまた今夜」ルーピンはそのようにお礼を伝え、玄関を出て直ぐの階段の所にいるアーサーを追いかけようと踵を返した。しかし彼はふとその足を止め、短い間に何かを思案した後でアーサーに声を掛けた。
「アーサー、すまないが先に行っていてくれないか。フォーラに用があるのを忘れていてね」
「ああ、分かった。それじゃあまた後で落ち合うことにしよう。私の事務所を訪ねてきてくれないか」
「そうするよ」
アーサーが階段の上で『姿くらまし』すると、ルーピンは玄関扉を静かに閉じた。そしてきょとんとした様子のフォーラの方に向き直った。
「急にすまない、少し気になったことがあって」
「何でしょう?」
ルーピンは少し間を置いてから、静かに話した。
「フォーラ、気のせいだったら申し訳ないんだが……。君は、ご両親や君自身の、特に血の繋がりのことで相当思い悩んでいるんじゃないかと思ったんだ」
「!」
ルーピンにとってこれはフォーラに鎌を掛けるような質問で、気のせいならそれで構わなかった。しかし一方の彼女は何と答えればいいか迷っている様子だった。しかもすっかり黙ってしまったものだから、ルーピンは彼女の無言を肯定と捉えて続けた。
「ここ数日の君を見て、そうじゃないかと感じていたんだ。どうしても気になってしまって」
フォーラはザワザワとした心持ちで無意識のうちにルーピンから視線を外し、その瞳を揺らしていた。彼女の口からは『そんなことありませんよ』というその一言が出てこなかった。朝食前に彼と会った時には上手くごまかせたと思っていたのだが。彼にはきっと全てお見通しだったのだろう。もしかすると、自分が純血主義の考えに対して猫を被っていることも……。
「わ、私……。」フォーラは少しの間だけ俯き、その視線をルーピンの方に戻すと小声ではっきりと言葉を伝えた。
「自分で何とかできます。みんなには大丈夫と伝えているんです。私が自分で何とかしなくちゃいけないことだから、だから」
ルーピンはつい先程までフォーラが見せていた優しい表情が、みるみるうちに迷いの色に崩れるのを見た。フォーラは自分の心の内をひた隠しにしていたつもりだったのに、ルーピンに気付かれたことが恥ずかしくて仕方がなかった。次第に彼女はルーピンの瞳を見ているのがつらくなり、再び俯いてしまった。そして彼女が次に口を開いた時には、ここに来た初日にジョージやみんなに話さなかったことを何故かルーピンには打ち明けていた。彼女は呟くように零した声を震わせていた。
「自分が純血じゃないことをこんなにも気にしているなんて、あんなに純血主義にも反純血主義にも寛容な風でいたくせに、こ、こんなにも自分が狡いなんて、先生にも、みんなにも知られたくない……。」
ルーピンはフォーラが相当思い悩んでいたと確信して心苦しさを感じたが、直ぐに優しく声を掛けた。
「フォーラ、脅かすようなことを言ってすまない。私はフォーラが狡いだなんて思わないよ。それに勿論、今聞いたことを誰にも話すつもりもない。私は君にお願いがあって声を掛けたんだ」
フォーラにはルーピンが何を言おうとしているのか全く予想できなかった。彼は少しだけ腰を曲げて彼女の目線まで屈むと尋ねた。
「フォーラ。ここにいる間だけ、ご両親や純血のことを忘れてみないか」
「え……?」フォーラの反応を見て、ルーピンは突然の提案に困惑して当然だと思った。彼が続けた。
「忘れると言うか、考えないようにすると言った方が正しいかもしれない。勿論難しいことだと思う。だけどもし君が今、自分で何をすればいいか判断がつかなくなっているのなら、だったら一度全て考えるのをやめてみてほしいと思ったんだ」
「で、でも、そんなこと」
「フォーラ、そうすれば気付けることだってある」ルーピンは彼女の言葉を遮った。
ルーピンは自分が随分厳しい話をうら若い存在に伝えているのは理解していたが、少しでもフォーラのつらい気持ちが和らげばと思ってそのようなことを提案していた。問題から逃げれば悩みの解決に繋がる、などという提案は当然ながら成功を断言できるものでもなかった。ただ、今の彼女がずっと同じように悩み続けるよりは、先ずは心の負担を軽くしてあげたかったのだ。