1. 逃避
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そうか、マリアたち使用人の三人も反抗勢力のメンバーだったのか。フォーラはその組織について色々と質問したかったが、シェードがリビングルームに入ってきて「お待たせ、そろそろ行かなくては」と合図したため、それ以上は口をつぐんだ。そんな彼女に気付いてリプトニアが優しく言った。
「もう少し話したいのだけれど、ごめんなさいね。向こうに着いたらウィーズリー家のみなさんが詳しい話をしてくれますよ」
「ええ、分かったわ母様。」フォーラは自分の考えを母がお見通しだったので少々ドキリとした。一言も『もっと聞きたい』なんて言っていないのに。表情だって表に出していなかった筈なのに……。
「それじゃあフォーラ、お先に行くよ」シェードはマントルピースの上に置かれた器からフルーパウダーを掴んで暖炉に撒き、エメラルド色の炎を出現させた。そして娘のトランクと鳥籠を片手ずつ持つと燃え盛る炎の中に立った。彼はマントルピースによって胸より上が煙突内部に隠れた状態で、ロンドン郊外の建物の名を唱えるとその炎と共に消えた。今度はリプトニアがフォーラを暖炉に促しながら言った。
「シェードの唱えた場所を目指してね。私もすぐ行きますから」
フォーラが頷いて粉を一掴みしてから暖炉の中に入ろうとした時、不意にマリアが声を掛けた。
「お嬢様……お気をつけて」
「ええ、ありがとうマリア。みんなも、行ってきます。」フォーラはいつもどおりの笑みを返し、暖炉の中に立つと足元に粉を撒いた。そしてエメラルド色の炎が身体を包んだのを合図に行き先を唱えようと息を吸い込んだ。すると、居ても立ってもいられなくなったマリアが、再びフォーラに言葉を投げ掛けた。
「お屋敷が恋しくなったら、いつでも戻っていらしてくださいね!待っていますから……!」感極まった様子で言ったマリアにフォーラは少々驚きつつも、軽く屈んでリビング側が見えるようにマントルピースから顔を覗かせると、改めて笑みを返して『ありがとう』と声を発さずに口の動きで伝えた。
本当は『直ぐに帰ってくる』と伝えたかった。だがそれは今の自分の本心ではない。とはいえこうしてマリアを含む面々を見ていると、まるで自分の居場所がここだと教えてくれているようだった。フォーラにとってそれは本当に有難く嬉しいことだった。
しかしそれと同時に、家族を心から愛せる自分に早く戻らなければという想いが掻き立てられ、フォーラを焦らせた。そして彼女はマリアの声色をきっかけに、この屋敷のみんなにはもうすっかり自分の隠した気持ちがばれているのだと改めて認識させられた。
その後のフォーラは移動先の古ぼけた建物の暖炉から出た。そして先に着いていた父と、後からやって来た母と共にその廃墟から静かに立ち去った。玄関を出ると目の前には寂れた通りが続いており、街灯がぽつりぽつりと灯り始めていた。
「直接、目的の建物に飛ばないのね?」フォーラが尋ねた。
「煙突飛行ネットワークは、やろうと思えば追跡できてしまうからね。敵に団員の居場所を知られては事だ。直ぐそこだよ」シェードが静かに答えた。
両親の後ろを付いて暫く歩くと、二人はとある家と家の境目を前に立ち止まった。そしてリプトニアがポケットから小さな羊皮紙を取り出し、フォーラにさっと読ませた。
『不死鳥の騎士団本部 グリモールド・プレイス 十二番地』
フォーラはこの『不死鳥の騎士団』というのが、両親たちの所属する団体なのだと理解した。
「覚えたかしら?そうしたら、今の言葉を思い浮かべて……」リプトニアが先程のメモを杖で燃やしながら言った。
フォーラが目の前に並び建っている二軒の家を見ると、片方は十一番地、もう片方は十三番地と書かれていた。そして彼女が母親に言われたとおり先程の住所を思い浮かべてみると、二軒の間には何処からともなく古びて傷んだ扉が現れ、たちまち薄汚れた壁と煤 けた窓も現れた。だからといって押しのけられた両隣の家の住人が驚いて玄関から飛び出てくることはなく、家が『生えた』こと以外は全てがいつもと変わらない様子だった。
シェードがフォーラを促すと、三人は十二番地の階段を足早に上った。
「玄関に入ったら、奥に行くまで物音を立ててはいけないよ。寝ている屋敷の主人を起こすと、お怒りになってしまうからね」
三人がその古びた建物の中に入ると、そこは年季の入った館 だった。天井には蜘蛛の巣が張っていて、玄関にはトロールの脚で作られた傘立てがあり、近くに見える扉のノブは蛇の形をしていた。要するに、この館からは全体的に少々悪趣味な香りがした。
玄関を進んで直ぐの所には大きなカーテンが掛かっており、壁の一部が覆われていた。向こう側に扉でもあるのだろうか。フォーラは特にそれに触れるでもなく、両親に促されるまま奥へと進んだ。
「ファントムさん!」一家が階段のある開けたあたりまで来ると、そこで誰かに声を掛けられた。
「今お着きになったんですね。まあ、フォーラもよく来たわ」
そのふくよかな女性は普段より声量を抑えて話した後、フォーラをぎゅっと抱きしめた。フォーラは彼女を知っていたが、その姿は以前よりも少しやつれて見えた。赤毛の兄妹の母親で、夏休みの間フォーラの世話役を引き受けてくれた、モリー・ウィーズリーその人だった。
「ウィーズリー夫人、この度はどうもありがとう」シェードが彼女に握手を求め、彼女も笑顔でそれに応じた。
「いいえ、いいんですよ。うちの騒がしい息子たちの中に、こんなに礼儀のいいお嬢さんが一人や二人加わっても、何の迷惑になりやしませんもの」彼女が声のボリュームを下げたまま続けた。「会議はあと十五分で始まりますよ。それからフォーラの部屋は三階で、ジニーとハーマイオニーの隣の部屋ですからね」
ハーマイオニーも来ているとは驚いたが、ロンと仲の良い彼女なら納得だ。ところで、みんなは自分が今日ここへ来ることを知っているのだろうが、マグル生まれの件も把握しているのだろうか?
「もう少し話したいのだけれど、ごめんなさいね。向こうに着いたらウィーズリー家のみなさんが詳しい話をしてくれますよ」
「ええ、分かったわ母様。」フォーラは自分の考えを母がお見通しだったので少々ドキリとした。一言も『もっと聞きたい』なんて言っていないのに。表情だって表に出していなかった筈なのに……。
「それじゃあフォーラ、お先に行くよ」シェードはマントルピースの上に置かれた器からフルーパウダーを掴んで暖炉に撒き、エメラルド色の炎を出現させた。そして娘のトランクと鳥籠を片手ずつ持つと燃え盛る炎の中に立った。彼はマントルピースによって胸より上が煙突内部に隠れた状態で、ロンドン郊外の建物の名を唱えるとその炎と共に消えた。今度はリプトニアがフォーラを暖炉に促しながら言った。
「シェードの唱えた場所を目指してね。私もすぐ行きますから」
フォーラが頷いて粉を一掴みしてから暖炉の中に入ろうとした時、不意にマリアが声を掛けた。
「お嬢様……お気をつけて」
「ええ、ありがとうマリア。みんなも、行ってきます。」フォーラはいつもどおりの笑みを返し、暖炉の中に立つと足元に粉を撒いた。そしてエメラルド色の炎が身体を包んだのを合図に行き先を唱えようと息を吸い込んだ。すると、居ても立ってもいられなくなったマリアが、再びフォーラに言葉を投げ掛けた。
「お屋敷が恋しくなったら、いつでも戻っていらしてくださいね!待っていますから……!」感極まった様子で言ったマリアにフォーラは少々驚きつつも、軽く屈んでリビング側が見えるようにマントルピースから顔を覗かせると、改めて笑みを返して『ありがとう』と声を発さずに口の動きで伝えた。
本当は『直ぐに帰ってくる』と伝えたかった。だがそれは今の自分の本心ではない。とはいえこうしてマリアを含む面々を見ていると、まるで自分の居場所がここだと教えてくれているようだった。フォーラにとってそれは本当に有難く嬉しいことだった。
しかしそれと同時に、家族を心から愛せる自分に早く戻らなければという想いが掻き立てられ、フォーラを焦らせた。そして彼女はマリアの声色をきっかけに、この屋敷のみんなにはもうすっかり自分の隠した気持ちがばれているのだと改めて認識させられた。
その後のフォーラは移動先の古ぼけた建物の暖炉から出た。そして先に着いていた父と、後からやって来た母と共にその廃墟から静かに立ち去った。玄関を出ると目の前には寂れた通りが続いており、街灯がぽつりぽつりと灯り始めていた。
「直接、目的の建物に飛ばないのね?」フォーラが尋ねた。
「煙突飛行ネットワークは、やろうと思えば追跡できてしまうからね。敵に団員の居場所を知られては事だ。直ぐそこだよ」シェードが静かに答えた。
両親の後ろを付いて暫く歩くと、二人はとある家と家の境目を前に立ち止まった。そしてリプトニアがポケットから小さな羊皮紙を取り出し、フォーラにさっと読ませた。
『不死鳥の騎士団本部 グリモールド・プレイス 十二番地』
フォーラはこの『不死鳥の騎士団』というのが、両親たちの所属する団体なのだと理解した。
「覚えたかしら?そうしたら、今の言葉を思い浮かべて……」リプトニアが先程のメモを杖で燃やしながら言った。
フォーラが目の前に並び建っている二軒の家を見ると、片方は十一番地、もう片方は十三番地と書かれていた。そして彼女が母親に言われたとおり先程の住所を思い浮かべてみると、二軒の間には何処からともなく古びて傷んだ扉が現れ、たちまち薄汚れた壁と
シェードがフォーラを促すと、三人は十二番地の階段を足早に上った。
「玄関に入ったら、奥に行くまで物音を立ててはいけないよ。寝ている屋敷の主人を起こすと、お怒りになってしまうからね」
三人がその古びた建物の中に入ると、そこは年季の入った
玄関を進んで直ぐの所には大きなカーテンが掛かっており、壁の一部が覆われていた。向こう側に扉でもあるのだろうか。フォーラは特にそれに触れるでもなく、両親に促されるまま奥へと進んだ。
「ファントムさん!」一家が階段のある開けたあたりまで来ると、そこで誰かに声を掛けられた。
「今お着きになったんですね。まあ、フォーラもよく来たわ」
そのふくよかな女性は普段より声量を抑えて話した後、フォーラをぎゅっと抱きしめた。フォーラは彼女を知っていたが、その姿は以前よりも少しやつれて見えた。赤毛の兄妹の母親で、夏休みの間フォーラの世話役を引き受けてくれた、モリー・ウィーズリーその人だった。
「ウィーズリー夫人、この度はどうもありがとう」シェードが彼女に握手を求め、彼女も笑顔でそれに応じた。
「いいえ、いいんですよ。うちの騒がしい息子たちの中に、こんなに礼儀のいいお嬢さんが一人や二人加わっても、何の迷惑になりやしませんもの」彼女が声のボリュームを下げたまま続けた。「会議はあと十五分で始まりますよ。それからフォーラの部屋は三階で、ジニーとハーマイオニーの隣の部屋ですからね」
ハーマイオニーも来ているとは驚いたが、ロンと仲の良い彼女なら納得だ。ところで、みんなは自分が今日ここへ来ることを知っているのだろうが、マグル生まれの件も把握しているのだろうか?