24. I hope you are safe. (完)
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フォーラはハリーを含む数名の生徒が禁じられた森の奥から、何等かの手段で魔法省へ向かってしまったことを知った。その後彼女は黒猫の姿に変身し、すぐさまホグワーツの敷地の境界にある正門へと駆け出した。もう直ぐスネイプがブラック邸から帰って来る。彼にこの二時間で何があったかを一刻も早く伝えなくては。
フォーラはその思いで一心不乱に校庭を駆け抜け、二体のガーゴイル像が立つ正門前に到着した。その誰も来ることのない場所で彼女が息を切らしながら人の姿に戻った時、敷地の向こうから門に向かって来る足音を聞いた。そちらを見やると、そこには目くらまし術で透明化できるマントを脱いだセブルス・スネイプが姿を見せていた。彼は彼女を見て驚いた様子で門を駆け抜けた。
「フォーラ、何故ここに!」
スネイプはフォーラがどうしてこんなにも汗を掻き、足元が泥だらけになっているのか理解できずにいた。するとフォーラは涙目でスネイプに縋り、ハリーと何人かが魔法省の神秘部に行ってしまったことを伝えた。
「―――ハリーはシリウスさんが敵に捕まっているって、彼を助けに行くって……私たちが使っている連絡手段で書いて寄こしたんです!セブルスさん、ロンドンの騎士団本部にシリウスさんは居たんでしょう!?」
それを聞いたスネイプは僅かに瞳を揺らした。まるで予想した中でも最悪な事態となってしまったかのように。
「ああ、ブラックはつい先程まで本部にいた」
スネイプのその言葉を聞いたフォーラは愕然とした。スネイプが続けた。
「それで、もしやポッターはもうホグワーツの敷地を出て行ったのか?」
「そ、その筈です。きっとハーマイオニーやロンも一緒だったに違いありません!私、わけあってハリーたちを禁じられた森まで探しに行ったんです。その途中で、先程お話した内容がハリーたちから伝達されました。その後私は直ぐに複数の足跡が残る森の奥へ急いで向いましたが……道中彼らの落とし物を見つけて、足跡はそこで途絶えていました。彼らは何かに乗ってロンドンまで飛んで行った可能性が高いかと……。」
「……状況は分かった」
一通り話を聞き終えたスネイプは、サッと杖を振って周囲に自分たち以外誰もいないことを確認した。そして彼はすぐさまポケットから例の鏡を取り出すと、それに向かって「ルーピン!」と呼んだ。
『セブルス、さっきの今で随分早いな』鏡の向こうから焦りと落ち着きの入り混じった、聞き慣れた声がした。
「たった今、最も悪い事態であると分かった。ポッターは何人かの生徒を引きつれ、魔法省の神秘部に向かった」
『それは……本当に最悪の事態に違いないな。了解した、後は先程打ち合わせたとおりのメンバーで現地に向かう。君は予定通り、学校側に怪しまれないようホグワーツで待機していてくれ』
「言われずともそうする」
そのような短い会話があった後、鏡からルーピンの姿が消えた。連絡が途絶えた証拠だ。スネイプは疲れ切った様子のフォーラに向き直った。
「フォーラ、早急にポッターの動きを伝えてくれて感謝する。先程も話したとおりブラックは無事だ。そして……今聞こえたとおり、たった今、騎士団員がポッターを追いかけて魔法省に向かった。先程の伝達をもって、我々に今できることはポッターたちの無事を祈ることだけになったが……きっと無事だ。だから先ずは落ち着きなさい」
それを聞いたフォーラは考えが追い付かないながらも、どうやら騎士団員が最善の対応を取れるよう身構えていただろうことは理解できた。スネイプはフォーラがまだ混乱しているのを落ち着かせるため、兎に角今は彼女の肩を支えた。そして『目くらまし術』の掛かったマントを二人ですっぽりと被り、地下牢への道を急いだのだった。
二人はスネイプの部屋に到着するとマントを脱いだ。スネイプは杖を振ってフォーラの衣服の泥を取り去り、厚手のタオルを出現させてフォーラに渡した。彼女はまだ随分と不安な表情をしていたため、彼は合わせて暖かい紅茶を用意した。そして彼女の手元に熱い紅茶の入ったカップが手渡されると、先にスネイプが話した。
「いいか。順に話す故、落ち着いて聞きなさい。
……騎士団の本部で我々はクリーチャーの裏切り行為について尋問した。奴が何故マルフォイ家に行き、そこで何をし、何を話したのかを。それは今後の騎士団の動きを決めるためだった。
だがまさかその時にはもう、クリーチャーがポッターを神秘部に誘導し終わっているとはその場の誰も思いもしなかったわけだが」
フォーラは揺れる瞳でスネイプをじっと見ていた。スネイプが続けた。
「クリーチャーは我々の質問に多くを回答しなかった。聞かれたこと『だけ』を答えていった。そのため奴がマルフォイ邸でナルシッサ・マルフォイに何を話したのか、重要な部分を聞き出すのが遅くなってしまった。そしてようやく最も注意すべき回答に辿り着いた。
クリーチャーはナルシッサから『シリウス・ブラックが大事にしているのは何か』という質問を受け、『ハリー・ポッターだ』と答えたのだ。それに加え、ポッターもブラックを大事な身内として見ていることも」
フォーラはその思いで一心不乱に校庭を駆け抜け、二体のガーゴイル像が立つ正門前に到着した。その誰も来ることのない場所で彼女が息を切らしながら人の姿に戻った時、敷地の向こうから門に向かって来る足音を聞いた。そちらを見やると、そこには目くらまし術で透明化できるマントを脱いだセブルス・スネイプが姿を見せていた。彼は彼女を見て驚いた様子で門を駆け抜けた。
「フォーラ、何故ここに!」
スネイプはフォーラがどうしてこんなにも汗を掻き、足元が泥だらけになっているのか理解できずにいた。するとフォーラは涙目でスネイプに縋り、ハリーと何人かが魔法省の神秘部に行ってしまったことを伝えた。
「―――ハリーはシリウスさんが敵に捕まっているって、彼を助けに行くって……私たちが使っている連絡手段で書いて寄こしたんです!セブルスさん、ロンドンの騎士団本部にシリウスさんは居たんでしょう!?」
それを聞いたスネイプは僅かに瞳を揺らした。まるで予想した中でも最悪な事態となってしまったかのように。
「ああ、ブラックはつい先程まで本部にいた」
スネイプのその言葉を聞いたフォーラは愕然とした。スネイプが続けた。
「それで、もしやポッターはもうホグワーツの敷地を出て行ったのか?」
「そ、その筈です。きっとハーマイオニーやロンも一緒だったに違いありません!私、わけあってハリーたちを禁じられた森まで探しに行ったんです。その途中で、先程お話した内容がハリーたちから伝達されました。その後私は直ぐに複数の足跡が残る森の奥へ急いで向いましたが……道中彼らの落とし物を見つけて、足跡はそこで途絶えていました。彼らは何かに乗ってロンドンまで飛んで行った可能性が高いかと……。」
「……状況は分かった」
一通り話を聞き終えたスネイプは、サッと杖を振って周囲に自分たち以外誰もいないことを確認した。そして彼はすぐさまポケットから例の鏡を取り出すと、それに向かって「ルーピン!」と呼んだ。
『セブルス、さっきの今で随分早いな』鏡の向こうから焦りと落ち着きの入り混じった、聞き慣れた声がした。
「たった今、最も悪い事態であると分かった。ポッターは何人かの生徒を引きつれ、魔法省の神秘部に向かった」
『それは……本当に最悪の事態に違いないな。了解した、後は先程打ち合わせたとおりのメンバーで現地に向かう。君は予定通り、学校側に怪しまれないようホグワーツで待機していてくれ』
「言われずともそうする」
そのような短い会話があった後、鏡からルーピンの姿が消えた。連絡が途絶えた証拠だ。スネイプは疲れ切った様子のフォーラに向き直った。
「フォーラ、早急にポッターの動きを伝えてくれて感謝する。先程も話したとおりブラックは無事だ。そして……今聞こえたとおり、たった今、騎士団員がポッターを追いかけて魔法省に向かった。先程の伝達をもって、我々に今できることはポッターたちの無事を祈ることだけになったが……きっと無事だ。だから先ずは落ち着きなさい」
それを聞いたフォーラは考えが追い付かないながらも、どうやら騎士団員が最善の対応を取れるよう身構えていただろうことは理解できた。スネイプはフォーラがまだ混乱しているのを落ち着かせるため、兎に角今は彼女の肩を支えた。そして『目くらまし術』の掛かったマントを二人ですっぽりと被り、地下牢への道を急いだのだった。
二人はスネイプの部屋に到着するとマントを脱いだ。スネイプは杖を振ってフォーラの衣服の泥を取り去り、厚手のタオルを出現させてフォーラに渡した。彼女はまだ随分と不安な表情をしていたため、彼は合わせて暖かい紅茶を用意した。そして彼女の手元に熱い紅茶の入ったカップが手渡されると、先にスネイプが話した。
「いいか。順に話す故、落ち着いて聞きなさい。
……騎士団の本部で我々はクリーチャーの裏切り行為について尋問した。奴が何故マルフォイ家に行き、そこで何をし、何を話したのかを。それは今後の騎士団の動きを決めるためだった。
だがまさかその時にはもう、クリーチャーがポッターを神秘部に誘導し終わっているとはその場の誰も思いもしなかったわけだが」
フォーラは揺れる瞳でスネイプをじっと見ていた。スネイプが続けた。
「クリーチャーは我々の質問に多くを回答しなかった。聞かれたこと『だけ』を答えていった。そのため奴がマルフォイ邸でナルシッサ・マルフォイに何を話したのか、重要な部分を聞き出すのが遅くなってしまった。そしてようやく最も注意すべき回答に辿り着いた。
クリーチャーはナルシッサから『シリウス・ブラックが大事にしているのは何か』という質問を受け、『ハリー・ポッターだ』と答えたのだ。それに加え、ポッターもブラックを大事な身内として見ていることも」