22.Sweet seduction
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「ああ、勿論だ。見回り中なんかは特に周りに気を付けている。ついこの間だって、僕とパーキンソンを狙って呪いをかけようとした奴に、逆に一泡吹かせたところだ」
ドラコが軽く口角を上げてそのように話した。その時のことを思い出し、パンジーが続いた。
「そういえば、あの時貴方が使った妨害呪文は、防衛術の試験の実技で試される可能性が高いと思うんだけど。どう思う?」
「『インペディメンタ、妨害せよ』。ああ、きっと保護呪文と合わせて出題されるだろうな」
そこから話題は防衛術の実技試験内容の予想に移っていった。アンブリッジが受け持つこの科目は、建前上どのクラスも実技を学ばせていなかった(但し、相変わらずスリザリンの高学年は秘密裏に授業で実技を学んでいて、生徒たちは杖の振り方以外、教室での記憶を持ち合わせていなかった)。しかも三人以上の集団活動が禁止されており、ハリーたちが結成していた自衛集団が解散させられたことも記憶に新しい。
とはいえ生徒たちは、そんな事例があっても試験を犠牲にするつもりは更々なかった。今だって、スリザリンの談話室では生徒が杖を振って互いに様々な学科の術を確認し合っていて、度々防衛呪文も飛び交っている。スリザリン生から成る尋問官親衛隊は当然この事に目を瞑っている。それに他の寮の生徒だって、実のところ、自分の寮に隠れて同じように防衛呪文の練習に勤しんでいた。
勿論フォーラも談話室で実技を練習する内の一人だった。彼女は学科の中で防衛術が最も苦手で、例えばプロテゴ(護れ)等の身を護る術はある程度使えても、インペディメンタ(妨害せよ)のような相手を攻撃したり邪魔だてしたりする術があまり得意ではなかった。
ドラコの方は相変わらず尋問官親衛隊の仕事やクィディッチのことで忙しくしていて、自分の復習に宛てる時間を捻出するので精一杯だった。しかし彼は可能な限り自分の復習も兼ねて、談話室でフォーラの防衛術の練習に付き合った。
ドラコはフォーラが何を最も苦手としているかよく理解していた。そして彼女が妨害呪文を克服するには、談話室のような人でごった返した場所ではなく、広いスペースと、ドラコ自身が練習に付き合えるだけの十分な時間が必要だと考えていた。
そのように考えあぐねていたドラコだったが、意外にもすんなりとその問題が解決する見込みが立った。試験まで残り一ヶ月を切ったことで、尋問官親衛隊の内、ふくろう試験の対象である五年生と、いもり試験の対象である七年生の校内見回りが大幅に免除されたのだ。ドラコは他の親衛隊のメンバーと一緒にアンブリッジの部屋でその知らせを聞き、談話室への帰り道を機嫌良く歩いた。すると、そんなドラコを隣で見ていたパンジーが不意に声を掛けた。
「ドラコ、ようやくフォーラとの纏まった時間が作れそうね?」
ドラコはパンジーに図星を突かれたことに少々驚くと共に、自分の考えを友人に見透かされていると思うと気恥ずかしかった。そんなにも分かりやすく顔に出ていたのだろうか?とはいえ、フォーラと二人きりでしたいことといえば勉強に変わりないのだから、何も後ろめたいことはない。ドラコはパンジーのからかいを横目で制した。
その後スリザリンの談話室に戻ったドラコはパンジーやクラッブ、ゴイルと共に、フォーラとルニーが試験勉強をしているところに合流した。そしてパンジーが彼女らに親衛隊の仕事を減らしてもらえたことを嬉々として説明した。
ドラコは、もし今の話の流れに乗って『フォーラと二人で実技練習がしたい』と彼女を誘った場合、恐らくパンジーやルニーが間近でニヤニヤとした好奇の目を向けて来ることが容易に想像できていた。現に今だって彼女たちはチラチラとドラコに視線を送り、彼が何かフォーラに声をかけるのを期待している様子だった。
ドラコはまだ、あまり人前でフォーラを二人きりの場所に誘うことに慣れていなかった。そもそも彼は人から羞恥心を掻き立てられるのが苦手だった。そのため彼は話の区切りがついた段階で肘掛け椅子から腰を上げた。そして思わず彼女たちの視線から逃げるようにして、向こうで勉強していたセオドールの近くの椅子に納まったのだった。
それから程なくして、生徒たちが夕食のために大広間に移動する時間となった。ドラコはそのままセオドールと共に談話室を出たため、残念ながらフォーラと話す機会を失ってしまった。本当なら明日の土曜日は十分に時間があって、二人で過ごすには絶好の機会だった。しかしその後もドラコは何だかんだとクィディッチチームメンバーに声を掛けられたり、他の生徒との接触が重なったりして、就寝間際までフォーラを呪文練習に誘うことができずにいた。
ドラコが軽く口角を上げてそのように話した。その時のことを思い出し、パンジーが続いた。
「そういえば、あの時貴方が使った妨害呪文は、防衛術の試験の実技で試される可能性が高いと思うんだけど。どう思う?」
「『インペディメンタ、妨害せよ』。ああ、きっと保護呪文と合わせて出題されるだろうな」
そこから話題は防衛術の実技試験内容の予想に移っていった。アンブリッジが受け持つこの科目は、建前上どのクラスも実技を学ばせていなかった(但し、相変わらずスリザリンの高学年は秘密裏に授業で実技を学んでいて、生徒たちは杖の振り方以外、教室での記憶を持ち合わせていなかった)。しかも三人以上の集団活動が禁止されており、ハリーたちが結成していた自衛集団が解散させられたことも記憶に新しい。
とはいえ生徒たちは、そんな事例があっても試験を犠牲にするつもりは更々なかった。今だって、スリザリンの談話室では生徒が杖を振って互いに様々な学科の術を確認し合っていて、度々防衛呪文も飛び交っている。スリザリン生から成る尋問官親衛隊は当然この事に目を瞑っている。それに他の寮の生徒だって、実のところ、自分の寮に隠れて同じように防衛呪文の練習に勤しんでいた。
勿論フォーラも談話室で実技を練習する内の一人だった。彼女は学科の中で防衛術が最も苦手で、例えばプロテゴ(護れ)等の身を護る術はある程度使えても、インペディメンタ(妨害せよ)のような相手を攻撃したり邪魔だてしたりする術があまり得意ではなかった。
ドラコの方は相変わらず尋問官親衛隊の仕事やクィディッチのことで忙しくしていて、自分の復習に宛てる時間を捻出するので精一杯だった。しかし彼は可能な限り自分の復習も兼ねて、談話室でフォーラの防衛術の練習に付き合った。
ドラコはフォーラが何を最も苦手としているかよく理解していた。そして彼女が妨害呪文を克服するには、談話室のような人でごった返した場所ではなく、広いスペースと、ドラコ自身が練習に付き合えるだけの十分な時間が必要だと考えていた。
そのように考えあぐねていたドラコだったが、意外にもすんなりとその問題が解決する見込みが立った。試験まで残り一ヶ月を切ったことで、尋問官親衛隊の内、ふくろう試験の対象である五年生と、いもり試験の対象である七年生の校内見回りが大幅に免除されたのだ。ドラコは他の親衛隊のメンバーと一緒にアンブリッジの部屋でその知らせを聞き、談話室への帰り道を機嫌良く歩いた。すると、そんなドラコを隣で見ていたパンジーが不意に声を掛けた。
「ドラコ、ようやくフォーラとの纏まった時間が作れそうね?」
ドラコはパンジーに図星を突かれたことに少々驚くと共に、自分の考えを友人に見透かされていると思うと気恥ずかしかった。そんなにも分かりやすく顔に出ていたのだろうか?とはいえ、フォーラと二人きりでしたいことといえば勉強に変わりないのだから、何も後ろめたいことはない。ドラコはパンジーのからかいを横目で制した。
その後スリザリンの談話室に戻ったドラコはパンジーやクラッブ、ゴイルと共に、フォーラとルニーが試験勉強をしているところに合流した。そしてパンジーが彼女らに親衛隊の仕事を減らしてもらえたことを嬉々として説明した。
ドラコは、もし今の話の流れに乗って『フォーラと二人で実技練習がしたい』と彼女を誘った場合、恐らくパンジーやルニーが間近でニヤニヤとした好奇の目を向けて来ることが容易に想像できていた。現に今だって彼女たちはチラチラとドラコに視線を送り、彼が何かフォーラに声をかけるのを期待している様子だった。
ドラコはまだ、あまり人前でフォーラを二人きりの場所に誘うことに慣れていなかった。そもそも彼は人から羞恥心を掻き立てられるのが苦手だった。そのため彼は話の区切りがついた段階で肘掛け椅子から腰を上げた。そして思わず彼女たちの視線から逃げるようにして、向こうで勉強していたセオドールの近くの椅子に納まったのだった。
それから程なくして、生徒たちが夕食のために大広間に移動する時間となった。ドラコはそのままセオドールと共に談話室を出たため、残念ながらフォーラと話す機会を失ってしまった。本当なら明日の土曜日は十分に時間があって、二人で過ごすには絶好の機会だった。しかしその後もドラコは何だかんだとクィディッチチームメンバーに声を掛けられたり、他の生徒との接触が重なったりして、就寝間際までフォーラを呪文練習に誘うことができずにいた。