22.Sweet seduction
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
死喰い人の息子であるドラコは、将来魔法界の中心人物の一人として身を置く可能性が高い。ルシウスは死喰い人がイギリス魔法界を統治した後も、死喰い人に対して敵が突如テロを起こす可能性を予想していた。若しくは……あまり想像したくは無いが、死喰い人が闇の帝王からの依頼に失敗した時に、帝王自ら死喰い人の首にお仕置きとして手をかける可能性だ。
いずれにせよドラコやその周囲がその対象となった時、もしドラコの愛する妻が手に掛けられることがあったら?若しくはドラコ自身が深手を負って、その愛する人を悲しませることがあったら?どちらの場合でもドラコはきっと想像以上に辛い思いをすることになるだろう。
それなら最初からドラコには、幼馴染どころか、将来の伴侶ですら一線引いた関係でいてほしい。ルシウスがドラコに言ったのはそういうことだった。
「それはルシウス、ドラコ君とフォーラを結婚させてはどうかと言っているのかね?」
「正解に近い。二人は未成年だし、厳密には許嫁となってはどうだろうかという提案だ」
「どうして君は突然そんなことを」
シェードのその質問にルシウスは首を横に振った。
「突然ではない。以前から私の頭の中では何度か考えていたことなんだ。あとは何時君に相談するか、それだけだった。
シェード。今後世の中がどう転ぼうと純血同士の婚姻は、誰も非難する点がない程気高く、最も安全だ」
今の時代、純血同士の婚姻は貴重だった。純血のファントム家の一人娘の嫁入りが確定すれば、マルフォイ家は闇の帝王の恩恵にあやかることができ、より安全なポジションに収まれる。ルシウスはそのように考えていた。そしてルシウスが守りたいのは何もマルフォイ家だけではなかった。少々純血主義とは言い難いファントム家の―――昔からの親友のことだって、ルシウスの手で今よりずっと身の安全を保障できるだろう。
それからルシウスは自身が闇の帝王の傘下にいることは伏せつつ、フォーラたちの婚約が、互いの家族の安全のために必要なことなのだとシェードに説得を行った。シェードはその話を真剣に聞いていた。
「ルシウス。君がお互いの家を想ってくれていることも、君が純血の血を継承していくことに重きを置いていることも、私は良く理解した。そしてその考えを否定するつもりは毛頭ない」
「それなら」ルシウスの表情が期待に明るみを帯びた。しかしシェードは頭を横に振った。
「いいや。あの二人がどうあるべきかは、私たちが決めることではない。……恋人となることも、婚約を結ぶことも。どのような選択をするかは二人次第だ。そしてそうなりたいと思った暁には、二人の好きなタイミングで物事を進めていけばいい。……私は大事な娘に、そのような義務を課したくはない」
シェードはルシウスの考えを否定したが、既にシェード自身もフォーラに対して大きな押しつけをしていることに罪悪感を抱えていた。過去、シェードはフォーラに、彼女がファントム家の養子であることやマグル生まれであることを打ち明けた。そしてドラコと今以上に懇意になることを避けるようにも伝えた。シェードは娘にそのような強要をしたことについて、あの日以来ずっと後悔していた。先程のシェードの言葉は、ルシウスに対してだけでなく自身に向けた苦言でもあったのだ。
さて、時を同じくしてホグワーツでは、相変わらずポルターガイストのピーブズや、学校を立ち去った双子のウィーズリーの後釜を狙う生徒たちによる悪戯が横行していた。
ところで、この一連の大騒ぎを生み出した双子に最も被害を受けた代表格は、七年生のスリザリン生であるグラハム・モンタギューだった。少し時を遡るが、モンタギューは双子が学校を去った日から数日間何処にも姿を見せていなかった。それがある時男子トイレに詰まっているところを発見されたのだ。まさかそんな場所で見つかるとは誰も予想だにせず、スリザリン生は一体何があったのか知りたがった。しかし彼は数週間経った今も意識を取り戻さず、医務室での看病が続けられていた。
試験まで一か月を切ったこの日、フォーラは授業終わりに談話室でドラコや友人たちと一緒にテーブルを囲み、軽い呪文練習を行っていた。フォーラは折り紙の鶴を小鳥に変身させ、それが談話室の出入口に向かって飛んでいくのを眺めながらドラコに質問を投げかけた。
「モンタギューが回復しなかったら、スリザリンのクィディッチチームはキャプテンなしで試合に臨まないといけないのね。」
「ああ、それに彼は尋問官親衛隊でもあるから、学校中の生徒やピーブズが暴れている後始末を手分けする人員が減って困っているんだ。全く、一体どんな悪戯をされたらあんな状態で見つかるんだか」
「アンブリッジのやり方が気に入らない生徒が、恨みのはけ口に尋問官親衛隊を攻撃対象に狙っているって噂で聞いたけど。モンタギューと同じような目に遭わないように、四人とも気を付けないと」
ルニーがドラコとパンジー、クラッブとゴイルを見て言った。
いずれにせよドラコやその周囲がその対象となった時、もしドラコの愛する妻が手に掛けられることがあったら?若しくはドラコ自身が深手を負って、その愛する人を悲しませることがあったら?どちらの場合でもドラコはきっと想像以上に辛い思いをすることになるだろう。
それなら最初からドラコには、幼馴染どころか、将来の伴侶ですら一線引いた関係でいてほしい。ルシウスがドラコに言ったのはそういうことだった。
「それはルシウス、ドラコ君とフォーラを結婚させてはどうかと言っているのかね?」
「正解に近い。二人は未成年だし、厳密には許嫁となってはどうだろうかという提案だ」
「どうして君は突然そんなことを」
シェードのその質問にルシウスは首を横に振った。
「突然ではない。以前から私の頭の中では何度か考えていたことなんだ。あとは何時君に相談するか、それだけだった。
シェード。今後世の中がどう転ぼうと純血同士の婚姻は、誰も非難する点がない程気高く、最も安全だ」
今の時代、純血同士の婚姻は貴重だった。純血のファントム家の一人娘の嫁入りが確定すれば、マルフォイ家は闇の帝王の恩恵にあやかることができ、より安全なポジションに収まれる。ルシウスはそのように考えていた。そしてルシウスが守りたいのは何もマルフォイ家だけではなかった。少々純血主義とは言い難いファントム家の―――昔からの親友のことだって、ルシウスの手で今よりずっと身の安全を保障できるだろう。
それからルシウスは自身が闇の帝王の傘下にいることは伏せつつ、フォーラたちの婚約が、互いの家族の安全のために必要なことなのだとシェードに説得を行った。シェードはその話を真剣に聞いていた。
「ルシウス。君がお互いの家を想ってくれていることも、君が純血の血を継承していくことに重きを置いていることも、私は良く理解した。そしてその考えを否定するつもりは毛頭ない」
「それなら」ルシウスの表情が期待に明るみを帯びた。しかしシェードは頭を横に振った。
「いいや。あの二人がどうあるべきかは、私たちが決めることではない。……恋人となることも、婚約を結ぶことも。どのような選択をするかは二人次第だ。そしてそうなりたいと思った暁には、二人の好きなタイミングで物事を進めていけばいい。……私は大事な娘に、そのような義務を課したくはない」
シェードはルシウスの考えを否定したが、既にシェード自身もフォーラに対して大きな押しつけをしていることに罪悪感を抱えていた。過去、シェードはフォーラに、彼女がファントム家の養子であることやマグル生まれであることを打ち明けた。そしてドラコと今以上に懇意になることを避けるようにも伝えた。シェードは娘にそのような強要をしたことについて、あの日以来ずっと後悔していた。先程のシェードの言葉は、ルシウスに対してだけでなく自身に向けた苦言でもあったのだ。
さて、時を同じくしてホグワーツでは、相変わらずポルターガイストのピーブズや、学校を立ち去った双子のウィーズリーの後釜を狙う生徒たちによる悪戯が横行していた。
ところで、この一連の大騒ぎを生み出した双子に最も被害を受けた代表格は、七年生のスリザリン生であるグラハム・モンタギューだった。少し時を遡るが、モンタギューは双子が学校を去った日から数日間何処にも姿を見せていなかった。それがある時男子トイレに詰まっているところを発見されたのだ。まさかそんな場所で見つかるとは誰も予想だにせず、スリザリン生は一体何があったのか知りたがった。しかし彼は数週間経った今も意識を取り戻さず、医務室での看病が続けられていた。
試験まで一か月を切ったこの日、フォーラは授業終わりに談話室でドラコや友人たちと一緒にテーブルを囲み、軽い呪文練習を行っていた。フォーラは折り紙の鶴を小鳥に変身させ、それが談話室の出入口に向かって飛んでいくのを眺めながらドラコに質問を投げかけた。
「モンタギューが回復しなかったら、スリザリンのクィディッチチームはキャプテンなしで試合に臨まないといけないのね。」
「ああ、それに彼は尋問官親衛隊でもあるから、学校中の生徒やピーブズが暴れている後始末を手分けする人員が減って困っているんだ。全く、一体どんな悪戯をされたらあんな状態で見つかるんだか」
「アンブリッジのやり方が気に入らない生徒が、恨みのはけ口に尋問官親衛隊を攻撃対象に狙っているって噂で聞いたけど。モンタギューと同じような目に遭わないように、四人とも気を付けないと」
ルニーがドラコとパンジー、クラッブとゴイルを見て言った。