18. 特別な君②
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「理由はどうあれ、僕としては、君があの花を着けなくなってホッとしてるよ」
「あら、どうして……?」
「どうしてって、それは」
セオドールはついそのような本心を口走ってしまったことを後悔した。これではまるでフォーラとドラコが結ばれなくて良かったとでも言っているようではないか。彼はフォーラの眉が少し下がっているのを見て、案の定彼女がそのように理解したのだと認識した。決してそんな意味で言ったわけではなかったのに。
セオドールは後悔と自責の念で「ああもう」と声を漏らした後、盛大なため息をついてからフォーラを見た。
「言っとくけど、君たちが上手くいかないのは本当に残念だと思ってるよ。僕はただ、その。あの花を着けてる君が以前よりも随分綺麗だったから、元に戻って良かったって話をしてるだけで」
セオドールは本心を伝えていたが、これはこれで誤解を招く表現だと思った。フォーラがぽかんとした表情をしているのを見て、セオドールは慌てて訂正した。
「いや、例の髪飾りを着けていない時の君が綺麗じゃないとか、そういうことを言ってるわけじゃない。十分綺麗だ。僕が言いたいのは、あの飾りにかかった魔法が周りの生徒を随分惑わしている様子だったから、もう僕が君と偶然言葉を交わしても、前みたいな妬みを周囲から受けることもないだろうし安心したってことだ」
セオドールが焦りを含んで居心地悪そうにそのように伝えると、フォーラは次第に柔らかく微笑んだ。
「ふふ、何だか凄く褒められてしまったわ。ありがとう。それに随分迷惑をかけてしまったみたいで、ごめんなさい……。それにしても、あの飾りの効果はそんなに凄かったのね。
だけどね、一番効果を発揮してほしかったドラコには一つも効かなかったみたい。現に彼との溝はとっても深いままなんだもの。」
フォーラは幾らか寂しさを含んだ表情でそう言った後、暗さを払拭するように少々冗談を含んだ笑顔を見せた。
「セオドールには他の人たちのように、髪飾りにかかった魔法が少しは影響したのね?」
「!……別に、今はもう何ともないよ。だけど正直迷惑だから、もう使わないでいてくれることを願うけどね」
「ええ、大丈夫。もう使う必要がないもの……。貴方にも周囲の人にも、私の都合で幾らかとばっちりを与えてしまって本当に申し訳なかったわ。ごめんなさい。」
フォーラが少し眉を下げてセオドールに謝罪した。すると彼はそれを軽くあしらい、別の話題に切り替えたのだった。
セオドールは内心、フォーラがあれ以上髪飾りの話題に触れなかったことに随分安堵していた。確かに彼はフォーラが飾りを身に着けている間、彼女の前では妙な焦りや緊張を感じていた。そして今、飾りを外した彼女はもうその対象ではなかった―――その筈だった。しかしセオドールから見たフォーラは今も尚、以前程とは言わないまでも幾らか魅力的に映っていた。だから先程までの彼は、要らぬ本音まで口走ってしまっていたのだった。
(だからって彼女とどうなりたいとか勿論そこまでの感情じゃない。何よりファントムはきっとまだドラコから決別できてないだろうし。
二人に何があったのか知らないけど、彼女のあからさまな好意を避け続けるなんて、ドラコはよっぽど彼女を嫌っているか、動じない鋼のような心を持っているかのどっちかに違いない。
だってただでさえ彼女は普段から魅力があるのに、花飾りの魔法のせいで、誰が見たって前よりよっぽど麗しかったじゃないか。ドラコはファントムに振られた腹いせに無駄な意地を張って本当に贅沢だよ。こんなこと口が裂けても誰にも言えないけど……。
兎に角僕としては、ファントムが髪飾りを外してくれて本当によかった。それに尽きる)
さて、一行が大広間の入り口付近の廊下に辿り着くと、掲示板に人だかりが出来ていることに気が付いた。フォーラたちも他の生徒同様確認してみると、このようなことが記載されていた。
『魔法省令
ドローレス・ジェーン・アンブリッジ(高等尋問官)は
アルバス・ダンブルドアに代わりホグワーツ魔法魔術学校の校長に就任した。
以上は教育令第二十八号に順うものである。
魔法大臣 コーネリウス・オズワルド・ファッジ』
どうやら一夜にして、学校中にこの掲示が貼り出されたようだった。これにはフォーラたちは互いに顔を見合わせた。
「ダンブルドアは本当に何処へ行ってしまったのかしらね?」ルニーが不安げに続けた。「正直、アンブリッジ先生が校長になってスリザリン生が損することはないけど、ルールばかり増えていくのは困るわ。私、何だかんだダンブルドアの自由な校風は好きだったし」
すると、向こうの方でハリーが生徒たちに囲まれ、昨日の校長室での出来事について質問攻めされているのが見えた。その会話の中でチラと聞こえた限りでは、彼と同じく校長室に居合わせたマリエッタは現在医務室にいるらしい。どうやらマリエッタの顔一面に『密告者』という文字の形をした『おでき』ができているそうだ。
フォーラはそのおできの意味を理解した。ダンブルドア軍団の会合の主催者―――恐らくハーマイオニーだと思うが―――会合に関する情報を漏らしたメンバーに、そのような呪いが現れるようにしていたのだろう。
(マリエッタが原因で会合は解散になったようだけど……昨日私がもっと早くドラコから情報を聞きつけていれば、ハーマイオニーたちは今より少しくらい有利な状況になっていたんじゃないかしら)
フォーラがそのように思考を巡らせながら友人たちとその場を立ち去ろうとした時、ちょうどフォーラとハリーの視線が合った。二人の距離は離れていたが、ハリーが彼女に向かって一度ゆっくりと瞬きしたのをフォーラは見た。彼の視線はその後直ぐ外れてしまったが、フォーラにはハリーが感謝の意を示しているように感じた。
「あら、どうして……?」
「どうしてって、それは」
セオドールはついそのような本心を口走ってしまったことを後悔した。これではまるでフォーラとドラコが結ばれなくて良かったとでも言っているようではないか。彼はフォーラの眉が少し下がっているのを見て、案の定彼女がそのように理解したのだと認識した。決してそんな意味で言ったわけではなかったのに。
セオドールは後悔と自責の念で「ああもう」と声を漏らした後、盛大なため息をついてからフォーラを見た。
「言っとくけど、君たちが上手くいかないのは本当に残念だと思ってるよ。僕はただ、その。あの花を着けてる君が以前よりも随分綺麗だったから、元に戻って良かったって話をしてるだけで」
セオドールは本心を伝えていたが、これはこれで誤解を招く表現だと思った。フォーラがぽかんとした表情をしているのを見て、セオドールは慌てて訂正した。
「いや、例の髪飾りを着けていない時の君が綺麗じゃないとか、そういうことを言ってるわけじゃない。十分綺麗だ。僕が言いたいのは、あの飾りにかかった魔法が周りの生徒を随分惑わしている様子だったから、もう僕が君と偶然言葉を交わしても、前みたいな妬みを周囲から受けることもないだろうし安心したってことだ」
セオドールが焦りを含んで居心地悪そうにそのように伝えると、フォーラは次第に柔らかく微笑んだ。
「ふふ、何だか凄く褒められてしまったわ。ありがとう。それに随分迷惑をかけてしまったみたいで、ごめんなさい……。それにしても、あの飾りの効果はそんなに凄かったのね。
だけどね、一番効果を発揮してほしかったドラコには一つも効かなかったみたい。現に彼との溝はとっても深いままなんだもの。」
フォーラは幾らか寂しさを含んだ表情でそう言った後、暗さを払拭するように少々冗談を含んだ笑顔を見せた。
「セオドールには他の人たちのように、髪飾りにかかった魔法が少しは影響したのね?」
「!……別に、今はもう何ともないよ。だけど正直迷惑だから、もう使わないでいてくれることを願うけどね」
「ええ、大丈夫。もう使う必要がないもの……。貴方にも周囲の人にも、私の都合で幾らかとばっちりを与えてしまって本当に申し訳なかったわ。ごめんなさい。」
フォーラが少し眉を下げてセオドールに謝罪した。すると彼はそれを軽くあしらい、別の話題に切り替えたのだった。
セオドールは内心、フォーラがあれ以上髪飾りの話題に触れなかったことに随分安堵していた。確かに彼はフォーラが飾りを身に着けている間、彼女の前では妙な焦りや緊張を感じていた。そして今、飾りを外した彼女はもうその対象ではなかった―――その筈だった。しかしセオドールから見たフォーラは今も尚、以前程とは言わないまでも幾らか魅力的に映っていた。だから先程までの彼は、要らぬ本音まで口走ってしまっていたのだった。
(だからって彼女とどうなりたいとか勿論そこまでの感情じゃない。何よりファントムはきっとまだドラコから決別できてないだろうし。
二人に何があったのか知らないけど、彼女のあからさまな好意を避け続けるなんて、ドラコはよっぽど彼女を嫌っているか、動じない鋼のような心を持っているかのどっちかに違いない。
だってただでさえ彼女は普段から魅力があるのに、花飾りの魔法のせいで、誰が見たって前よりよっぽど麗しかったじゃないか。ドラコはファントムに振られた腹いせに無駄な意地を張って本当に贅沢だよ。こんなこと口が裂けても誰にも言えないけど……。
兎に角僕としては、ファントムが髪飾りを外してくれて本当によかった。それに尽きる)
さて、一行が大広間の入り口付近の廊下に辿り着くと、掲示板に人だかりが出来ていることに気が付いた。フォーラたちも他の生徒同様確認してみると、このようなことが記載されていた。
『魔法省令
ドローレス・ジェーン・アンブリッジ(高等尋問官)は
アルバス・ダンブルドアに代わりホグワーツ魔法魔術学校の校長に就任した。
以上は教育令第二十八号に順うものである。
魔法大臣 コーネリウス・オズワルド・ファッジ』
どうやら一夜にして、学校中にこの掲示が貼り出されたようだった。これにはフォーラたちは互いに顔を見合わせた。
「ダンブルドアは本当に何処へ行ってしまったのかしらね?」ルニーが不安げに続けた。「正直、アンブリッジ先生が校長になってスリザリン生が損することはないけど、ルールばかり増えていくのは困るわ。私、何だかんだダンブルドアの自由な校風は好きだったし」
すると、向こうの方でハリーが生徒たちに囲まれ、昨日の校長室での出来事について質問攻めされているのが見えた。その会話の中でチラと聞こえた限りでは、彼と同じく校長室に居合わせたマリエッタは現在医務室にいるらしい。どうやらマリエッタの顔一面に『密告者』という文字の形をした『おでき』ができているそうだ。
フォーラはそのおできの意味を理解した。ダンブルドア軍団の会合の主催者―――恐らくハーマイオニーだと思うが―――会合に関する情報を漏らしたメンバーに、そのような呪いが現れるようにしていたのだろう。
(マリエッタが原因で会合は解散になったようだけど……昨日私がもっと早くドラコから情報を聞きつけていれば、ハーマイオニーたちは今より少しくらい有利な状況になっていたんじゃないかしら)
フォーラがそのように思考を巡らせながら友人たちとその場を立ち去ろうとした時、ちょうどフォーラとハリーの視線が合った。二人の距離は離れていたが、ハリーが彼女に向かって一度ゆっくりと瞬きしたのをフォーラは見た。彼の視線はその後直ぐ外れてしまったが、フォーラにはハリーが感謝の意を示しているように感じた。