18. 特別な君②
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「そう……。分かったわ。……ありがとう、ドラコ」
しかしフォーラは随分切なそうな表情でドラコに微笑んだ。これにはドラコは随分ショックを受けずにはいられなかった。表立っては彼女を突き放しておきながら、内心はまだ彼女に構われることを期待していたのだから。
フォーラはドラコのそのような考えを手に取るように理解した。彼の表情や涙が『フォーラを嫌いだと言いたくない』ことを目に見えて物語っていたからだ。
ここまでドラコが頑なになっているのは、やはり絶対に何か事情があるに違いない。彼女はそう確信した。加えてフォーラはドラコの隠し事が何かも同時に察した。
というのも以前、フォーラが防衛術の教室の前でドラコの涙を見た後日、雑誌『ザ・クィブラー』がドラコの父親を死喰い人だと公表したのは記憶に新しい。フォーラはあの日のドラコの涙の原因が、例の雑誌だと推測していた。そして今回再びドラコの涙を見て、彼の隠し事が死喰い人やヴォルデモートに関係しているのだろうと感じた。恐らくドラコはその隠し事にフォーラを近づけまいとしている……そんな気がした。
しかしフォーラは、これ以上ドラコの本心を『面と向かって』は暴くつもりはなかった。とはいえ、フォーラは以前からドラコに降りかかる危険を把握し、排除しようと動いていた。そのためドラコを懐柔出来ないと分かった今、彼女は当初の計画通り、エメリア・スイッチの『ポリジュースの呪文』の習得に専念すると決めたのだった。
フォーラはその呪文で、彼の秘密に触れられる人物に変身することを目論んでいた。そんなこと、随分突飛だと思われるかもしれない。そんな人がいるとすれば、きっと死喰い人や、それに近い人物の可能性が高いからだ。
しかしフォーラはこの学校でただ一人、死喰い人にもドラコの家庭にも近しい、不死鳥の騎士団側の人物を知っていた。挙句の果てにその人だけは、フォーラがどんな手を使ってもドラコを助けたいと思っていることまで知っていた。……あの人なら、きっと力になってくれるかもしれない。
一方のドラコは当然ながら、フォーラがそのようなことを企てているとは思いもしなかった。彼の目に映るフォーラは、先程ドラコが伝えた『嫌い』という言葉を無理に受け止めようとしているようにしか見えなかったのだから。
ドラコはそれ以上そのようなフォーラの姿を目に入れたくなくて、その場から立ち上がった。その拍子に彼の足元の花びらが幾らか舞い上がった。彼は顔を背けたまま、ほんの少しの間その場に立ち尽くした。今彼女を見てしまったら、きっと彼女を拒否したことへの後悔がより一層強くなってしまう……そのように感じた。
ドラコは一呼吸置いてから、もうこの場を去るとフォーラに伝えようとした―――するとその時、ホグワーツ城の方から一匹の梟が飛んで来るのが確認できた。あっという間にその梟はドラコの元までやってきて、彼が反射的に差し出した腕に止まった。何事かとフォーラが立ち上がる間、ドラコは梟の足に括られた手紙を開いたのだった。
「……!」
ドラコはその短い文章にサッと目を通し終えると、腕を高く上げて梟を飛び立たせた。フォーラは彼が幾らか驚いた表情を見せていることが気にかかった。
「ドラコ、どうしたの……?」
ドラコはフォーラの方を一瞥すると、手短に回答した。
「アンブリッジ先生に呼ばれた。先生がずっと目を付けていた、ポッターの校則違反の尻尾をようやく掴んだそうだ」
「校則違反って……」
「認可されていない学生同士の集会のことだ……場所を特定したらしい。パーキンソンも尋問官親衛隊だから、君も集会のことは聞いたことがあるだろう。親衛隊がずっと校内の見回りをさせられていたのはそのためだ。……そういうわけだから、僕はもう行く。他の親衛隊も、もう先生の元に向かっている頃だろう」
ドラコはそう言ってもう一度フォーラを見た―――ほんの一瞬だったが、彼は花畑に佇むフォーラを目に焼き付けるかのような眼差しを向けた。そして踵を返すと、ホグワーツ城の正面玄関の方へと立ち去って行ったのだった。
「ドラコ……」
フォーラは一瞬の内に先程ドラコが流した涙や、たった今彼に向けられた瞳が脳裏に浮かんだ。しかしそのことに浸るよりも、彼女には何よりも優先しなければならないことがあった。
(兎に角、急いでハーマイオニーたちにさっきのことを伝えないと)
フォーラはポケットから変化自在術のかかった羊皮紙を取り出すと、杖を振ってその羊皮紙に文字を刻んだ。
『防衛術の練習場所が特定された。もし今そこにいるなら、今直ぐ撤収するように』
羊皮紙は途端に熱を帯びた。ハーマイオニーの持つ対の羊皮紙も同じように変化してフォーラの筆跡を写し出した証拠だ。すると程なくして、フォーラの手元の羊皮紙が再び熱くなると同時に、先程彼女が書いた文字が綺麗さっぱり消えた。ハーマイオニーがフォーラからのメッセージを確認したに違いない。
フォーラは一先ず胸を撫で下ろしたが、ハーマイオニーから返事の筆跡がないことからして、今まさに彼女たちが秘密の場所から逃げ出す最中である可能性が高いと思った。
(みんな、上手く逃げられていると良いのだけど……)
しかしフォーラは随分切なそうな表情でドラコに微笑んだ。これにはドラコは随分ショックを受けずにはいられなかった。表立っては彼女を突き放しておきながら、内心はまだ彼女に構われることを期待していたのだから。
フォーラはドラコのそのような考えを手に取るように理解した。彼の表情や涙が『フォーラを嫌いだと言いたくない』ことを目に見えて物語っていたからだ。
ここまでドラコが頑なになっているのは、やはり絶対に何か事情があるに違いない。彼女はそう確信した。加えてフォーラはドラコの隠し事が何かも同時に察した。
というのも以前、フォーラが防衛術の教室の前でドラコの涙を見た後日、雑誌『ザ・クィブラー』がドラコの父親を死喰い人だと公表したのは記憶に新しい。フォーラはあの日のドラコの涙の原因が、例の雑誌だと推測していた。そして今回再びドラコの涙を見て、彼の隠し事が死喰い人やヴォルデモートに関係しているのだろうと感じた。恐らくドラコはその隠し事にフォーラを近づけまいとしている……そんな気がした。
しかしフォーラは、これ以上ドラコの本心を『面と向かって』は暴くつもりはなかった。とはいえ、フォーラは以前からドラコに降りかかる危険を把握し、排除しようと動いていた。そのためドラコを懐柔出来ないと分かった今、彼女は当初の計画通り、エメリア・スイッチの『ポリジュースの呪文』の習得に専念すると決めたのだった。
フォーラはその呪文で、彼の秘密に触れられる人物に変身することを目論んでいた。そんなこと、随分突飛だと思われるかもしれない。そんな人がいるとすれば、きっと死喰い人や、それに近い人物の可能性が高いからだ。
しかしフォーラはこの学校でただ一人、死喰い人にもドラコの家庭にも近しい、不死鳥の騎士団側の人物を知っていた。挙句の果てにその人だけは、フォーラがどんな手を使ってもドラコを助けたいと思っていることまで知っていた。……あの人なら、きっと力になってくれるかもしれない。
一方のドラコは当然ながら、フォーラがそのようなことを企てているとは思いもしなかった。彼の目に映るフォーラは、先程ドラコが伝えた『嫌い』という言葉を無理に受け止めようとしているようにしか見えなかったのだから。
ドラコはそれ以上そのようなフォーラの姿を目に入れたくなくて、その場から立ち上がった。その拍子に彼の足元の花びらが幾らか舞い上がった。彼は顔を背けたまま、ほんの少しの間その場に立ち尽くした。今彼女を見てしまったら、きっと彼女を拒否したことへの後悔がより一層強くなってしまう……そのように感じた。
ドラコは一呼吸置いてから、もうこの場を去るとフォーラに伝えようとした―――するとその時、ホグワーツ城の方から一匹の梟が飛んで来るのが確認できた。あっという間にその梟はドラコの元までやってきて、彼が反射的に差し出した腕に止まった。何事かとフォーラが立ち上がる間、ドラコは梟の足に括られた手紙を開いたのだった。
「……!」
ドラコはその短い文章にサッと目を通し終えると、腕を高く上げて梟を飛び立たせた。フォーラは彼が幾らか驚いた表情を見せていることが気にかかった。
「ドラコ、どうしたの……?」
ドラコはフォーラの方を一瞥すると、手短に回答した。
「アンブリッジ先生に呼ばれた。先生がずっと目を付けていた、ポッターの校則違反の尻尾をようやく掴んだそうだ」
「校則違反って……」
「認可されていない学生同士の集会のことだ……場所を特定したらしい。パーキンソンも尋問官親衛隊だから、君も集会のことは聞いたことがあるだろう。親衛隊がずっと校内の見回りをさせられていたのはそのためだ。……そういうわけだから、僕はもう行く。他の親衛隊も、もう先生の元に向かっている頃だろう」
ドラコはそう言ってもう一度フォーラを見た―――ほんの一瞬だったが、彼は花畑に佇むフォーラを目に焼き付けるかのような眼差しを向けた。そして踵を返すと、ホグワーツ城の正面玄関の方へと立ち去って行ったのだった。
「ドラコ……」
フォーラは一瞬の内に先程ドラコが流した涙や、たった今彼に向けられた瞳が脳裏に浮かんだ。しかしそのことに浸るよりも、彼女には何よりも優先しなければならないことがあった。
(兎に角、急いでハーマイオニーたちにさっきのことを伝えないと)
フォーラはポケットから変化自在術のかかった羊皮紙を取り出すと、杖を振ってその羊皮紙に文字を刻んだ。
『防衛術の練習場所が特定された。もし今そこにいるなら、今直ぐ撤収するように』
羊皮紙は途端に熱を帯びた。ハーマイオニーの持つ対の羊皮紙も同じように変化してフォーラの筆跡を写し出した証拠だ。すると程なくして、フォーラの手元の羊皮紙が再び熱くなると同時に、先程彼女が書いた文字が綺麗さっぱり消えた。ハーマイオニーがフォーラからのメッセージを確認したに違いない。
フォーラは一先ず胸を撫で下ろしたが、ハーマイオニーから返事の筆跡がないことからして、今まさに彼女たちが秘密の場所から逃げ出す最中である可能性が高いと思った。
(みんな、上手く逃げられていると良いのだけど……)