18. 特別な君②
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しかし、今こうしてフォーラが季節外れのプリムローズを一面に咲かせていることを思うと……。フォーラにとっても、やはりあの時のことは特別な記憶だったのだと思わずにはいられない。フォーラとはお互い事情やタイミングの悪さですれ違ってしまっただけで、あの時も今も、想い合っているのは変わらなかったのだろう。
そう思うと、ドラコは嬉しさと同時に一層の苦しさを感じ、思わず小さく彼女の名前を呼んだ。
「フォーラ」
ドラコは苦痛に顔を幾らか歪めた。こんなに愛おしいと思える人の元へ直ぐに出向かなかったことに、一層ズキズキと自責の念が湧き上がってくるのを感じた。そしてこんなにも目を奪われ、喉から手が出そうなくらい欲しい彼女を心から抱き締められないことが、本当に歯がゆかった。
(どうして君は僕に避けられても、こんなに僕を振り向かせようと頑張るんだ?だけど、それを心配して話を聞く権利なんて、僕は一つも持ち合わせていないじゃないか)
ドラコは思わず、フォーラの肩に顔を埋めたくなった。しかし彼は前髪がフォーラの頬に触れる寸前のところで思い留まった。
「―――……ドラコ」
するとその時、本当に至近距離にいるフォーラが自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。ドラコはハッとして彼女を見た―――するとフォーラの顔が至近距離にあり、彼女はドラコの腕の中でその瞳を開けた。そして彼と目が合うと、優しく笑いかけたのだった。
「また、私の名前を呼んでくれたのね。」
「!……君、いつから起きて」
ドラコは驚きのあまり咄嗟にそう尋ねたが、フォーラの反応からして、ドラコはもう既に一番聞かれたくない部分を彼女に聞かれてしまったのだと思った。フォーラが自ら上体を起こしてその場に座り直すと、ドラコは直ぐに彼女からパッと離れて座った。
フォーラはドラコの質問に対して嬉しそうに返答した。
「実は……、最初から起きていたの。誰かが向こうの方から急いで走って来る足音がして、もしかするとドラコかと思ったわ。そうしたら本当に貴方だった。―――来てくれて、本当にありがとう。」
ドラコには、随分嬉しそうなフォーラの表情を直視するのが難しかった。そのため彼は思わずフォーラから顔を背けた。ドラコの頭の中は、彼女が無事だったことへの安堵感と、事の一部始終を聞かれていた羞恥心でぐちゃぐちゃだった。
「僕は、てっきり君が気絶したんだと思って、それで」
「それって……何処かから私のことを見てくれていたから、来てくれたということ?」
フォーラの言葉が図星で、ドラコは思わず反射的に彼女の方を見た。彼女は少々驚いた表情ではあったものの、随分嬉しそうだった。
「ち、違……っ、偶然、図書室の窓から君が倒れるのが見えただけだ。それに、こんなに寒い場所で僕を呼びつけておいて倒れるなんて、何だか僕のせいでそうなったみたいで随分後味が悪いじゃないか。だから……」
「それでも、来てくれて嬉しいわ。」
ドラコはフォーラに心から嬉しそうな表情で真っすぐ見つめられる状況に耐え切れず、焦って話題を逸らした。
「―――それより!どうして寝たふりなんかしていたんだ。それにこの花はどうした?どうせまた、この間みたいに無茶でもしたんだろう」
「それは……。ドラコを待っている間、『双子の呪文』を練習していたの。プリムローズの花を何本か魔法で咲かせて、それを増やしていたら止め方が分からなくなってしまって。どこまで増えるか見ていたら、魔力の消費で疲れて倒れてしまったの。身動きが取れなくなっただけで意識はあったから、休憩もかねて動けるようになるまでそのまま横になっていたわ。
そうしたらその内ドラコがやって来てくれて、……その、貴方に抱き上げられていると思ったら気恥ずかしくて、何だか目を開けるに開けられなくなってしまって……。騙すつもりはなかったの。驚かせてしまってごめんなさい。」
ドラコがフォーラをチラと見やると、彼女は申し訳なさそうな、許しを請う表情でこちらを見ていた。そんな顔をされたら内心許してしまうしかなくて、ドラコは咳払いと共に再び彼女から視線を逸らした。一方のフォーラはドラコの反応から、彼がそれ以上この話を追及する気がないのだと察した。
すると、ふとフォーラは先程のドラコの言葉を思い出した。
「そういえば……。ねえドラコ?さっき『この間みたいに』と言っていたけれど、何のこと……?」
「えっ」
ドラコはつい先程、前回フォーラが倒れた時のとこを口走りかけていたのだと気付いた。彼女を四階の空き部屋で見つけたのはスネイプということになっているのだから、焦って辻褄の合わないことを言っては意味がない。
「それは。以前談話室で君がパーキンソンたちに、何処かで倒れたとかいう話をしているのを小耳に挟んだだけだ」
「その話を覚えていてくれたのね。」
「!……たまたまだ!」
どのような話をしても、先程からどうにもフォーラの良いように解釈されてしまう。そしてその殆どが図星なものだから、ドラコは結局焦りを隠せなかった。
フォーラはドラコに微笑んだ後、その表情に少々寂しさの混じった影を落とした。
「私ね……ドラコのことは何でもよく覚えているわ。それこそ呪文の練習にプリムローズを選んだのだって、去年の春に貴方と一緒に見た景色を、もう一度見たいと思ったからだもの。」
「!」
ドラコがここに来るのを避けていた理由は、フォーラの話を耳に入れたくなかったからだった。しかし今やドラコは彼女の方を見て、彼女の話に耳を傾けていた。それ程までにドラコには、そもそもフォーラが自分に宛てた声を避けることが難しかったのだ。
そう思うと、ドラコは嬉しさと同時に一層の苦しさを感じ、思わず小さく彼女の名前を呼んだ。
「フォーラ」
ドラコは苦痛に顔を幾らか歪めた。こんなに愛おしいと思える人の元へ直ぐに出向かなかったことに、一層ズキズキと自責の念が湧き上がってくるのを感じた。そしてこんなにも目を奪われ、喉から手が出そうなくらい欲しい彼女を心から抱き締められないことが、本当に歯がゆかった。
(どうして君は僕に避けられても、こんなに僕を振り向かせようと頑張るんだ?だけど、それを心配して話を聞く権利なんて、僕は一つも持ち合わせていないじゃないか)
ドラコは思わず、フォーラの肩に顔を埋めたくなった。しかし彼は前髪がフォーラの頬に触れる寸前のところで思い留まった。
「―――……ドラコ」
するとその時、本当に至近距離にいるフォーラが自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。ドラコはハッとして彼女を見た―――するとフォーラの顔が至近距離にあり、彼女はドラコの腕の中でその瞳を開けた。そして彼と目が合うと、優しく笑いかけたのだった。
「また、私の名前を呼んでくれたのね。」
「!……君、いつから起きて」
ドラコは驚きのあまり咄嗟にそう尋ねたが、フォーラの反応からして、ドラコはもう既に一番聞かれたくない部分を彼女に聞かれてしまったのだと思った。フォーラが自ら上体を起こしてその場に座り直すと、ドラコは直ぐに彼女からパッと離れて座った。
フォーラはドラコの質問に対して嬉しそうに返答した。
「実は……、最初から起きていたの。誰かが向こうの方から急いで走って来る足音がして、もしかするとドラコかと思ったわ。そうしたら本当に貴方だった。―――来てくれて、本当にありがとう。」
ドラコには、随分嬉しそうなフォーラの表情を直視するのが難しかった。そのため彼は思わずフォーラから顔を背けた。ドラコの頭の中は、彼女が無事だったことへの安堵感と、事の一部始終を聞かれていた羞恥心でぐちゃぐちゃだった。
「僕は、てっきり君が気絶したんだと思って、それで」
「それって……何処かから私のことを見てくれていたから、来てくれたということ?」
フォーラの言葉が図星で、ドラコは思わず反射的に彼女の方を見た。彼女は少々驚いた表情ではあったものの、随分嬉しそうだった。
「ち、違……っ、偶然、図書室の窓から君が倒れるのが見えただけだ。それに、こんなに寒い場所で僕を呼びつけておいて倒れるなんて、何だか僕のせいでそうなったみたいで随分後味が悪いじゃないか。だから……」
「それでも、来てくれて嬉しいわ。」
ドラコはフォーラに心から嬉しそうな表情で真っすぐ見つめられる状況に耐え切れず、焦って話題を逸らした。
「―――それより!どうして寝たふりなんかしていたんだ。それにこの花はどうした?どうせまた、この間みたいに無茶でもしたんだろう」
「それは……。ドラコを待っている間、『双子の呪文』を練習していたの。プリムローズの花を何本か魔法で咲かせて、それを増やしていたら止め方が分からなくなってしまって。どこまで増えるか見ていたら、魔力の消費で疲れて倒れてしまったの。身動きが取れなくなっただけで意識はあったから、休憩もかねて動けるようになるまでそのまま横になっていたわ。
そうしたらその内ドラコがやって来てくれて、……その、貴方に抱き上げられていると思ったら気恥ずかしくて、何だか目を開けるに開けられなくなってしまって……。騙すつもりはなかったの。驚かせてしまってごめんなさい。」
ドラコがフォーラをチラと見やると、彼女は申し訳なさそうな、許しを請う表情でこちらを見ていた。そんな顔をされたら内心許してしまうしかなくて、ドラコは咳払いと共に再び彼女から視線を逸らした。一方のフォーラはドラコの反応から、彼がそれ以上この話を追及する気がないのだと察した。
すると、ふとフォーラは先程のドラコの言葉を思い出した。
「そういえば……。ねえドラコ?さっき『この間みたいに』と言っていたけれど、何のこと……?」
「えっ」
ドラコはつい先程、前回フォーラが倒れた時のとこを口走りかけていたのだと気付いた。彼女を四階の空き部屋で見つけたのはスネイプということになっているのだから、焦って辻褄の合わないことを言っては意味がない。
「それは。以前談話室で君がパーキンソンたちに、何処かで倒れたとかいう話をしているのを小耳に挟んだだけだ」
「その話を覚えていてくれたのね。」
「!……たまたまだ!」
どのような話をしても、先程からどうにもフォーラの良いように解釈されてしまう。そしてその殆どが図星なものだから、ドラコは結局焦りを隠せなかった。
フォーラはドラコに微笑んだ後、その表情に少々寂しさの混じった影を落とした。
「私ね……ドラコのことは何でもよく覚えているわ。それこそ呪文の練習にプリムローズを選んだのだって、去年の春に貴方と一緒に見た景色を、もう一度見たいと思ったからだもの。」
「!」
ドラコがここに来るのを避けていた理由は、フォーラの話を耳に入れたくなかったからだった。しかし今やドラコは彼女の方を見て、彼女の話に耳を傾けていた。それ程までにドラコには、そもそもフォーラが自分に宛てた声を避けることが難しかったのだ。