17. 特別な君①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
変身術の授業終わりまで、ドラコとフォーラは相変わらず授業の中で言葉を交わすことはなかった。そしてドラコはようやく終業のチャイムが鳴ったことに安堵し、早々に席を離れようと鞄に荷物を手早く仕舞い込んでいた。
そして、ドラコが身支度を終えて席から立ち上がろうとしたその時、隣のフォーラの方から一枚の折りたたまれたメモが差し伸べられた。ドラコが驚いてパッと彼女の方に顔を上げると、そこには既に荷造りを終えたフォーラが椅子から立ち上がっていた。周囲の生徒たちの喧騒とは裏腹に、彼女は一言も発することなく静かにドラコを見つめ、物寂しく彼に微笑みかけたのだった。
ドラコがフォーラにかける言葉を探していると、直ぐに彼女は教室から立ち去ってしまった。ドラコは思わず彼女を追いかけようとしたが、周囲に人の目があったこともあり、次第に冷静さを取り戻したのだった。ドラコは自身を自制できたことに安堵のため息を吐くと、彼女が机に置いて行ったメモを拾い上げた。
(一体、突然何だっていうんだ)
ドラコがそのメモを開いて中に書かれた文字を読むと、彼は驚きのあまり少々目を見開いた。
『ドラコへ
突然手紙を書いてごめんなさい。
ずっと貴方に伝えたい大事な話があって、いつも貴方に声をかけると逃げられてばかりだったから、もう手紙を渡すしかないと思ったの。
今週末の土曜日、十四時に、校庭の湖のほとりに来てもらえないかしら。
貴方はきっと来たくないと思うけれど、日没までの時間、貴方を待つことをどうか許して。
もしドラコが現れなければ、貴方のことは諦めることにするわ。』
ドラコは突然のことに、何度もそのメモに視線を走らせていた。ザ・クィブラーが発行される前のフォーラは頻繁にドラコに直接声をかけていた。そのためこのように手紙を寄こしてくることは一度もなかったのだが……。
ドラコはフォーラと距離を置かなければと思いつつも、頻繁に彼女が声をかけて来ていたことを心の中では喜んでいた。しかし、彼女を避け続けていれば、そのような心地よくも辛く苦しい時間がいつか終わることを分かっていた。そしてドラコは、とうとうその時が来たのだと思った。
『貴方が現れなければ、貴方のことは諦めることにするわ。』
ドラコは無意識にその部分をじっと眺めていた。
(彼女は僕がずっと避け続けていた理由も分からず、相当辛かっただろうに。こんなにも嫌な奴である僕に、それでも何度も気持ちを伝えようとするなんて。――『諦めることにする』、か……フォーラは僕が会いに行かなければ、当初の僕の望み通り、今後僕と完全に距離を置くつもりなんだろう。つまり、きっとこれがフォーラから気持ちを聞ける最後の機会だ。
だけどそんな話は聞かない方がいいに決まっている。父上の教えを守っていれば、結果的にフォーラは『死喰い人の息子である僕』と関わらずに済むんだから。それなら、僕が取る行動は一つだろう?彼女の元へ最初から行かないことだ。
これから始まるかもしれない父上たちの戦いに彼女を巻き込みたくない。それに、いつか僕が彼女から離れるかもしれない辛さを、お互いから少しでも取り除けるとすれば……それは彼女の好意を受け入れないことだ)
「ドラコ」
「!」
ドラコは不意に名前を呼ばれ、咄嗟にメモから顔を上げた。声の主はセオドールで、すぐ傍にクラッブとゴイルの姿もあった。
「どうしたんだ?談話室に戻ろう」
「あ、ああ」
ドラコはそのように少々焦った返事をしながら立ち上がると、フォーラに貰ったメモをポケットに仕舞った。そして、セオドールの話―――授業前のブレーズが腹立たしかったという内容に耳を傾けたのだった。
(土曜まで、あと五日か……)
その頃フォーラは、パンジーやルニーと共にスリザリン寮に戻っているところだった。三人は、先程の教室でフォーラが発した言葉について意見を交わしていた。
「私、フォーラの言葉に納得したわ」ルニーが続けた。「あの雑誌の内容が事実かどうかは別として、ドラコたちは死喰い人ではないんだものね。確かに彼ら自身が疎まれるのは違うと思ったの。私もちょっと周りの反応に釣られていたから、ドラコたちには申し訳なかったわ」
「雑誌のことは突然だったし、ドラコも特に反論も否定もしなかったから余計にね……。それにしてもフォーラ、随分勇敢だったわね!あんなに大勢の前で、びっくりしたわ」
今度はパンジーがそのように話すのを聞きながら、フォーラは少々遠慮気味に微笑んだ。
「実は私自身も、あんな風に堂々とできるとは思わなくて、少し驚いていたの。
だけど、私だって人のことは言えないわ。現に最近まで、ドラコに接触することを避けていたんだから……。それでもやっぱり私、嫌われていてもドラコの見方でいたかったんだわ。」
フォーラはそのように言いつつも、自分が彼女たちに嘘をついていることを心の中で謝罪した。ドラコを避けたのはザ・クィブラーに便乗して『押して駄目なら引いてみろ』の観点でわざとしたことだったし、加えてそろそろドラコに自分が味方であることをアピールする頃合いだと思っていた。ブレーズがあのように大勢の前で声をかけて来たのは想定外だったが、それをチャンスと捉えれば人前で意見することなど造作もなかった。今の彼女は、ドラコのためなら自分を幾らでも偽ることができた。
そんなフォーラの本音を知らないルニーが言葉を引き継いだ。
「それにしても、どうしてドラコは頑なにフォーラのことを避けるのかしらね?雑誌が出回る前には、フォーラはあんなに積極的にもドラコに声をかけていたじゃない?折角人が告白しようとしてるっていうのに、取りつく島もないなんて。
絶対まだドラコはフォーラに気があると思ったのに。彼が何を考えているのか私には分からないわ」
そして、ドラコが身支度を終えて席から立ち上がろうとしたその時、隣のフォーラの方から一枚の折りたたまれたメモが差し伸べられた。ドラコが驚いてパッと彼女の方に顔を上げると、そこには既に荷造りを終えたフォーラが椅子から立ち上がっていた。周囲の生徒たちの喧騒とは裏腹に、彼女は一言も発することなく静かにドラコを見つめ、物寂しく彼に微笑みかけたのだった。
ドラコがフォーラにかける言葉を探していると、直ぐに彼女は教室から立ち去ってしまった。ドラコは思わず彼女を追いかけようとしたが、周囲に人の目があったこともあり、次第に冷静さを取り戻したのだった。ドラコは自身を自制できたことに安堵のため息を吐くと、彼女が机に置いて行ったメモを拾い上げた。
(一体、突然何だっていうんだ)
ドラコがそのメモを開いて中に書かれた文字を読むと、彼は驚きのあまり少々目を見開いた。
『ドラコへ
突然手紙を書いてごめんなさい。
ずっと貴方に伝えたい大事な話があって、いつも貴方に声をかけると逃げられてばかりだったから、もう手紙を渡すしかないと思ったの。
今週末の土曜日、十四時に、校庭の湖のほとりに来てもらえないかしら。
貴方はきっと来たくないと思うけれど、日没までの時間、貴方を待つことをどうか許して。
もしドラコが現れなければ、貴方のことは諦めることにするわ。』
ドラコは突然のことに、何度もそのメモに視線を走らせていた。ザ・クィブラーが発行される前のフォーラは頻繁にドラコに直接声をかけていた。そのためこのように手紙を寄こしてくることは一度もなかったのだが……。
ドラコはフォーラと距離を置かなければと思いつつも、頻繁に彼女が声をかけて来ていたことを心の中では喜んでいた。しかし、彼女を避け続けていれば、そのような心地よくも辛く苦しい時間がいつか終わることを分かっていた。そしてドラコは、とうとうその時が来たのだと思った。
『貴方が現れなければ、貴方のことは諦めることにするわ。』
ドラコは無意識にその部分をじっと眺めていた。
(彼女は僕がずっと避け続けていた理由も分からず、相当辛かっただろうに。こんなにも嫌な奴である僕に、それでも何度も気持ちを伝えようとするなんて。――『諦めることにする』、か……フォーラは僕が会いに行かなければ、当初の僕の望み通り、今後僕と完全に距離を置くつもりなんだろう。つまり、きっとこれがフォーラから気持ちを聞ける最後の機会だ。
だけどそんな話は聞かない方がいいに決まっている。父上の教えを守っていれば、結果的にフォーラは『死喰い人の息子である僕』と関わらずに済むんだから。それなら、僕が取る行動は一つだろう?彼女の元へ最初から行かないことだ。
これから始まるかもしれない父上たちの戦いに彼女を巻き込みたくない。それに、いつか僕が彼女から離れるかもしれない辛さを、お互いから少しでも取り除けるとすれば……それは彼女の好意を受け入れないことだ)
「ドラコ」
「!」
ドラコは不意に名前を呼ばれ、咄嗟にメモから顔を上げた。声の主はセオドールで、すぐ傍にクラッブとゴイルの姿もあった。
「どうしたんだ?談話室に戻ろう」
「あ、ああ」
ドラコはそのように少々焦った返事をしながら立ち上がると、フォーラに貰ったメモをポケットに仕舞った。そして、セオドールの話―――授業前のブレーズが腹立たしかったという内容に耳を傾けたのだった。
(土曜まで、あと五日か……)
その頃フォーラは、パンジーやルニーと共にスリザリン寮に戻っているところだった。三人は、先程の教室でフォーラが発した言葉について意見を交わしていた。
「私、フォーラの言葉に納得したわ」ルニーが続けた。「あの雑誌の内容が事実かどうかは別として、ドラコたちは死喰い人ではないんだものね。確かに彼ら自身が疎まれるのは違うと思ったの。私もちょっと周りの反応に釣られていたから、ドラコたちには申し訳なかったわ」
「雑誌のことは突然だったし、ドラコも特に反論も否定もしなかったから余計にね……。それにしてもフォーラ、随分勇敢だったわね!あんなに大勢の前で、びっくりしたわ」
今度はパンジーがそのように話すのを聞きながら、フォーラは少々遠慮気味に微笑んだ。
「実は私自身も、あんな風に堂々とできるとは思わなくて、少し驚いていたの。
だけど、私だって人のことは言えないわ。現に最近まで、ドラコに接触することを避けていたんだから……。それでもやっぱり私、嫌われていてもドラコの見方でいたかったんだわ。」
フォーラはそのように言いつつも、自分が彼女たちに嘘をついていることを心の中で謝罪した。ドラコを避けたのはザ・クィブラーに便乗して『押して駄目なら引いてみろ』の観点でわざとしたことだったし、加えてそろそろドラコに自分が味方であることをアピールする頃合いだと思っていた。ブレーズがあのように大勢の前で声をかけて来たのは想定外だったが、それをチャンスと捉えれば人前で意見することなど造作もなかった。今の彼女は、ドラコのためなら自分を幾らでも偽ることができた。
そんなフォーラの本音を知らないルニーが言葉を引き継いだ。
「それにしても、どうしてドラコは頑なにフォーラのことを避けるのかしらね?雑誌が出回る前には、フォーラはあんなに積極的にもドラコに声をかけていたじゃない?折角人が告白しようとしてるっていうのに、取りつく島もないなんて。
絶対まだドラコはフォーラに気があると思ったのに。彼が何を考えているのか私には分からないわ」