17. 特別な君①
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さてその日以降、ドラコは自身の決心が揺らぎそうになる日々を耐えて過ごすこととなった。というのもフォーラがいつにも増して積極的に話し掛けようとしてくるのだ。ドラコはその理由が察せたため、極力彼女と一緒の空間にいるのを避けたり、お喋り禁止の図書室で過ごしたり、クィディッチの練習のために外へ出たりして過ごした。
しかしそのように幾らフォーラを避けていても、ドラコは毎回彼女に声を掛けられることを酷く嬉しいと思っている自分がいると気付いていた。それに以前、廊下で彼自身が涙を流した時の事を彼女が全く尋ねてこないものだから、その優しい配慮に申し訳ない気持ちで一杯にもなった。ドラコとしては、彼女が随分長い間避けられても尚、そのような優しさを向けてくる姿が心の底から愛おしくて仕方なかったし、いつまでそのあからさまな好意を避け続けなければいけないのだろうと胸が締め付けられる思いだった。
加えてドラコは周囲の友人たちからの声にも頭を悩ませていた。ドラコがアマンダと別れた―――いや、そもそも付き合っていないに等しかったと明るみになったことで、クラッブやゴイル、それにパンジーやルニーがドラコに代わる代わる次のように尋ねてきたのだ。『フォーラからあんなに好意を寄せられているのに、気持ちに応えないのか?』と。しかも、そんな話に興味のなさそうなセオドールすらも同じ話題を振ってくるのだ(因みに、あわよくばフォーラを手に入れようと目論んでいたブレーズについては、彼女の意識が自身に向かないのを気にしてドラコに文句を言ってきた)。
これまでその類の問いはアマンダという盾があったおかげで比較的避けてこられた。しかしそれがなくなった今、以前にも増してドラコに積極的なフォーラを見た友人たちからすれば、本当は想い合っているかもしれない筈の二人が一緒にならない理由が見当たらず、ドラコを問いただしたくなるのも当然だった。
ドラコは何だかそのように外堀を埋められていくのを感じながらも、友人たちの話をスルーした。人の事情も知らないくせに……。とはいえ彼はフォーラに追いかけられる状態が続いていることを酷く有難く思い、同時にそれがいつ終わってしまうのだろうかと身勝手な寂しさも抱えていた。
そんな二月末頃のある日、フォーラの積極的な様子もとうとう終わりを迎えるだろう事が起こった。朝食時の大広間に突然、グリフィンドールのテーブルにいるハリー・ポッター目掛けて何羽ものふくろうが手紙を届けていったのだ。どの寮生も何故そのような事態になったのか全くわけが分からなかったが、その小さな混乱を嗅ぎ付けたアンブリッジによって全校生徒は事の経緯 を昼前に知った。
『ホグワーツ高等尋問官令
「ザ・クィブラー」を所持しているのが発覚した生徒は退学処分に処す。
以上は教育令第二十七号に則ったものである。
高等尋問官 ドローレス・ジェーン・アンブリッジ』
これをきっかけに、噂に目がないホグワーツ生はその日の内にあの手この手でアンブリッジに隠れてザ・クィブラーという雑誌を手に入れ、結局全校生徒がその内容を読んだ。それはドラコやフォーラを含むスリザリン生も例外ではなかった。
雑誌を見れば今朝ハリーに大量の手紙が届いた理由も、アンブリッジがあんなにハリーに怒っていた理由も明らかになった。特集には次のようなタイトルが付けられていた。
『ハリー・ポッターついに語る
「名前を呼んではいけないあの人」の真相―――僕がその人の復活を見た夜』
実のところ、ハリーはつい先日のホグズミード休暇中に記者のインタビューを受けており、雑誌にはその内容が綴られていた。去年行われた三大魔法学校対抗試合の最終戦でヴォルデモートの復活をハリーが見たことや、セドリック・ディゴリーを殺したのがヴォルデモート張本人であること。その手下である死喰い人のメンバーがヴォルデモート復活の場に集ったこと、そしてそのメンバーの名前も公表していたのだった。
死喰い人の名前が連なる中に当然ルシウス・マルフォイの名もあった。クラッブやゴイル、セオドールらの父親の名前もだ。それによってドラコを含む四人はハリーに対する怒りを強めた。父親の名前を公表されたのは勿論のこと、雑誌の内容を読んだ多くの生徒が、彼らを見てはヒソヒソと身を寄せ合って噂をしていたからだ。
しかしそのような辱 めを受けても尚、ドラコたちはハリーに怒りをぶつけられなかった。アンブリッジがザ・クィブラーの購読を禁止していたため、ハリーに意見しようものならそれはつまり、高等尋問官令を破ったのと同義になってしまうからだ。
そしてとうとう、これまで魔法省や日刊預言者新聞によって嘘呼ばわりされてきたハリーの証言が真実味を帯びた。そういうわけで、彼に対する周囲の生徒の眼差しは疑いから期待に変わっていったのだった。
しかしそのように幾らフォーラを避けていても、ドラコは毎回彼女に声を掛けられることを酷く嬉しいと思っている自分がいると気付いていた。それに以前、廊下で彼自身が涙を流した時の事を彼女が全く尋ねてこないものだから、その優しい配慮に申し訳ない気持ちで一杯にもなった。ドラコとしては、彼女が随分長い間避けられても尚、そのような優しさを向けてくる姿が心の底から愛おしくて仕方なかったし、いつまでそのあからさまな好意を避け続けなければいけないのだろうと胸が締め付けられる思いだった。
加えてドラコは周囲の友人たちからの声にも頭を悩ませていた。ドラコがアマンダと別れた―――いや、そもそも付き合っていないに等しかったと明るみになったことで、クラッブやゴイル、それにパンジーやルニーがドラコに代わる代わる次のように尋ねてきたのだ。『フォーラからあんなに好意を寄せられているのに、気持ちに応えないのか?』と。しかも、そんな話に興味のなさそうなセオドールすらも同じ話題を振ってくるのだ(因みに、あわよくばフォーラを手に入れようと目論んでいたブレーズについては、彼女の意識が自身に向かないのを気にしてドラコに文句を言ってきた)。
これまでその類の問いはアマンダという盾があったおかげで比較的避けてこられた。しかしそれがなくなった今、以前にも増してドラコに積極的なフォーラを見た友人たちからすれば、本当は想い合っているかもしれない筈の二人が一緒にならない理由が見当たらず、ドラコを問いただしたくなるのも当然だった。
ドラコは何だかそのように外堀を埋められていくのを感じながらも、友人たちの話をスルーした。人の事情も知らないくせに……。とはいえ彼はフォーラに追いかけられる状態が続いていることを酷く有難く思い、同時にそれがいつ終わってしまうのだろうかと身勝手な寂しさも抱えていた。
そんな二月末頃のある日、フォーラの積極的な様子もとうとう終わりを迎えるだろう事が起こった。朝食時の大広間に突然、グリフィンドールのテーブルにいるハリー・ポッター目掛けて何羽ものふくろうが手紙を届けていったのだ。どの寮生も何故そのような事態になったのか全くわけが分からなかったが、その小さな混乱を嗅ぎ付けたアンブリッジによって全校生徒は事の
『ホグワーツ高等尋問官令
「ザ・クィブラー」を所持しているのが発覚した生徒は退学処分に処す。
以上は教育令第二十七号に則ったものである。
高等尋問官 ドローレス・ジェーン・アンブリッジ』
これをきっかけに、噂に目がないホグワーツ生はその日の内にあの手この手でアンブリッジに隠れてザ・クィブラーという雑誌を手に入れ、結局全校生徒がその内容を読んだ。それはドラコやフォーラを含むスリザリン生も例外ではなかった。
雑誌を見れば今朝ハリーに大量の手紙が届いた理由も、アンブリッジがあんなにハリーに怒っていた理由も明らかになった。特集には次のようなタイトルが付けられていた。
『ハリー・ポッターついに語る
「名前を呼んではいけないあの人」の真相―――僕がその人の復活を見た夜』
実のところ、ハリーはつい先日のホグズミード休暇中に記者のインタビューを受けており、雑誌にはその内容が綴られていた。去年行われた三大魔法学校対抗試合の最終戦でヴォルデモートの復活をハリーが見たことや、セドリック・ディゴリーを殺したのがヴォルデモート張本人であること。その手下である死喰い人のメンバーがヴォルデモート復活の場に集ったこと、そしてそのメンバーの名前も公表していたのだった。
死喰い人の名前が連なる中に当然ルシウス・マルフォイの名もあった。クラッブやゴイル、セオドールらの父親の名前もだ。それによってドラコを含む四人はハリーに対する怒りを強めた。父親の名前を公表されたのは勿論のこと、雑誌の内容を読んだ多くの生徒が、彼らを見てはヒソヒソと身を寄せ合って噂をしていたからだ。
しかしそのような
そしてとうとう、これまで魔法省や日刊預言者新聞によって嘘呼ばわりされてきたハリーの証言が真実味を帯びた。そういうわけで、彼に対する周囲の生徒の眼差しは疑いから期待に変わっていったのだった。