17. 特別な君①
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(それにしたって、フォーラがずっと前から僕のことを好きだったなんて)
ドラコは夢にまで見たフォーラの告白を心の底から受け入れたかったが、先程の通り自らの手でなかったことにした。闇の魔術に対する防衛術の教室は、部屋を出た瞬間、教室で学んだ知識以外の記憶が消える魔法がかけられていた。効果の対象はアンブリッジとドラコ以外の人たちだった。
ドラコはその魔法を利用して、フォーラから彼女自身がドラコに告白した事実を奪った。それはドラコが父親の言いつけを守ることを優先したが故だった。それだから、フォーラが教室の外で記憶を失っても尚、教室にいた時と同じように告白をしようとしてきたことは、ドラコにとって心をえぐられる気持ちだった。
(一時の好奇心で、彼女の話を聞かなければよかった。これから先、フォーラは今日みたいに僕に声をかけてくるんだろうか?その度に僕だけがあの教室でのことを思い出して―――彼女が何を言うか分かった上で、その好意を断らなければいけないなんて。
彼女が何も言って来なかったとしても、僕は落ち着いて今まで通り彼女を避けられるんだろうか?)
「今までだって……相当苦しかったのに」
だがフォーラを想えばこそ、彼女から告白されたとしても、その気持ちは断らなくてはならない―――。その時、ドラコの脳裏に都合のよい言葉が浮かんだ。それは以前スネイプから伝えられた言葉だった。
『もし自分の行動に少しでも躊躇いがあるのなら、その時は自分の意志を尊重しなさい』
もういっそのこと、フォーラの好意を受け入れてしまってはどうだろうか?ドラコは自分の意志が揺らぎそうになっていることに気が付いた。ただでさえフォーラの好意が随分前からだったことに驚いているのに、自分の意志の弱さも相まって彼は随分混乱した。
(そもそもフォーラが以前僕の告白を断ったのは、さっき彼女が言っていたとおり、僕と彼女の純血主義に対する考え方が違うのを気にしてのことじゃないか。僕は彼女を『血を裏切る者』だなんて思ったこともなかったが……。言われてみれば、確かに彼女はそのカテゴリーに当てはまるのかもしれない。だけど、彼女は別に純血との関りを断っているわけでもないだろう?きっと彼女なりに思うところがあったんだろうが……。
兎に角、彼女はもうその時の悩みを払拭したからこそ僕に告白してくれたんだろう。だが、彼女がもっと重大な問題に直面した場合、同じような感情を僕に向けてくれるとは思わない。―――もし仮に僕が降参して彼女の好意を受け入れたとしても、その後いつかは僕が『死喰い人の息子』だと知る時が来る。そうなってしまったら、温和な彼女のことだ。僕が死喰い人側にいることを拒否できずに、きっと一人で頭を悩ませるだろう。
そうして結局傷つけることになるのなら尚の事、これまで通り彼女を遠ざけておく方が良いに決まっている……)
ドラコはそのように自身の考えを結論付けた。しかし彼の考えはすっかり外れていた。彼はフォーラと話さない間に、彼女が最早そのような『温和な彼女』ではなく、随分狡猾で、したたかで、手段を選ばない―――例えば禁書の棚から見つけた禁術をいつか習得してでも彼を守りたいと考えているなどとは、露程も思わなかったのだった。
さて、その日以降、ドラコはつい先日の決心が揺らぎそうになる状況に、幾らか耐えなければならない日々を過ごすこととなった。というのもあの日以来、フォーラが度々いつにも増してドラコに積極的に話しかけようとしてくるのだ。ドラコは彼女が例のごとく告白しようとしていることをよく分かっていた。それだから、彼は極力彼女と一緒の空間にいることを避けたり、お喋り禁止の図書室で過ごしたり、クィディッチの練習のために外へ出たりした。
しかしそのようにして幾らフォーラを避けても、ドラコは毎回彼女に話しかけられることを酷く嬉しいと思っている自分がいることに気付いていた。それに加え、以前ドラコが涙を流した時のことをフォーラが全く尋ねて来ないものだから、彼女の優しい配慮に申し訳ない気持ちで一杯だった。彼女は随分長い間ドラコに避けられても尚、そのような優しさをドラコに向けていた。ドラコはそんな彼女が心の底から愛おしくて仕方がなかったし、いつまで彼女の目に見えて分かる好意を避け続けなければいけないのだろうと、胸が締め付けられる思いだった。
加えてドラコは周囲の友人たちからの声にも頭を悩ませていた。ドラコがアマンダと別れた―――いや、そもそも付き合っていないに等しかったことが明るみになったこともあり、クラッブやゴイル、それにパンジーやルニーがドラコに代わる代わるこのように尋ねてきたのだ。
フォーラからあんなに好意を寄せられているんだから、気持ちに応えないのか?と。
しかも、そんな話に興味のなさそうなセオドール・ノットや、フォーラに片想いしているブレーズ・ザビニも(彼はフォーラの意識がブレーズ自身に向かないのを気にしてだが)そんな話をしてくるのだ。友人らからのそんな質問は、これまでアマンダという盾があったおかげで比較的避けて来られた。しかしその盾がなくなった今、最近以前よりドラコに積極的なフォーラを見た友人たちからすれば、本当は想い合っている筈の二人が一緒にならない理由が見当たらなかったのだ。
ドラコは何だかそのように外堀を埋められていくのを感じながらも、友人たちの話をスルーした。人の事情も知らないくせに……そのように思いながらも、ドラコはフォーラに追いかけられる状態が続いていることを正直酷く有難いことだと思っていた。そして同時に、それがいつ終わるのだろうかと、身勝手な寂しさも抱えていた。
ドラコは夢にまで見たフォーラの告白を心の底から受け入れたかったが、先程の通り自らの手でなかったことにした。闇の魔術に対する防衛術の教室は、部屋を出た瞬間、教室で学んだ知識以外の記憶が消える魔法がかけられていた。効果の対象はアンブリッジとドラコ以外の人たちだった。
ドラコはその魔法を利用して、フォーラから彼女自身がドラコに告白した事実を奪った。それはドラコが父親の言いつけを守ることを優先したが故だった。それだから、フォーラが教室の外で記憶を失っても尚、教室にいた時と同じように告白をしようとしてきたことは、ドラコにとって心をえぐられる気持ちだった。
(一時の好奇心で、彼女の話を聞かなければよかった。これから先、フォーラは今日みたいに僕に声をかけてくるんだろうか?その度に僕だけがあの教室でのことを思い出して―――彼女が何を言うか分かった上で、その好意を断らなければいけないなんて。
彼女が何も言って来なかったとしても、僕は落ち着いて今まで通り彼女を避けられるんだろうか?)
「今までだって……相当苦しかったのに」
だがフォーラを想えばこそ、彼女から告白されたとしても、その気持ちは断らなくてはならない―――。その時、ドラコの脳裏に都合のよい言葉が浮かんだ。それは以前スネイプから伝えられた言葉だった。
『もし自分の行動に少しでも躊躇いがあるのなら、その時は自分の意志を尊重しなさい』
もういっそのこと、フォーラの好意を受け入れてしまってはどうだろうか?ドラコは自分の意志が揺らぎそうになっていることに気が付いた。ただでさえフォーラの好意が随分前からだったことに驚いているのに、自分の意志の弱さも相まって彼は随分混乱した。
(そもそもフォーラが以前僕の告白を断ったのは、さっき彼女が言っていたとおり、僕と彼女の純血主義に対する考え方が違うのを気にしてのことじゃないか。僕は彼女を『血を裏切る者』だなんて思ったこともなかったが……。言われてみれば、確かに彼女はそのカテゴリーに当てはまるのかもしれない。だけど、彼女は別に純血との関りを断っているわけでもないだろう?きっと彼女なりに思うところがあったんだろうが……。
兎に角、彼女はもうその時の悩みを払拭したからこそ僕に告白してくれたんだろう。だが、彼女がもっと重大な問題に直面した場合、同じような感情を僕に向けてくれるとは思わない。―――もし仮に僕が降参して彼女の好意を受け入れたとしても、その後いつかは僕が『死喰い人の息子』だと知る時が来る。そうなってしまったら、温和な彼女のことだ。僕が死喰い人側にいることを拒否できずに、きっと一人で頭を悩ませるだろう。
そうして結局傷つけることになるのなら尚の事、これまで通り彼女を遠ざけておく方が良いに決まっている……)
ドラコはそのように自身の考えを結論付けた。しかし彼の考えはすっかり外れていた。彼はフォーラと話さない間に、彼女が最早そのような『温和な彼女』ではなく、随分狡猾で、したたかで、手段を選ばない―――例えば禁書の棚から見つけた禁術をいつか習得してでも彼を守りたいと考えているなどとは、露程も思わなかったのだった。
さて、その日以降、ドラコはつい先日の決心が揺らぎそうになる状況に、幾らか耐えなければならない日々を過ごすこととなった。というのもあの日以来、フォーラが度々いつにも増してドラコに積極的に話しかけようとしてくるのだ。ドラコは彼女が例のごとく告白しようとしていることをよく分かっていた。それだから、彼は極力彼女と一緒の空間にいることを避けたり、お喋り禁止の図書室で過ごしたり、クィディッチの練習のために外へ出たりした。
しかしそのようにして幾らフォーラを避けても、ドラコは毎回彼女に話しかけられることを酷く嬉しいと思っている自分がいることに気付いていた。それに加え、以前ドラコが涙を流した時のことをフォーラが全く尋ねて来ないものだから、彼女の優しい配慮に申し訳ない気持ちで一杯だった。彼女は随分長い間ドラコに避けられても尚、そのような優しさをドラコに向けていた。ドラコはそんな彼女が心の底から愛おしくて仕方がなかったし、いつまで彼女の目に見えて分かる好意を避け続けなければいけないのだろうと、胸が締め付けられる思いだった。
加えてドラコは周囲の友人たちからの声にも頭を悩ませていた。ドラコがアマンダと別れた―――いや、そもそも付き合っていないに等しかったことが明るみになったこともあり、クラッブやゴイル、それにパンジーやルニーがドラコに代わる代わるこのように尋ねてきたのだ。
フォーラからあんなに好意を寄せられているんだから、気持ちに応えないのか?と。
しかも、そんな話に興味のなさそうなセオドール・ノットや、フォーラに片想いしているブレーズ・ザビニも(彼はフォーラの意識がブレーズ自身に向かないのを気にしてだが)そんな話をしてくるのだ。友人らからのそんな質問は、これまでアマンダという盾があったおかげで比較的避けて来られた。しかしその盾がなくなった今、最近以前よりドラコに積極的なフォーラを見た友人たちからすれば、本当は想い合っている筈の二人が一緒にならない理由が見当たらなかったのだ。
ドラコは何だかそのように外堀を埋められていくのを感じながらも、友人たちの話をスルーした。人の事情も知らないくせに……そのように思いながらも、ドラコはフォーラに追いかけられる状態が続いていることを正直酷く有難いことだと思っていた。そして同時に、それがいつ終わるのだろうかと、身勝手な寂しさも抱えていた。