17. 特別な君①
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「ということは」今度はルニーが続いた。「ドラコは今もフォーラのことを思っているということよね?それなら、この間の談話室でフォーラにちょっかいをかけていたブレーズを魔法で追い払ったのは、やっぱりドラコだったに違いないわ」
「だけど、幾らまだフォーラへの気持ちがあったとしても、彼がフォーラに対して日頃から八つ当たりみたいにしていた事実は消えないわ」パンジーが冷静にルニーをたしなめた。「まあ、フォーラが以前言っていたように、ドラコに何か事情があった可能性もあり得るかもしれないけど……」
するとフォーラが意を決したように口を開いた。
「ねえ二人とも、覚えているかしら。以前私が二人の前で宣言したこと……。もしドラコがアマンダと別れたら、改めてドラコに私の気持ちを伝えたいという話だけど。」
「え、ええ。覚えてるわ」ルニーが相槌を打った。
「さっきのことが夢じゃないなら……その時が来たということよね。」
そう言ったフォーラの声色から、パンジーとルニーはこんな降って湧いたような状況にフォーラがきっと狼狽えているかもしれないと思った。しかしフォーラは自分でも不思議なことに冷静だった。
フォーラはドラコに告白するという、緊張を誘う行為に決意を固くしていた。それはやはりクリスマスパーティー以降、度々ドラコが自分に見せてくれた優しさのお陰だった。ドラコが自分を嫌っていないことが見え隠れしたからこそ、彼女は固い意志を結び直すことができたのだ。それに、先程見た状況から考えて、本当にドラコがまだ自分のことを想ってくれているのなら……。告白のタイミングをどうするかは別として、きっと早いに越したことはないだろう。
フォーラは自身の髪に付けているナルシサスの花飾りの魔法―――母親曰く、フォーラ自身の魅力を引き立てるものらしい―――それが、理由は不明だがドラコには効果がないだろうことを分かっていた。それでも彼女はその花飾りに触れることで、無意味だと分かっていても、あわよくばドラコにその効果が現れることを期待していたし、彼に接する勇気を貰えているような気もしていたのだった。
それから数日後、フォーラはドラコとアマンダが別れたという小さなニュースを、校内のどこかで改めて小耳に挟んだ。彼女はそのことが、生徒間の周知の事実となるのもそろそろだと思っていたこともあり、とうとう今日ドラコに告白する決心をしていた。もし振られて失敗したって構わない。少しでもドラコが自分を意識するきっかけを改めて作れるのなら。
そしてフォーラはこの日の最後の授業である『闇の魔術の防衛術』が終わった後、ドラコがアンブリッジを手伝って教室の片づけを終えるのを待った。それだから、そのことを知らないドラコは仕事を終えて先生と別れ、教室に自分の鞄を取りに戻った時、本来ならもう誰もいない筈の教室に彼女が一人残っていることに随分驚いていた。
ドラコはフォーラと一瞬目が合ったものの、彼女に気が付かない振りをしてその場を立ち去ろうとした。
「ドラコ、待って」
ドラコは立ち止まるつもりなど無かった筈なのに、フォーラに名前を呼ばれたことで反射的に身体が動かなくなっていた。魔法などかけられていない筈なのに、まるで彼女の声に魔法が混ざっているようだと思った。ドラコは一瞬の戸惑いの後、冷静な表情でフォーラの方を振り返った。
「何だ。僕は忙しいんだが」
「急に声をかけてしまってごめんなさい。私、ドラコに伝えたいことがあって残らせてもらっていたの。」
「伝えたいこと?そんなの、こんな風にわざわざ僕と二人の時を待ち伏せしなくても、談話室でもどこでも、誰がいようが堂々と声をかければいいだろう。周りの目を気にするような侮辱でも言おうっていうのか」
ドラコはフォーラと目を合わさずにぶっきらぼうに言った。正直言って、ドラコはこの状況に内心落ち着かなかったし、勿論フォーラが誰かに侮辱を言うような人ではないことをよく分かっていた。彼女が自分と二人きりになってまで伝えたいことが、良いことか悪いことかまでは分からなかった。しかし彼は次に彼女が放った言葉の声色で、感覚的にどちらなのかを把握した。
「二人きりの時にしか、話したくないことだったから。」
ドラコが思わずフォーラを見ると、彼女はドラコの冷たい態度などものともせず、熱くひたむきな視線を彼に向けていた。その表情や言葉は、この間のクリスマス休暇明けの彼女を思い出させた―――あの時は、ドラコがアンブリッジと話をしていたところに黒猫姿のフォーラと鉢合わせた。ドラコは彼女をアンブリッジの目に触れないよう咄嗟に隠したのだが、その後、人の姿に戻ったフォーラがお礼と共に自分に伝えてきた言葉があった。
『私ね、いつか時が来たら、貴方に伝えたいことがあるの。』
今目の前にいるフォーラはあの時と同じ表情をしていた。彼女のあまりにも好意的でいじらしい姿は、ドラコからすれば彼自身の身体がジリジリと焼かれるような感覚を思わせた。彼がずっと、何年も欲しかった彼女の表情や視線が今再びこうして自分に向けられていて、動悸がした。
ドラコはこのまま彼女に話の続きを促していいのか迷った。これまでのフォーラのひたむきな姿から、彼は今から彼女に何を言われるのか幾つかの予想が頭を過った。そしてその予想のどれもが、彼の本心にとっては願ってもない程嬉しくて、一方で彼女と関わり合いにならないと決めた心には、本当に都合が悪かった。
ドラコが何も言わないものだから、フォーラは続きを話すのを許可されていると受け取った。
「もしドラコの時間が許すなら、今日、夕食の後に時間を貰えないかしら……。大切な話なの。」
「君にわざわざ別の時間を設けるのなら、今ここで話を聞こうが変わらないだろう」
ドラコは心から冷酷な声が出るよう意識しながらそう言った。彼はフォーラが今から話そうとすることを、この部屋以外で絶対に聞いてはいけないと思った。
するとフォーラはドラコの態度に申し訳なさそうな表情になった。
「だけど、幾らまだフォーラへの気持ちがあったとしても、彼がフォーラに対して日頃から八つ当たりみたいにしていた事実は消えないわ」パンジーが冷静にルニーをたしなめた。「まあ、フォーラが以前言っていたように、ドラコに何か事情があった可能性もあり得るかもしれないけど……」
するとフォーラが意を決したように口を開いた。
「ねえ二人とも、覚えているかしら。以前私が二人の前で宣言したこと……。もしドラコがアマンダと別れたら、改めてドラコに私の気持ちを伝えたいという話だけど。」
「え、ええ。覚えてるわ」ルニーが相槌を打った。
「さっきのことが夢じゃないなら……その時が来たということよね。」
そう言ったフォーラの声色から、パンジーとルニーはこんな降って湧いたような状況にフォーラがきっと狼狽えているかもしれないと思った。しかしフォーラは自分でも不思議なことに冷静だった。
フォーラはドラコに告白するという、緊張を誘う行為に決意を固くしていた。それはやはりクリスマスパーティー以降、度々ドラコが自分に見せてくれた優しさのお陰だった。ドラコが自分を嫌っていないことが見え隠れしたからこそ、彼女は固い意志を結び直すことができたのだ。それに、先程見た状況から考えて、本当にドラコがまだ自分のことを想ってくれているのなら……。告白のタイミングをどうするかは別として、きっと早いに越したことはないだろう。
フォーラは自身の髪に付けているナルシサスの花飾りの魔法―――母親曰く、フォーラ自身の魅力を引き立てるものらしい―――それが、理由は不明だがドラコには効果がないだろうことを分かっていた。それでも彼女はその花飾りに触れることで、無意味だと分かっていても、あわよくばドラコにその効果が現れることを期待していたし、彼に接する勇気を貰えているような気もしていたのだった。
それから数日後、フォーラはドラコとアマンダが別れたという小さなニュースを、校内のどこかで改めて小耳に挟んだ。彼女はそのことが、生徒間の周知の事実となるのもそろそろだと思っていたこともあり、とうとう今日ドラコに告白する決心をしていた。もし振られて失敗したって構わない。少しでもドラコが自分を意識するきっかけを改めて作れるのなら。
そしてフォーラはこの日の最後の授業である『闇の魔術の防衛術』が終わった後、ドラコがアンブリッジを手伝って教室の片づけを終えるのを待った。それだから、そのことを知らないドラコは仕事を終えて先生と別れ、教室に自分の鞄を取りに戻った時、本来ならもう誰もいない筈の教室に彼女が一人残っていることに随分驚いていた。
ドラコはフォーラと一瞬目が合ったものの、彼女に気が付かない振りをしてその場を立ち去ろうとした。
「ドラコ、待って」
ドラコは立ち止まるつもりなど無かった筈なのに、フォーラに名前を呼ばれたことで反射的に身体が動かなくなっていた。魔法などかけられていない筈なのに、まるで彼女の声に魔法が混ざっているようだと思った。ドラコは一瞬の戸惑いの後、冷静な表情でフォーラの方を振り返った。
「何だ。僕は忙しいんだが」
「急に声をかけてしまってごめんなさい。私、ドラコに伝えたいことがあって残らせてもらっていたの。」
「伝えたいこと?そんなの、こんな風にわざわざ僕と二人の時を待ち伏せしなくても、談話室でもどこでも、誰がいようが堂々と声をかければいいだろう。周りの目を気にするような侮辱でも言おうっていうのか」
ドラコはフォーラと目を合わさずにぶっきらぼうに言った。正直言って、ドラコはこの状況に内心落ち着かなかったし、勿論フォーラが誰かに侮辱を言うような人ではないことをよく分かっていた。彼女が自分と二人きりになってまで伝えたいことが、良いことか悪いことかまでは分からなかった。しかし彼は次に彼女が放った言葉の声色で、感覚的にどちらなのかを把握した。
「二人きりの時にしか、話したくないことだったから。」
ドラコが思わずフォーラを見ると、彼女はドラコの冷たい態度などものともせず、熱くひたむきな視線を彼に向けていた。その表情や言葉は、この間のクリスマス休暇明けの彼女を思い出させた―――あの時は、ドラコがアンブリッジと話をしていたところに黒猫姿のフォーラと鉢合わせた。ドラコは彼女をアンブリッジの目に触れないよう咄嗟に隠したのだが、その後、人の姿に戻ったフォーラがお礼と共に自分に伝えてきた言葉があった。
『私ね、いつか時が来たら、貴方に伝えたいことがあるの。』
今目の前にいるフォーラはあの時と同じ表情をしていた。彼女のあまりにも好意的でいじらしい姿は、ドラコからすれば彼自身の身体がジリジリと焼かれるような感覚を思わせた。彼がずっと、何年も欲しかった彼女の表情や視線が今再びこうして自分に向けられていて、動悸がした。
ドラコはこのまま彼女に話の続きを促していいのか迷った。これまでのフォーラのひたむきな姿から、彼は今から彼女に何を言われるのか幾つかの予想が頭を過った。そしてその予想のどれもが、彼の本心にとっては願ってもない程嬉しくて、一方で彼女と関わり合いにならないと決めた心には、本当に都合が悪かった。
ドラコが何も言わないものだから、フォーラは続きを話すのを許可されていると受け取った。
「もしドラコの時間が許すなら、今日、夕食の後に時間を貰えないかしら……。大切な話なの。」
「君にわざわざ別の時間を設けるのなら、今ここで話を聞こうが変わらないだろう」
ドラコは心から冷酷な声が出るよう意識しながらそう言った。彼はフォーラが今から話そうとすることを、この部屋以外で絶対に聞いてはいけないと思った。
するとフォーラはドラコの態度に申し訳なさそうな表情になった。