16. ドラコの意志
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これまで自分なりにフォーラと距離を取るため、相当冷たい態度で彼女を突き放してきた。しかし彼女の危機にはそんなことがどうでも良くなってしまうくらい、本当は……。だが、先程フォーラを助け出した時、もし彼女が起き出していたとしたら?彼女に見せてきた態度の全てが水の泡になっていたかもしれないというのに。
(———いや。僕はもしかしたら、心の底ではそれを望んでいたのかもしれない)
フォーラに冷たくする度に、ドラコは相当心を痛めていた。フォーラが嫌いだと自己暗示のように思い続けたこともあったが、そう思い込むのは容易ではなかった。特に今回、ドラコが自分のおかれた状況を考慮せずに彼女を助けたことは、自分の本当の気持ちを改めて思い知るきっかけとなった。
(だけど、そんなことは許されない。僕は何を馬鹿なことを。僕が何のためにフォーラに冷たく接してきたか、よく覚えているはずだ)
ドラコは自問自答して自分の哀れな考えを責めた。そしてそれと同時に先程のスネイプの言葉が頭をかすめたのだった。
『もし自分の行動に少しでも躊躇いがあるのなら、その時は自分の意志を尊重しなさい』
「……」
ドラコはもう一度フォーラにこっそりと視線を向けた。そしてその時丁度フォーラの元へブレーズ・ザビ二が向かい、彼女に声をかけているのが目に入った。それを見て、ドラコはつい先日、廊下でフォーラが今と同じようにブレーズに絡まれていたのを思い出した。あの時のドラコはブレーズに浮遊呪文をかけてフォーラから遠ざけ、それによって彼女に見つかりそうになるという危機的状況に陥った。
本来なら二人のことは放っておくべきだった。ブレーズの親戚に死喰い人はいないし、かといってダンブルドア側でもない。仮に彼女が押しに負けてブレーズとくっついたとしたら、それはドラコが彼女を自分から遠ざけたいという願望を叶えることに繋がる。
しかしドラコがそうしなかったのは、明らかにフォーラがブレーズへの抵抗感を露わにしており、彼女を助けたいという気持ちが優先してしまったからだった。
(だけど、それすら本当は建前にすぎない。彼女を助けたかったのは嘘じゃない———だけど、一番はブレーズ・ザビ二が腹立たしかったからだ。僕が望んでフォーラから離れたとはいえ……。
クリスマス前にフォーラが言っていた通り、僕らは間違いなく幼馴染なんだ。僕が彼女に振られた身でも、本来ならザビ二なんかより、よっぽど僕の方がフォーラと親しく過ごせていただろう)
こんな考え、ただの僻みだということは十分に承知している。 なのに、性懲りもなくフォーラに言い寄るブレーズに腹が立って仕方がない。
それだけドラコが心の片隅にフォーラへの諦めの悪さを置いているのには、理由があった。それはこの間のクリスマスパーティーでドラコがフォーラとダンスを踊っていた時、彼女がドラコの腕の中で伝えた言葉のせいだった。
『本当はもう少しドラコとこうしていられたら、とっても嬉しいのだけど……。』
あの時のフォーラはいじらしくて、それを見たドラコは眉間にぎゅっと皺を寄せて視線を逸らし、わざと彼女に冷たい言葉を伝えたのだ。あんなにも思わせぶりで心躍る状況に耐えるのは、相当な固い意志が必要だった。
(間違いなくフォーラは僕の告白を断った筈なのに、どうしてあんな……。まるで僕のことを———どうして僕を好きなのかと思わせるような表情や言葉を向けて来たんだ?)
しかもあの時のフォーラは、彼女の家の使用人お手製のドレスを着ていて、それがまた厄介だった。魔法というのは、時に呪文を唱えなくとも力を発揮することがある。ドラコが察するに、あのドレスにはメイドのフォーラに対する愛情が詰まっていて、その愛情が自然とフォーラに良い影響を与える魔法になっていたのだろう。あの時は自分を含め彼女と話した人間は皆、無意識に心地よい本音を伝えたくなっていた筈だ。
そのせいで、パーティーの時のドラコはフォーラの言動に耐えるため、必要以上に自分の本音を隠そうと眉間に皺を寄せたり、出来るだけ彼女と視線を合わせないように努めなければならなかった。
しかし、そのように意識していても、咄嗟に彼女と目を合わせた時には、思わず彼女を肯定するような本音を漏らしてしまったのだった。
(ドレスが似合うかとフォーラから尋ねられた時だって、少し気を抜いただけで「似合っている」と伝えてしまった。それにダンス中に転びそうになった彼女を抱きかかえた拍子に、僕は彼女を心配するような言葉を殆ど言いかけていたじゃないか)
『私、まだドラコに褒められたり、心配してもらえているわ』
ドラコはフォーラを助けた際に、彼女が今にも泣き出しそうな表情で喜ぶ姿を思い出していた。そして、その後自分がまたもや彼女への気持ちを曝け出してしまったことを恥じた。
『そんなの、心配するに決まっているだろう……』
(あんなこと、一切言うつもりなんてなかったのに。
一瞬でも僕の本音を聞いて、フォーラはどう思っただろう?少なくとも彼女は僕と仲直りしたそうだから、きっと喜んだのかもしれない。)
しかし、これ以上フォーラに本音を伝えるつもりはない。そして彼女の前では、これまで通り冷たく接すると決めていた。ドラコはルシウスに伝えられた言葉を思い出した。
『来るべき時に備え、今周りにいる友人からいつか離れなければならない覚悟を持っておきなさい。決して心から大切だと思える人間を作ってはいけない』
とはいえ、ルシウスからはこれまで仲良くしていた友人に冷たい態度を取るよう指示されたわけではない。しかしドラコからしてみれば、フォーラにだけはここまでしておかないと、彼女と一線を画せる自身も、ルシウスの言いつけを守れる自信も無かったのだ。
(———いや。僕はもしかしたら、心の底ではそれを望んでいたのかもしれない)
フォーラに冷たくする度に、ドラコは相当心を痛めていた。フォーラが嫌いだと自己暗示のように思い続けたこともあったが、そう思い込むのは容易ではなかった。特に今回、ドラコが自分のおかれた状況を考慮せずに彼女を助けたことは、自分の本当の気持ちを改めて思い知るきっかけとなった。
(だけど、そんなことは許されない。僕は何を馬鹿なことを。僕が何のためにフォーラに冷たく接してきたか、よく覚えているはずだ)
ドラコは自問自答して自分の哀れな考えを責めた。そしてそれと同時に先程のスネイプの言葉が頭をかすめたのだった。
『もし自分の行動に少しでも躊躇いがあるのなら、その時は自分の意志を尊重しなさい』
「……」
ドラコはもう一度フォーラにこっそりと視線を向けた。そしてその時丁度フォーラの元へブレーズ・ザビ二が向かい、彼女に声をかけているのが目に入った。それを見て、ドラコはつい先日、廊下でフォーラが今と同じようにブレーズに絡まれていたのを思い出した。あの時のドラコはブレーズに浮遊呪文をかけてフォーラから遠ざけ、それによって彼女に見つかりそうになるという危機的状況に陥った。
本来なら二人のことは放っておくべきだった。ブレーズの親戚に死喰い人はいないし、かといってダンブルドア側でもない。仮に彼女が押しに負けてブレーズとくっついたとしたら、それはドラコが彼女を自分から遠ざけたいという願望を叶えることに繋がる。
しかしドラコがそうしなかったのは、明らかにフォーラがブレーズへの抵抗感を露わにしており、彼女を助けたいという気持ちが優先してしまったからだった。
(だけど、それすら本当は建前にすぎない。彼女を助けたかったのは嘘じゃない———だけど、一番はブレーズ・ザビ二が腹立たしかったからだ。僕が望んでフォーラから離れたとはいえ……。
クリスマス前にフォーラが言っていた通り、僕らは間違いなく幼馴染なんだ。僕が彼女に振られた身でも、本来ならザビ二なんかより、よっぽど僕の方がフォーラと親しく過ごせていただろう)
こんな考え、ただの僻みだということは十分に承知している。 なのに、性懲りもなくフォーラに言い寄るブレーズに腹が立って仕方がない。
それだけドラコが心の片隅にフォーラへの諦めの悪さを置いているのには、理由があった。それはこの間のクリスマスパーティーでドラコがフォーラとダンスを踊っていた時、彼女がドラコの腕の中で伝えた言葉のせいだった。
『本当はもう少しドラコとこうしていられたら、とっても嬉しいのだけど……。』
あの時のフォーラはいじらしくて、それを見たドラコは眉間にぎゅっと皺を寄せて視線を逸らし、わざと彼女に冷たい言葉を伝えたのだ。あんなにも思わせぶりで心躍る状況に耐えるのは、相当な固い意志が必要だった。
(間違いなくフォーラは僕の告白を断った筈なのに、どうしてあんな……。まるで僕のことを———どうして僕を好きなのかと思わせるような表情や言葉を向けて来たんだ?)
しかもあの時のフォーラは、彼女の家の使用人お手製のドレスを着ていて、それがまた厄介だった。魔法というのは、時に呪文を唱えなくとも力を発揮することがある。ドラコが察するに、あのドレスにはメイドのフォーラに対する愛情が詰まっていて、その愛情が自然とフォーラに良い影響を与える魔法になっていたのだろう。あの時は自分を含め彼女と話した人間は皆、無意識に心地よい本音を伝えたくなっていた筈だ。
そのせいで、パーティーの時のドラコはフォーラの言動に耐えるため、必要以上に自分の本音を隠そうと眉間に皺を寄せたり、出来るだけ彼女と視線を合わせないように努めなければならなかった。
しかし、そのように意識していても、咄嗟に彼女と目を合わせた時には、思わず彼女を肯定するような本音を漏らしてしまったのだった。
(ドレスが似合うかとフォーラから尋ねられた時だって、少し気を抜いただけで「似合っている」と伝えてしまった。それにダンス中に転びそうになった彼女を抱きかかえた拍子に、僕は彼女を心配するような言葉を殆ど言いかけていたじゃないか)
『私、まだドラコに褒められたり、心配してもらえているわ』
ドラコはフォーラを助けた際に、彼女が今にも泣き出しそうな表情で喜ぶ姿を思い出していた。そして、その後自分がまたもや彼女への気持ちを曝け出してしまったことを恥じた。
『そんなの、心配するに決まっているだろう……』
(あんなこと、一切言うつもりなんてなかったのに。
一瞬でも僕の本音を聞いて、フォーラはどう思っただろう?少なくとも彼女は僕と仲直りしたそうだから、きっと喜んだのかもしれない。)
しかし、これ以上フォーラに本音を伝えるつもりはない。そして彼女の前では、これまで通り冷たく接すると決めていた。ドラコはルシウスに伝えられた言葉を思い出した。
『来るべき時に備え、今周りにいる友人からいつか離れなければならない覚悟を持っておきなさい。決して心から大切だと思える人間を作ってはいけない』
とはいえ、ルシウスからはこれまで仲良くしていた友人に冷たい態度を取るよう指示されたわけではない。しかしドラコからしてみれば、フォーラにだけはここまでしておかないと、彼女と一線を画せる自身も、ルシウスの言いつけを守れる自信も無かったのだ。