16. ドラコの意志
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スネイプの言葉に反省した様子のフォーラを見かねて、彼は軽く咳ばらいをすると、練習の進捗について尋ねた。すると彼女はこのような会話が出来る相手がいて嬉しいようで、楽し気に現在の練習状況について話して聞かせた。習得した変身呪文やその内容について彼女から話を聞くにつれ、スネイプはその内容の濃さや、変身術へのずば抜けたセンスに目を見張るものがあると感じていた。根を詰めていることもあってやや粗削りだが、それを加味してもフォーラの成長は異様だった。
試しに、彼女は七年生で練習する高難易度な『人の変身』を彼女の片手にかけて年齢を操作し、皺だらけの老婆の手に変えたのだった。
「『人の変身』はまだ手にしか試していなくって。とっても頑張っているんです。
勿論マクゴナガル先生の授業でも慢心せずに、今学年で習っている範囲を完璧に仕上げるようにしています。
あっ、それから魔法薬学だって他の科目だって、一切怠っていませんよ!スネイプ先生の課題は特に気が抜けませんから。
……私、こんな様子だから倒れてしまうんですよね。今後は気を付けます……。」
スネイプはそれを聞いて呆れを含んだため息をついた。
とはいえ彼女の行動は不死鳥の騎士団の役に立ちたいと思ってのことだろうし、ドラコを闇の陣営からなるべく引き剝がしたいという固い意志も感じ取れた。
しかしその努力が実を結ぶかどうか、今の状態では辛い結果しか生まない可能性が高いとスネイプは思った。ドラコが傾倒している闇の陣営はマグル生まれの一掃を企んでいるが、フォーラも本来ならその対象に含まれているなどとドラコが知ったら……。逆に、ドラコがそのようなことに進んで加担しようとしているとフォーラが知ってしまったら……。
「多くを学べと言った吾輩が言うセリフではないのかもしれないが。
あまり結末を妄信しすぎると、後々辛い思いをするかもしれん。希望を持つのは良いことだが、それが時に自分にとって毒になることも覚えておきなさい」
フォーラはスネイプが自分を心配してそのようなことを言っていると十分に理解していた。彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「はい。ありがとうございます。
だけど、そんな言葉をかけてくださるなんて、どうしたんです?」
スネイプは彼女の質問に答えずに続けた。
「……もしだ。仮にドラコを救えたとして、その後はどうするつもりだ?」
彼女に向けた質問は、小一時間前にドラコに向けた内容と随分似ていた。
「……私、全部終わったら、本当の自分を打ち明けるつもりです。マグル生まれの私を。そして結果はどうあれ、彼からは離れようと考えています。
血のことでドラコを悩ませるくらいなら、私は彼の目の前から消えた方がいいんです。
それに私がいくらドラコを想っていても、マルフォイ家の純血という伝統を壊す権利なんて、少しも持ち合わせていないんですから。」
彼女の回答もまた、ドラコがスネイプに答えたものと酷似していた。お互いに誰よりも想い合っている二人が、一時的な傷を負わせてでも、相手が最も幸せになる方法を推測して選んでいる。そして、一番深い傷は自分が負えばそれでいいと考えている。
「……」
スネイプはこのやるせない状況に何と声をかけるべきか一瞬迷った。そしてスネイプが口を開きかけたその時、不意に廊下に続く扉をノックする音が聞こえた。二人してその方向を見て、スネイプはため息混じりに立ち上がると扉を開けた。するとそこには珍しくマクゴナガルの姿があったのだった。
「セブルス、ここに居たのですね。よかった。例のことで相談があって———あら、先客ですか」
マクゴナガルはフォーラの存在に気付くと、にこやかに笑いかけた。しかしマクゴナガルの視線がふとフォーラの手元に移った時、彼女の表情は驚きと恐怖の色にあっという間に変わっていた。彼女はスネイプを押しのけ、急いでフォーラに駆け寄ると、サッとフォーラの手を取って悲壮な声をあげた。
「なんてこと!どうしたのですかこの手は!こんなに皺だらけになってしまって!」
「えっ……あ!先生、落ち着いてください。大丈夫なんです。」
フォーラは先程自分の手にかけた『人の変身』の呪文を解除し忘れていたことにたった今気が付いた。マクゴナガルに知られてまずいことではないが、すっかり何か勘違いして慌てている彼女には大変申し訳ない思いで一杯だ。
「大丈夫なものですか!こんな……。セブルス!ミス・ファントムは何の呪いに?それとも何かの魔法薬でも被ったのですか?」
マクゴナガルがスネイプを振り返ると、彼は彼女から顔を背けて固まっていた。その表情は彼の肩まである髪に隠れて読み取れないが、フォーラにはその姿が笑いを静かに堪えているのだと直ぐに分かったし、マクゴナガルも何か少なからずそのような異変を感じ取った様子だった。
「あの、マクゴナガル先生。実は」
フォーラがマクゴナガルに手のことを説明すると、マクゴナガルは安堵によって脱力した後、軽く咳払いをしてその場を取り繕った。
「私としたことが、随分取り乱してしまいました。セブルス、いつまで笑っているんです?」
「いや。何も」
スネイプが無表情でこちらに向き直って冷静に言った。マクゴナガルは彼を気に入らない様子で一瞥した後、フォーラに向き直った。
「それにしても、もう『人の変身』を練習して———しかも形どころか、年齢を変えるだなんて高等術ですよ。それも不死鳥の騎士団のためだなんて。
これは称賛せざるを得ません。スリザリンに50点です。私から点を貰ったことは内緒ですよ」
あまりに驚かれてフォーラは嬉しいやら恥ずかしいやら、照れながらお礼を伝えたのだった。
マクゴナガルはフォーラのしわがれた方の手を取ると、杖を振って元の状態に戻した。そして彼女はフォーラの方をじっと見据えており、 不思議な物でも見ているかのようだった。
試しに、彼女は七年生で練習する高難易度な『人の変身』を彼女の片手にかけて年齢を操作し、皺だらけの老婆の手に変えたのだった。
「『人の変身』はまだ手にしか試していなくって。とっても頑張っているんです。
勿論マクゴナガル先生の授業でも慢心せずに、今学年で習っている範囲を完璧に仕上げるようにしています。
あっ、それから魔法薬学だって他の科目だって、一切怠っていませんよ!スネイプ先生の課題は特に気が抜けませんから。
……私、こんな様子だから倒れてしまうんですよね。今後は気を付けます……。」
スネイプはそれを聞いて呆れを含んだため息をついた。
とはいえ彼女の行動は不死鳥の騎士団の役に立ちたいと思ってのことだろうし、ドラコを闇の陣営からなるべく引き剝がしたいという固い意志も感じ取れた。
しかしその努力が実を結ぶかどうか、今の状態では辛い結果しか生まない可能性が高いとスネイプは思った。ドラコが傾倒している闇の陣営はマグル生まれの一掃を企んでいるが、フォーラも本来ならその対象に含まれているなどとドラコが知ったら……。逆に、ドラコがそのようなことに進んで加担しようとしているとフォーラが知ってしまったら……。
「多くを学べと言った吾輩が言うセリフではないのかもしれないが。
あまり結末を妄信しすぎると、後々辛い思いをするかもしれん。希望を持つのは良いことだが、それが時に自分にとって毒になることも覚えておきなさい」
フォーラはスネイプが自分を心配してそのようなことを言っていると十分に理解していた。彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「はい。ありがとうございます。
だけど、そんな言葉をかけてくださるなんて、どうしたんです?」
スネイプは彼女の質問に答えずに続けた。
「……もしだ。仮にドラコを救えたとして、その後はどうするつもりだ?」
彼女に向けた質問は、小一時間前にドラコに向けた内容と随分似ていた。
「……私、全部終わったら、本当の自分を打ち明けるつもりです。マグル生まれの私を。そして結果はどうあれ、彼からは離れようと考えています。
血のことでドラコを悩ませるくらいなら、私は彼の目の前から消えた方がいいんです。
それに私がいくらドラコを想っていても、マルフォイ家の純血という伝統を壊す権利なんて、少しも持ち合わせていないんですから。」
彼女の回答もまた、ドラコがスネイプに答えたものと酷似していた。お互いに誰よりも想い合っている二人が、一時的な傷を負わせてでも、相手が最も幸せになる方法を推測して選んでいる。そして、一番深い傷は自分が負えばそれでいいと考えている。
「……」
スネイプはこのやるせない状況に何と声をかけるべきか一瞬迷った。そしてスネイプが口を開きかけたその時、不意に廊下に続く扉をノックする音が聞こえた。二人してその方向を見て、スネイプはため息混じりに立ち上がると扉を開けた。するとそこには珍しくマクゴナガルの姿があったのだった。
「セブルス、ここに居たのですね。よかった。例のことで相談があって———あら、先客ですか」
マクゴナガルはフォーラの存在に気付くと、にこやかに笑いかけた。しかしマクゴナガルの視線がふとフォーラの手元に移った時、彼女の表情は驚きと恐怖の色にあっという間に変わっていた。彼女はスネイプを押しのけ、急いでフォーラに駆け寄ると、サッとフォーラの手を取って悲壮な声をあげた。
「なんてこと!どうしたのですかこの手は!こんなに皺だらけになってしまって!」
「えっ……あ!先生、落ち着いてください。大丈夫なんです。」
フォーラは先程自分の手にかけた『人の変身』の呪文を解除し忘れていたことにたった今気が付いた。マクゴナガルに知られてまずいことではないが、すっかり何か勘違いして慌てている彼女には大変申し訳ない思いで一杯だ。
「大丈夫なものですか!こんな……。セブルス!ミス・ファントムは何の呪いに?それとも何かの魔法薬でも被ったのですか?」
マクゴナガルがスネイプを振り返ると、彼は彼女から顔を背けて固まっていた。その表情は彼の肩まである髪に隠れて読み取れないが、フォーラにはその姿が笑いを静かに堪えているのだと直ぐに分かったし、マクゴナガルも何か少なからずそのような異変を感じ取った様子だった。
「あの、マクゴナガル先生。実は」
フォーラがマクゴナガルに手のことを説明すると、マクゴナガルは安堵によって脱力した後、軽く咳払いをしてその場を取り繕った。
「私としたことが、随分取り乱してしまいました。セブルス、いつまで笑っているんです?」
「いや。何も」
スネイプが無表情でこちらに向き直って冷静に言った。マクゴナガルは彼を気に入らない様子で一瞥した後、フォーラに向き直った。
「それにしても、もう『人の変身』を練習して———しかも形どころか、年齢を変えるだなんて高等術ですよ。それも不死鳥の騎士団のためだなんて。
これは称賛せざるを得ません。スリザリンに50点です。私から点を貰ったことは内緒ですよ」
あまりに驚かれてフォーラは嬉しいやら恥ずかしいやら、照れながらお礼を伝えたのだった。
マクゴナガルはフォーラのしわがれた方の手を取ると、杖を振って元の状態に戻した。そして彼女はフォーラの方をじっと見据えており、 不思議な物でも見ているかのようだった。