16. ドラコの意志
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スネイプは懇願の視線を向けてくるドラコを見た。過去にヴォルデモートが勢力を振るっていた時代は、多くの魔法使いがその大戦で犠牲になった。そしてその中にはルシウス・マルフォイが言うように、闇の陣営側と親しい仲間も多く含まれていた。彼らの中にはヴォルデモートに与していない者もいたが、それでも命の危機に晒されることもあった。
ルシウスも過去に親しい者がそのような目に巻き込まれた経験があっての助言なのだと、ドラコはそのように認識していた。
しかしルシウスが発した助言の本質はそれだけではないとスネイプは思った。大切な人に手をかける可能性があるのは何も敵側だけではない。敬っている主君からだって……いや寧ろ、その可能性の方があり得るかもしれない。
「念のため聞こう。もし闇の帝王に助力する時が来たら、躊躇いなく馳せ参じると約束できるか?」
その質問にドラコは言葉を発しようとしたが押し黙ってしまった。その姿から察するに、言葉を選んでいるというよりは、探しているといった方がしっくり来た。
「……はい、きっと」
スネイプはため息をつくと静かに頷いた。
「よかろう。今回は我輩が彼女を見つけたことにしておく」
ドラコはそれを聞いてホッと安堵した。スネイプはそんなドラコをもう一度一瞥した。
ドラコもフォーラも、本当の自分を偽ってお互いに過ごしている。しかし一つ違うところを挙げるとすれば、フォーラは自分の気持ちに素直に向き合った上で決意して行動しているのに対し、ドラコの方は躊躇いが伺えた。フォーラを守るためとはいえ、そんな状態で彼女を避け続けていれば、彼自身、きっといつか後悔する時が来るだろう。
ドラコには大前提として性善説を信じすぎているところがあった。大切な人と関わらなければ、その人は絶対に巻き込まれることがないと思っているのだ。しかしドラコの知らないところでフォーラは不死鳥の騎士団側に与しており、既に無関係とは程遠い。
そして何よりヴォルデモートが復活した時点で、無差別に誰かが犠牲になることは確実なのだ。
そのことをスネイプは身をもって体験したうちの一人だった。彼は自分に素直になれずに後悔したまま、遂に想い人が手にかけられたことで、一生想いを伝える機会失ってしまったのだった。
「お前たち二人が昔馴染みなのは我輩も把握している。ドラコの気持ちも分からないことはない。
だが、今のように彼女を避け続けた上で、全てが片付いたら……その時はどうするつもりだ?元の関係にはそうそう戻れまい」
スネイプの『全てが片付いたら』という発言の意味は、ヴォルデモートの統治が完了した場合を指していた。それを聞いたドラコは、瞳を伏せって何かを考えている様子だった。
「それで構いません。彼女に嫌われたままでも。それまでに彼女が戦いに巻き込まれるよりは、ずっと良いですから」
そう言ったドラコの瞳が一瞬曇ったのをスネイプは見た気がした。しかし彼の瞳はすぐに明るい色に変わっていたのだった。
「それにある意味、闇の帝王が統治する世の中は、フォーラにとってもそこまで悪いものではないと思うんです。彼女は純血主義でないとはいえ、結局は純血で、何だかんだ純血の家系を大切に想っているところがあります。だからその頃には彼女にとっても、きっと今より過ごしやすくなっているかもしれません。
それから、残念ながら僕はとっくに彼女に振られているので、どっちにしろ彼女と一緒になることはないんです」
ドラコは闇の陣営が勢力を上げるにつれて、フォーラが苦むことになるとは露程も知らない。つまり自分の行動が彼女を締め付けることになるとは思ってもいないのだ。
そしてドラコは自ら進んで身を引くほどにフォーラをあまりにも想いすぎていた。そのさまに、スネイプは思わずドラコの発言に過去の自分を重ねざるを得なかった。それだから彼はらしくないことをドラコに助言していたのだった。
「ドラコ、お前がフォーラのことを想って行動しているのはよく分かった。
だが、もし自分の行動に少しでも躊躇いがあるのなら、その時は自分の意志を尊重しなさい。」
ドラコはスネイプの言葉にびくりと肩を小さく跳ねさせた。まるで図星を突かれたかのように声が出てこなかった。……いや、別に後悔なんてしていない。フォーラと幼馴染の馴れ合いの関係でいることは、お互いにとって不利な筈なのだ。何も知らない彼女と関係が絶たれていれば、自分の弱みとして彼女が誰かに認知されることもないだろう。だから自分の今の行動に微塵も後悔などない。
もし彼女に冷たく当たった本当の理由を伝える時が来るとすれば、それはスネイプの言うようにヴォルデモートによる魔法界の統治が完了した時だろう。そうすればその頃には、ドラコ自身の弱みとして彼女が敵に脅かされる心配もない。
だがドラコは彼女に隠している真実を謝罪こそすれ、許してもらおうとも思っていなかった。それだけ現在進行形で彼女に酷いことをしているという自覚があるだけに、自分には許しを請う資格も、彼女の側にいる資格もないと認識していた。
そして最終的なとどめは、ドラコがとっくにフォーラに振られているということだった。もし彼女に謝罪を受け入れられても、自分が彼女に向けるのと同じ想いを向けられない限り、最早何の意味もない。
「ご心配いただきありがとうございます。ですが、お言葉だけ頂戴しておきます」
スネイプは小一時間前にドラコとそのような会話を交わしたことを頭の片隅に仕舞った。目の前にいるフォーラは、ソファに座って困惑したまま、対面に座っているスネイプを見た。
「お忙しいでしょうに、私のせいでご迷惑をおかけして、本当にごめんなさい。」
「そう思うのなら、倒れる程に根を詰めすぎたことを改めるのだ。我輩はお前に多くを学ぶよう言ったが、それは勿論自己管理の範囲内での話だ」
ルシウスも過去に親しい者がそのような目に巻き込まれた経験があっての助言なのだと、ドラコはそのように認識していた。
しかしルシウスが発した助言の本質はそれだけではないとスネイプは思った。大切な人に手をかける可能性があるのは何も敵側だけではない。敬っている主君からだって……いや寧ろ、その可能性の方があり得るかもしれない。
「念のため聞こう。もし闇の帝王に助力する時が来たら、躊躇いなく馳せ参じると約束できるか?」
その質問にドラコは言葉を発しようとしたが押し黙ってしまった。その姿から察するに、言葉を選んでいるというよりは、探しているといった方がしっくり来た。
「……はい、きっと」
スネイプはため息をつくと静かに頷いた。
「よかろう。今回は我輩が彼女を見つけたことにしておく」
ドラコはそれを聞いてホッと安堵した。スネイプはそんなドラコをもう一度一瞥した。
ドラコもフォーラも、本当の自分を偽ってお互いに過ごしている。しかし一つ違うところを挙げるとすれば、フォーラは自分の気持ちに素直に向き合った上で決意して行動しているのに対し、ドラコの方は躊躇いが伺えた。フォーラを守るためとはいえ、そんな状態で彼女を避け続けていれば、彼自身、きっといつか後悔する時が来るだろう。
ドラコには大前提として性善説を信じすぎているところがあった。大切な人と関わらなければ、その人は絶対に巻き込まれることがないと思っているのだ。しかしドラコの知らないところでフォーラは不死鳥の騎士団側に与しており、既に無関係とは程遠い。
そして何よりヴォルデモートが復活した時点で、無差別に誰かが犠牲になることは確実なのだ。
そのことをスネイプは身をもって体験したうちの一人だった。彼は自分に素直になれずに後悔したまま、遂に想い人が手にかけられたことで、一生想いを伝える機会失ってしまったのだった。
「お前たち二人が昔馴染みなのは我輩も把握している。ドラコの気持ちも分からないことはない。
だが、今のように彼女を避け続けた上で、全てが片付いたら……その時はどうするつもりだ?元の関係にはそうそう戻れまい」
スネイプの『全てが片付いたら』という発言の意味は、ヴォルデモートの統治が完了した場合を指していた。それを聞いたドラコは、瞳を伏せって何かを考えている様子だった。
「それで構いません。彼女に嫌われたままでも。それまでに彼女が戦いに巻き込まれるよりは、ずっと良いですから」
そう言ったドラコの瞳が一瞬曇ったのをスネイプは見た気がした。しかし彼の瞳はすぐに明るい色に変わっていたのだった。
「それにある意味、闇の帝王が統治する世の中は、フォーラにとってもそこまで悪いものではないと思うんです。彼女は純血主義でないとはいえ、結局は純血で、何だかんだ純血の家系を大切に想っているところがあります。だからその頃には彼女にとっても、きっと今より過ごしやすくなっているかもしれません。
それから、残念ながら僕はとっくに彼女に振られているので、どっちにしろ彼女と一緒になることはないんです」
ドラコは闇の陣営が勢力を上げるにつれて、フォーラが苦むことになるとは露程も知らない。つまり自分の行動が彼女を締め付けることになるとは思ってもいないのだ。
そしてドラコは自ら進んで身を引くほどにフォーラをあまりにも想いすぎていた。そのさまに、スネイプは思わずドラコの発言に過去の自分を重ねざるを得なかった。それだから彼はらしくないことをドラコに助言していたのだった。
「ドラコ、お前がフォーラのことを想って行動しているのはよく分かった。
だが、もし自分の行動に少しでも躊躇いがあるのなら、その時は自分の意志を尊重しなさい。」
ドラコはスネイプの言葉にびくりと肩を小さく跳ねさせた。まるで図星を突かれたかのように声が出てこなかった。……いや、別に後悔なんてしていない。フォーラと幼馴染の馴れ合いの関係でいることは、お互いにとって不利な筈なのだ。何も知らない彼女と関係が絶たれていれば、自分の弱みとして彼女が誰かに認知されることもないだろう。だから自分の今の行動に微塵も後悔などない。
もし彼女に冷たく当たった本当の理由を伝える時が来るとすれば、それはスネイプの言うようにヴォルデモートによる魔法界の統治が完了した時だろう。そうすればその頃には、ドラコ自身の弱みとして彼女が敵に脅かされる心配もない。
だがドラコは彼女に隠している真実を謝罪こそすれ、許してもらおうとも思っていなかった。それだけ現在進行形で彼女に酷いことをしているという自覚があるだけに、自分には許しを請う資格も、彼女の側にいる資格もないと認識していた。
そして最終的なとどめは、ドラコがとっくにフォーラに振られているということだった。もし彼女に謝罪を受け入れられても、自分が彼女に向けるのと同じ想いを向けられない限り、最早何の意味もない。
「ご心配いただきありがとうございます。ですが、お言葉だけ頂戴しておきます」
スネイプは小一時間前にドラコとそのような会話を交わしたことを頭の片隅に仕舞った。目の前にいるフォーラは、ソファに座って困惑したまま、対面に座っているスネイプを見た。
「お忙しいでしょうに、私のせいでご迷惑をおかけして、本当にごめんなさい。」
「そう思うのなら、倒れる程に根を詰めすぎたことを改めるのだ。我輩はお前に多くを学ぶよう言ったが、それは勿論自己管理の範囲内での話だ」