15. スパイ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
四年生の終わり頃、ドラコはヴォルデモートが復活する前に父のルシウスから一通の手紙を受け取っていた。そこには闇陣営側であるドラコを想ったルシウスの忠告が綴られていた。
『お前があのお方のそばに仕える時、お前の周りにはあのお方に賛同する同胞しか置いてはならぬ。来るべき時に備え、今周りにいる友人からいつか離れなければならない覚悟を持っておきなさい。そして、決して心から大切だと思える人を作ってはいけない。そのための心の準備を、今からでもしておいてほしい。私のように苦い想いをしてほしくない、だからこその忠告だ』
ドラコは父が所属する闇陣営の純血主義の考え方に賛同していた。純粋な魔法使いの血筋が保たれることはマルフォイ家の伝統であり、誇りであり、最も重んじるところだからだ。彼の家系が紡いできた歴史は並大抵のものではなく、魔法界の象徴の一つとして揺るぎないものだった。それだから伝統の秩序を乱す野蛮なマグルや穢れた血といった外敵を受け入れることは、純血の家系がその外敵に飲み込まれてしまうことに直結する。そうなれば純血は今より一層数が減少し、その歴史はいつぞや断たれてしまう。マルフォイ家はそのことを危惧していた。
ルシウスやドラコにとってその状況を打破できる希望はヴォルデモートという存在だったが、彼を支持することは同時に、その反抗勢力であるダンブルドア側と対峙するという意味を持った。
(僕は自分の感情を優先してフォーラに勢いのまま想いを告げてしまったが、結果として振られて良かったんだ。今後僕が闇陣営に加わって敵と対峙することがあるなら、自分の弱みは少なく身軽な方がいい。それにどんな危険が待っているかも分からないのに、無関係な彼女を一切関わらせたくない)
そのような考えの下、ドラコはフォーラとの関りを断つために自ら彼女を突き放して嫌われようとしてきた。そして自身の心の真ん中から彼女を追い出そうと努力した。しかし彼は結局、彼女への特別な感情を断ち切れずにいたのだった。
(この間だって僕としたことが、ザビニの奴がフォーラにちょっかいを出しているのが我慢できなくて邪魔してしまった。本来なら放っておけばよかったのに、危うく彼女に見つかってしまうところだったんだぞ)
自分の感情が思いどおりにいかなくても、せめてフォーラには嫌われていたいのに。自分が助けたとばれてしまえば、これまでの事が水の泡だ。
(とはいえ、フォーラにあれだけ嫌がらせをしてきたっていうのに、どうして彼女は……)
ドラコはファントム家で催されたクリスマスパーティーの最中 、意図せずフォーラを褒めたり助けたりしてしまったことで、彼女が泣き出しそうなくらい嬉しさを込めた笑顔を見せていたのを思い出した。そしてつい先日も、猫の姿だった彼女をアンブリッジから隠した後に何やら熱い視線を向けられたばかりだ。ドラコはハッとして我に返ると、それらを忘れようと何度か頭を横に振り、その場に立ち上がった。
(違う、気のせいだ。フォーラは僕を振った。それに、僕に恋人という立場の人がいることも知っている。それなのに彼女が僕を想っているだなんて、そんな都合の良い事なんてある筈がない!)
ここにいては随分調子が狂ってしまう。ドラコは小さなため息を吐くと、躊躇いの後でその場を立ち去る前に一度だけフォーラがいる部屋を軽く覗いた。
「!」
何となく最後にフォーラの姿を見ておきたいと思った、それだけだった。まさかドラコの視界に入った彼女が先程とは打って変わってその場に倒れているなんて、彼は思いもしなかったのだった。
『お前があのお方のそばに仕える時、お前の周りにはあのお方に賛同する同胞しか置いてはならぬ。来るべき時に備え、今周りにいる友人からいつか離れなければならない覚悟を持っておきなさい。そして、決して心から大切だと思える人を作ってはいけない。そのための心の準備を、今からでもしておいてほしい。私のように苦い想いをしてほしくない、だからこその忠告だ』
ドラコは父が所属する闇陣営の純血主義の考え方に賛同していた。純粋な魔法使いの血筋が保たれることはマルフォイ家の伝統であり、誇りであり、最も重んじるところだからだ。彼の家系が紡いできた歴史は並大抵のものではなく、魔法界の象徴の一つとして揺るぎないものだった。それだから伝統の秩序を乱す野蛮なマグルや穢れた血といった外敵を受け入れることは、純血の家系がその外敵に飲み込まれてしまうことに直結する。そうなれば純血は今より一層数が減少し、その歴史はいつぞや断たれてしまう。マルフォイ家はそのことを危惧していた。
ルシウスやドラコにとってその状況を打破できる希望はヴォルデモートという存在だったが、彼を支持することは同時に、その反抗勢力であるダンブルドア側と対峙するという意味を持った。
(僕は自分の感情を優先してフォーラに勢いのまま想いを告げてしまったが、結果として振られて良かったんだ。今後僕が闇陣営に加わって敵と対峙することがあるなら、自分の弱みは少なく身軽な方がいい。それにどんな危険が待っているかも分からないのに、無関係な彼女を一切関わらせたくない)
そのような考えの下、ドラコはフォーラとの関りを断つために自ら彼女を突き放して嫌われようとしてきた。そして自身の心の真ん中から彼女を追い出そうと努力した。しかし彼は結局、彼女への特別な感情を断ち切れずにいたのだった。
(この間だって僕としたことが、ザビニの奴がフォーラにちょっかいを出しているのが我慢できなくて邪魔してしまった。本来なら放っておけばよかったのに、危うく彼女に見つかってしまうところだったんだぞ)
自分の感情が思いどおりにいかなくても、せめてフォーラには嫌われていたいのに。自分が助けたとばれてしまえば、これまでの事が水の泡だ。
(とはいえ、フォーラにあれだけ嫌がらせをしてきたっていうのに、どうして彼女は……)
ドラコはファントム家で催されたクリスマスパーティーの
(違う、気のせいだ。フォーラは僕を振った。それに、僕に恋人という立場の人がいることも知っている。それなのに彼女が僕を想っているだなんて、そんな都合の良い事なんてある筈がない!)
ここにいては随分調子が狂ってしまう。ドラコは小さなため息を吐くと、躊躇いの後でその場を立ち去る前に一度だけフォーラがいる部屋を軽く覗いた。
「!」
何となく最後にフォーラの姿を見ておきたいと思った、それだけだった。まさかドラコの視界に入った彼女が先程とは打って変わってその場に倒れているなんて、彼は思いもしなかったのだった。