15. スパイ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「君から僕を誘ってもらえるなんて嬉しいね。やっとその気になってくれたのかい」
「えっ?」
ブレーズはフォーラの反応などお構いなしに、彼女の腰に手を当てて軽く引き寄せた。甘い微笑みを向けられたものの、フォーラはこの状況に焦りを帯び、彼を拒絶しようとした。しかし彼の腕はびくともせず、離れる様子がなかった。フォーラの中で再びパンジーの警告が再生されたその時、突如としてブレーズが彼女に触れていた手が離れ、焦りと驚きの入り混じった声が聞こえた。どうしたのかと彼を見やると、彼は浮遊呪文でもかけられたかのように宙を舞っていた。ブレーズは慌てふためきながら杖を取ろうとしたが上手くいかず、彼の意志とは関係なくそのまま何処か廊下の彼方へ飛ばされて行ってしまったのだった。
フォーラはたった今起こった出来事にあっけに取られていた。一体、今のは何だったのだろう?彼女がふと我に返って辺りを見渡すと、近くの階段の影に生徒のものと思しきローブの裾が一瞬はためいているのが見えた。しかしその姿をはっきり認識する前に、その影は階下の方へ走り去ってしまったのだった。
「まって!」
フォーラはたった今見えなくなったローブの影を走って追いかけた。一瞬しか見えなかったが、そのローブの裏地の色が確実にスリザリン寮生のものであることは間違いなかった。もしかすると、今走り去ってしまったその人が自分を助けてくれたのではないかと思ったし、そうであるならばお礼を言わなくてはならない。
(あら……何処へ行ってしまったのかしら)
足音を追いかけて階下へ行ったものの、フォーラはその姿を見失ってしまった。彼女が辺りをきょろきょろと見渡していると、丁度そこにパンジーの姿があった。
「フォーラ、こんなところでどうしたの?」
「あ、パンジー、偶然だわ。少し用事があって。
もし知っていたら教えて欲しいのだけど、つい先程誰かとすれ違ったりしなかった?」
「いいえ、誰も見なかったわ。
そうだ、私も聞きたいのだけど、この辺りでドラコを見かけなかった?今、尋問官親衛隊のパトロール中でドラコと一緒に見回りをしていたのだけど、途中で彼を見失ってしまったの」
「ドラコは見かけなかったわ。」
パンジーとはそのようなやり取りがあってその場で分かれることとなった。自分を助けてくれたのは一体誰だったのだろう。フォーラは階下にその人を追いかけに行った際、慣れ親しんだ香りを感じた気がした。しかしその人が誰か分からない以上、このことは深く追求しない———いや、追及する手立てがなく、諦めることにしたのだった。
そんな出来事があり、ブレーズはあの時の醜態を恥ずかしいと感じたのか、その後フォーラに話しかける頻度を随分と減らした様子だった。そしてフォーラはそれをいいことにその後も例の四階の部屋で変身術の練習を度々行っていた。彼女は自身の秘密の部屋がブレーズを含め誰にも知られていないことに安堵していたが、実は一人だけそのことを知っている人物がいた。しかし彼女はそんなことを知るよしもなかった。
さて、ドラコはここ最近、尋問管親衛隊のパトロールでの見回りをパンジーや他の生徒同様に行っていた。そうやって城内を出歩く中で彼には気付いたことがあった。度々フォーラが上階の方へ消えていくのを見かけるのだ。そういえばクリスマス休暇に入る前に一度だけフォーラが何もないはずの上階から一人で降りて来るところも見たことがある。もしかすると彼女はあの時から最近までずっと、城の何処か上の階で何かを続けているのかもしれない。
ドラコがその様なことを考えていたある日、彼はパトロール中にフォーラが四階の突き当たりにある空き部屋の中へ入っていくのを偶然目にした。これまでこの真下の階層で彼女を見かけていたこともあり、彼はフォーラがこれまで向かっていた場所が空き部屋であるはずのこの場所だったと気がついた。
(今までどこに消えているのかと思ったら、こんな人気の無いところにいたのか)
ドラコは彼女が入って行ったドアの辺りを見てほんの一瞬の内に様々な事を考えた。その一つとして、もしかするとアンブリッジが求めている光景がこの部屋の中に広がっているのでは?と思った。つまりハリー・ポッターとその仲間たちが何かこの場所で秘密の活動をしているのではないかということだ。フォーラは今年度に入ってから彼らとの交流を一切絶ってしまった。とは言え、それまでの事を思えばこの予想はありえない話ではないのかもしれない。
(だけど、もし本当にフォーラがポッター達と何か……秘密裏に交流を続けていたとしたら?その時はどうする?)
ドラコは恐る恐るフォーラの消えたドアに近づいた。そして耳をドアに当てて中の物音に耳をすませた。すると微かに声が聞こえて来るではないか。ドラコはことの真相を確かめるため、思い切ってそのドアをほんの少しだけ静かに開け、出来た隙間から中の様子を覗いたのだった。
「!」
中にいたのはフォーラ唯一人だった。彼女は手元の教科書らしき本を見ながら杖を何度か振っているところだった。ドラコから見ても呪文の練習をしているのは明らかだ。
(一人だけ、か)
ドラコはサッと部屋の隅から隅まで目を走らせ、彼女以外に誰もいないことを認識した。そしてそれと同時に彼の中でどっと安堵のような感覚が押し寄せた。彼は扉から離れると思わず壁に背中を預け、ずるずるとその場に座り込んだのだった。
「はあ……」
(よかった……フォーラはポッターとは何の関わりもなかった。 そもそも最近は全く彼女と奴らが話をしていないことから考えても、そんな筈なかったんだ。
こんなところで一人なのは気がかりだが、そんなことは最早どうだっていい。いや、寧ろ一人で良かった。アンブリッジの条例では一人での呪文練習を罰則とする内容は無かった筈だから)
「えっ?」
ブレーズはフォーラの反応などお構いなしに、彼女の腰に手を当てて軽く引き寄せた。甘い微笑みを向けられたものの、フォーラはこの状況に焦りを帯び、彼を拒絶しようとした。しかし彼の腕はびくともせず、離れる様子がなかった。フォーラの中で再びパンジーの警告が再生されたその時、突如としてブレーズが彼女に触れていた手が離れ、焦りと驚きの入り混じった声が聞こえた。どうしたのかと彼を見やると、彼は浮遊呪文でもかけられたかのように宙を舞っていた。ブレーズは慌てふためきながら杖を取ろうとしたが上手くいかず、彼の意志とは関係なくそのまま何処か廊下の彼方へ飛ばされて行ってしまったのだった。
フォーラはたった今起こった出来事にあっけに取られていた。一体、今のは何だったのだろう?彼女がふと我に返って辺りを見渡すと、近くの階段の影に生徒のものと思しきローブの裾が一瞬はためいているのが見えた。しかしその姿をはっきり認識する前に、その影は階下の方へ走り去ってしまったのだった。
「まって!」
フォーラはたった今見えなくなったローブの影を走って追いかけた。一瞬しか見えなかったが、そのローブの裏地の色が確実にスリザリン寮生のものであることは間違いなかった。もしかすると、今走り去ってしまったその人が自分を助けてくれたのではないかと思ったし、そうであるならばお礼を言わなくてはならない。
(あら……何処へ行ってしまったのかしら)
足音を追いかけて階下へ行ったものの、フォーラはその姿を見失ってしまった。彼女が辺りをきょろきょろと見渡していると、丁度そこにパンジーの姿があった。
「フォーラ、こんなところでどうしたの?」
「あ、パンジー、偶然だわ。少し用事があって。
もし知っていたら教えて欲しいのだけど、つい先程誰かとすれ違ったりしなかった?」
「いいえ、誰も見なかったわ。
そうだ、私も聞きたいのだけど、この辺りでドラコを見かけなかった?今、尋問官親衛隊のパトロール中でドラコと一緒に見回りをしていたのだけど、途中で彼を見失ってしまったの」
「ドラコは見かけなかったわ。」
パンジーとはそのようなやり取りがあってその場で分かれることとなった。自分を助けてくれたのは一体誰だったのだろう。フォーラは階下にその人を追いかけに行った際、慣れ親しんだ香りを感じた気がした。しかしその人が誰か分からない以上、このことは深く追求しない———いや、追及する手立てがなく、諦めることにしたのだった。
そんな出来事があり、ブレーズはあの時の醜態を恥ずかしいと感じたのか、その後フォーラに話しかける頻度を随分と減らした様子だった。そしてフォーラはそれをいいことにその後も例の四階の部屋で変身術の練習を度々行っていた。彼女は自身の秘密の部屋がブレーズを含め誰にも知られていないことに安堵していたが、実は一人だけそのことを知っている人物がいた。しかし彼女はそんなことを知るよしもなかった。
さて、ドラコはここ最近、尋問管親衛隊のパトロールでの見回りをパンジーや他の生徒同様に行っていた。そうやって城内を出歩く中で彼には気付いたことがあった。度々フォーラが上階の方へ消えていくのを見かけるのだ。そういえばクリスマス休暇に入る前に一度だけフォーラが何もないはずの上階から一人で降りて来るところも見たことがある。もしかすると彼女はあの時から最近までずっと、城の何処か上の階で何かを続けているのかもしれない。
ドラコがその様なことを考えていたある日、彼はパトロール中にフォーラが四階の突き当たりにある空き部屋の中へ入っていくのを偶然目にした。これまでこの真下の階層で彼女を見かけていたこともあり、彼はフォーラがこれまで向かっていた場所が空き部屋であるはずのこの場所だったと気がついた。
(今までどこに消えているのかと思ったら、こんな人気の無いところにいたのか)
ドラコは彼女が入って行ったドアの辺りを見てほんの一瞬の内に様々な事を考えた。その一つとして、もしかするとアンブリッジが求めている光景がこの部屋の中に広がっているのでは?と思った。つまりハリー・ポッターとその仲間たちが何かこの場所で秘密の活動をしているのではないかということだ。フォーラは今年度に入ってから彼らとの交流を一切絶ってしまった。とは言え、それまでの事を思えばこの予想はありえない話ではないのかもしれない。
(だけど、もし本当にフォーラがポッター達と何か……秘密裏に交流を続けていたとしたら?その時はどうする?)
ドラコは恐る恐るフォーラの消えたドアに近づいた。そして耳をドアに当てて中の物音に耳をすませた。すると微かに声が聞こえて来るではないか。ドラコはことの真相を確かめるため、思い切ってそのドアをほんの少しだけ静かに開け、出来た隙間から中の様子を覗いたのだった。
「!」
中にいたのはフォーラ唯一人だった。彼女は手元の教科書らしき本を見ながら杖を何度か振っているところだった。ドラコから見ても呪文の練習をしているのは明らかだ。
(一人だけ、か)
ドラコはサッと部屋の隅から隅まで目を走らせ、彼女以外に誰もいないことを認識した。そしてそれと同時に彼の中でどっと安堵のような感覚が押し寄せた。彼は扉から離れると思わず壁に背中を預け、ずるずるとその場に座り込んだのだった。
「はあ……」
(よかった……フォーラはポッターとは何の関わりもなかった。 そもそも最近は全く彼女と奴らが話をしていないことから考えても、そんな筈なかったんだ。
こんなところで一人なのは気がかりだが、そんなことは最早どうだっていい。いや、寧ろ一人で良かった。アンブリッジの条例では一人での呪文練習を罰則とする内容は無かった筈だから)