15. スパイ
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「貴方の提案は本当に役立ったと思うわーーーこの長期休暇の間に誰を私の親衛隊として選抜するか、力を見定める参考になったのだから」
「それは良かったです。先生の目で直接生徒の技量を見てもらった方が良いと思っていたので、正解でした」
物陰に隠れているせいでドラコの様子は目視で確認できなかったが、声色からして正気を保っているようだし、真実薬の類を飲まされた様子ではなさそうだ。フォーラは一安心すると同時に彼らの会話に疑問を覚えた。
(提案って、一体何の話かしら……。それに、先生の親衛隊って?)
ドラコが続けた。
「親衛隊の仕事はどのようなことを予定しているのですか?」
「基本的には、わたくしに反発する生徒がいないかの確認をお願いしようと考えているわ。特に申請許可なく団体活動を計画している生徒がいないか城内を見回って欲しいのよ」
アンブリッジが苛立った様子で続けた。
「ポッターがホグズミードで友人達を集めて妙な動きをしていたことは把握済みですからね。今も何か企んで活動していたとしたら、重大な規則違反だわ。彼の尻尾を掴めれば一番良いのだけど」
(……!父様やセブルスさんが危惧していた通り、アンブリッジ先生はハリー達が開いた一回目の集会を知っていたんだわ。
ホグズミードの件はクラブ活動ではなかったから咎められないと思うけれど……。アンブリッジ先生はハリー達が団体で『闇の魔術に対する防衛術』を継続して練習していることまでは知らないのね)
今の話の流れから察するに、アンブリッジは彼女の補佐として学校を取り締まる生徒を募ろうとしているのだろう。そしてフォーラが最も気になった点としては、ドラコがそのメンバーの選抜に何か手を貸していそうだということだった。
(ドラコ、あなた本当に大丈夫なの……?)
フォーラは先程の二人の会話に気を取られて考えごとをしてしまっていた。それだからドラコ達がフォーラの隠れている通路の方向に歩みを進めていたことに気が付かなかった。二人の足音と声が極端に近づいた時、ようやくフォーラがハッとしてその方向を見上げた。すると曲がり角を曲がったばかりのドラコと、黒猫の姿をした彼女の視線がばっちり噛み合っていたのだった。ドラコが突然立ち止まったことで彼のローブがふわりと揺れた。
(……!!!)
「ドラコ、どうかしたのかしら?」
アンブリッジの猫撫で声がドラコのすぐ後ろで聞こえた。急に停止したドラコを心配した様子だ。フォーラは突然のことに身体が強張って動けずにいた。早く走って逃げた方がいいに決まっているのに。こんなことならしっかり目くらまし術をかけておくんだった。
フォーラはその場で思わずギュッと目を瞑ってしまった。きっとドラコは今の話に聞き耳を立てていたことをアンブリッジに伝えるだろう。それから———。
そう思ったのも束の間、フォーラの小さな身体に大判の布が触れた。
「いえ、何でもありません。少し用事を思い出してしまって」
フォーラが恐る恐る目を開けると、彼女の視界には見覚えのある黒い布とドラコの足元が映った。彼女はドラコの足首まで長さがあるローブの内側にいたのだ。
(もしかしてドラコは私のこと、隠してくれたの……?)
アンブリッジはドラコの行動に特に違和感も無く会話を続けた。
「あら、それじゃあここでお別れしましょう。今学期から頼み事が増えるけどよろしくね」
「はい。勿論です」
アンブリッジがドラコに笑顔で見送られる形でその場を去った。ドラコは彼女が見えなくなったのを確認すると、視線を足元の黒猫に落とした。そして厳しい声色で言った。
「さあ、人間の姿に戻るんだ」
フォーラは何も言わずに黒猫から人の姿に変身した。彼女の表情は至極冷静だった。
「よく私だと直ぐに分かったわね。黒猫なんて珍しくないのに。」
「そんなことより、ご丁寧に変身までしてどうしてこんなところにいるんだ?何かを立ち聞きしていたようにしか思えないが」
ドラコの冷たい視線がフォーラに向けられた。
「ごめんなさい、今の話———貴方がアンブリッジ先生に何か手助けしているということについて———聞いてしまったことは認めるわ。
ただ、私は貴方の様子が知りたかっただけなの。そんな話を聞くためじゃなかった。
私、ドラコがアンブリッジ先生に呼ばれたと聞いて心配になって———先生は生徒への黒い噂が沢山あったから、先生に何かされているんじゃないかと思ったの。」
ドラコはフンと鼻を鳴らした。
「ああそうかい。それはそれはご心配いただきどうもありがとう。
だが、僕がアンブリッジ先生に何かされるなんてあり得ないね。僕はあの人のお気に入りだ」
「そう、それなら良かった……。」
フォーラがホッとした様子で胸を撫で下ろした。ドラコは彼女を一瞥し、予想外の反応に呆れた様子でフイと視線を逸らした。
「随分お人好しだな。君は僕に相当避けられてると自覚していなかったのか?通りでそんなセリフが言えたものだ」
「ええ。私、貴方に嫌われている自覚がないのかもしれないわ。」
彼女の言葉にドラコはパッと視線を戻した。彼は嫌味を言ったつもりだったが、彼女の思わぬ言葉に反応してしまった。フォーラが続けた。
「私、確かにドラコには随分嫌われてしまったと思ったわ。
だけど、この間のクリスマスパーティーの時は、貴方の思わぬ優しさがとっても嬉しかったの。
まさかドレスを似合うと言ってもらえたり、転びそうなところを助けてもらったり……。
特に、私のことを『心配するに決まってる』と言ってくれた時は、本当に嬉しかったの。まるで以前のドラコに戻ったみたいで。」
ドラコはファントム家でのパーティーで自分の意思とは関係なくフォーラを褒めてしまったことを思い出した。彼は思わず顔がグッと熱くなるのを感じた。
「それは良かったです。先生の目で直接生徒の技量を見てもらった方が良いと思っていたので、正解でした」
物陰に隠れているせいでドラコの様子は目視で確認できなかったが、声色からして正気を保っているようだし、真実薬の類を飲まされた様子ではなさそうだ。フォーラは一安心すると同時に彼らの会話に疑問を覚えた。
(提案って、一体何の話かしら……。それに、先生の親衛隊って?)
ドラコが続けた。
「親衛隊の仕事はどのようなことを予定しているのですか?」
「基本的には、わたくしに反発する生徒がいないかの確認をお願いしようと考えているわ。特に申請許可なく団体活動を計画している生徒がいないか城内を見回って欲しいのよ」
アンブリッジが苛立った様子で続けた。
「ポッターがホグズミードで友人達を集めて妙な動きをしていたことは把握済みですからね。今も何か企んで活動していたとしたら、重大な規則違反だわ。彼の尻尾を掴めれば一番良いのだけど」
(……!父様やセブルスさんが危惧していた通り、アンブリッジ先生はハリー達が開いた一回目の集会を知っていたんだわ。
ホグズミードの件はクラブ活動ではなかったから咎められないと思うけれど……。アンブリッジ先生はハリー達が団体で『闇の魔術に対する防衛術』を継続して練習していることまでは知らないのね)
今の話の流れから察するに、アンブリッジは彼女の補佐として学校を取り締まる生徒を募ろうとしているのだろう。そしてフォーラが最も気になった点としては、ドラコがそのメンバーの選抜に何か手を貸していそうだということだった。
(ドラコ、あなた本当に大丈夫なの……?)
フォーラは先程の二人の会話に気を取られて考えごとをしてしまっていた。それだからドラコ達がフォーラの隠れている通路の方向に歩みを進めていたことに気が付かなかった。二人の足音と声が極端に近づいた時、ようやくフォーラがハッとしてその方向を見上げた。すると曲がり角を曲がったばかりのドラコと、黒猫の姿をした彼女の視線がばっちり噛み合っていたのだった。ドラコが突然立ち止まったことで彼のローブがふわりと揺れた。
(……!!!)
「ドラコ、どうかしたのかしら?」
アンブリッジの猫撫で声がドラコのすぐ後ろで聞こえた。急に停止したドラコを心配した様子だ。フォーラは突然のことに身体が強張って動けずにいた。早く走って逃げた方がいいに決まっているのに。こんなことならしっかり目くらまし術をかけておくんだった。
フォーラはその場で思わずギュッと目を瞑ってしまった。きっとドラコは今の話に聞き耳を立てていたことをアンブリッジに伝えるだろう。それから———。
そう思ったのも束の間、フォーラの小さな身体に大判の布が触れた。
「いえ、何でもありません。少し用事を思い出してしまって」
フォーラが恐る恐る目を開けると、彼女の視界には見覚えのある黒い布とドラコの足元が映った。彼女はドラコの足首まで長さがあるローブの内側にいたのだ。
(もしかしてドラコは私のこと、隠してくれたの……?)
アンブリッジはドラコの行動に特に違和感も無く会話を続けた。
「あら、それじゃあここでお別れしましょう。今学期から頼み事が増えるけどよろしくね」
「はい。勿論です」
アンブリッジがドラコに笑顔で見送られる形でその場を去った。ドラコは彼女が見えなくなったのを確認すると、視線を足元の黒猫に落とした。そして厳しい声色で言った。
「さあ、人間の姿に戻るんだ」
フォーラは何も言わずに黒猫から人の姿に変身した。彼女の表情は至極冷静だった。
「よく私だと直ぐに分かったわね。黒猫なんて珍しくないのに。」
「そんなことより、ご丁寧に変身までしてどうしてこんなところにいるんだ?何かを立ち聞きしていたようにしか思えないが」
ドラコの冷たい視線がフォーラに向けられた。
「ごめんなさい、今の話———貴方がアンブリッジ先生に何か手助けしているということについて———聞いてしまったことは認めるわ。
ただ、私は貴方の様子が知りたかっただけなの。そんな話を聞くためじゃなかった。
私、ドラコがアンブリッジ先生に呼ばれたと聞いて心配になって———先生は生徒への黒い噂が沢山あったから、先生に何かされているんじゃないかと思ったの。」
ドラコはフンと鼻を鳴らした。
「ああそうかい。それはそれはご心配いただきどうもありがとう。
だが、僕がアンブリッジ先生に何かされるなんてあり得ないね。僕はあの人のお気に入りだ」
「そう、それなら良かった……。」
フォーラがホッとした様子で胸を撫で下ろした。ドラコは彼女を一瞥し、予想外の反応に呆れた様子でフイと視線を逸らした。
「随分お人好しだな。君は僕に相当避けられてると自覚していなかったのか?通りでそんなセリフが言えたものだ」
「ええ。私、貴方に嫌われている自覚がないのかもしれないわ。」
彼女の言葉にドラコはパッと視線を戻した。彼は嫌味を言ったつもりだったが、彼女の思わぬ言葉に反応してしまった。フォーラが続けた。
「私、確かにドラコには随分嫌われてしまったと思ったわ。
だけど、この間のクリスマスパーティーの時は、貴方の思わぬ優しさがとっても嬉しかったの。
まさかドレスを似合うと言ってもらえたり、転びそうなところを助けてもらったり……。
特に、私のことを『心配するに決まってる』と言ってくれた時は、本当に嬉しかったの。まるで以前のドラコに戻ったみたいで。」
ドラコはファントム家でのパーティーで自分の意思とは関係なくフォーラを褒めてしまったことを思い出した。彼は思わず顔がグッと熱くなるのを感じた。