15. スパイ
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「ありがとう。それから、私の身勝手に巻き込んでしまって本当にごめんなさい。」
パンジーが首を横に振った。
「いいのよ、誰でも上手くいかないことってあるもの。だけど今になって言えるのは、フォーラは本当にドラコでいいの?ってことよ。新学期以降の彼があなたに随分つらく当たっているのを私は許したわけじゃないわ」
するとルニーが涙を拭いながら、少々憤慨した様子で続いた。
「うん、私もそう思う。フォーラの素直な気持ちがようやく聞けたのはホントに嬉しいけど、ある意味ドラコの告白を断っていたことで、彼の本性が知れて良かったんじゃないかとも思ったのよ。だって、好きだった子も大切にできずに、しかもすぐに違う女の子と付き合うなんて」
ルニーの話を受けて今度はフォーラが口を開いた。
「確かにドラコに意地悪されたことは相当つらかったけれど……。でも、やっぱり私にきつく当たっていた時の態度には、贔屓目かもしれないけれど違和感があったように思うの。それに、パーティーで一瞬だけでも優しかったドラコは、仲良くしていた頃の彼と同じだった……そう思いたい。だから私、いつか時が来たら、彼に自分の気持ちをきちんと伝えた上で、改めて私のことをどう思っているのか確認したいの。結果が悪くても、時が遅かったんだと思って受け入れるつもりよ。」
「『時が来たら』……ね。直接聞くのは勇気がいるもの。決心するまでに時間がかかるのは仕方がないわよ」
パンジーが心配そうな表情で尋ねると、フォーラは力なく笑った。
「違うの、私が答えを聞くのが怖いのは勿論なのだけど、どちらかというと……。ドラコにはもう恋人がいるでしょう?だから……。」
「それじゃあ、あの二人が別れるまで待つっていうこと?」
ルニーの問いにフォーラが頷いたものだから、友人二人は深いため息を吐いた。
「フォーラったらお人好しすぎよ。そんなのお構いなしでもなんの問題もないわよ」ルニーが言った。
「そうよ。ドラコとアマンダが付き合った次の日、彼女がフォーラの方を勝ち誇ったように見てきたことを忘れちゃったの?あんな子に気なんて遣わなくてもいいのよ!」
ドラコの恋人の態度を思い出して憤慨する二人をフォーラは宥めた。
「アマンダに気を遣っているわけじゃなくて、ドラコが今きちんと彼女に向き合っているなら、そこに水を差したくないと思ったの。私が叶えたいことを優先してドラコの気持ちを蔑ろにはしたくないから……。」
パンジーが呆れた様子でもう一度ため息を吐いたが、今度は笑みもついてきた。
「全くもう。まあ、いいわ。フォーラがやっと素直になっただけでも一歩前進したと思わなきゃ。それに、もしいつかドラコがフォーラと和解しても、あなたに当たり散らした分の落とし前はつけてもらうから安心して」
すると不意にルニーが談話室の出入り口の方を見た。フォーラもつられてそちらに目を向けると、クラッブとゴイルが中に入ってきたところだった。
「ドラコの姿がないわね。いつも一緒にいるのに」ルニーの質問にパンジーが腕時計を見ながら答えた。
「アンブリッジ先生のところに行っているんじゃないかしら。私がここに来る前に監督生の集まりがあったんだけど、それが終わった後にドラコはアンブリッジ先生に声を掛けられていたから。丁度、今くらいの時間に先生の部屋に来るようにって」
「えっ!」フォーラが思わず驚きの声を上げると、パンジーとルニーはどうしたのかと彼女を見た。
「あ……えっと、何でもないの!そうだわ、私、図書室に用事があったのをすっかり忘れていたわ!夕食が始まる前に済ませてくるわね!」
「うん?いってらっしゃい?」
フォーラは二人を置いて急いで談話室を出た。向かった先は、恐らくドラコがいるであろうアンブリッジの部屋だ。何の用があって彼が呼ばれたのかは不明だが、フォーラはアンブリッジの名を聞いた瞬間にある事を思い出していた。ブラック邸で父から聞いた『アンブリッジが生徒に真実薬を使おうとしている』という話だ。
もしかしたら、アンブリッジのお気に入りの生徒であるドラコはその対象外かもしれないが、彼女がドラコから聞き出したい情報があるとしたら?それが何かは見当もつかないが、彼女なら目的のために迷わず真実薬を使用するだろう。
そうしてフォーラがアンブリッジの部屋のすぐ近くまでやって来ると、なんと遠目にドラコとアンブリッジが廊下で話し込む姿を視界に捉えた。フォーラは周囲に誰もいないことを確認して黒猫に変身すると、彼らに近付いて曲がり角に隠れながら会話に聞き耳を立てた。
「貴方の提案は本当に役立ったと思うわ。この長期休暇の間に誰を私の親衛隊として選抜するか、力を見定める参考になったのですから」
「それは良かったです。先生の目で直接生徒の技量を見てもらった方が良いと思っていたので、ご提案して正解でした」
フォーラは物陰に隠れているせいでドラコの様子を視認できなかったが、声色からして正気を保っているようだし、真実薬の類を飲まされてはいなさそうだ。そうして一安心したものの、途端に彼らの会話に疑問を覚えた。
(提案って、一体何の話かしら……。それに、先生の親衛隊って?)
ドラコが続けた。
「親衛隊の仕事はどのようなことを予定しているのですか?」
「基本的には、わたくしに反発する生徒がいないかの確認をお願いしようと考えているわ。特に申請許可なく団体活動をしている生徒がいないか城内を見回ってほしいのよ」
アンブリッジが苛立った様子で続けた。
「ポッターがホグズミードで複数名の友人を集めて妙な動きをしていたことは把握済みですからね。今も何か企んで活動していたとしたら、重大な規則違反だわ。彼の尻尾を掴めれば一番良いのだけど」
パンジーが首を横に振った。
「いいのよ、誰でも上手くいかないことってあるもの。だけど今になって言えるのは、フォーラは本当にドラコでいいの?ってことよ。新学期以降の彼があなたに随分つらく当たっているのを私は許したわけじゃないわ」
するとルニーが涙を拭いながら、少々憤慨した様子で続いた。
「うん、私もそう思う。フォーラの素直な気持ちがようやく聞けたのはホントに嬉しいけど、ある意味ドラコの告白を断っていたことで、彼の本性が知れて良かったんじゃないかとも思ったのよ。だって、好きだった子も大切にできずに、しかもすぐに違う女の子と付き合うなんて」
ルニーの話を受けて今度はフォーラが口を開いた。
「確かにドラコに意地悪されたことは相当つらかったけれど……。でも、やっぱり私にきつく当たっていた時の態度には、贔屓目かもしれないけれど違和感があったように思うの。それに、パーティーで一瞬だけでも優しかったドラコは、仲良くしていた頃の彼と同じだった……そう思いたい。だから私、いつか時が来たら、彼に自分の気持ちをきちんと伝えた上で、改めて私のことをどう思っているのか確認したいの。結果が悪くても、時が遅かったんだと思って受け入れるつもりよ。」
「『時が来たら』……ね。直接聞くのは勇気がいるもの。決心するまでに時間がかかるのは仕方がないわよ」
パンジーが心配そうな表情で尋ねると、フォーラは力なく笑った。
「違うの、私が答えを聞くのが怖いのは勿論なのだけど、どちらかというと……。ドラコにはもう恋人がいるでしょう?だから……。」
「それじゃあ、あの二人が別れるまで待つっていうこと?」
ルニーの問いにフォーラが頷いたものだから、友人二人は深いため息を吐いた。
「フォーラったらお人好しすぎよ。そんなのお構いなしでもなんの問題もないわよ」ルニーが言った。
「そうよ。ドラコとアマンダが付き合った次の日、彼女がフォーラの方を勝ち誇ったように見てきたことを忘れちゃったの?あんな子に気なんて遣わなくてもいいのよ!」
ドラコの恋人の態度を思い出して憤慨する二人をフォーラは宥めた。
「アマンダに気を遣っているわけじゃなくて、ドラコが今きちんと彼女に向き合っているなら、そこに水を差したくないと思ったの。私が叶えたいことを優先してドラコの気持ちを蔑ろにはしたくないから……。」
パンジーが呆れた様子でもう一度ため息を吐いたが、今度は笑みもついてきた。
「全くもう。まあ、いいわ。フォーラがやっと素直になっただけでも一歩前進したと思わなきゃ。それに、もしいつかドラコがフォーラと和解しても、あなたに当たり散らした分の落とし前はつけてもらうから安心して」
すると不意にルニーが談話室の出入り口の方を見た。フォーラもつられてそちらに目を向けると、クラッブとゴイルが中に入ってきたところだった。
「ドラコの姿がないわね。いつも一緒にいるのに」ルニーの質問にパンジーが腕時計を見ながら答えた。
「アンブリッジ先生のところに行っているんじゃないかしら。私がここに来る前に監督生の集まりがあったんだけど、それが終わった後にドラコはアンブリッジ先生に声を掛けられていたから。丁度、今くらいの時間に先生の部屋に来るようにって」
「えっ!」フォーラが思わず驚きの声を上げると、パンジーとルニーはどうしたのかと彼女を見た。
「あ……えっと、何でもないの!そうだわ、私、図書室に用事があったのをすっかり忘れていたわ!夕食が始まる前に済ませてくるわね!」
「うん?いってらっしゃい?」
フォーラは二人を置いて急いで談話室を出た。向かった先は、恐らくドラコがいるであろうアンブリッジの部屋だ。何の用があって彼が呼ばれたのかは不明だが、フォーラはアンブリッジの名を聞いた瞬間にある事を思い出していた。ブラック邸で父から聞いた『アンブリッジが生徒に真実薬を使おうとしている』という話だ。
もしかしたら、アンブリッジのお気に入りの生徒であるドラコはその対象外かもしれないが、彼女がドラコから聞き出したい情報があるとしたら?それが何かは見当もつかないが、彼女なら目的のために迷わず真実薬を使用するだろう。
そうしてフォーラがアンブリッジの部屋のすぐ近くまでやって来ると、なんと遠目にドラコとアンブリッジが廊下で話し込む姿を視界に捉えた。フォーラは周囲に誰もいないことを確認して黒猫に変身すると、彼らに近付いて曲がり角に隠れながら会話に聞き耳を立てた。
「貴方の提案は本当に役立ったと思うわ。この長期休暇の間に誰を私の親衛隊として選抜するか、力を見定める参考になったのですから」
「それは良かったです。先生の目で直接生徒の技量を見てもらった方が良いと思っていたので、ご提案して正解でした」
フォーラは物陰に隠れているせいでドラコの様子を視認できなかったが、声色からして正気を保っているようだし、真実薬の類を飲まされてはいなさそうだ。そうして一安心したものの、途端に彼らの会話に疑問を覚えた。
(提案って、一体何の話かしら……。それに、先生の親衛隊って?)
ドラコが続けた。
「親衛隊の仕事はどのようなことを予定しているのですか?」
「基本的には、わたくしに反発する生徒がいないかの確認をお願いしようと考えているわ。特に申請許可なく団体活動をしている生徒がいないか城内を見回ってほしいのよ」
アンブリッジが苛立った様子で続けた。
「ポッターがホグズミードで複数名の友人を集めて妙な動きをしていたことは把握済みですからね。今も何か企んで活動していたとしたら、重大な規則違反だわ。彼の尻尾を掴めれば一番良いのだけど」