15. スパイ
夢小説設定
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ドラコは、昨日の夜中に突然この家を訪ねてきた小汚い屋敷しもべ妖精がメソメソと大粒の涙を流しているところに出くわして嫌悪感を抱いていたし、それをナルシッサが甲斐甲斐しく慰める姿が大層似つかわしくないと思っていた。それに、幾ら騎士団側の屋敷しもべ妖精がやって来たからといって、その主人から受ける拘束力を考えると、母が取った行動は意味のないことだと思わずにいられなかったのだ。
「ええ、きっとそうでしょう。クリーチャーは秘密を守るでしょうね。それはどんな拷問を与えても同じことだわ。まあ兎に角、彼はつらい想いをしているわ。そんな中、折角ブラック家出身の私を頼って来てくれたんだもの。屋敷しもべ妖精と言えど客人にはおもてなししなくてはね。そうすれば、クリーチャーも私たちに沢山お話ししてくれるようになるかもしれない。特に、彼が秘密にする必要のない雑談については間違いなく」
ドラコはまだナルシッサの意図が上手く掴めなかった。秘密以外のどうでもいい情報を聞き出せたとして、こちらにどんなメリットがある?そんな有益な情報は最初から根こそぎ秘密の対象だろう。
「いいのよドラコ。貴方はあまり多くを知るべきではないもの。それに貴方は貴方で、ホグワーツではしっかりアンブリッジ女史と仲良くしておくのよ。貴方自身がなるべく不自由なく過ごせるようにするために。それに、ホグワーツ内でアンブリッジ女史の持つ抑止力が強まるほど、お父様はきっと喜ぶわ」
「母上、大丈夫です。何の問題もありません。それに僕はアンブリッジ先生には随分自由にさせてもらっているんです」
そう。なんの問題もない。アンブリッジとドラコの仲は大変良好だ。それこそホグワーツではお互いしか知らない秘密を共有している程なのだから。
さて、クリスマス休暇が終わりを告げて生徒たちはホグワーツに到着した。休暇前のフォーラであれば、今の自分がこんなにもドラコに対して余力を持って接しようとしているなんて思ってもみなかっただろう。彼女をそうさせた糧は、紛れもなくクリスマスパーティーでドラコがフォーラに一瞬だけ見せた優しさだった。第三者からすれば、そんな不確かなことに期待するのかと思われてもおかしくないだろう。だがフォーラはドラコを身内としても想い人としても慕っていた。そして、今ならそんな彼を守るために幾らでも行動できる気がした。
学生たちは寮で荷解きを終えると、夕食前にホグワーツ特急での疲れを癒すために思い思いの場所で友人との会話に花を咲かせた。勿論フォーラもその内の一人であり、パンジーやルニーと列車で合流できていなかった分、談話室の片隅のソファを陣取ってクリスマス休暇中の出来事を聞かせ合った。とはいえフォーラが話したのは家で開いたパーティーのことに限ったが、友人二人の関心はそこにあった。
「アレクシスもいたのね!彼からすればフォーラと運命の再会じゃない!その髪飾りはもしかして彼から貰ったの?ホグズミード駅のホームでフォーラを見かけた時から思ってたけど、すっごく似合ってるわ。」
ルニーの言葉にフォーラはお礼を言った後、髪飾りが誰からの贈り物かは分からないと回答した。因みにパンジーとルニーには、アレクシスが母国語でこちらに告白していたらしいことは敢えて話さなかった。
「それで、肝心のドラコとはどうだったの?」
パンジーが興味津々でルニーと肩を並べ、フォーラを食い入るように見つめた。
「ええ、そのことなのだけど……」
フォーラは談話室にいる周囲のスリザリン生がこちらに関心なくそれぞれ楽しげに過ごしていることを確認し、二人にだけ聞こえるように身を近付けた。そしてドラコがホグワーツでは見せなかった一瞬の優しさを自分に対して覗かせた旨を話して聞かせると、パンジーとルニーはそれまで期待に満ちていた表情を二人揃って次第に悩ましげなものへと変えていた。
「それで、今回のことでフォーラはどうするつもりなの?彼の微々たる優しさに、何を期待したの?」
パンジーが真剣に尋ねた。以前フォーラは自分がマグル生まれであるという真実は伏せたまま、パンジーとルニーにドラコの告白を断った理由を説明していた。純血主義に対するこだわりの違いによって彼と一緒になるのが難しいと感じたこと。一緒になったとしてもいつか関係が壊れる可能性を恐れたという内容だ。
しかしそれはフォーラの真実を隠す建前に過ぎなかった。忘れもしない前学年の終わりにドラコを振った本当の理由は、彼女がマグル生まれで、かつ彼女自身が純血のドラコと一緒にいるに値しないと判断したためだった。当然そのことを目の前の二人は知らない。
そしてたった今パンジーから出た質問は、その建前に関して、フォーラがクリスマスパーティーでの出来事をきっかけに、ドラコに対する考えに変化があったのかという意味合いだった。
「私、新学期の頃にパンジーとルニーには色々と理由を付けて、幾らドラコを好きでも彼と一緒になるのが怖くて難しいと話したわ。……だけど、今回のことでやっぱりドラコの隣は私でいたいって思ったの……。自分から彼を拒絶しておいて本当に身勝手だって分かっているわ。だけど、パーティーの時は彼のほんの少しの優しさが本当に嬉しかった。彼の告白を断ってしまった理由なんて、もうどうでも良くなってしまうくらい……。」
フォーラの答えを聞いて、パンジーもルニーもワッと立ち上がって彼女に抱擁した。その際フォーラは周囲の生徒がこちらに何だ何だと視線を向けているのを感じ、一先ず二人を宥めた。そうして彼女たちは再びソファに収まって身を寄せ合った。するとルニーが口を開いた。
「私、フォーラがドラコの告白を拒んだっていうのが最初聞いた時は本当に信じられなかった。だけどそれだけ真剣にドラコに向き合って将来を考えた結果だって自分に言い聞かせて―――。ごめんね、上手く言葉が纏まらないけど、ようやくフォーラの素直な言葉が聞けたと思ったら嬉しくて……」
いつも明るいルニーが珍しく涙ぐんで、しおらしく言った。すると今度はパンジーが続いた。
「新学年になってすぐのホグワーツ特急では、フォーラったら本当につらそうだったんだもの。ドラコと恋人になれなくてもかまわないだなんて、絶対に嘘だと思ってたわ」
パンジーは強気に言い放ったが、ルニーと同じく瞳を潤ませていた。そんな二人を見ていたらフォーラまで思わず目頭が熱くなっていた。
「ええ、きっとそうでしょう。クリーチャーは秘密を守るでしょうね。それはどんな拷問を与えても同じことだわ。まあ兎に角、彼はつらい想いをしているわ。そんな中、折角ブラック家出身の私を頼って来てくれたんだもの。屋敷しもべ妖精と言えど客人にはおもてなししなくてはね。そうすれば、クリーチャーも私たちに沢山お話ししてくれるようになるかもしれない。特に、彼が秘密にする必要のない雑談については間違いなく」
ドラコはまだナルシッサの意図が上手く掴めなかった。秘密以外のどうでもいい情報を聞き出せたとして、こちらにどんなメリットがある?そんな有益な情報は最初から根こそぎ秘密の対象だろう。
「いいのよドラコ。貴方はあまり多くを知るべきではないもの。それに貴方は貴方で、ホグワーツではしっかりアンブリッジ女史と仲良くしておくのよ。貴方自身がなるべく不自由なく過ごせるようにするために。それに、ホグワーツ内でアンブリッジ女史の持つ抑止力が強まるほど、お父様はきっと喜ぶわ」
「母上、大丈夫です。何の問題もありません。それに僕はアンブリッジ先生には随分自由にさせてもらっているんです」
そう。なんの問題もない。アンブリッジとドラコの仲は大変良好だ。それこそホグワーツではお互いしか知らない秘密を共有している程なのだから。
さて、クリスマス休暇が終わりを告げて生徒たちはホグワーツに到着した。休暇前のフォーラであれば、今の自分がこんなにもドラコに対して余力を持って接しようとしているなんて思ってもみなかっただろう。彼女をそうさせた糧は、紛れもなくクリスマスパーティーでドラコがフォーラに一瞬だけ見せた優しさだった。第三者からすれば、そんな不確かなことに期待するのかと思われてもおかしくないだろう。だがフォーラはドラコを身内としても想い人としても慕っていた。そして、今ならそんな彼を守るために幾らでも行動できる気がした。
学生たちは寮で荷解きを終えると、夕食前にホグワーツ特急での疲れを癒すために思い思いの場所で友人との会話に花を咲かせた。勿論フォーラもその内の一人であり、パンジーやルニーと列車で合流できていなかった分、談話室の片隅のソファを陣取ってクリスマス休暇中の出来事を聞かせ合った。とはいえフォーラが話したのは家で開いたパーティーのことに限ったが、友人二人の関心はそこにあった。
「アレクシスもいたのね!彼からすればフォーラと運命の再会じゃない!その髪飾りはもしかして彼から貰ったの?ホグズミード駅のホームでフォーラを見かけた時から思ってたけど、すっごく似合ってるわ。」
ルニーの言葉にフォーラはお礼を言った後、髪飾りが誰からの贈り物かは分からないと回答した。因みにパンジーとルニーには、アレクシスが母国語でこちらに告白していたらしいことは敢えて話さなかった。
「それで、肝心のドラコとはどうだったの?」
パンジーが興味津々でルニーと肩を並べ、フォーラを食い入るように見つめた。
「ええ、そのことなのだけど……」
フォーラは談話室にいる周囲のスリザリン生がこちらに関心なくそれぞれ楽しげに過ごしていることを確認し、二人にだけ聞こえるように身を近付けた。そしてドラコがホグワーツでは見せなかった一瞬の優しさを自分に対して覗かせた旨を話して聞かせると、パンジーとルニーはそれまで期待に満ちていた表情を二人揃って次第に悩ましげなものへと変えていた。
「それで、今回のことでフォーラはどうするつもりなの?彼の微々たる優しさに、何を期待したの?」
パンジーが真剣に尋ねた。以前フォーラは自分がマグル生まれであるという真実は伏せたまま、パンジーとルニーにドラコの告白を断った理由を説明していた。純血主義に対するこだわりの違いによって彼と一緒になるのが難しいと感じたこと。一緒になったとしてもいつか関係が壊れる可能性を恐れたという内容だ。
しかしそれはフォーラの真実を隠す建前に過ぎなかった。忘れもしない前学年の終わりにドラコを振った本当の理由は、彼女がマグル生まれで、かつ彼女自身が純血のドラコと一緒にいるに値しないと判断したためだった。当然そのことを目の前の二人は知らない。
そしてたった今パンジーから出た質問は、その建前に関して、フォーラがクリスマスパーティーでの出来事をきっかけに、ドラコに対する考えに変化があったのかという意味合いだった。
「私、新学期の頃にパンジーとルニーには色々と理由を付けて、幾らドラコを好きでも彼と一緒になるのが怖くて難しいと話したわ。……だけど、今回のことでやっぱりドラコの隣は私でいたいって思ったの……。自分から彼を拒絶しておいて本当に身勝手だって分かっているわ。だけど、パーティーの時は彼のほんの少しの優しさが本当に嬉しかった。彼の告白を断ってしまった理由なんて、もうどうでも良くなってしまうくらい……。」
フォーラの答えを聞いて、パンジーもルニーもワッと立ち上がって彼女に抱擁した。その際フォーラは周囲の生徒がこちらに何だ何だと視線を向けているのを感じ、一先ず二人を宥めた。そうして彼女たちは再びソファに収まって身を寄せ合った。するとルニーが口を開いた。
「私、フォーラがドラコの告白を拒んだっていうのが最初聞いた時は本当に信じられなかった。だけどそれだけ真剣にドラコに向き合って将来を考えた結果だって自分に言い聞かせて―――。ごめんね、上手く言葉が纏まらないけど、ようやくフォーラの素直な言葉が聞けたと思ったら嬉しくて……」
いつも明るいルニーが珍しく涙ぐんで、しおらしく言った。すると今度はパンジーが続いた。
「新学年になってすぐのホグワーツ特急では、フォーラったら本当につらそうだったんだもの。ドラコと恋人になれなくてもかまわないだなんて、絶対に嘘だと思ってたわ」
パンジーは強気に言い放ったが、ルニーと同じく瞳を潤ませていた。そんな二人を見ていたらフォーラまで思わず目頭が熱くなっていた。