15. スパイ
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これには周りのみんなも様々な反応を見せた。フレッドとトンクスは称賛の意を込めた一陣の風のような口笛を吹いたし、ハーマイオニーとジニーは自然と期待に満ちて口角が上がっていた。ハリーやロンはゴクリと生唾を飲み、ルーピンはジョージの若さに目を眩ませた。
「!……だ、だって……」フォーラは彼の『好き』という言葉にひるんだ。
「こんな、みんなの前で言わなくても!」それを聞いてジョージがニヤッと笑った。
「ふうん、みんなの前じゃなかったら言ってもいいのか?」
「そ、そういうわけじゃ!……もう、意地悪しないで……。」
フォーラは恥ずかしさを爆発させて今や涙目になっており、ジョージはそんな状態の彼女からダイレクトに上目遣いを喰らってしまった。本来なら彼女の照れた可愛い姿を堪能する筈が、彼の方が照れて固まってしまったのだった。
「あー、オホン」ジョージは咳払いして冷静さを取り戻すと、如何にも紳士的に微笑み、そのままフォーラの隣にサッと腰掛けて目線の高さを合わせた。そして再び懇願の表情を向けた。
「ごめんよフォーラ。ただ、ホグワーツに戻ったら君とこうして話をするのがまた暫く難しくなると思うと、居ても立ってもいられなかったんだ。だから、お願いだ」
フォーラはこの状況に耐えきれず、一刻も早く逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。そしてこの話を最も手っ取り早く終わらせるには、彼女がイエスと言う他なかった。
「わ、分かったわ!分かったから……だからこれ以上私の弱みに漬け込まないで……。だけど私―――」
ジョージはそれ以上フォーラの口から続きを言わせるつもりはなかった。何せその言葉は以前振られた時に既に言われている。きっと後に続くのは『他に好きな人がいる』という内容だろう。彼は彼女に名残惜しさを混ぜたような笑みを向けた。
「ああ、分かってるさ。それでもいいんだ。フォーラ、ありがとう」
ジョージは最初にトンクスの撮った写真を見た時、その中の一枚にフォーラがドラコとダンスを踊りながらぎこちない表情をしているのを目に入れていた。そして、その様子からはドラコが彼女を幸せにする未来が見えなかった。
一方でフォーラが自分に対して赤くなってくれたことを思うと……未練がましくも、彼女が自分を恋愛的な意味で好きになってくれる可能性を完全に捨て去るのはまだ早いかもしれないと、どうしても調子の良いことを考えてしまっていた。
(フォーラを好きになってからもうどれくらい経つ?いくら報われなくても、一回振られただけで諦めるなんて到底無理な話だったんだ。だからせめて……今年度俺が卒業するまでは。どうかそれまでは、フォーラのことを諦めずにいたい。自分本位に困らせて本当にごめん)
ジョージがつい先程密かに振られてしまったのを知ってか知らずか、口を開いたのはトンクスだった。
「フォーラったらすっごくモテるんだね!知らなかったな。ジョージは頑張らないとね」
「ああ、そうだな」
トンクスの無邪気な好奇心に満ちた様子を受けて、フォーラは何かまったく別の話題がないか頭を巡らせた。すると食堂のドアが勢いよく開いてシリウスがイライラしながら入ってきたではないか。彼はみんなの存在に気付かぬままキッチンの方へ通り過ぎていってしまった。その様子を心配したハリーが席を立ってシリウスの隣で大丈夫かと声を掛け、ロンとフレッドはトンクスやルーピンの近くに座り直してそちらを見た。
「シリウスさん、何かあったのかしら。」
フォーラもハリーとシリウスを眺めながら、ここぞとばかりに話題を変えるチャンスを逃さなかった。するとジニーがフォーラの向かい側から答えた。
「クリーチャーの相手をするために、屋根裏部屋にいたんじゃない?」
「どうしてそんなところに?」フォーラの問いにルーピンが答えた。
「一昨日、シリウスがクリーチャーの目に余る行動にとうとう怒って、『出て行け』と言って声を荒げたんだ。勿論、部屋から出ろという意味だよ。フォーラ、あのしもべ妖精は息を吸うように色んな人に悪態を吐いて回るだろう?シリウスはそれに耐えられなくなったんだ。そんなことがあってクリーチャーは暫く姿を見せていなかったんだが、まさか館から出ていったのではと心配になって捜してみると、屋根裏に隠れていたというわけだ」
「出ていけなんて、本当に命令に従ってどこかへ行ってしまったらと思うと……。クリーチャーは不死鳥の騎士団の秘密を沢山持っているでしょうに。」
今度はロンが答えた。
「まあ、シリウスは怒りを抑えるより先に、思わず口を突いて出ちゃったんじゃないかな。フォーラもクリーチャーのことは好きじゃないだろ?あんな聞こえよがしに悪口を叩くやつなんてさ」
「そうだけど、でも……」不安げなフォーラにハーマイオニーが返答した。
「きっと大丈夫よ。仮に出ていったとしても屋敷しもべ妖精には主人との縛りがあるから、秘密や大切な事を他人に明かせないもの。それに、結局はそんな事もなく屋根裏にいたんだし、何の問題もないわよ」
それを聞いてフォーラは胸を撫で下ろした。
「杞憂だったかしら。一先ずクリーチャーが見つかって良かったわね。」
その頃、時を同じくして、フォーラたちがいるロンドンから遠く離れた場所に佇む大きな邸宅の暖かな談話室では、プラチナブランドの青年が母親に質問を投げかけているところだった。
「どうして昨日の夜は、あの小汚い屋敷しもべ妖精をわざわざこの家に入れたんです?」
そのように尋ねたドラコは幾らか不機嫌だった。するとナルシッサが彼を宥めるようにして答えた。
「あらあら、彼は由緒正しいブラック家に使える者ですよ。まあ今はあの忌々しいシリウス・ブラックが主人のようですけれどね。そんなしもべ妖精を招き入れることがどういうことか、昨日も教えた筈でしょう?」
「ええ。あの屋敷しもべ妖精の心を開かせる必要があるって。だけど、どうしてあそこまで手厚い対偶をする必要があったでしょうか?幾らクリーチャーがこちらに気を許したとしても、屋敷しもべ妖精は自分の主人が禁止する話は話題に出せないでしょう?彼自身が普段どこに居るのかさえも。だったらあちら側の組織のことで何か口を割るとは思えません」
「!……だ、だって……」フォーラは彼の『好き』という言葉にひるんだ。
「こんな、みんなの前で言わなくても!」それを聞いてジョージがニヤッと笑った。
「ふうん、みんなの前じゃなかったら言ってもいいのか?」
「そ、そういうわけじゃ!……もう、意地悪しないで……。」
フォーラは恥ずかしさを爆発させて今や涙目になっており、ジョージはそんな状態の彼女からダイレクトに上目遣いを喰らってしまった。本来なら彼女の照れた可愛い姿を堪能する筈が、彼の方が照れて固まってしまったのだった。
「あー、オホン」ジョージは咳払いして冷静さを取り戻すと、如何にも紳士的に微笑み、そのままフォーラの隣にサッと腰掛けて目線の高さを合わせた。そして再び懇願の表情を向けた。
「ごめんよフォーラ。ただ、ホグワーツに戻ったら君とこうして話をするのがまた暫く難しくなると思うと、居ても立ってもいられなかったんだ。だから、お願いだ」
フォーラはこの状況に耐えきれず、一刻も早く逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。そしてこの話を最も手っ取り早く終わらせるには、彼女がイエスと言う他なかった。
「わ、分かったわ!分かったから……だからこれ以上私の弱みに漬け込まないで……。だけど私―――」
ジョージはそれ以上フォーラの口から続きを言わせるつもりはなかった。何せその言葉は以前振られた時に既に言われている。きっと後に続くのは『他に好きな人がいる』という内容だろう。彼は彼女に名残惜しさを混ぜたような笑みを向けた。
「ああ、分かってるさ。それでもいいんだ。フォーラ、ありがとう」
ジョージは最初にトンクスの撮った写真を見た時、その中の一枚にフォーラがドラコとダンスを踊りながらぎこちない表情をしているのを目に入れていた。そして、その様子からはドラコが彼女を幸せにする未来が見えなかった。
一方でフォーラが自分に対して赤くなってくれたことを思うと……未練がましくも、彼女が自分を恋愛的な意味で好きになってくれる可能性を完全に捨て去るのはまだ早いかもしれないと、どうしても調子の良いことを考えてしまっていた。
(フォーラを好きになってからもうどれくらい経つ?いくら報われなくても、一回振られただけで諦めるなんて到底無理な話だったんだ。だからせめて……今年度俺が卒業するまでは。どうかそれまでは、フォーラのことを諦めずにいたい。自分本位に困らせて本当にごめん)
ジョージがつい先程密かに振られてしまったのを知ってか知らずか、口を開いたのはトンクスだった。
「フォーラったらすっごくモテるんだね!知らなかったな。ジョージは頑張らないとね」
「ああ、そうだな」
トンクスの無邪気な好奇心に満ちた様子を受けて、フォーラは何かまったく別の話題がないか頭を巡らせた。すると食堂のドアが勢いよく開いてシリウスがイライラしながら入ってきたではないか。彼はみんなの存在に気付かぬままキッチンの方へ通り過ぎていってしまった。その様子を心配したハリーが席を立ってシリウスの隣で大丈夫かと声を掛け、ロンとフレッドはトンクスやルーピンの近くに座り直してそちらを見た。
「シリウスさん、何かあったのかしら。」
フォーラもハリーとシリウスを眺めながら、ここぞとばかりに話題を変えるチャンスを逃さなかった。するとジニーがフォーラの向かい側から答えた。
「クリーチャーの相手をするために、屋根裏部屋にいたんじゃない?」
「どうしてそんなところに?」フォーラの問いにルーピンが答えた。
「一昨日、シリウスがクリーチャーの目に余る行動にとうとう怒って、『出て行け』と言って声を荒げたんだ。勿論、部屋から出ろという意味だよ。フォーラ、あのしもべ妖精は息を吸うように色んな人に悪態を吐いて回るだろう?シリウスはそれに耐えられなくなったんだ。そんなことがあってクリーチャーは暫く姿を見せていなかったんだが、まさか館から出ていったのではと心配になって捜してみると、屋根裏に隠れていたというわけだ」
「出ていけなんて、本当に命令に従ってどこかへ行ってしまったらと思うと……。クリーチャーは不死鳥の騎士団の秘密を沢山持っているでしょうに。」
今度はロンが答えた。
「まあ、シリウスは怒りを抑えるより先に、思わず口を突いて出ちゃったんじゃないかな。フォーラもクリーチャーのことは好きじゃないだろ?あんな聞こえよがしに悪口を叩くやつなんてさ」
「そうだけど、でも……」不安げなフォーラにハーマイオニーが返答した。
「きっと大丈夫よ。仮に出ていったとしても屋敷しもべ妖精には主人との縛りがあるから、秘密や大切な事を他人に明かせないもの。それに、結局はそんな事もなく屋根裏にいたんだし、何の問題もないわよ」
それを聞いてフォーラは胸を撫で下ろした。
「杞憂だったかしら。一先ずクリーチャーが見つかって良かったわね。」
その頃、時を同じくして、フォーラたちがいるロンドンから遠く離れた場所に佇む大きな邸宅の暖かな談話室では、プラチナブランドの青年が母親に質問を投げかけているところだった。
「どうして昨日の夜は、あの小汚い屋敷しもべ妖精をわざわざこの家に入れたんです?」
そのように尋ねたドラコは幾らか不機嫌だった。するとナルシッサが彼を宥めるようにして答えた。
「あらあら、彼は由緒正しいブラック家に使える者ですよ。まあ今はあの忌々しいシリウス・ブラックが主人のようですけれどね。そんなしもべ妖精を招き入れることがどういうことか、昨日も教えた筈でしょう?」
「ええ。あの屋敷しもべ妖精の心を開かせる必要があるって。だけど、どうしてあそこまで手厚い対偶をする必要があったでしょうか?幾らクリーチャーがこちらに気を許したとしても、屋敷しもべ妖精は自分の主人が禁止する話は話題に出せないでしょう?彼自身が普段どこに居るのかさえも。だったらあちら側の組織のことで何か口を割るとは思えません」