15. スパイ
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フォーラがブラック邸にやってきて二日目の昼頃、屋敷を不在にしていたルーピンが帰ってきて、ムーディとトンクスも立ち寄った。フォーラは食堂でゆっくり座って久しぶりの面子との話に花を咲かせ、午後のお茶を楽しんだ。特にルーピンとはパーティーの時の話で盛り上がった。
「あの時は本当に驚きました。まさかリーマスさんだなんて思わなかったから。」
「はは、驚かせてすまなかった。我々の敵が多かったから、しっかり変装させてもらったよ。お陰で奴らの行動を監視できた。しかしフォーラにはすぐに私だとバレてしまったね。ヒントを出しすぎたかな」
真正面でルーピンが楽しそうに笑うと、フォーラも微笑んだ。
「リーマスさんのヒントがなかったら、貴方だと絶対に気付けませんでした。他にも騎士団のメンバーがいたようですけど、どなたがいらっしゃったんですか?」
「私もいたんだよ!」ルーピンの後ろからトンクスがやってきてヒョイと顔を出した。
「それにムーディも一緒だったんだ。私と彼でカッコよく変装してキメてたから、フォーラにも見てほしかったなあ。私だって話し掛けたかったのに、リーマスだけずるいよ」
「すまない、パーティーの時のフォーラがとっても綺麗だったんで、つい、ね」
「そんな。あの、ありがとうございます。」
フォーラが気恥ずかしそうに狼狽えていると、トンクスも首を縦に振って頷いた。
「うんうん!良い意味ですっごく目立ってた!そういえばフォーラ、会わないうちに何だか雰囲気が少し変わったよね?大人っぽくなったっていうか。今日のその髪飾りも素敵だね」
「そうだね、黄色がよく似合う」ルーピンも同意した。
「本当ですか?ありがとうございます。これ、頂き物なんです。とってもお気に入りで。」
「そうなんだ!いいね、花のプレゼントなんて素敵だよね。そういえばパーティーの時にカッコいい男の子から薔薇の花束も貰ってたよね?」
「えっ!どうしてそれを……。」
「私、バッチリ見ちゃったんだ。彼は好意の塊みたいな人だね。フォーラにメロメロだったじゃない」
トンクスがフォーラの隣に座って「このこの」とでも言うように彼女の脇腹を小突いた。すると、恋愛トークを聞きつけたハーマイオニーとジニーが知らぬ間に会話の輪に加わってはしゃぎ始めた。そこから少し離れたところでは、テーブルを囲んでいた双子やハリー、ロンが何となくこちらの会話に耳を傾けているような気がした。加えてルーピンが何処か不安げかつ複雑そうな表情でこちらを見てきたものだから、フォーラは恥ずかしさのあまり身をすくめた。
「そんな、アレクシスは友人として花をプレゼントしてくれただけで……。」
「えっ?でも彼、ばっちり『愛してるよ、フォーラ』って言ってたじゃない」
「「!?」」トンクスの発言に周囲の男性陣は固唾を呑んだし、対照的にハーマイオニーとジニーは黄色い声を上げた。フォーラ自身、記憶を辿ってもそんなことを言われた覚えがなかっただけに、これにはパニックになってしまった。トンクスが続けた。
「まあ、彼が話してたのは外国語だったからね。私、任務の関係で翻訳魔法を使ってたんだ。敵が外国語で情報交換してても分かるようにするためにね」
フォーラはアレクシスがパーティーの帰り際に恐らくブルガリア語と思しき言葉を伝えてきたのを思い出した。何と言ったか尋ねたら誤魔化されてしまったが、トンクスが言っているのはあの時の事に違いない。
「そうだったんですか。彼はてっきり別のことを言っていたのかと……。」
「もしかしてフォーラと彼は両想いだったりして?」
トンクスが期待を込めて質問したが、勿論フォーラは慌てて首を横に振って否定した。
「いいえそんな。彼は大事なお友達ですよ!」
「ふうん?そっか。てっきり満更でもないんじゃないかと思ったのに残念だなあ。あっ、そういえばすっかり忘れてたことがあったわ。パーティーの日、偵察のためにカメラを持っていってたの。その時に敵の顔写真を隠し撮りしたついでに、フォーラの写真も何枚か撮っておいたんだ。写真なんて滅多に撮ることもないし、良かったら貰ってくれない?結構綺麗に撮れてると思うんだけど」
そうして数枚の写真をトンクスがテーブルに並べた。そこにはどれもネイビーのマーメイドドレスを着たフォーラがいて、写真の中で動く彼女が楽しげに誰かと話しているのが見て取れた。アレクシスと笑っていたり、死喰い人のルシウスやノット氏と一緒に写っていたり、被写体が彼女一人の物もあった。
しかしその中で一枚だけフォーラの表情がどこか固いものがあり、彼女は思わず目を留めた。それはドラコと一緒にダンスを踊っている時の写真だった。
「わあ、とっても綺麗ね」ジニーが思わず感嘆の声を漏らした。
「どれどれ」
不意にフォーラの近くで声がしたと思うと、座っている彼女の斜め後ろからジョージが彼女に少し被さるようにしてテーブルに片手をつき、写真に視線を落としていた。
「ホントだ。めちゃくちゃ可愛い。俺も行けたら良かったのに」
ジョージがフォーラを見下ろしてニコッと笑った。あまりにも距離が近くて甘い表情だったため彼女は非常に困ったし、焦りから心臓が僅かに早鐘を打った。お礼の言葉を絞り出すのがやっとだ。
「そ、そんな。ありがとう。」
ジョージは再び軽く微笑むと、写真に視線を戻して選ぶように目を走らせた。そして一枚拾い上げるとトンクスの方を見た。
「トンクス。俺、これが欲しいんだけど貰ってもいいかな?」
突然のジョージの質問に、みんな思わず驚きのリアクションを見せた。
「えっ?うん、私は別にフォーラが良いならかまわないけど。えっ、もしかしてジョージ、貴方って!」
トンクスの声を受け、ジョージはさも当たり前とでも言うように笑顔で頷いてウインクした。そして彼は視線を下ろすと、フォーラが彼のお願いを断れないような懇願の表情を含んだ、いじらしい笑みを覗かせた。
「フォーラ、駄目かな?」
彼女はあまりにもストレートな愛情表現に耐えきれず視線を泳がせた。言わずもがな彼女の表情は真っ赤で、仕舞いには両手で顔を半分覆い隠した。
「わ……私の写真なんて持たなくても!」
「どうして?好きな子の写真を持っておきたいと思うのは当然のことだろ?」
「あの時は本当に驚きました。まさかリーマスさんだなんて思わなかったから。」
「はは、驚かせてすまなかった。我々の敵が多かったから、しっかり変装させてもらったよ。お陰で奴らの行動を監視できた。しかしフォーラにはすぐに私だとバレてしまったね。ヒントを出しすぎたかな」
真正面でルーピンが楽しそうに笑うと、フォーラも微笑んだ。
「リーマスさんのヒントがなかったら、貴方だと絶対に気付けませんでした。他にも騎士団のメンバーがいたようですけど、どなたがいらっしゃったんですか?」
「私もいたんだよ!」ルーピンの後ろからトンクスがやってきてヒョイと顔を出した。
「それにムーディも一緒だったんだ。私と彼でカッコよく変装してキメてたから、フォーラにも見てほしかったなあ。私だって話し掛けたかったのに、リーマスだけずるいよ」
「すまない、パーティーの時のフォーラがとっても綺麗だったんで、つい、ね」
「そんな。あの、ありがとうございます。」
フォーラが気恥ずかしそうに狼狽えていると、トンクスも首を縦に振って頷いた。
「うんうん!良い意味ですっごく目立ってた!そういえばフォーラ、会わないうちに何だか雰囲気が少し変わったよね?大人っぽくなったっていうか。今日のその髪飾りも素敵だね」
「そうだね、黄色がよく似合う」ルーピンも同意した。
「本当ですか?ありがとうございます。これ、頂き物なんです。とってもお気に入りで。」
「そうなんだ!いいね、花のプレゼントなんて素敵だよね。そういえばパーティーの時にカッコいい男の子から薔薇の花束も貰ってたよね?」
「えっ!どうしてそれを……。」
「私、バッチリ見ちゃったんだ。彼は好意の塊みたいな人だね。フォーラにメロメロだったじゃない」
トンクスがフォーラの隣に座って「このこの」とでも言うように彼女の脇腹を小突いた。すると、恋愛トークを聞きつけたハーマイオニーとジニーが知らぬ間に会話の輪に加わってはしゃぎ始めた。そこから少し離れたところでは、テーブルを囲んでいた双子やハリー、ロンが何となくこちらの会話に耳を傾けているような気がした。加えてルーピンが何処か不安げかつ複雑そうな表情でこちらを見てきたものだから、フォーラは恥ずかしさのあまり身をすくめた。
「そんな、アレクシスは友人として花をプレゼントしてくれただけで……。」
「えっ?でも彼、ばっちり『愛してるよ、フォーラ』って言ってたじゃない」
「「!?」」トンクスの発言に周囲の男性陣は固唾を呑んだし、対照的にハーマイオニーとジニーは黄色い声を上げた。フォーラ自身、記憶を辿ってもそんなことを言われた覚えがなかっただけに、これにはパニックになってしまった。トンクスが続けた。
「まあ、彼が話してたのは外国語だったからね。私、任務の関係で翻訳魔法を使ってたんだ。敵が外国語で情報交換してても分かるようにするためにね」
フォーラはアレクシスがパーティーの帰り際に恐らくブルガリア語と思しき言葉を伝えてきたのを思い出した。何と言ったか尋ねたら誤魔化されてしまったが、トンクスが言っているのはあの時の事に違いない。
「そうだったんですか。彼はてっきり別のことを言っていたのかと……。」
「もしかしてフォーラと彼は両想いだったりして?」
トンクスが期待を込めて質問したが、勿論フォーラは慌てて首を横に振って否定した。
「いいえそんな。彼は大事なお友達ですよ!」
「ふうん?そっか。てっきり満更でもないんじゃないかと思ったのに残念だなあ。あっ、そういえばすっかり忘れてたことがあったわ。パーティーの日、偵察のためにカメラを持っていってたの。その時に敵の顔写真を隠し撮りしたついでに、フォーラの写真も何枚か撮っておいたんだ。写真なんて滅多に撮ることもないし、良かったら貰ってくれない?結構綺麗に撮れてると思うんだけど」
そうして数枚の写真をトンクスがテーブルに並べた。そこにはどれもネイビーのマーメイドドレスを着たフォーラがいて、写真の中で動く彼女が楽しげに誰かと話しているのが見て取れた。アレクシスと笑っていたり、死喰い人のルシウスやノット氏と一緒に写っていたり、被写体が彼女一人の物もあった。
しかしその中で一枚だけフォーラの表情がどこか固いものがあり、彼女は思わず目を留めた。それはドラコと一緒にダンスを踊っている時の写真だった。
「わあ、とっても綺麗ね」ジニーが思わず感嘆の声を漏らした。
「どれどれ」
不意にフォーラの近くで声がしたと思うと、座っている彼女の斜め後ろからジョージが彼女に少し被さるようにしてテーブルに片手をつき、写真に視線を落としていた。
「ホントだ。めちゃくちゃ可愛い。俺も行けたら良かったのに」
ジョージがフォーラを見下ろしてニコッと笑った。あまりにも距離が近くて甘い表情だったため彼女は非常に困ったし、焦りから心臓が僅かに早鐘を打った。お礼の言葉を絞り出すのがやっとだ。
「そ、そんな。ありがとう。」
ジョージは再び軽く微笑むと、写真に視線を戻して選ぶように目を走らせた。そして一枚拾い上げるとトンクスの方を見た。
「トンクス。俺、これが欲しいんだけど貰ってもいいかな?」
突然のジョージの質問に、みんな思わず驚きのリアクションを見せた。
「えっ?うん、私は別にフォーラが良いならかまわないけど。えっ、もしかしてジョージ、貴方って!」
トンクスの声を受け、ジョージはさも当たり前とでも言うように笑顔で頷いてウインクした。そして彼は視線を下ろすと、フォーラが彼のお願いを断れないような懇願の表情を含んだ、いじらしい笑みを覗かせた。
「フォーラ、駄目かな?」
彼女はあまりにもストレートな愛情表現に耐えきれず視線を泳がせた。言わずもがな彼女の表情は真っ赤で、仕舞いには両手で顔を半分覆い隠した。
「わ……私の写真なんて持たなくても!」
「どうして?好きな子の写真を持っておきたいと思うのは当然のことだろ?」