14. ナルシサスの髪飾り
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フォーラはみんなに自分の抱える問題を沢山共有したし、沢山感謝もしたが、あえて話していない事もあった。彼女が父親から受け継いだ学生時代の手記についてだ。そこには『杖だけで複雑な魔法薬レベルの力を発揮する』という父がたどり着けなかった目標が綴られていたのだが、彼女はその試行錯誤の痕跡を自身の得意な変身術で昇華したいと考えていた。学術的な興味でもあり、それが叶えば騎士団の役にも立つだろう。しかしまだ到底習得には至らないし、はなから無謀なことかもしれなかった。だが、本音としては上手くいくなら最終的にはドラコのためにその力を役立てたかった。何せフォーラの目標はあくまでドラコをヴォルデモートから少しでも引き離すことなのだから。
しかしハリーたちにとってはドラコやその両親が『救う』対象ではなく『倒す』対象なのは間違いない。ハリーたちとフォーラの間にそのような目標のズレがあり、ドラコを敵と認識されている以上、彼女は自分と相容れない部分を対処するための切り札としても、そういった隠した力が必要かもしれないと考えていた。マグル生まれの件で悩んでいた頃の自分に良くしてくれたハリーたちには大変感謝しているが、その印に全ての情報を開示するのは全く別の話だと結論付けていたのだった。
ところでその考えを持っていたのは偶然にもフォーラだけではなかった。クリスマス前にアーサー・ウィーズリーが魔法省での任務中に蛇に襲われたわけだが、その時の情景をハリーは自身が眠っている間にその蛇の目を通して見ていた。それが明らかに夢ではなく現実に起こった事だという確証があったため、大人たちを説得して確認させたところ、アーサーは本当に蛇に襲われていた。ハリー、ロン、ハーマイオニーはこの正夢のような現象が騎士団の大人たちとウィーズリー家の間でしか共有されず、フォーラにまでは伝わっていないことを把握していた。そのため建前上は彼女を怖がらせないために黙っていたのだ。
それに関連してここ最近のハリーは何度も同じ場所に行く夢を見ていた。そこは魔法省の奥深くに佇む扉だった。どうしても中に入って目的のものを手に入れたい。ハリーはヴォルデモートの意思を感じ取り、夢の中で常にそのような衝動に駆られていた。この度の蛇についても確実にヴォルデモートの思念が感じられていたこともあり、ハリーたちはそういった夢を介した不確かで特別な繋がりを、多くの人には共有すべきでないと考えていた。それはつまり彼らもまた、本音の面では死喰い人の子供たちと同じスリザリン寮に属するフォーラとは、潜在的に一線を画している部分があることに違いなかった。
さて、その日みんなが就寝準備を始めた頃、ハーマイオニーがハリーとロンの寝室に収まって三人で話をしていた。
「今日のフォーラは、何だか随分と雰囲気が彼女のお父様に近い時があった気がするわね。真剣な話をする時は特に、ほんの一瞬だけど」
「血は繋がってなくても親子なんだし、そんなこともあるだろ?」
ハリーの返答にハーマイオニーが顎に手を当てて考え込んだ。
「そうなんだけど、そうじゃなくて。……何となく今のフォーラは目的のために手段を選ばないように見えたの。今まではあんまりそんな風に思ったことがなかったのに」その意見にロンが頷いた。
「確かにそうだ。でなきゃ危険を冒してまでマルフォイの会話を盗み聞きなんてしないよな?どっちかっていうと気後れするタイプだったと思うけど、マルフォイがフォーラを変えたのかな?」
「そうかもしれないけど……でもきっと、元々そういう気質があったのかも。フォーラはマグル生まれだけど、それでも純血主義の多いスリザリン寮に選ばれたくらいだし。よっぽどスリザリン生の素質が備わっていたのかもしれないわ」
「『スリザリン生の素質』か。随分聞こえが悪いね」ハリーの言葉をハーマイオニーは大真面目に否定した。
「そんなことないわよ。確かに組分け防止の歌に『スリザリンは狡猾』ってあるくらいだけど、あの寮の人たちって結束力が高いし、大切な人の為なら手段を選ばないのよ。前からフォーラを見ていて、彼女ってそういう意志が本当に強いと思っていたの。……だから、今のマルフォイの存在がフォーラへの悪影響にならないといいのだけど」
「フォーラがもしマルフォイに丸め込まれて敵になるようなことがあったら……とんでもなく厄介だと思わないか?」ロンが言うと、ハリーが軽く頷いた。
「確かに彼女は変身術に長けすぎていて脅威の存在かもしれない。今日のフレッドとジョージへの提案だって、思いつきにしては上手くいくのを確信していそうな様子だったじゃないか。だけど今はその『もし』は考えるのをよそう。フォーラの両親が騎士団にいる限り、彼女は僕らの味方に違いないんだから。またホグワーツに戻ったら彼女と話すことも激減するし、例の羊皮紙を使って連絡を取っていかないと」
ハリーが言い終えて三人が同意し合うと、再びハーマイオニーが切り出した。
「そういえば、今日久しぶりにフォーラと話して思ったことがあるんだけど。彼女、ホグワーツで話さない間に……」
続きを言うのを躊躇うハーマイオニーをハリーとロンが催促したのは今日で三回目だった。彼女はどこか居心地悪そうにしながら続けた。
「フォーラって、随分魅力的になったと思わない?」
「「え?」」男性陣の素っ頓狂な返答に、ハーマイオニーは無意識にほんのり頬を染めた。
「だって!今日フォーラにお礼を言われた時、何だかとっても……。以前の彼女も可愛かったけど、まさか、女の子にドキドキする日が来るなんて!」
ショックを隠しきれないハーマイオニーを見て、ハリーとロンは互いに目を見交わせてから今日のフォーラの姿を思い出した。実は彼らもハーマイオニーと同じくフォーラの笑顔の虜になっていたなんてことは、自身の面子のためにも恥ずかしくて言う気にならなかった。
しかしハリーたちにとってはドラコやその両親が『救う』対象ではなく『倒す』対象なのは間違いない。ハリーたちとフォーラの間にそのような目標のズレがあり、ドラコを敵と認識されている以上、彼女は自分と相容れない部分を対処するための切り札としても、そういった隠した力が必要かもしれないと考えていた。マグル生まれの件で悩んでいた頃の自分に良くしてくれたハリーたちには大変感謝しているが、その印に全ての情報を開示するのは全く別の話だと結論付けていたのだった。
ところでその考えを持っていたのは偶然にもフォーラだけではなかった。クリスマス前にアーサー・ウィーズリーが魔法省での任務中に蛇に襲われたわけだが、その時の情景をハリーは自身が眠っている間にその蛇の目を通して見ていた。それが明らかに夢ではなく現実に起こった事だという確証があったため、大人たちを説得して確認させたところ、アーサーは本当に蛇に襲われていた。ハリー、ロン、ハーマイオニーはこの正夢のような現象が騎士団の大人たちとウィーズリー家の間でしか共有されず、フォーラにまでは伝わっていないことを把握していた。そのため建前上は彼女を怖がらせないために黙っていたのだ。
それに関連してここ最近のハリーは何度も同じ場所に行く夢を見ていた。そこは魔法省の奥深くに佇む扉だった。どうしても中に入って目的のものを手に入れたい。ハリーはヴォルデモートの意思を感じ取り、夢の中で常にそのような衝動に駆られていた。この度の蛇についても確実にヴォルデモートの思念が感じられていたこともあり、ハリーたちはそういった夢を介した不確かで特別な繋がりを、多くの人には共有すべきでないと考えていた。それはつまり彼らもまた、本音の面では死喰い人の子供たちと同じスリザリン寮に属するフォーラとは、潜在的に一線を画している部分があることに違いなかった。
さて、その日みんなが就寝準備を始めた頃、ハーマイオニーがハリーとロンの寝室に収まって三人で話をしていた。
「今日のフォーラは、何だか随分と雰囲気が彼女のお父様に近い時があった気がするわね。真剣な話をする時は特に、ほんの一瞬だけど」
「血は繋がってなくても親子なんだし、そんなこともあるだろ?」
ハリーの返答にハーマイオニーが顎に手を当てて考え込んだ。
「そうなんだけど、そうじゃなくて。……何となく今のフォーラは目的のために手段を選ばないように見えたの。今まではあんまりそんな風に思ったことがなかったのに」その意見にロンが頷いた。
「確かにそうだ。でなきゃ危険を冒してまでマルフォイの会話を盗み聞きなんてしないよな?どっちかっていうと気後れするタイプだったと思うけど、マルフォイがフォーラを変えたのかな?」
「そうかもしれないけど……でもきっと、元々そういう気質があったのかも。フォーラはマグル生まれだけど、それでも純血主義の多いスリザリン寮に選ばれたくらいだし。よっぽどスリザリン生の素質が備わっていたのかもしれないわ」
「『スリザリン生の素質』か。随分聞こえが悪いね」ハリーの言葉をハーマイオニーは大真面目に否定した。
「そんなことないわよ。確かに組分け防止の歌に『スリザリンは狡猾』ってあるくらいだけど、あの寮の人たちって結束力が高いし、大切な人の為なら手段を選ばないのよ。前からフォーラを見ていて、彼女ってそういう意志が本当に強いと思っていたの。……だから、今のマルフォイの存在がフォーラへの悪影響にならないといいのだけど」
「フォーラがもしマルフォイに丸め込まれて敵になるようなことがあったら……とんでもなく厄介だと思わないか?」ロンが言うと、ハリーが軽く頷いた。
「確かに彼女は変身術に長けすぎていて脅威の存在かもしれない。今日のフレッドとジョージへの提案だって、思いつきにしては上手くいくのを確信していそうな様子だったじゃないか。だけど今はその『もし』は考えるのをよそう。フォーラの両親が騎士団にいる限り、彼女は僕らの味方に違いないんだから。またホグワーツに戻ったら彼女と話すことも激減するし、例の羊皮紙を使って連絡を取っていかないと」
ハリーが言い終えて三人が同意し合うと、再びハーマイオニーが切り出した。
「そういえば、今日久しぶりにフォーラと話して思ったことがあるんだけど。彼女、ホグワーツで話さない間に……」
続きを言うのを躊躇うハーマイオニーをハリーとロンが催促したのは今日で三回目だった。彼女はどこか居心地悪そうにしながら続けた。
「フォーラって、随分魅力的になったと思わない?」
「「え?」」男性陣の素っ頓狂な返答に、ハーマイオニーは無意識にほんのり頬を染めた。
「だって!今日フォーラにお礼を言われた時、何だかとっても……。以前の彼女も可愛かったけど、まさか、女の子にドキドキする日が来るなんて!」
ショックを隠しきれないハーマイオニーを見て、ハリーとロンは互いに目を見交わせてから今日のフォーラの姿を思い出した。実は彼らもハーマイオニーと同じくフォーラの笑顔の虜になっていたなんてことは、自身の面子のためにも恥ずかしくて言う気にならなかった。