14. ナルシサスの髪飾り
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「盛り上がっているところにすまない。フォーラはいるかな?」
「あっ、父様。ええ、いるわ。」その声をきっかけにシェードが扉を開けて姿を見せた。
「そろそろ私はお暇しようと思って声を掛けにきたんだ」
「分かったわ、ここまで送ってくれてどうもありがとう。」
「ああ。明後日の昼には迎えにくるよ。ところでたった今、君たちが話していた件についてだが」
その一言で周囲はハッと息を呑んだ。
「おじさん、今の話って」ロンが焦って尋ねると、シェードは少し茶目っ気を混ぜてウインクした。
「勿論、君たちのお母上には黙っておくとも。しかしこの館であまり聞かれたくない話をするなら、もう少し声量やトーンを落とすことをお勧めしておこう。アンブリッジ女史に逆らおうとしていることが君たちのお母上に知れたら……その後どうなるかは君たちの方が想像力に長けているだろうね」
子供たち全員がホッと胸を撫で下ろし、ようやくシェードへの警戒を解いた。
「話を聞かれたのがおじさんで良かった。ママに知られたら冗談抜きで怒り狂うのが目に見えてたから。ただでさえ学校で目立つなって言われてるのに」
ロンの発言にシェードはクツクツと笑った後、引き続き笑顔で話した。
「そうそう、防衛術の練習に関してスネイプ先生の言葉をみんなに伝えておかなくてはね」
その名前が出た途端、周囲の安堵に満ちた空気が一瞬で取り払われた。その変わりようにシェードは思わず笑いを堪えた。
「君たちはよっぽどスネイプ先生を敵視しているんだね。確かに奴はお世辞にも生徒に好かれるタイプではないな、うん」
「それで、スネイプは何て―――?」
ハリーの促しにシェードはオホンと軽く咳払いをして、スネイプの声真似をしながら言った。
「『ポッター含む生徒らが出しゃばれば、あの魔法省の犬に薬を盛られることは確実だ』、とのことだよ」
「え……薬って?」ジニーが不安げに言った。
「とりあえずは魔法省の犬って言ったらアンブリッジのことだろ?おじさん、あの女は俺たち生徒に何か薬を盛ろうとしてるんですか?」ジョージが心配と怒りを混ぜた声色で尋ねた。
「そういうことだろう。因みに、君たちが学校外のホグズミードで一度だけ集団で会合を開いたことは騎士団員の全員が認識している。それはアンブリッジ女史も同じようだね。セブルスが言っているのは、そういった目をつけられかねない行為を抑えた方がいいということだ」
防衛術の練習をこっそり続けようとしていた一同は、一斉にシンと静まり返った。すると不意にフォーラが質問した。
「ねえ父様?アンブリッジ先生が何かの薬を盛るかもしれない、とセブルスさんが想像できてしまうということは、セブルスさんは彼女に何かをお願いされているのかしら?例えばその『薬』を作ってほしいとか。」
「御明察!我が娘は察しがいい」
「えっ、じゃあ、スネイプはあのババアの言うことを聞いてるってことですか!?」
フレッドが先程のジョージ同様、反射的に沸いた怒りを何処へぶつけていいやら分からず言った。
「まあまあ、そうカッカせずに落ち着いて。スネイプ先生は何もアクションを起こしていないよ。それに、そもそも彼は人の言うことをホイホイ聞くタイプではないしね。しかもこういう込み入ったことは特に、ダンブルドアの命令でもない限りは従わないよ」
アンブリッジに対して特に怒りを露わにしていたフレッドとジョージが一先ず落ち着きを取り戻したのを見て、シェードが続けた。
「では、私からも質問しよう。君たちなら、何か良からぬ秘密を握っている人物にどんな薬を飲ませたい?」
「どんなって言われても……ウーン。危ない薬なら世の中に幾らでもあるしなあ」
ロンは見当もつかないようで首を横に振った。
「アンブリッジがスネイプ先生に頼むくらいだもの。よっぽど調合が難しい魔法薬じゃないかしら。それに、生徒の秘密を暴くのなら……やっぱり、でも……」
ハーマイオニーが「あり得ない」と呟くのを見て、ロンが痺れを切らして続きを促した。
「真実薬、あれが最適だと思うの。でもそれはあり得ないわよ。だってあの薬は強力すぎて魔法省が使用を制限しているもの。それに何より、学生への使用は禁止されてるのよ?」
ハーマイオニーは『真実薬ではない』と頷いてほしそうにシェードを見た。しかし彼は首を縦に振って困ったように微笑んだ。
「残念ながら、セブルスは真実薬の提供をアンブリッジ女史から求められている」
「じゃあ、そのことを他の先生に告発すればいいんだ!」ハリーが勢いづいて言ったが、今度のシェードは首を横に振った。
「まだ生徒に薬を使った実績も証拠もない段階で、彼女をどうこうするのは難しいだろう。それに、女史はスネイプ先生に薬の使用目的を話したわけではないんだ。勘違いしてはいけないのは、『薬を生徒に盛る』というのはあくまで君たちの行動と照らし合わせてスネイプ先生が導き出した可能性の話だ。とはいえ彼が提供を拒んでも、女史が別のルートから薬を入手する可能性だってある。それ程に女史の目には気を付けよ、ということだね」
シェードの言葉にみんなの騒めき声が行き交った。そして彼が再び口を開くと、全員がお喋りをやめて真剣に彼の話に耳を傾けた。
「いやはや、あの女性の手段を選ばないところは本当にスリザリン気質そのものだ。でも大丈夫。ダンブルドアがそんなことを許す筈がない。それから、学校でスネイプ先生にこの話の詳細を尋ねることはお勧めしないでおこう。もしアンブリッジ女史やその関係者に話の内容を聞かれでもしたら……君たちだけでなく、スネイプ先生も常に誰かから不必要な監視の目を受けることになるだろうからね」
シェードの明るく掴みどころのない雰囲気の中に時折垣間見える影を落とした表情は、騎士団に属する大人の誰とも違う、静かで厳かな雰囲気があった。そんな彼の釘を打つ発言に何人かが目を見交わせて慎重に頷いた。すると彼は打って変わってすっかり明るい表情に切り替えた。
「あっ、父様。ええ、いるわ。」その声をきっかけにシェードが扉を開けて姿を見せた。
「そろそろ私はお暇しようと思って声を掛けにきたんだ」
「分かったわ、ここまで送ってくれてどうもありがとう。」
「ああ。明後日の昼には迎えにくるよ。ところでたった今、君たちが話していた件についてだが」
その一言で周囲はハッと息を呑んだ。
「おじさん、今の話って」ロンが焦って尋ねると、シェードは少し茶目っ気を混ぜてウインクした。
「勿論、君たちのお母上には黙っておくとも。しかしこの館であまり聞かれたくない話をするなら、もう少し声量やトーンを落とすことをお勧めしておこう。アンブリッジ女史に逆らおうとしていることが君たちのお母上に知れたら……その後どうなるかは君たちの方が想像力に長けているだろうね」
子供たち全員がホッと胸を撫で下ろし、ようやくシェードへの警戒を解いた。
「話を聞かれたのがおじさんで良かった。ママに知られたら冗談抜きで怒り狂うのが目に見えてたから。ただでさえ学校で目立つなって言われてるのに」
ロンの発言にシェードはクツクツと笑った後、引き続き笑顔で話した。
「そうそう、防衛術の練習に関してスネイプ先生の言葉をみんなに伝えておかなくてはね」
その名前が出た途端、周囲の安堵に満ちた空気が一瞬で取り払われた。その変わりようにシェードは思わず笑いを堪えた。
「君たちはよっぽどスネイプ先生を敵視しているんだね。確かに奴はお世辞にも生徒に好かれるタイプではないな、うん」
「それで、スネイプは何て―――?」
ハリーの促しにシェードはオホンと軽く咳払いをして、スネイプの声真似をしながら言った。
「『ポッター含む生徒らが出しゃばれば、あの魔法省の犬に薬を盛られることは確実だ』、とのことだよ」
「え……薬って?」ジニーが不安げに言った。
「とりあえずは魔法省の犬って言ったらアンブリッジのことだろ?おじさん、あの女は俺たち生徒に何か薬を盛ろうとしてるんですか?」ジョージが心配と怒りを混ぜた声色で尋ねた。
「そういうことだろう。因みに、君たちが学校外のホグズミードで一度だけ集団で会合を開いたことは騎士団員の全員が認識している。それはアンブリッジ女史も同じようだね。セブルスが言っているのは、そういった目をつけられかねない行為を抑えた方がいいということだ」
防衛術の練習をこっそり続けようとしていた一同は、一斉にシンと静まり返った。すると不意にフォーラが質問した。
「ねえ父様?アンブリッジ先生が何かの薬を盛るかもしれない、とセブルスさんが想像できてしまうということは、セブルスさんは彼女に何かをお願いされているのかしら?例えばその『薬』を作ってほしいとか。」
「御明察!我が娘は察しがいい」
「えっ、じゃあ、スネイプはあのババアの言うことを聞いてるってことですか!?」
フレッドが先程のジョージ同様、反射的に沸いた怒りを何処へぶつけていいやら分からず言った。
「まあまあ、そうカッカせずに落ち着いて。スネイプ先生は何もアクションを起こしていないよ。それに、そもそも彼は人の言うことをホイホイ聞くタイプではないしね。しかもこういう込み入ったことは特に、ダンブルドアの命令でもない限りは従わないよ」
アンブリッジに対して特に怒りを露わにしていたフレッドとジョージが一先ず落ち着きを取り戻したのを見て、シェードが続けた。
「では、私からも質問しよう。君たちなら、何か良からぬ秘密を握っている人物にどんな薬を飲ませたい?」
「どんなって言われても……ウーン。危ない薬なら世の中に幾らでもあるしなあ」
ロンは見当もつかないようで首を横に振った。
「アンブリッジがスネイプ先生に頼むくらいだもの。よっぽど調合が難しい魔法薬じゃないかしら。それに、生徒の秘密を暴くのなら……やっぱり、でも……」
ハーマイオニーが「あり得ない」と呟くのを見て、ロンが痺れを切らして続きを促した。
「真実薬、あれが最適だと思うの。でもそれはあり得ないわよ。だってあの薬は強力すぎて魔法省が使用を制限しているもの。それに何より、学生への使用は禁止されてるのよ?」
ハーマイオニーは『真実薬ではない』と頷いてほしそうにシェードを見た。しかし彼は首を縦に振って困ったように微笑んだ。
「残念ながら、セブルスは真実薬の提供をアンブリッジ女史から求められている」
「じゃあ、そのことを他の先生に告発すればいいんだ!」ハリーが勢いづいて言ったが、今度のシェードは首を横に振った。
「まだ生徒に薬を使った実績も証拠もない段階で、彼女をどうこうするのは難しいだろう。それに、女史はスネイプ先生に薬の使用目的を話したわけではないんだ。勘違いしてはいけないのは、『薬を生徒に盛る』というのはあくまで君たちの行動と照らし合わせてスネイプ先生が導き出した可能性の話だ。とはいえ彼が提供を拒んでも、女史が別のルートから薬を入手する可能性だってある。それ程に女史の目には気を付けよ、ということだね」
シェードの言葉にみんなの騒めき声が行き交った。そして彼が再び口を開くと、全員がお喋りをやめて真剣に彼の話に耳を傾けた。
「いやはや、あの女性の手段を選ばないところは本当にスリザリン気質そのものだ。でも大丈夫。ダンブルドアがそんなことを許す筈がない。それから、学校でスネイプ先生にこの話の詳細を尋ねることはお勧めしないでおこう。もしアンブリッジ女史やその関係者に話の内容を聞かれでもしたら……君たちだけでなく、スネイプ先生も常に誰かから不必要な監視の目を受けることになるだろうからね」
シェードの明るく掴みどころのない雰囲気の中に時折垣間見える影を落とした表情は、騎士団に属する大人の誰とも違う、静かで厳かな雰囲気があった。そんな彼の釘を打つ発言に何人かが目を見交わせて慎重に頷いた。すると彼は打って変わってすっかり明るい表情に切り替えた。