14. ナルシサスの髪飾り
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そして一方、別のタイミングで母親の方にはナルシサスの花言葉について尋ねた。
「ナルシサスね……あったわ、ここに書いてある」
リプトニアは魔法植物などの本がずらりと並んだ本棚から一冊取り出し、パラパラとページをめくってフォーラに差し出した。
「ありがとう母様。ええと、『尊敬』『報われぬ恋』?えっ……尊敬はまだしも、報われぬ恋って?」
昨日ナルシッサが言っていたのはこのことか。『報われぬ恋』だなんて、確かに贈り物の意味としてはあまり似つかわしくない。
「昨日の花にそんな意味があったなんてね。春先をイメージする明るい花だし人気もあるけれど、それを踏まえても贈り主さんは随分熱烈ね」
「うう、恥ずかしいわ……。で、でも、ナルシッサさんが偶然花言葉を知っていたから調べるように提案してくださっただけで、贈り主のお方はそんなこと何も知らなかったかもしれないし……。それに結局、この花をどなたが贈ってくださったのかも分からなくて。」
フォーラがナルシサスの花を手渡すと、受け取ったリプトニアはおもむろに自身の杖を取り出してその先端を花に宛がい、そこから何かを感じ取ったようだった。
「この花、魔法が掛けられているわ」
「えっ、それってどんな?」
リプトニアが引き続き杖で花を調べながら言った。
「悪いものじゃ無さそうよ。むしろ持ち主の魅力を引き上げてくれるような、優しい魔法だわ。贈り主さんから随分大事に想われているみたいで嬉しいわね。でもシェードには内緒にしておかなきゃ。きっと、誰が贈ってきたのかと大騒ぎしてしまうもの」
リプトニアが茶目っ気たっぷりに言うものだから、フォーラは思わず顔を赤くした。すると引き続き母が発言した。
「あっ、そうだわ。折角いい魔法が掛かっているんだし、加工して髪飾りにしてみない?このままだと枯れてしまうだけだもの」
「でも、誰からいただいた物かも分からないし……。」
「まあ、それもそうね。とっても素敵な魔法だったから、少し残念だけれど仕方ないわね」
そう言ってリプトニアはフォーラに花を返し、これから温室に用事があるとかでその場を離れようとした。しかしフォーラが思いとどまって彼女を引き留めた。誰が贈り主か分からないものの、そんなにも素敵なプレゼントを枯らしてしまうのは確かに気が引ける。それに、この花には利用価値があるかもしれない。
「母様、やっぱり加工をお願いしてもいいかしら!」
さて、クリスマスを終えた翌日、フォーラはアーサーへの見舞いの品を持ち、父に引率されてブラック邸を訪れた。彼女はここで二日程過ごしてからファントム邸に戻る予定にしていた。そんな彼女を最初に出迎えてくれたのはハーマイオニーを始め、ハリーやロン、双子やジニーといったグリフィンドール生の面々だった。騎士団の大人たちはモリーとシリウス以外出払っているらしい。フォーラは父と共にその二人にも挨拶を済ませ、見舞いの品を預けてアーサーの容態を伺った。まだ相変わらず聖マンゴに入院していて傷が深いが、以前よりも元気があるとのことだった。
その知らせに安堵したのを機に、その後は父がシリウスと話をするということでファントム父子は食堂で別れた。そしてフォーラはハーマイオニーたちと共にシリウスの母親の肖像画を起こさないよう音を殺して上階に向かい、たった今ハリーとロンの部屋に収まったところだった。
「フォーラ、長い間話せなくてとっても寂しかったわ!元気にしていた?」
ハーマイオニーとジニーがフォーラを囲み、それによって彼女は周囲が自分を温かく受け入れてくれたことを心から喜んだ。というのもホグワーツではフォーラの希望であえて互いに話をせず、ドラコに要らぬ疑いの目を受けないよう振る舞っていたからだ。
「私も寂しかったわ。みんな、学校では気を遣って距離を取ってくれてありがとう。おかげで大きな問題もなく過ごせたわ。」そう言ってフォーラが微笑んだ際、不意に一番近くにいた女子二人が何かに気付いた。
「今日のフォーラ、いつもと少し雰囲気が違うわ。髪型もそうだけど何だかいつも以上に……」
「とっても可愛いわ!」
ハーマイオニーの言葉をジニーが引き継いだ。今日のフォーラは何とも言えない優しく麗しい魅力をいつも以上に纏っていた。そしてジニーはフォーラがハーフアップにした後ろ髪に飾りが留めてあるのを視認した。飴がけのようなガラスコーティングが施された、華奢な黄色の花飾りだった。
「これどうしたの?とっても素敵。似合ってるわ」
「本当?ありがとう。この間、うちで開かれたパーティーに参加してくださった方からお花をいただいたのだけど、それを母様が加工してくださったの。折角だから付けてみたわ。みんなもクリスマスプレゼントをどうもありがとう。直接お礼を言いたかったの。それから、ホグワーツで話せなかった間の事も伝えたかったわ。」
フォーラの口調が最後の方でやや真剣味を帯びると、周囲は一瞬息をひそめた。各人の様子から、フォーラは彼らが闇陣営の情報を欲しているのだと容易に理解できた。するとハリーが話を催促してきた。
「フォーラ、パーティーで何があったか教えてくれないか?ルーピンやトンクスたちが君の家に潜入してたことは知ってるんだけど。誰もそれ以上のことを話してくれなかったんだ」
「ええ、期待するような情報は持っていないけれど、それでもよければ。先ず、うちで開かれるパーティーは毎年父様や母様のお仕事関係の方々が顔を出してくださっているの。セブルスさんやルシウスさんはいつもどおり参加していたのだけど、ハリーの言うとおり、リーマスさんは変装して会場にいらっしゃったわ。」
「どうやってルーピンだって気付いたんだい?」ロンが尋ねた。
「彼が、私と二人の時に会話の中でヒントをくださったのよ。他にも騎士団のメンバーが参加していた様子だったけれど、リーマスさん以外はよく分からなかったわ。それから、パーティー中に一番驚いたのは、去年の三大魔法学校対抗試合でダームストラング校にいた生徒が―――今は卒業しているけれど、その人が母様のお客様としてパーティーに参加していたの。ホグワーツではとっても良くしてもらっていたから、本当に嬉しかったわ。」
「ナルシサスね……あったわ、ここに書いてある」
リプトニアは魔法植物などの本がずらりと並んだ本棚から一冊取り出し、パラパラとページをめくってフォーラに差し出した。
「ありがとう母様。ええと、『尊敬』『報われぬ恋』?えっ……尊敬はまだしも、報われぬ恋って?」
昨日ナルシッサが言っていたのはこのことか。『報われぬ恋』だなんて、確かに贈り物の意味としてはあまり似つかわしくない。
「昨日の花にそんな意味があったなんてね。春先をイメージする明るい花だし人気もあるけれど、それを踏まえても贈り主さんは随分熱烈ね」
「うう、恥ずかしいわ……。で、でも、ナルシッサさんが偶然花言葉を知っていたから調べるように提案してくださっただけで、贈り主のお方はそんなこと何も知らなかったかもしれないし……。それに結局、この花をどなたが贈ってくださったのかも分からなくて。」
フォーラがナルシサスの花を手渡すと、受け取ったリプトニアはおもむろに自身の杖を取り出してその先端を花に宛がい、そこから何かを感じ取ったようだった。
「この花、魔法が掛けられているわ」
「えっ、それってどんな?」
リプトニアが引き続き杖で花を調べながら言った。
「悪いものじゃ無さそうよ。むしろ持ち主の魅力を引き上げてくれるような、優しい魔法だわ。贈り主さんから随分大事に想われているみたいで嬉しいわね。でもシェードには内緒にしておかなきゃ。きっと、誰が贈ってきたのかと大騒ぎしてしまうもの」
リプトニアが茶目っ気たっぷりに言うものだから、フォーラは思わず顔を赤くした。すると引き続き母が発言した。
「あっ、そうだわ。折角いい魔法が掛かっているんだし、加工して髪飾りにしてみない?このままだと枯れてしまうだけだもの」
「でも、誰からいただいた物かも分からないし……。」
「まあ、それもそうね。とっても素敵な魔法だったから、少し残念だけれど仕方ないわね」
そう言ってリプトニアはフォーラに花を返し、これから温室に用事があるとかでその場を離れようとした。しかしフォーラが思いとどまって彼女を引き留めた。誰が贈り主か分からないものの、そんなにも素敵なプレゼントを枯らしてしまうのは確かに気が引ける。それに、この花には利用価値があるかもしれない。
「母様、やっぱり加工をお願いしてもいいかしら!」
さて、クリスマスを終えた翌日、フォーラはアーサーへの見舞いの品を持ち、父に引率されてブラック邸を訪れた。彼女はここで二日程過ごしてからファントム邸に戻る予定にしていた。そんな彼女を最初に出迎えてくれたのはハーマイオニーを始め、ハリーやロン、双子やジニーといったグリフィンドール生の面々だった。騎士団の大人たちはモリーとシリウス以外出払っているらしい。フォーラは父と共にその二人にも挨拶を済ませ、見舞いの品を預けてアーサーの容態を伺った。まだ相変わらず聖マンゴに入院していて傷が深いが、以前よりも元気があるとのことだった。
その知らせに安堵したのを機に、その後は父がシリウスと話をするということでファントム父子は食堂で別れた。そしてフォーラはハーマイオニーたちと共にシリウスの母親の肖像画を起こさないよう音を殺して上階に向かい、たった今ハリーとロンの部屋に収まったところだった。
「フォーラ、長い間話せなくてとっても寂しかったわ!元気にしていた?」
ハーマイオニーとジニーがフォーラを囲み、それによって彼女は周囲が自分を温かく受け入れてくれたことを心から喜んだ。というのもホグワーツではフォーラの希望であえて互いに話をせず、ドラコに要らぬ疑いの目を受けないよう振る舞っていたからだ。
「私も寂しかったわ。みんな、学校では気を遣って距離を取ってくれてありがとう。おかげで大きな問題もなく過ごせたわ。」そう言ってフォーラが微笑んだ際、不意に一番近くにいた女子二人が何かに気付いた。
「今日のフォーラ、いつもと少し雰囲気が違うわ。髪型もそうだけど何だかいつも以上に……」
「とっても可愛いわ!」
ハーマイオニーの言葉をジニーが引き継いだ。今日のフォーラは何とも言えない優しく麗しい魅力をいつも以上に纏っていた。そしてジニーはフォーラがハーフアップにした後ろ髪に飾りが留めてあるのを視認した。飴がけのようなガラスコーティングが施された、華奢な黄色の花飾りだった。
「これどうしたの?とっても素敵。似合ってるわ」
「本当?ありがとう。この間、うちで開かれたパーティーに参加してくださった方からお花をいただいたのだけど、それを母様が加工してくださったの。折角だから付けてみたわ。みんなもクリスマスプレゼントをどうもありがとう。直接お礼を言いたかったの。それから、ホグワーツで話せなかった間の事も伝えたかったわ。」
フォーラの口調が最後の方でやや真剣味を帯びると、周囲は一瞬息をひそめた。各人の様子から、フォーラは彼らが闇陣営の情報を欲しているのだと容易に理解できた。するとハリーが話を催促してきた。
「フォーラ、パーティーで何があったか教えてくれないか?ルーピンやトンクスたちが君の家に潜入してたことは知ってるんだけど。誰もそれ以上のことを話してくれなかったんだ」
「ええ、期待するような情報は持っていないけれど、それでもよければ。先ず、うちで開かれるパーティーは毎年父様や母様のお仕事関係の方々が顔を出してくださっているの。セブルスさんやルシウスさんはいつもどおり参加していたのだけど、ハリーの言うとおり、リーマスさんは変装して会場にいらっしゃったわ。」
「どうやってルーピンだって気付いたんだい?」ロンが尋ねた。
「彼が、私と二人の時に会話の中でヒントをくださったのよ。他にも騎士団のメンバーが参加していた様子だったけれど、リーマスさん以外はよく分からなかったわ。それから、パーティー中に一番驚いたのは、去年の三大魔法学校対抗試合でダームストラング校にいた生徒が―――今は卒業しているけれど、その人が母様のお客様としてパーティーに参加していたの。ホグワーツではとっても良くしてもらっていたから、本当に嬉しかったわ。」