13. マリアお手製のドレス
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フォーラはドラコの告白を断るトリガーとなったマグル生まれの件を伏せ、それ以外の事実を伝えた。今セオドールに伝えたことを、彼からあえてドラコに横流しすればいいと思ったからだ。あまりにも強かすぎる考えだが、今日ドラコが見せた謎の優しさから考えて、もしかすると何か今の状況を打開するきっかけになるかも知れないと思ったのだ。
「ふうん」セオドールが興味深そうに言った。「じゃあ逆に、奴が君をどう思ってると思う?」
いくら強かに構えているとはいえ、正直なところフォーラはそちらのベクトルに対する正解を待ち合わせてはいなかった。
「それは……分からないわ。嫌われている気はするけれど。
セオドール、何か知っているの?」
彼はその質問に即答した。
「いいや。ドラコが普段君に対して何を考えているかはよく分からない。
だけど僕が思うに、君が思っているよりも嫌われてはいないんじゃないか。寧ろ君を気にかけているのかもしれないと思う時すらある」
フォーラは今日こそドラコの優しさの片鱗を垣間見たものの、学期が始まってからの彼が自分に対して酷く冷たかったことや、彼に恋人が出来た時の残念な記憶を思い出した。
しかし強かな心の内が、今日一瞬受けた彼の優しさで士気を帯びたのも間違いなかった。そしてそれを後押しするようにセオドールが言葉を繋いだ。
「僕や、クラッブもゴイルも、君の女友達も、ドラコとファントムが一緒にいなくて違和感がすごいんだ。早く元に戻ってくれよ」
他人に関心を示さない筈のセオドールがこんなにも話してくれた。しかも心の奥の素直な部分を曝け出してまで。
加えて彼の性格上、望み薄な相手を応援なんてしない筈なのだ。
「セオドール、ありがとう」
少し時間は遡り、ドラコはフォーラと別れた後、直ぐに広間を抜け出して屋敷の廊下に出ていた。先程フォーラと過ごした妙な時間を忘れようとしてのことだ。すると、丁度廊下からこの邸のメイドであるマリアが広間に向かって来ていた。
「あら、ドラコ様。メリークリスマス。こんなところでどうかなさいましたか?」
「……ああ、マリアさん。お久しぶりです。いやその、少し気分が優れなくて。でも大したことは無いんです」
「人混みでお疲れになってしまったのかもしれませんね。でしたら何か飲みやすいものでもお持ち致しましょうか?」
「いえ、本当に大丈夫です。外で少し雪でも眺めれば気が紛れそうなので」
「分かりました。外は冷えますから、あまり無理なさらないでくださいね。何かあればいつでも仰ってください」
マリアはニコッとドラコに微笑むと、広間の扉に手をかけた。ドラコはその様子を何気なく見つめながら、先程フォーラが身に纏っていたドレスを思い浮かべていた。
「マリアさん」
ドラコは気がつけばマリアを引き留めていた。彼女が振り返ってどうしたのかと尋ねれば、ドラコはほんの少しの戸惑いを覗かせた後で質問した。
「フォーラが着ていたドレスは、貴女が仕立てたのですか」
マリアはそれを聞いて誇らしそうな笑顔で頷いた。
「ええ、勿論です!今年も力作ですよ。お嬢様、とっても似合われていたでしょう」
「あーーー、ええ、そうですね」ドラコが自虐的に言った。「それで、あのドレスには何か……特別な技術でも取り入れていますか?ーーー例えば魔法がかかっていたりとか、そういうことですが」
ドラコは先程フォーラの目の前で情緒不安定になり、彼女を褒めるような思わぬ発言をした。しかしそれが自分の意思によって口から出たとは思っていなかった。それであれば、彼女のドレスに何か仕掛けがある可能性は捨てきれないと思ったのだ。
「まあ!よくお分かりになりましたね」
「!」
マリアが嬉しそうに手を合わせて明るい笑顔でそう言ったものだから、ドラコは一か八かの感が当たって驚いていた。
「それって、どういう」
「お嬢様ご自身の魅力が最大限に引き出せるデザインにしているんです!この私の手で!」
自信満々に胸を張るマリアに対して、一方のドラコは思わず拍子抜けしてしまった。
「えっ……と、魔法ではなく、デザイン、ですか?」
マリアはドラコが自分の話に興味を持ってくれたと勘違いし、自分の仕事やフォーラに対する想いを嬉々として話した。
「そうです!けれど、私はあくまでお嬢様に似合うものをお作りしているだけ。皆さんがお嬢様を褒めてくださるのは、お嬢様自身が魅力的だからという以外に説明のしようがありません」
「はあ、成る程」
ドラコはマリアの溺愛っぷりに呆れて生返事をしたが、彼女はにこやかだった。
「ドラコ様も、お嬢様を目の前にして思わず褒めたくなったのでは?」
彼は思わずドキリとした。つい先程の自分がその言葉の通りだったことや、セオドールが珍しく彼にしては歯の浮くような台詞を気持ちそのままに放ったこと、それ以外の来客もフォーラを素直に褒め愛でていたのを思い出した。ドラコから見たマリアは、まるでそうなることを最初から知っていたかのように思えた。
「……貴方は彼女のことを大事にしているんですね」
「ええ、勿論です。ドレスについてはお嬢様がより綺麗に見えるよう、一つ一つ丁寧に気持ちを込めて作っていますから、お嬢様のドレスには私の想いが詰まっているんです。もしかすると知らない内に、ドラコ様が仰ったように魔法の一つくらいはかかっているかも知れませんね」
冗談めいてそう言ったマリアに、ドラコは根負けして思わず微笑んだ。彼女はドラコが予想したような罠めいたことなど、何一つしているつもりも無さそうだったから。
「フォーラは何時も以上に綺麗でしたよ。口に出すつもりが無くてもうっかり褒めてしまうくらいにね」
ドラコはほんの少し寂しげにそう言い残してマリアに軽く会釈をすると、その場を離れて行ってしまった。
(まあ。)
残されたマリアはドラコが立ち去るのを見届けながら、心の中で感嘆の声を漏らした。
(『何時も以上に』だなんて。ふふ。それは日頃もそう思ってらっしゃるということかしら。
……お嬢様。どうやらドラコ様も、普段から十分お嬢様を大事にされているようですよ。今は何かの事情で上手くいかなくても、きっと悪いようにはならない筈です。彼を見ていて、私はそんな予感がしたんです)
「ふうん」セオドールが興味深そうに言った。「じゃあ逆に、奴が君をどう思ってると思う?」
いくら強かに構えているとはいえ、正直なところフォーラはそちらのベクトルに対する正解を待ち合わせてはいなかった。
「それは……分からないわ。嫌われている気はするけれど。
セオドール、何か知っているの?」
彼はその質問に即答した。
「いいや。ドラコが普段君に対して何を考えているかはよく分からない。
だけど僕が思うに、君が思っているよりも嫌われてはいないんじゃないか。寧ろ君を気にかけているのかもしれないと思う時すらある」
フォーラは今日こそドラコの優しさの片鱗を垣間見たものの、学期が始まってからの彼が自分に対して酷く冷たかったことや、彼に恋人が出来た時の残念な記憶を思い出した。
しかし強かな心の内が、今日一瞬受けた彼の優しさで士気を帯びたのも間違いなかった。そしてそれを後押しするようにセオドールが言葉を繋いだ。
「僕や、クラッブもゴイルも、君の女友達も、ドラコとファントムが一緒にいなくて違和感がすごいんだ。早く元に戻ってくれよ」
他人に関心を示さない筈のセオドールがこんなにも話してくれた。しかも心の奥の素直な部分を曝け出してまで。
加えて彼の性格上、望み薄な相手を応援なんてしない筈なのだ。
「セオドール、ありがとう」
少し時間は遡り、ドラコはフォーラと別れた後、直ぐに広間を抜け出して屋敷の廊下に出ていた。先程フォーラと過ごした妙な時間を忘れようとしてのことだ。すると、丁度廊下からこの邸のメイドであるマリアが広間に向かって来ていた。
「あら、ドラコ様。メリークリスマス。こんなところでどうかなさいましたか?」
「……ああ、マリアさん。お久しぶりです。いやその、少し気分が優れなくて。でも大したことは無いんです」
「人混みでお疲れになってしまったのかもしれませんね。でしたら何か飲みやすいものでもお持ち致しましょうか?」
「いえ、本当に大丈夫です。外で少し雪でも眺めれば気が紛れそうなので」
「分かりました。外は冷えますから、あまり無理なさらないでくださいね。何かあればいつでも仰ってください」
マリアはニコッとドラコに微笑むと、広間の扉に手をかけた。ドラコはその様子を何気なく見つめながら、先程フォーラが身に纏っていたドレスを思い浮かべていた。
「マリアさん」
ドラコは気がつけばマリアを引き留めていた。彼女が振り返ってどうしたのかと尋ねれば、ドラコはほんの少しの戸惑いを覗かせた後で質問した。
「フォーラが着ていたドレスは、貴女が仕立てたのですか」
マリアはそれを聞いて誇らしそうな笑顔で頷いた。
「ええ、勿論です!今年も力作ですよ。お嬢様、とっても似合われていたでしょう」
「あーーー、ええ、そうですね」ドラコが自虐的に言った。「それで、あのドレスには何か……特別な技術でも取り入れていますか?ーーー例えば魔法がかかっていたりとか、そういうことですが」
ドラコは先程フォーラの目の前で情緒不安定になり、彼女を褒めるような思わぬ発言をした。しかしそれが自分の意思によって口から出たとは思っていなかった。それであれば、彼女のドレスに何か仕掛けがある可能性は捨てきれないと思ったのだ。
「まあ!よくお分かりになりましたね」
「!」
マリアが嬉しそうに手を合わせて明るい笑顔でそう言ったものだから、ドラコは一か八かの感が当たって驚いていた。
「それって、どういう」
「お嬢様ご自身の魅力が最大限に引き出せるデザインにしているんです!この私の手で!」
自信満々に胸を張るマリアに対して、一方のドラコは思わず拍子抜けしてしまった。
「えっ……と、魔法ではなく、デザイン、ですか?」
マリアはドラコが自分の話に興味を持ってくれたと勘違いし、自分の仕事やフォーラに対する想いを嬉々として話した。
「そうです!けれど、私はあくまでお嬢様に似合うものをお作りしているだけ。皆さんがお嬢様を褒めてくださるのは、お嬢様自身が魅力的だからという以外に説明のしようがありません」
「はあ、成る程」
ドラコはマリアの溺愛っぷりに呆れて生返事をしたが、彼女はにこやかだった。
「ドラコ様も、お嬢様を目の前にして思わず褒めたくなったのでは?」
彼は思わずドキリとした。つい先程の自分がその言葉の通りだったことや、セオドールが珍しく彼にしては歯の浮くような台詞を気持ちそのままに放ったこと、それ以外の来客もフォーラを素直に褒め愛でていたのを思い出した。ドラコから見たマリアは、まるでそうなることを最初から知っていたかのように思えた。
「……貴方は彼女のことを大事にしているんですね」
「ええ、勿論です。ドレスについてはお嬢様がより綺麗に見えるよう、一つ一つ丁寧に気持ちを込めて作っていますから、お嬢様のドレスには私の想いが詰まっているんです。もしかすると知らない内に、ドラコ様が仰ったように魔法の一つくらいはかかっているかも知れませんね」
冗談めいてそう言ったマリアに、ドラコは根負けして思わず微笑んだ。彼女はドラコが予想したような罠めいたことなど、何一つしているつもりも無さそうだったから。
「フォーラは何時も以上に綺麗でしたよ。口に出すつもりが無くてもうっかり褒めてしまうくらいにね」
ドラコはほんの少し寂しげにそう言い残してマリアに軽く会釈をすると、その場を離れて行ってしまった。
(まあ。)
残されたマリアはドラコが立ち去るのを見届けながら、心の中で感嘆の声を漏らした。
(『何時も以上に』だなんて。ふふ。それは日頃もそう思ってらっしゃるということかしら。
……お嬢様。どうやらドラコ様も、普段から十分お嬢様を大事にされているようですよ。今は何かの事情で上手くいかなくても、きっと悪いようにはならない筈です。彼を見ていて、私はそんな予感がしたんです)