13. マリアお手製のドレス
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「そんなの、心配するに決まっているだろう……」
「え……?」
フォーラは今しがたドラコが呟いた言葉の意味を直ぐには飲み込むことができなかった。ホグワーツでもここでも、新学期が始まってからつい先程までずっと突っ慳貪な態度で接されていた筈なのに。どうして彼は今になってそんな思いやりの塊のような言葉をくれたのだろう?
フォーラが予想外のことに惚けていると、ドラコがハッと意識を取り戻したようになって、そのまま急いで彼女の手を離した。
「違う、今のは、こんなところで転んだら悪目立ちするから助けただけだ。それ以外に理由はない!」
ドラコはそう言ってフォーラの目の前から勢いに任せて立ち去ろうとした。
「待って!」
フォーラは思わずドラコの腕を取って引き留め、彼を腕の中に抱きとめた。周囲から見れば、二人は唯々ダンスの為にホールドしているようにしか見えなかった。
「お……おい!何だ、いきなり……」
ドラコがフォーラの両腕を掴んで彼女からバッと身体を離すと、フォーラがドラコの口元に人差し指をあてがった。
「!」
ビクリと肩を揺らしたドラコをよそに、フォーラが小声で言った。
「すぐ向こうに、ルシウスさんが見えているわ。曲も半ばで今離れたら、何かあったのかと心配をかけてしまうかもしれない。」
ドラコはフォーラの視線の先を追いかけて父親の姿を捉えた。そして視線を元に戻すと、今度はフォーラがドラコの顔色を伺うようにして彼を見上げていた。
「それに私、本当はもう少しドラコとこうしていられたら、とっても嬉しいのだけど……。」
ドラコは眉間にぎゅっと皺を寄せて視線を逸らした。
「僕にあれだけ避けられているのに、随分物好きだな。それに、忘れてないとは思うが、僕にはガールフレンドがいるんだ。そもそも君も含めて他の女子とあまりベタベタする気はない」
「……ええ、勿論分かっているわ。ただ、一曲だけでいいの。駄目かしら。」
ドラコは溜息を一つ吐くと、仕方なく了承した。
「ああ、分かった。ただしもう今日は僕に必要以上に話しかけるな。いいな」
「……ええ、ありがとう。」
ドラコの口調は厳しいものだったがフォーラはそれでもよかった。今の彼女は先程のドラコがくれた慈悲の言葉を本当に嬉しく思っていたからだ。一瞬だったとはいえ、まるで以前の彼に戻ったような気すらしてしまう。ホグワーツで辛く当たられていたことなどどうでも良くなってしまいそうだ。
二人が再び曲に合わせてステップを踏んでいる間、ドラコは頑なにフォーラから視線を逸らし、これ以上の発言を避けているようだった。眉間にはまるでスネイプのようなシワをギュッと寄せている。しかしフォーラは自分を拒絶するその姿にすら悲しみを覚えなかった。それよりも、どうして彼が一瞬でも優しさを覗かせたのかの方が重要だった。
ダンスをしている間、残念ながらやはりその答は出てこなかった。ドラコに尋ねることもできず、曲が終わると彼は「じゃあな」と言い残してフォーラから離れ、直ぐに人混みに紛れて見えなくなってしまったのだった。
フォーラは先程までドラコに触れられ、触れていた感触をぼうっと思い出していた。そして次第に自分が思っていた以上に緊張していたことや、彼の腕の中にいられたことを相当喜んでいたことを思い知った。そして彼が見せた謎の優しさが、彼自身は自分のことを心の底から嫌っているわけでは無いかもしれないという淡い期待を大きくさせていた。
「私ったら、ただの気まぐれだったかもしれないのに……。」
そうだったとすれば、随分なぬか喜びだ。フォーラはドラコが消えた辺りを眺め、胸がチクリとした気がして小さくため息をついた。
「そうかも知れないね」
「!」
背後からの声にフォーラがビクリと驚きそちらに振り向くと、ドラコが去って行った方向を眺めるセオドールの姿があった。
「見ていたの?」
「見ていたというか、視界に入ったんだ。君が随分ドラコに積極的だった辺りから」
(それって殆ど初めから?)
困惑し、恥ずかしさで萎縮するフォーラをよそに、不意にセオドールが尋ねた。
「ファントムはドラコをどう思う?いや、どう思ってる?」
彼の問いかけにフォーラは一瞬言葉が出てこなかった。それは彼の質問に答え難いからというわけではなく、セオドールの性格からして飛んでくる筈のない質問だったからだ。
「あなたが他の人に関心を持つなんて、とっても珍しいわ」
「なんだ、君って可愛い顔して意外に失礼だな。
まあいいさ。僕だって……今日は本当に不思議なんだ。普段口に出さないようなことばかり君と話してしまっている気がする。
友人の人間関係なんて、かけらほども心配してないと思っていたのに」
セオドールが『口に出さないようなこと』を話していると言ったが、裏返せばそれはずっと頭の中で思っている言葉があったということだ。それを理解すると、フォーラは思わず微笑んだ。
「普段から、ドラコを気遣っているのね」
「さあ、どうだろう」セオドールはほんの少し照れた様子で一瞬目を逸らしてから彼女を見た。「でも、本当はそうなのかも知れないね。
それで、僕の質問には答えてくれるの?君はドラコをどう思ってる?」
そう言われて回答に困っているフォーラにセオドールが付け足した。
「因みにドラコに積極的な君に言っておくと、奴には恋人がいるよ。忘れてないと思うけど」
フォーラはセオドールをじっと見つめてから静かに答えた。
「それについては、ドラコにも同じことを言われたわ。」
ドラコをどう思っているかなんて、答は一つに決まっていた。
「私のことを見てくれたらいいのにって、思ってる。
勿論、彼を傷付けた私が望むのがおこがましいのは分かっているわ。
だけどそれくらいあの時は、ただの幼馴染で無くなることを恐れていたの。心から……」
「え……?」
フォーラは今しがたドラコが呟いた言葉の意味を直ぐには飲み込むことができなかった。ホグワーツでもここでも、新学期が始まってからつい先程までずっと突っ慳貪な態度で接されていた筈なのに。どうして彼は今になってそんな思いやりの塊のような言葉をくれたのだろう?
フォーラが予想外のことに惚けていると、ドラコがハッと意識を取り戻したようになって、そのまま急いで彼女の手を離した。
「違う、今のは、こんなところで転んだら悪目立ちするから助けただけだ。それ以外に理由はない!」
ドラコはそう言ってフォーラの目の前から勢いに任せて立ち去ろうとした。
「待って!」
フォーラは思わずドラコの腕を取って引き留め、彼を腕の中に抱きとめた。周囲から見れば、二人は唯々ダンスの為にホールドしているようにしか見えなかった。
「お……おい!何だ、いきなり……」
ドラコがフォーラの両腕を掴んで彼女からバッと身体を離すと、フォーラがドラコの口元に人差し指をあてがった。
「!」
ビクリと肩を揺らしたドラコをよそに、フォーラが小声で言った。
「すぐ向こうに、ルシウスさんが見えているわ。曲も半ばで今離れたら、何かあったのかと心配をかけてしまうかもしれない。」
ドラコはフォーラの視線の先を追いかけて父親の姿を捉えた。そして視線を元に戻すと、今度はフォーラがドラコの顔色を伺うようにして彼を見上げていた。
「それに私、本当はもう少しドラコとこうしていられたら、とっても嬉しいのだけど……。」
ドラコは眉間にぎゅっと皺を寄せて視線を逸らした。
「僕にあれだけ避けられているのに、随分物好きだな。それに、忘れてないとは思うが、僕にはガールフレンドがいるんだ。そもそも君も含めて他の女子とあまりベタベタする気はない」
「……ええ、勿論分かっているわ。ただ、一曲だけでいいの。駄目かしら。」
ドラコは溜息を一つ吐くと、仕方なく了承した。
「ああ、分かった。ただしもう今日は僕に必要以上に話しかけるな。いいな」
「……ええ、ありがとう。」
ドラコの口調は厳しいものだったがフォーラはそれでもよかった。今の彼女は先程のドラコがくれた慈悲の言葉を本当に嬉しく思っていたからだ。一瞬だったとはいえ、まるで以前の彼に戻ったような気すらしてしまう。ホグワーツで辛く当たられていたことなどどうでも良くなってしまいそうだ。
二人が再び曲に合わせてステップを踏んでいる間、ドラコは頑なにフォーラから視線を逸らし、これ以上の発言を避けているようだった。眉間にはまるでスネイプのようなシワをギュッと寄せている。しかしフォーラは自分を拒絶するその姿にすら悲しみを覚えなかった。それよりも、どうして彼が一瞬でも優しさを覗かせたのかの方が重要だった。
ダンスをしている間、残念ながらやはりその答は出てこなかった。ドラコに尋ねることもできず、曲が終わると彼は「じゃあな」と言い残してフォーラから離れ、直ぐに人混みに紛れて見えなくなってしまったのだった。
フォーラは先程までドラコに触れられ、触れていた感触をぼうっと思い出していた。そして次第に自分が思っていた以上に緊張していたことや、彼の腕の中にいられたことを相当喜んでいたことを思い知った。そして彼が見せた謎の優しさが、彼自身は自分のことを心の底から嫌っているわけでは無いかもしれないという淡い期待を大きくさせていた。
「私ったら、ただの気まぐれだったかもしれないのに……。」
そうだったとすれば、随分なぬか喜びだ。フォーラはドラコが消えた辺りを眺め、胸がチクリとした気がして小さくため息をついた。
「そうかも知れないね」
「!」
背後からの声にフォーラがビクリと驚きそちらに振り向くと、ドラコが去って行った方向を眺めるセオドールの姿があった。
「見ていたの?」
「見ていたというか、視界に入ったんだ。君が随分ドラコに積極的だった辺りから」
(それって殆ど初めから?)
困惑し、恥ずかしさで萎縮するフォーラをよそに、不意にセオドールが尋ねた。
「ファントムはドラコをどう思う?いや、どう思ってる?」
彼の問いかけにフォーラは一瞬言葉が出てこなかった。それは彼の質問に答え難いからというわけではなく、セオドールの性格からして飛んでくる筈のない質問だったからだ。
「あなたが他の人に関心を持つなんて、とっても珍しいわ」
「なんだ、君って可愛い顔して意外に失礼だな。
まあいいさ。僕だって……今日は本当に不思議なんだ。普段口に出さないようなことばかり君と話してしまっている気がする。
友人の人間関係なんて、かけらほども心配してないと思っていたのに」
セオドールが『口に出さないようなこと』を話していると言ったが、裏返せばそれはずっと頭の中で思っている言葉があったということだ。それを理解すると、フォーラは思わず微笑んだ。
「普段から、ドラコを気遣っているのね」
「さあ、どうだろう」セオドールはほんの少し照れた様子で一瞬目を逸らしてから彼女を見た。「でも、本当はそうなのかも知れないね。
それで、僕の質問には答えてくれるの?君はドラコをどう思ってる?」
そう言われて回答に困っているフォーラにセオドールが付け足した。
「因みにドラコに積極的な君に言っておくと、奴には恋人がいるよ。忘れてないと思うけど」
フォーラはセオドールをじっと見つめてから静かに答えた。
「それについては、ドラコにも同じことを言われたわ。」
ドラコをどう思っているかなんて、答は一つに決まっていた。
「私のことを見てくれたらいいのにって、思ってる。
勿論、彼を傷付けた私が望むのがおこがましいのは分かっているわ。
だけどそれくらいあの時は、ただの幼馴染で無くなることを恐れていたの。心から……」