13. マリアお手製のドレス
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そう言ったドラコをルシウスは一瞥した。その後ふと視界に入ったフォーラの方に視線を向けると、彼女も偶然ルシウスを見つけたところだった。彼女はルシウスに笑いかけると、側にいた客人に会釈をしてドラコたちの方へとやって来た。
「楽しんでいただけていますか?なかなかお話する時間が無くて、ごめんなさい」
フォーラは至極いつも通りの笑顔でルシウスとドラコに話しかけた。心の内をうまく隠しているおかげで、ホグワーツでドラコの顔色を伺うように怯えていた彼女の姿は何処にも無かった。
「ああ勿論楽しんでいるとも。ありがとう。特に料理がいつも通り絶品だ」ルシウスが微笑んだ。「ところでフォーラ嬢、そろそろドラコが君に相手をしてもらいたいようだ。少しばかり時間を与えてやってくれないか。丁度私もシェードに用事があるのでね」
「えっ」
ドラコは父親の突然の言葉に思わず驚きの声を小さく漏らした。フォーラと踊ることは何となく覚悟していたが、あまりにも唐突すぎたのだ。
一方のフォーラは、何となくルシウスが"純粋に"ドラコとの時間を作ろうとしてくれているように感じた。いつものパーティーに比べてドラコとフォーラ自身が一緒にいる時間が少なかったからだろうか。
それから恐らく、ドラコはルシウスに自分との険悪な仲について、全く話していないか、もしくは少なくとも多くは語っていないだろうと思った。もしそうでなければ、ルシウスからダンスの提案など出る筈がないのだ。
「ドラコ」フォーラが声をかけると、ドラコは渋々こちらに振り向いた。「私も貴方との時間が欲しいと思っていたの。一緒に踊ってくれないかしら……?」
ドラコの表情が一瞬強張ったのを感じ、フォーラはドラコの隣に近づくと彼に小さく耳打ちした。
「ルシウスさんたら、私たちが必要以上に離れていたから、きっと心配しているのよ。」
(フン……何も知らないで。父上は僕達の仲を心配しているわけじゃない。周りの目を心配しているだけだ)
「……さあ、手を取って。」
ドラコはフォーラの声と共に目を合わせると、彼女がそっと差し出した手を握った。
「ああ、本当は僕もそろそろ君に声をかけたいと思っていたんだ」
彼はそう言ってフォーラをダンスホールまでエスコートした。ドラコはルシウスがその場を離れたのを確認すると、ため息をついてフォーラをジロリと見た。
「不本意だ」
ドラコがフイと顔を背けた時、丁度ワルツの演奏が始まった。二人は本当に自然な慣れた手つきでホールドし、皮肉な程いつも通り息ぴったりのステップを踏み始めた。
「……私もよ。」
フォーラがぽつりと呟くと、ドラコはほんの少し眉間に皺を寄せて彼女を見た。
「そうかそうか、それは悪かった。それじゃあ僕らダンスをしたくない者同士、随分お似合いじゃないか」
ドラコが皮肉たっぷりにそう言うと、一方のフォーラは眉を下げて否定した。
「違う。私はドラコと踊りたかったわ。少しでも元の仲に戻れるきっかけになれば、って。」
「えっ」
予想外のフォーラの回答に、ドラコは思わず声が漏れた。彼女が続けた。
「だけど、お互いこんな調子だし……それなのに、ダンスはこんなに息ぴったりなんだもの。なんだかとっても寂しくなってしまったの。」
フォーラが肩を軽くすくめて微笑んだが、ドラコはピクリとも笑わなかった。
「……ふん、そういうことか。けど残念だったな。僕たちが前の仲に戻ることはないだろう。」
「そう……。あっ、そういえば、何日か前にあなたに手紙を出したの。受け取ってくれた?」
フォーラは意を決して質問したがドラコは視線を外したまま、ほんの少し返事の間を空けて首を横に振った。
「いいや。手紙なんて届いてない。それに、届いていたとしても君に返事を書くつもりもないさ」
フォーラはドラコから視線を落とし、短く小さなため息の後で彼にきちんと視線を向けた。
「手紙にはドラコが来ることを楽しみにしてると書いたの。あなたが私と話したく無いのはよく分かっているつもりだけど……。それじゃあせめて、今日私が着ているドレスがドラコにどう映っているかくらいは、教えてもらえないかしら……?」
ドラコはそう言われて今日初めて自分の腕の中にいる彼女をまじまじと眺めた。彼女がブルーのドレスを着るのは初めて見る。マーメイドドレスというのも意外だった。それにデコルテが大きく開いていて、いつも服で隠れている彼女の首周りのラインが綺麗に見えているのは間違いなかった。いや、今日のドレスに限らず何を着ていても彼女は……。
「……よく似合っている」
(あれ?)
ドラコは今しがた自分の口を突いて出た言葉に自分自身で耳を疑った。似合っているだと?何でそんなことを口走っている?!彼が内心焦っている間、彼女はキョトンとした表情で彼を見つめ、ステップを踏むことも忘れてしまったようだった。その拍子に互いの足がもつれ、ドラコは倒れそうになるフォーラを咄嗟に抱きかかえなくてはならなかった。
「全く、危なかった。大丈ーーー」
ドラコは途中まで言いかけた言葉にハッとして口を噤んだ。何故僕は彼女を心配するような言葉をかけているんだ!それにフォーラを抱きとめたせいで、あまりにも互いの距離が近すぎるのもドラコにとっては好ましくなかった。一体こんなに近くにいるのは何時ぶりだろう?ダンスにしろ今の状態にしろ、彼女には近づきたくなかったのに。
しかしそんな彼の様子とは関係なくフォーラは驚きと喜びと、ほんの少しだけ泣きそうな表情を混ぜて「ありがとう」と呟いた。
「私、まだドラコに褒められたり、心配してもらえているわ」
フォーラが体制を立て直しながらドラコに寂しげに微笑んだ。彼はそれを見てピタリと硬直した。しかも、抱きとめた際に握った彼女の手から妙に痺れるような感覚が襲ってきている気がして、何故だか怖気付きそうだった。
「楽しんでいただけていますか?なかなかお話する時間が無くて、ごめんなさい」
フォーラは至極いつも通りの笑顔でルシウスとドラコに話しかけた。心の内をうまく隠しているおかげで、ホグワーツでドラコの顔色を伺うように怯えていた彼女の姿は何処にも無かった。
「ああ勿論楽しんでいるとも。ありがとう。特に料理がいつも通り絶品だ」ルシウスが微笑んだ。「ところでフォーラ嬢、そろそろドラコが君に相手をしてもらいたいようだ。少しばかり時間を与えてやってくれないか。丁度私もシェードに用事があるのでね」
「えっ」
ドラコは父親の突然の言葉に思わず驚きの声を小さく漏らした。フォーラと踊ることは何となく覚悟していたが、あまりにも唐突すぎたのだ。
一方のフォーラは、何となくルシウスが"純粋に"ドラコとの時間を作ろうとしてくれているように感じた。いつものパーティーに比べてドラコとフォーラ自身が一緒にいる時間が少なかったからだろうか。
それから恐らく、ドラコはルシウスに自分との険悪な仲について、全く話していないか、もしくは少なくとも多くは語っていないだろうと思った。もしそうでなければ、ルシウスからダンスの提案など出る筈がないのだ。
「ドラコ」フォーラが声をかけると、ドラコは渋々こちらに振り向いた。「私も貴方との時間が欲しいと思っていたの。一緒に踊ってくれないかしら……?」
ドラコの表情が一瞬強張ったのを感じ、フォーラはドラコの隣に近づくと彼に小さく耳打ちした。
「ルシウスさんたら、私たちが必要以上に離れていたから、きっと心配しているのよ。」
(フン……何も知らないで。父上は僕達の仲を心配しているわけじゃない。周りの目を心配しているだけだ)
「……さあ、手を取って。」
ドラコはフォーラの声と共に目を合わせると、彼女がそっと差し出した手を握った。
「ああ、本当は僕もそろそろ君に声をかけたいと思っていたんだ」
彼はそう言ってフォーラをダンスホールまでエスコートした。ドラコはルシウスがその場を離れたのを確認すると、ため息をついてフォーラをジロリと見た。
「不本意だ」
ドラコがフイと顔を背けた時、丁度ワルツの演奏が始まった。二人は本当に自然な慣れた手つきでホールドし、皮肉な程いつも通り息ぴったりのステップを踏み始めた。
「……私もよ。」
フォーラがぽつりと呟くと、ドラコはほんの少し眉間に皺を寄せて彼女を見た。
「そうかそうか、それは悪かった。それじゃあ僕らダンスをしたくない者同士、随分お似合いじゃないか」
ドラコが皮肉たっぷりにそう言うと、一方のフォーラは眉を下げて否定した。
「違う。私はドラコと踊りたかったわ。少しでも元の仲に戻れるきっかけになれば、って。」
「えっ」
予想外のフォーラの回答に、ドラコは思わず声が漏れた。彼女が続けた。
「だけど、お互いこんな調子だし……それなのに、ダンスはこんなに息ぴったりなんだもの。なんだかとっても寂しくなってしまったの。」
フォーラが肩を軽くすくめて微笑んだが、ドラコはピクリとも笑わなかった。
「……ふん、そういうことか。けど残念だったな。僕たちが前の仲に戻ることはないだろう。」
「そう……。あっ、そういえば、何日か前にあなたに手紙を出したの。受け取ってくれた?」
フォーラは意を決して質問したがドラコは視線を外したまま、ほんの少し返事の間を空けて首を横に振った。
「いいや。手紙なんて届いてない。それに、届いていたとしても君に返事を書くつもりもないさ」
フォーラはドラコから視線を落とし、短く小さなため息の後で彼にきちんと視線を向けた。
「手紙にはドラコが来ることを楽しみにしてると書いたの。あなたが私と話したく無いのはよく分かっているつもりだけど……。それじゃあせめて、今日私が着ているドレスがドラコにどう映っているかくらいは、教えてもらえないかしら……?」
ドラコはそう言われて今日初めて自分の腕の中にいる彼女をまじまじと眺めた。彼女がブルーのドレスを着るのは初めて見る。マーメイドドレスというのも意外だった。それにデコルテが大きく開いていて、いつも服で隠れている彼女の首周りのラインが綺麗に見えているのは間違いなかった。いや、今日のドレスに限らず何を着ていても彼女は……。
「……よく似合っている」
(あれ?)
ドラコは今しがた自分の口を突いて出た言葉に自分自身で耳を疑った。似合っているだと?何でそんなことを口走っている?!彼が内心焦っている間、彼女はキョトンとした表情で彼を見つめ、ステップを踏むことも忘れてしまったようだった。その拍子に互いの足がもつれ、ドラコは倒れそうになるフォーラを咄嗟に抱きかかえなくてはならなかった。
「全く、危なかった。大丈ーーー」
ドラコは途中まで言いかけた言葉にハッとして口を噤んだ。何故僕は彼女を心配するような言葉をかけているんだ!それにフォーラを抱きとめたせいで、あまりにも互いの距離が近すぎるのもドラコにとっては好ましくなかった。一体こんなに近くにいるのは何時ぶりだろう?ダンスにしろ今の状態にしろ、彼女には近づきたくなかったのに。
しかしそんな彼の様子とは関係なくフォーラは驚きと喜びと、ほんの少しだけ泣きそうな表情を混ぜて「ありがとう」と呟いた。
「私、まだドラコに褒められたり、心配してもらえているわ」
フォーラが体制を立て直しながらドラコに寂しげに微笑んだ。彼はそれを見てピタリと硬直した。しかも、抱きとめた際に握った彼女の手から妙に痺れるような感覚が襲ってきている気がして、何故だか怖気付きそうだった。