13. マリアお手製のドレス
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宴が始まり、フォーラは何処かのタイミングでドラコに声をかけたかったが、中々その機会を掴むことはできなかった。何だか彼に近づくとその分距離を置かれてしまっているような気がしたくらいだ。しかしそれでも、せめて今日は彼とまともな会話の一つくらいしておきたい。彼との心の距離を少しでも元の状態に近づけなければ。そのためにマリアから貰った勇気を無駄にするわけにはいかない。
それはさておき、フォーラは割り切って来客との宴を楽しんだ。折角一年に一度の家を上げての行事だし、どの招待客もクリスマスの忙しい時期に参加してくれている。それに今回は遠方からアレクシスだって遊びに来てくれたのだ。これを楽しまずに暗い気持ちでいるのはあまりに勿体無い。
フォーラはまず顔見知りの来客にちらほら挨拶しながら談笑してまわった。どの招待客も彼女の姿を良く褒めてくれたし、そのどれもがお世辞ではなく心からそう思ってくれているのだと感じていた。
何年か前は自分のドレス姿に自信が持てなかったが、最近は素直に称賛の声を受け止められるようになった。正直それについては、いつも自分を励ましてくれたドラコがいたからこそなのは間違いなかった。
「お嬢さん、とっても素敵なドレスですね」
「えっ、あ……ありがとうございます。初めまして。」
フォーラに声をかけて来たのは見慣れぬ風貌の男性だった。フォーラの父よりは歳下……スネイプと同じくらいだろうか。第一印象は物腰柔らかそうな人だ。
「ええ、初めまして。お嬢さんのお父様と仕事をしている者で、ムーニーと言います。お宅のパーティーには初めて参加するんです」
「ムーニーさん、どうぞよろしくお願いします。フォーラ・ファントムと申します。」
「こちらこそ。お嬢さんのことはファントム氏からよく聞いていますよ。なんでも、猫になれるとか。実に興味深い」
「お褒めいただき光栄です。ムーニーさんはアニメーガスに興味がお有りなんですか?」
「ええまあ、そんなところです。実は私もそういった類の者でして」
「じゃあ、貴方もアニメーガスなんですね!一体何になれるのですか?」
先程までどこか心の距離を置いていたフォーラが急に興味津々に目を輝かせたので、彼は彼女の嬉しそうな姿に思わず微笑んだ。そして少し屈むと彼女の耳元で小さく囁いた。
「私は狼になれるくらいですよ。未完成のね」
フォーラがパッと彼の方を見ると、優しそうな瞳がこちらを見つめていた。目の前の彼は全く知らない風貌なのに、その瞳の色や、ほのかに香る匂いは前からよく知っているように感じた。
「えっと……、あ、あの、違ったら申し訳ないのですが、もしかして貴方は」
フォーラが続きを言おうとしたが、それはムーニーが首を横に振ったことで遮られた。彼は口調を変えずに続けた。
「実は、今日は私の仲間とここに来たんですよ。
仕事として参加したとはいえ、お嬢さんの素敵な姿を一目見られて役得でした」
そう言って微笑んだ姿は確信こそ持てなかったが、きっと……彼は恐らくルーピンで間違い無いだろう。そして、彼と彼以外の"仲間"がここにいるのも、不死鳥の騎士団の任務に違いない筈だ。
両親から前もって聞いていたとはいえ、このパーティー会場が思っていた以上に情報の探り合いの場となっていることをフォーラはひしひしと感じていた。そして自分がその渦中にいることが、自宅だというのに妙な緊張感をもたらしていた。
フォーラがムーニーと名乗る彼に質問しようとした時、不意に彼女の隣に黒い影が現れた。その影は彼女の肩に手を添え、ムーニーから引き離すように彼女を一歩後ろへいざなった。
「フォーラ、随分こちらの方と話を弾ませているのだな」
彼女が隣に立つ黒装束の人物を見上げると、そこにはスネイプの姿があった。フォーラは思わず声を弾ませた。
「セブルスさん!いらしてくださったのですね。今日はてっきり来られないのかと思っていたんです。」
「ああ、急用で遅れたのだ。
それよりも、こちらの紳士はお初にお目にかかる。フォーラが人見知りしていないとは珍しいこともあったものだ」
「えっと、それはーーー。こちらのムーニーさんもアニメーガスになれると聞いたところだったんです。」
フォーラはスネイプがムーニーと名乗る彼がルーピンであることを知っているのか分からず、一先ずありのままを伝えた。スネイプはムーニーという名前にピクリと反応し、目の前の彼を一瞥した。ムーニーはスネイプの刺さるような視線に苦笑いした。
「ほう。アニメーガスとは珍しい。一体何になれるのですかな。
まさか「狼だ」等とは言いますまい?」
フォーラはスネイプの発言とムーニーの苦笑いから、スネイプが既にムーニーの正体をわかっているのだと察した。スネイプが続けた。
「兎に角、ムーニー氏、彼女に近づくことはあまりお勧めしない。この邸で目立ちたくなければ、パーティー主催者の娘の側には立たないことだ」
「ミスター・スネイプ、お気遣いありがとう。勿論私も目立つつもりはないとも。ただ、親しくしていただいている人の娘さんに軽く挨拶をと思っただけだよ。
私のことを気にかけてくれてありがとう」
柔らかく笑ったムーニーにスネイプは鼻をフンと鳴らして嘲笑った。
「貴方のことではない。我輩が心配しているのはこちらのお嬢さんの方だ。……貴様のような狼が側にいると思うと気が気でならん」
スネイプは後半の言葉を殆ど唇を動かさずに憎しみを込めて静かに口にした。しかしムーニーは彼の言葉に特に表情を変えることもなく、優しく微笑んでいた。
「ふふ、こちらのお嬢さんは随分世話焼きなおじ様を持ったものだ。心配しすぎて私があらぬ誤解を受けているのは、あまり好ましく無いね。
それじゃ、私は忠告通りこの場を離れることにしますよ。お嬢さん、またお会いしましょう」
そう言ってムーニーは人混みに消えていった。
それはさておき、フォーラは割り切って来客との宴を楽しんだ。折角一年に一度の家を上げての行事だし、どの招待客もクリスマスの忙しい時期に参加してくれている。それに今回は遠方からアレクシスだって遊びに来てくれたのだ。これを楽しまずに暗い気持ちでいるのはあまりに勿体無い。
フォーラはまず顔見知りの来客にちらほら挨拶しながら談笑してまわった。どの招待客も彼女の姿を良く褒めてくれたし、そのどれもがお世辞ではなく心からそう思ってくれているのだと感じていた。
何年か前は自分のドレス姿に自信が持てなかったが、最近は素直に称賛の声を受け止められるようになった。正直それについては、いつも自分を励ましてくれたドラコがいたからこそなのは間違いなかった。
「お嬢さん、とっても素敵なドレスですね」
「えっ、あ……ありがとうございます。初めまして。」
フォーラに声をかけて来たのは見慣れぬ風貌の男性だった。フォーラの父よりは歳下……スネイプと同じくらいだろうか。第一印象は物腰柔らかそうな人だ。
「ええ、初めまして。お嬢さんのお父様と仕事をしている者で、ムーニーと言います。お宅のパーティーには初めて参加するんです」
「ムーニーさん、どうぞよろしくお願いします。フォーラ・ファントムと申します。」
「こちらこそ。お嬢さんのことはファントム氏からよく聞いていますよ。なんでも、猫になれるとか。実に興味深い」
「お褒めいただき光栄です。ムーニーさんはアニメーガスに興味がお有りなんですか?」
「ええまあ、そんなところです。実は私もそういった類の者でして」
「じゃあ、貴方もアニメーガスなんですね!一体何になれるのですか?」
先程までどこか心の距離を置いていたフォーラが急に興味津々に目を輝かせたので、彼は彼女の嬉しそうな姿に思わず微笑んだ。そして少し屈むと彼女の耳元で小さく囁いた。
「私は狼になれるくらいですよ。未完成のね」
フォーラがパッと彼の方を見ると、優しそうな瞳がこちらを見つめていた。目の前の彼は全く知らない風貌なのに、その瞳の色や、ほのかに香る匂いは前からよく知っているように感じた。
「えっと……、あ、あの、違ったら申し訳ないのですが、もしかして貴方は」
フォーラが続きを言おうとしたが、それはムーニーが首を横に振ったことで遮られた。彼は口調を変えずに続けた。
「実は、今日は私の仲間とここに来たんですよ。
仕事として参加したとはいえ、お嬢さんの素敵な姿を一目見られて役得でした」
そう言って微笑んだ姿は確信こそ持てなかったが、きっと……彼は恐らくルーピンで間違い無いだろう。そして、彼と彼以外の"仲間"がここにいるのも、不死鳥の騎士団の任務に違いない筈だ。
両親から前もって聞いていたとはいえ、このパーティー会場が思っていた以上に情報の探り合いの場となっていることをフォーラはひしひしと感じていた。そして自分がその渦中にいることが、自宅だというのに妙な緊張感をもたらしていた。
フォーラがムーニーと名乗る彼に質問しようとした時、不意に彼女の隣に黒い影が現れた。その影は彼女の肩に手を添え、ムーニーから引き離すように彼女を一歩後ろへいざなった。
「フォーラ、随分こちらの方と話を弾ませているのだな」
彼女が隣に立つ黒装束の人物を見上げると、そこにはスネイプの姿があった。フォーラは思わず声を弾ませた。
「セブルスさん!いらしてくださったのですね。今日はてっきり来られないのかと思っていたんです。」
「ああ、急用で遅れたのだ。
それよりも、こちらの紳士はお初にお目にかかる。フォーラが人見知りしていないとは珍しいこともあったものだ」
「えっと、それはーーー。こちらのムーニーさんもアニメーガスになれると聞いたところだったんです。」
フォーラはスネイプがムーニーと名乗る彼がルーピンであることを知っているのか分からず、一先ずありのままを伝えた。スネイプはムーニーという名前にピクリと反応し、目の前の彼を一瞥した。ムーニーはスネイプの刺さるような視線に苦笑いした。
「ほう。アニメーガスとは珍しい。一体何になれるのですかな。
まさか「狼だ」等とは言いますまい?」
フォーラはスネイプの発言とムーニーの苦笑いから、スネイプが既にムーニーの正体をわかっているのだと察した。スネイプが続けた。
「兎に角、ムーニー氏、彼女に近づくことはあまりお勧めしない。この邸で目立ちたくなければ、パーティー主催者の娘の側には立たないことだ」
「ミスター・スネイプ、お気遣いありがとう。勿論私も目立つつもりはないとも。ただ、親しくしていただいている人の娘さんに軽く挨拶をと思っただけだよ。
私のことを気にかけてくれてありがとう」
柔らかく笑ったムーニーにスネイプは鼻をフンと鳴らして嘲笑った。
「貴方のことではない。我輩が心配しているのはこちらのお嬢さんの方だ。……貴様のような狼が側にいると思うと気が気でならん」
スネイプは後半の言葉を殆ど唇を動かさずに憎しみを込めて静かに口にした。しかしムーニーは彼の言葉に特に表情を変えることもなく、優しく微笑んでいた。
「ふふ、こちらのお嬢さんは随分世話焼きなおじ様を持ったものだ。心配しすぎて私があらぬ誤解を受けているのは、あまり好ましく無いね。
それじゃ、私は忠告通りこの場を離れることにしますよ。お嬢さん、またお会いしましょう」
そう言ってムーニーは人混みに消えていった。