13. マリアお手製のドレス
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それは何時間か前、マリアの作ったドレスに袖を通した時のことだった。パーティーでフォーラがドラコに会うのを不安に思っているのを悟って、マリアがドレスの最終確認の際にフォーラを元気づけてくれたのだ。
『普段通り堂々としてさえいれば大丈夫ですよ』
『ええ、分かっているのだけれど、どうしても自信がなくて……。』
『あらあら、ちゃんとご自身の姿を鏡で見ましたか?こんっなに素敵なのに!ドラコ様は間違いなく褒めてくださると思いますよ』
『でも、私たち完全に仲違いしているのよ。それに、学校でのドラコは、私に対してとっても冷たいわ』
マリアは不安気なフォーラを鏡の方へ向かせると、彼女の背後から両肩に手を添えて鏡越しに視線を合わせた。
『いいですか、お嬢様。今まで私がこの手で仕立てたドレスをお召しになった時、皆さん何と仰ったか覚えていますか?』
『それは勿論、よく似合っていると言ってくださったわ。ドラコも含めて。』
フォーラが今までのことを思い出してそう言うと、マリアは満足そうに微笑んでいた。
『そういうことです。私の仕立てたドレスを着たお嬢様の前では、皆さんとっても素直になってしまうんです』
『えっ?』
マリアの言っていることがよく分からずフォーラは聞き返したが、マリアは特に詳しい話をしなかった。
『ふふ。それだけお嬢様の魅力の前では、誰も争えないということです。だから今日もきっと大丈夫ですよ』
自信満々にそう言い放った彼女にこれ以上何も言う気にならず、フォーラは微笑んだ。
『分かったわ。折角マリアが仕立ててくれたドレスを着ているのに、暗い顔なんて出来ないものね。ありがとう。』
フォーラは小さくため息を吐くと、意識を目の前のドラコに引き戻した。すると遠目にドラコがシェードには普段通り笑顔を向けているのが分かって、フォーラは思わず心を痛めた。しかしマリアの言葉に元気付けられた彼女は勇気を振り絞って彼らに近づいた。
「こんばんは。」
フォーラが声をかけると、ドラコと彼の両親がこちらを向いた。ルシウスとナルシッサは笑顔と挨拶を返してくれたが、ドラコは先程までの笑顔が消えていた。その様子に気づいたルシウスが彼に声をかけた。
「ドラコ 、どうしたんだ。フォーラ嬢に見惚れて言葉も出ないか」
「えっ、いや……その、こんばんは」
フォーラとドラコの目が合うと、彼は思わず視線を彼女から逸らした。フォーラはそれが気不味さ故のものだと直ぐに分かったが、彼の両親はそう思っていないようだった。
「フォーラさんもついこの間まで可愛らしいドレスだったのに、もう随分レディな着こなしになったわ。ドラコったら照れてるのよ。ごめんなさいね」
ナルシッサがフォーラに言った。ドラコは心外だとでも言いたそうな表情でピクリと反応したのをフォーラは見逃さなかった。
(そうよね。あれだけ嫌われていれば、こんな格好をしてもドラコは何とも思わないし、寧ろ誤解されて怒るわよね……。)
「そ、そんな。でも、ありがとうございます。ナルシッサさんもとってもお綺麗で、よくお似合いです。」
「あら、ありがとう。少しでも会場が華やかになれば嬉しいわ。
そういえば、今日はここではあまり見ない顔ぶれが比較的多いわね。他所ではお話ししたことのある人もいらっしゃるけれど」
ナルシッサがシェードにそう尋ねると、彼は何気ない様子で返答した。
「最近は私の仕事の関係で新しい人付き合いも増えたからね。ノット氏もその内の一人だ。彼もそろそろ到着する頃だと思うが」
フォーラは父親が誰のことを言っているのか事前に理解していた。ノット氏と呼ばれた彼が『例のあの人』側であることも、そしてルシウス・マルフォイがシェードに持ちかけた何らかの依頼に彼も関わっているということも。
シェードがノット氏の名を口にするや否や、ちょうど良いタイミングで彼とその息子が現れて輪の中に加わった。
「ファントム家の皆さん、こんばんは。」
ノット氏は落ち着いた声で挨拶をした。彼の息子であるセオドール・ノットは多少居心地が悪そうではあるものの同じく挨拶した。普段着慣れないドレスローブに加え、初めて訪れたそこまで親交の深くない異性の同級生の邸で過ごすとあっては致し方なかった。
「やあ、噂をすれば」シェードがノット氏に笑顔を向けた。「会うのは随分久しぶりだね。今日は我々の招待を受けてくれてありがとう」
「こちらこそ、ご招待いただき感謝します」
その時フォーラはノット氏の表情が暗に何かを示しているような気がしてならなかった。シェードは顔色ひとつ変えずに笑顔でセオドールにも声をかけた。
「セオドール君もようこそ。いつも娘がお世話になっているね。
娘から聞いたんだが、君はホグワーツで随分優秀だそうじゃないか。素晴らしいことだ」
「いえ、そんなことは。フォーラさんの方が、特に変身術はよっぽど優秀ですよ」
そう言ってセオドールは隣にいたフォーラを見た。フォーラは普段彼とはあまり言葉を交わすこともなかったが、そんな風に思ってくれていたとは嬉しい限りだった。彼女がセオドールと視線を合わせて「ありがとう」と微笑むと、彼は表情は変えずに「いや……」と行き場のない声を発したが、そのまま意外な言葉を続けた。
「今日は普段と随分雰囲気が違うんだな。そのドレス、よく似合ってると思う」
フォーラやドラコは思わず驚いて目を丸くした。セオドールという人は普段こんなにも直に、お世辞らしからぬ様子で直接相手を褒めることなど滅多にないからだ。どちらかといえば彼は口数が少なくて、何を考えているか分からないタイプだった。
彼のらしくない態度にフォーラは不意を突かれて焦ってしまった。
『普段通り堂々としてさえいれば大丈夫ですよ』
『ええ、分かっているのだけれど、どうしても自信がなくて……。』
『あらあら、ちゃんとご自身の姿を鏡で見ましたか?こんっなに素敵なのに!ドラコ様は間違いなく褒めてくださると思いますよ』
『でも、私たち完全に仲違いしているのよ。それに、学校でのドラコは、私に対してとっても冷たいわ』
マリアは不安気なフォーラを鏡の方へ向かせると、彼女の背後から両肩に手を添えて鏡越しに視線を合わせた。
『いいですか、お嬢様。今まで私がこの手で仕立てたドレスをお召しになった時、皆さん何と仰ったか覚えていますか?』
『それは勿論、よく似合っていると言ってくださったわ。ドラコも含めて。』
フォーラが今までのことを思い出してそう言うと、マリアは満足そうに微笑んでいた。
『そういうことです。私の仕立てたドレスを着たお嬢様の前では、皆さんとっても素直になってしまうんです』
『えっ?』
マリアの言っていることがよく分からずフォーラは聞き返したが、マリアは特に詳しい話をしなかった。
『ふふ。それだけお嬢様の魅力の前では、誰も争えないということです。だから今日もきっと大丈夫ですよ』
自信満々にそう言い放った彼女にこれ以上何も言う気にならず、フォーラは微笑んだ。
『分かったわ。折角マリアが仕立ててくれたドレスを着ているのに、暗い顔なんて出来ないものね。ありがとう。』
フォーラは小さくため息を吐くと、意識を目の前のドラコに引き戻した。すると遠目にドラコがシェードには普段通り笑顔を向けているのが分かって、フォーラは思わず心を痛めた。しかしマリアの言葉に元気付けられた彼女は勇気を振り絞って彼らに近づいた。
「こんばんは。」
フォーラが声をかけると、ドラコと彼の両親がこちらを向いた。ルシウスとナルシッサは笑顔と挨拶を返してくれたが、ドラコは先程までの笑顔が消えていた。その様子に気づいたルシウスが彼に声をかけた。
「ドラコ 、どうしたんだ。フォーラ嬢に見惚れて言葉も出ないか」
「えっ、いや……その、こんばんは」
フォーラとドラコの目が合うと、彼は思わず視線を彼女から逸らした。フォーラはそれが気不味さ故のものだと直ぐに分かったが、彼の両親はそう思っていないようだった。
「フォーラさんもついこの間まで可愛らしいドレスだったのに、もう随分レディな着こなしになったわ。ドラコったら照れてるのよ。ごめんなさいね」
ナルシッサがフォーラに言った。ドラコは心外だとでも言いたそうな表情でピクリと反応したのをフォーラは見逃さなかった。
(そうよね。あれだけ嫌われていれば、こんな格好をしてもドラコは何とも思わないし、寧ろ誤解されて怒るわよね……。)
「そ、そんな。でも、ありがとうございます。ナルシッサさんもとってもお綺麗で、よくお似合いです。」
「あら、ありがとう。少しでも会場が華やかになれば嬉しいわ。
そういえば、今日はここではあまり見ない顔ぶれが比較的多いわね。他所ではお話ししたことのある人もいらっしゃるけれど」
ナルシッサがシェードにそう尋ねると、彼は何気ない様子で返答した。
「最近は私の仕事の関係で新しい人付き合いも増えたからね。ノット氏もその内の一人だ。彼もそろそろ到着する頃だと思うが」
フォーラは父親が誰のことを言っているのか事前に理解していた。ノット氏と呼ばれた彼が『例のあの人』側であることも、そしてルシウス・マルフォイがシェードに持ちかけた何らかの依頼に彼も関わっているということも。
シェードがノット氏の名を口にするや否や、ちょうど良いタイミングで彼とその息子が現れて輪の中に加わった。
「ファントム家の皆さん、こんばんは。」
ノット氏は落ち着いた声で挨拶をした。彼の息子であるセオドール・ノットは多少居心地が悪そうではあるものの同じく挨拶した。普段着慣れないドレスローブに加え、初めて訪れたそこまで親交の深くない異性の同級生の邸で過ごすとあっては致し方なかった。
「やあ、噂をすれば」シェードがノット氏に笑顔を向けた。「会うのは随分久しぶりだね。今日は我々の招待を受けてくれてありがとう」
「こちらこそ、ご招待いただき感謝します」
その時フォーラはノット氏の表情が暗に何かを示しているような気がしてならなかった。シェードは顔色ひとつ変えずに笑顔でセオドールにも声をかけた。
「セオドール君もようこそ。いつも娘がお世話になっているね。
娘から聞いたんだが、君はホグワーツで随分優秀だそうじゃないか。素晴らしいことだ」
「いえ、そんなことは。フォーラさんの方が、特に変身術はよっぽど優秀ですよ」
そう言ってセオドールは隣にいたフォーラを見た。フォーラは普段彼とはあまり言葉を交わすこともなかったが、そんな風に思ってくれていたとは嬉しい限りだった。彼女がセオドールと視線を合わせて「ありがとう」と微笑むと、彼は表情は変えずに「いや……」と行き場のない声を発したが、そのまま意外な言葉を続けた。
「今日は普段と随分雰囲気が違うんだな。そのドレス、よく似合ってると思う」
フォーラやドラコは思わず驚いて目を丸くした。セオドールという人は普段こんなにも直に、お世辞らしからぬ様子で直接相手を褒めることなど滅多にないからだ。どちらかといえば彼は口数が少なくて、何を考えているか分からないタイプだった。
彼のらしくない態度にフォーラは不意を突かれて焦ってしまった。