13. マリアお手製のドレス
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「詳しくは話せないけれど、どうやら馴染みの深い私たちの力が必要なようなの。ルシウスは闇の陣営のことを私たちに悟られないよう隠しているわ。
もし彼が私たちを敵と分かっていたら、そもそも依頼なんてする筈ないと思うの。」
リプトニアの言葉を今度はシェードが引き継いだ。
「私たちからフォーラに送った手紙には、パーティーの後に特定のお客様へお礼の時間を設ける予定だと書いただろう。
つまりルシウスとその仲間と共に、取引に関して話を聞く予定なんだ」
「そうだったの……。でも、そのような話を進めたら、騎士団が不利になってしまわない?」
フォーラは心配していたが、それとは裏腹にシェードは軽やかにウインクしてみせたのだった。
「当然大丈夫だとも。我々は供給者なのだからね。顧客の知らない対抗措置をしっかり持っているさ。
だからフォーラは何も心配しなくていいんだよ」
フォーラは両親が本当に騎士団でスパイの役回りを担っているのだと実感せざるを得なかった。二人の目論見を聞いて心配しないわけはなかったが、彼らの自信がせめてもの救いだった。
すると不意にシェードが何かを思い出したように言葉を続けた。
「そういえば。話は変わるんだが、以前からリプトニアが仕入れの取引をしている海外の薬草店があってね。そこで最近働き始めた若い魔法使いがどうしてもフォーラに逢いたいそうなんだ」
「えっ?どうして?」
どうしてその人がそんなことを言い出したのかフォーラには全く思い当たる節がなかった。そんな彼女の反応にシェードは何処か楽しそうな、何か知っている様子で笑みを溢した。
「さあ、どうしてだろうね。パーティーの時にでも本人に理由を尋ねてみてはどうかな?」
「え!?パーティーにいらっしゃるの……?何方なのかもよく分からないのに、きちんとお話出来るかしら……。」
「ふふ、きっと大丈夫だと思うわよ。沢山お話ししてあげてちょうだいね」
フォーラは母の言葉にまだ疑問符を浮かべながらも了承したのだった。
「さあ、今年のクリスマスは一味違う。いつもより緊張感を持って臨まなくては。今や私たちの催すこのイベントは騎士団から注目の的だ。敵勢力を交えて一堂に会するまたとない機会だからね。
……そうだ、それから。騎士団といえば、私たちがブラック家の館を出る直前、丁度ウィーズリー家の子供達やハリーが到着したところだったよ。
クリスマスパーティーの次の日にでも一度、フォーラも顔を出してみるかい?」
父の提案にフォーラはパッと顔を明るくして頷いた。
「ええ、行きたい。学校では殆どお話しないようにしていたから……話したいことが沢山あるわ。」
「よしわかった。それでは皆、気を引き締めて当日を迎えよう」
それからクリスマスイブまで慌ただしく日々が過ぎた。両親は騎士団の会合も相まって例年より忙しくしていたが、一方のフォーラはいつもとあまり変わらなかった。相変わらずマリアはフォーラのドレスを新調して待ち構えていたし、飾り付けの手伝いや庭の手入れなど、魔法無しで手伝えることをいつものようにこなした。
ただ一つ違ったことは、この休暇中ドラコに会うまで、彼から一通も手紙が来なかったことだった。フォーラは休暇に入って数日、ドラコに手紙を書こうか悩んだ。そしてパーティーの三日前の夜、彼女はようやく決心してなんとか彼への手紙を完成させたのだった。
(手紙一つで三時間もかかってしまうなんて。しかも全然長くないのに。
沢山書き損じてやり直したし、何度も目を通したから、変なことは書いていない……筈。)
フォーラは素直な気持ちを手紙に綴っていた。最近ドラコと話す時は妙に緊張してしまうこと。ドラコにどれだけ嫌な顔をされようが、またいつか元通り話せる日を願っていること。そして、パーティーで少しでも姿を見られるのを楽しみにしていること。
(ドラコから返事が来なくても構わないわ。読んでくれるだけでいい。目を通してくれるかすら怪しいけれど。
パーティーの時にドラコと少しでも会話のきっかけが作れるなら、それで……)
フォーラが窓を開けて口笛を吹くと、少しして外から梟のアイシーが飛んできた。
「ドラコのところまでお願い。返事は……貰ってこなくていいからね。」
フォーラの言葉にアイシーはホーと一声鳴くと、彼女から手紙を受け取って暗い夜の寒空を優雅に飛んで行ったのだった。
(本当は)
フォーラはアイシーが雪の降る寒空に消えていくのを暫く眺め、見えなくなるとようやく窓を閉じた。
(本当は、以前のようにドラコと沢山お話したくて仕方ない。手紙のお返事だって欲しいわ。だけど……今は望んでも仕方のないことだもの)
フォーラはベッドへと倒れ込むと、無意識に自分の感情がどっと頭の中を駆け巡っていた。
私に以前のようなあの優しい笑顔を向けて欲しい。自信のない私のドレス姿をいつも通り励まして欲しい。私の言葉で照れ隠しした表情が見たい。また自然にドラコに笑いかけられるようになりたい。
「私の名前を呼んで欲しい……。」
フォーラは濡れた目元を袖でぐいと拭うと瞳を閉じたが、その日はすぐに寝付くことが出来なかったのだった。
クリスマスイブ当日の夕刻、フォーラたち家族と使用人らは次第に集まり始めた客人を次々に迎え入れた。今日のフォーラは深いネイビーの繊細なサテンジャガードのマーメイドドレスを身に纏っていた。裾にちりばめられた細かいクリスタルが夜空のように輝いている。
(いつもマリアにドレスを仕立ててもらえるのは本当にありがたいのだけど、毎回何処か油断ならないデザインなのよね……。)
フォーラは去年のホグワーツでのダンスパーティーでアメリカンスリーブの随分セクシーなドレスを着せられたことを思い出した。今日は昨年と違ってデコルテが大きく開いているが、腕は長袖できっちり隠れている。
フォーラが客人に挨拶していると、広間の一角で父親がマルフォイ家を迎え入れていることに気が付いた。そこにはドラコの姿もあって、フォーラは思わずその場に立ち止まった。
(大丈夫よフォーラ……。マリアに言われたことを思い出して)
もし彼が私たちを敵と分かっていたら、そもそも依頼なんてする筈ないと思うの。」
リプトニアの言葉を今度はシェードが引き継いだ。
「私たちからフォーラに送った手紙には、パーティーの後に特定のお客様へお礼の時間を設ける予定だと書いただろう。
つまりルシウスとその仲間と共に、取引に関して話を聞く予定なんだ」
「そうだったの……。でも、そのような話を進めたら、騎士団が不利になってしまわない?」
フォーラは心配していたが、それとは裏腹にシェードは軽やかにウインクしてみせたのだった。
「当然大丈夫だとも。我々は供給者なのだからね。顧客の知らない対抗措置をしっかり持っているさ。
だからフォーラは何も心配しなくていいんだよ」
フォーラは両親が本当に騎士団でスパイの役回りを担っているのだと実感せざるを得なかった。二人の目論見を聞いて心配しないわけはなかったが、彼らの自信がせめてもの救いだった。
すると不意にシェードが何かを思い出したように言葉を続けた。
「そういえば。話は変わるんだが、以前からリプトニアが仕入れの取引をしている海外の薬草店があってね。そこで最近働き始めた若い魔法使いがどうしてもフォーラに逢いたいそうなんだ」
「えっ?どうして?」
どうしてその人がそんなことを言い出したのかフォーラには全く思い当たる節がなかった。そんな彼女の反応にシェードは何処か楽しそうな、何か知っている様子で笑みを溢した。
「さあ、どうしてだろうね。パーティーの時にでも本人に理由を尋ねてみてはどうかな?」
「え!?パーティーにいらっしゃるの……?何方なのかもよく分からないのに、きちんとお話出来るかしら……。」
「ふふ、きっと大丈夫だと思うわよ。沢山お話ししてあげてちょうだいね」
フォーラは母の言葉にまだ疑問符を浮かべながらも了承したのだった。
「さあ、今年のクリスマスは一味違う。いつもより緊張感を持って臨まなくては。今や私たちの催すこのイベントは騎士団から注目の的だ。敵勢力を交えて一堂に会するまたとない機会だからね。
……そうだ、それから。騎士団といえば、私たちがブラック家の館を出る直前、丁度ウィーズリー家の子供達やハリーが到着したところだったよ。
クリスマスパーティーの次の日にでも一度、フォーラも顔を出してみるかい?」
父の提案にフォーラはパッと顔を明るくして頷いた。
「ええ、行きたい。学校では殆どお話しないようにしていたから……話したいことが沢山あるわ。」
「よしわかった。それでは皆、気を引き締めて当日を迎えよう」
それからクリスマスイブまで慌ただしく日々が過ぎた。両親は騎士団の会合も相まって例年より忙しくしていたが、一方のフォーラはいつもとあまり変わらなかった。相変わらずマリアはフォーラのドレスを新調して待ち構えていたし、飾り付けの手伝いや庭の手入れなど、魔法無しで手伝えることをいつものようにこなした。
ただ一つ違ったことは、この休暇中ドラコに会うまで、彼から一通も手紙が来なかったことだった。フォーラは休暇に入って数日、ドラコに手紙を書こうか悩んだ。そしてパーティーの三日前の夜、彼女はようやく決心してなんとか彼への手紙を完成させたのだった。
(手紙一つで三時間もかかってしまうなんて。しかも全然長くないのに。
沢山書き損じてやり直したし、何度も目を通したから、変なことは書いていない……筈。)
フォーラは素直な気持ちを手紙に綴っていた。最近ドラコと話す時は妙に緊張してしまうこと。ドラコにどれだけ嫌な顔をされようが、またいつか元通り話せる日を願っていること。そして、パーティーで少しでも姿を見られるのを楽しみにしていること。
(ドラコから返事が来なくても構わないわ。読んでくれるだけでいい。目を通してくれるかすら怪しいけれど。
パーティーの時にドラコと少しでも会話のきっかけが作れるなら、それで……)
フォーラが窓を開けて口笛を吹くと、少しして外から梟のアイシーが飛んできた。
「ドラコのところまでお願い。返事は……貰ってこなくていいからね。」
フォーラの言葉にアイシーはホーと一声鳴くと、彼女から手紙を受け取って暗い夜の寒空を優雅に飛んで行ったのだった。
(本当は)
フォーラはアイシーが雪の降る寒空に消えていくのを暫く眺め、見えなくなるとようやく窓を閉じた。
(本当は、以前のようにドラコと沢山お話したくて仕方ない。手紙のお返事だって欲しいわ。だけど……今は望んでも仕方のないことだもの)
フォーラはベッドへと倒れ込むと、無意識に自分の感情がどっと頭の中を駆け巡っていた。
私に以前のようなあの優しい笑顔を向けて欲しい。自信のない私のドレス姿をいつも通り励まして欲しい。私の言葉で照れ隠しした表情が見たい。また自然にドラコに笑いかけられるようになりたい。
「私の名前を呼んで欲しい……。」
フォーラは濡れた目元を袖でぐいと拭うと瞳を閉じたが、その日はすぐに寝付くことが出来なかったのだった。
クリスマスイブ当日の夕刻、フォーラたち家族と使用人らは次第に集まり始めた客人を次々に迎え入れた。今日のフォーラは深いネイビーの繊細なサテンジャガードのマーメイドドレスを身に纏っていた。裾にちりばめられた細かいクリスタルが夜空のように輝いている。
(いつもマリアにドレスを仕立ててもらえるのは本当にありがたいのだけど、毎回何処か油断ならないデザインなのよね……。)
フォーラは去年のホグワーツでのダンスパーティーでアメリカンスリーブの随分セクシーなドレスを着せられたことを思い出した。今日は昨年と違ってデコルテが大きく開いているが、腕は長袖できっちり隠れている。
フォーラが客人に挨拶していると、広間の一角で父親がマルフォイ家を迎え入れていることに気が付いた。そこにはドラコの姿もあって、フォーラは思わずその場に立ち止まった。
(大丈夫よフォーラ……。マリアに言われたことを思い出して)